へそまがりの読書日記

へそまがりの読書日記

2013年05月30日
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カテゴリ: 読書記録

幸福な生活


18話がおさめられた短編集。

『たった1行がこんなに 衝撃的 な小説はあったろうか。』

という帯の“衝撃的”な文句のように、

最後にページをめくると〆の台詞が1行あって完結という構成です。



この台詞なんですが、たった1行のくせして

インパクトあり過ぎ、毒もあり過ぎ!

それまでの淡々とした幸福な生活を、根底から覆すほど“衝撃的”です。

ただですね、1話また1話と読んでいくうちにパターンに慣れてしまうのか、



“衝撃的な1行”に過度の期待はしない方がいいかもしれません。



すごく身近な人(この場合は家族)から吐き出される毒気は、

時としてホラーやオカルトよりも怖いということがよくわかる1冊です。

背筋がぞくぞくっとしてきます。

ここであらすじを紹介してしまうと、ぞくぞく感がなくなってしまうので、

読んでのお楽しみということで…







「道子さんを殺したのは、私なのよ――」

認知症が進んでから母はよく喋るようになった。

しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。

施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、

女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。

久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、

むかし大のお気に入りだった人形を見つける。

40年ぶりに手にした懐かしい人形。

だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……(「母の記憶」より)。

サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、

そのすべての最後の1行が衝撃的な台詞になっているという凝った構成。

『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。

星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!



【目次】(「BOOK」データベースより)

母の記憶/夜の訪問者/そっくりさん/おとなしい妻/残りもの/豹変/

生命保険/痴漢/ブス談義/再会/償い/ビデオレター/ママの魅力/

淑女協定/深夜の乗客/隠れた殺人/催眠術/幸福な生活





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最終更新日  2013年05月30日 17時13分39秒


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