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先端医療では政治を巻き込んだ「バイオポリティクス」の時代になった。
臓器移植、遺伝子治療はどこまで許されるのか――著者は、倫理学をベースにした「バイオエシックス」から、政治を巻き込んだ「バイオポリティクス」の時代になったという。
日本で臓器移植できない子どもたちが、莫大な寄付金を携えてアメリカに飛んでいる現実から薄々感じていたのだが、実際、かの国では臓器売買がビジネスになっているという。これに対しヨーロッパでは、臓器も人権の一部であり、「譲渡不可能」の原則があるという。
著者は最後に、「『市民は何も知らされていない』という被害者意識まる出しの言い方は、先進国では日本くらいでしか通用しないものである」(262 ページ)と指摘する。われわれ日本人も、海外で先端医療を受けようとするなら、このあたりの哲学というか覚悟というかを持って渡航する必要があるのではないだろうか。
■メーカーサイト⇒ 米本昌平/中央公論新社/2006年06月 バイオポリティクス
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