へそまがりの読書日記

へそまがりの読書日記

2014年02月04日
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カテゴリ: 読書記録

ハルさん


人形作家の春日部晴彦(ハルさん)は、妻・瑠璃子さんを早くに亡くし、一人娘の風里(ふうり 通称ふうちゃん)を男手ひとつで育てています。



そして今日はふうちゃんの結婚式の日!

会場へ向かいながら、ハルさんはふうちゃんの成長に沿って起きた謎(というには大げさだけど)を思い出します。

幼稚園に通い、小学生になり、やがて反抗期を迎え、大学生になり、そして結婚。

それぞれの出来事が5つの短編となり、読者もハルさんと一緒にふうちゃんの成長を見守っているような連作になっています。



人形作家という職業柄か生来の性格か、ハルさんは優しくて繊細でちょっと人付き合いが苦手なタイプ。

そんなハルさんなので父親の威厳なんて皆無でして、ふうちゃんに何かあるとプチパニックになってしまうのです。

「どうしよう、どうしよう…」とわたわたするハルさん。

そこへタイムリーに登場するのが亡くなった瑠璃子さんです。



瑠璃子さんの助言に背中を押され、ピンチを乗り越えて行きます。

そしてむかえた結婚式の日、ハルさんは瑠璃子さんに話しかけます。



  ”瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。

     まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…”



全てを凝縮したセリフ。

これだけでハルさんとふうちゃんの素敵な親子関係がわかります。

ハルさんにとって、瑠璃子さんがなくてはならない人だということも。



寒い季節にぴったり。

とってもハートウォーミングなお話です。







(瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。

まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…)



結婚式の日、ハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。

心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、

天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった

―児童文学の気鋭が、頼りない人形作家の父と、

日々成長する娘の姿を優しく綴った快作。








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最終更新日  2014年02月04日 16時51分52秒


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