仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2010.05.11
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カテゴリ: 宮城
塩竈市の仙石線の高架複線化事業は昭和56年に完成。道路渋滞の緩和のほか、仙石線の最大の難所とされ(本塩釜駅周辺の海水浸入など)、長年の課題であった。また、仙石線の複線化によるスピードアップは、特に石巻方面の沿線住民の悲願でもあったことも背景にあった。

宮城県議会の議事録を見ると、昭和54年に地元県議(佐藤)が、仙石線高架複線化事業と国鉄塩釜線の廃止に関して質問を行っている。曰く、以下の通り(要約)。
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国鉄仙石線は仙台市と塩釜市で鉄道と道路の交差個所が非常に多く、交通渋滞を惹起。交通事故撲滅のため、都市計画による都市高速鉄道事業として、日本国有鉄道仙石線の高架複線化事業を、昭和四十八年から西塩釜駅より東塩釜駅北側まで約2700mの工事に着手。まことに喜ばしいが、塩釜における高架複線化事業が完成いたしましても、国鉄塩釜線と国道45号の平面交差が依然残り、通称稲荷下踏切は全国的に交通渋滞で有名。更に県道塩釜花渕菖蒲田線も含め、市内には線路延長約4km間に、踏切が15か所もあり交通渋滞。
仙石線高架複線化事業の都市計画決定の際に問題となった稲荷下踏切については、昭和47年当時の仙台鉄道管理局長、東北地方建設局長、宮城県知事の三者会談で、仙石線高架複線化事業が施行されても踏切問題は解消されないが、将来早い機会に全面撤去する旨の統一見解が確認されたと聞くが、現状と経過はどうなっているか。
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住民の総意を代弁したものと思われる。また、県議会では、本塩釜駅移転に伴う「南口」設置が何度も要望されている。

さて、仙石線と塩釜線について、塩釜市内の略歴をまとめると以下の通り。

■仙石線

 昭和19年 国有化し仙石線と改称。市内3駅名の「釜」を「竈」に
 昭和38年 市内3駅名を「釜」に戻す
 昭和44年 西塩釜まで複線化
 昭和47年 越の浦踏切でダンプカーと衝突。電車が脱線し海に突入
 昭和56年 高架複線化完成。本塩釜駅、東塩釜駅が移転
■塩釜線
 明治20年 日本鉄道が郡山から塩竈まで開業(塩竈駅は現在の東北本線塩釜駅ではない)
 明治39年 国有化
 明治42年 岩切-塩竈間を塩竈線と呼称(利府経由の東北本線に対して支線となる)
 昭和8年 多賀城前駅(後の陸前山王駅)開業。貨物支線(塩竈-塩竈港1.9km)開業
 昭和19年 陸前山王-品井沼間に東北本線貨物迂回線(東北海岸線、海線)が開業

 昭和40年 貨物支線(塩釜港-塩釜魚市場間2.1km)開業。鮮魚貨物列車運行
 昭和53年 貨物支線(塩釜港-塩釜魚市場間2.1km)廃止
 昭和61年 塩釜港駅を塩釜埠頭駅へ統合(廃止)
 昭和62年 国鉄分割民営化により日本貨物鉄道が承継(6.8km)
 平成2年 塩釜港埠頭駅が(旧)塩釜港駅に移転 (1.9kmの距離)

 平成9年 陸前山王-塩釜埠頭間廃止(塩釜線全廃)

手元に昭和56年発行の仙台の地図があり、裏面に広域図がある。塩釜の部分をクローズアップすると、仙石線は高架化前のルートで、塩釜港線も健在だ。

100511塩竈市内鉄道図

よく見ると、確かにこの地図の仙石線本塩釜駅は現在の位置ではないし(現在の壱番館か)、その北は、トンネルとなっており、現在の仙石線ルートではない。現在のルートは、かつての塩釜線(魚市場線)の跡を利用したように見える。 


■関連する過去の記事
仙石線多賀城地区連続立体交差事業 (10年5月5日)
野田の玉川 歴史散歩(その4)天神橋上流の鉄道廃線跡 (10年5月4日)
宮城県内の東北本線ルートの話 (05年11月27日)





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最終更新日  2010.05.11 06:37:46
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