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著者・編者 | 小野俊太郎=著 |
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出版情報 | 青草書房 |
出版年月 | 2012年03月発行 |
著者は文芸評論家の小野俊太郎さん。1961 年に公開された映画を題材にした『 モスラの精神史 』、同じく 1966 年公開の『大魔神の精神史』を書いた延長線上に、1968 年という年があったという。
明治元年からちょうど 100 年、1968 年(昭和 43 年)には何があったか――「あしたのジョー」「タイガーマスク」連載開始、「巨人の星」「ゲゲゲの鬼太郎」アニメ放映開始、東大闘争、新宿騒乱、三里塚闘争、霞が関ビル完成、ダイエー 1 号店開店、小笠原諸島の日本復帰、郵便番号制度、ポケベル、週刊少年ジャンプ創刊、日本初の心臓移植、人生ゲーム発売、国鉄の大規模ダイヤ改正と自動券売機導入、川端康成がノーベル文学賞受賞、三億円事件――今に続く日本の仕組みが出来た年と言える。小野さんは、「現在につながる多くのシステムや考え方の始まりの年でもあったから」(248 ページ)、「私たちの社会がたどったコースが、どんな利点をもち、どんな欠点をもつかを知るためにも、明治百年としての 1968 年をくわしく見直す意義はある」と語る。
ポケベルが 1968 年にサービス開始していることを考えると、ネットワーク社会ですら、1968 年にスタートしていたと考えることができる。
一方で、東大闘争や新宿騒乱、三里塚闘争といった社会問題を、2012 年時点の我々は総括しているか?そのひとつが原発問題である。東海村で商業炉が稼動を始めたのは 1966 年であるが、「68 年 12 月に発表された原子力産業実態調査報告では、原子力は実用段階に入っているとされた。つまり、68 年は原子力発電の商業化へ大きく舵が切られた年でもある」(66 ページ)のだ。当時の経緯は『 原発・正力・ CIA
』(有馬哲夫=著)に詳しく書かれているが、理路整然と商業化へ向かったわけではない。
1968 年を記憶に残している我々の世代は、宿題を積み残したままにしているような気がしてならない。
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