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著者・編者 | 石光勝=著 |
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出版情報 | 新潮社 |
出版年月 | 2011年12月発行 |
著者は、東京 12 チャンネル常務を経て通販会社プロントの社長となった石光勝さん。『 テレビ番外地 』は既読である。
本書冒頭で「テレビ離れ」が深刻化していることに触れられているが、深刻どころではない。私たち夫婦はテレビっ子世代であるにもかかわらず、地デジ化を境に自宅にテレビがなくなった。
家族で番組を見ながら夕食を共にする生活スタイルは変わらないが、ディスプレイが液晶パソコンになり、コンテンツはレンタル DVD になった。夕飯時の地上波で、家族で楽しんで見ることができる番組が無いのである。石光さんが指摘しているように、現在、夕飯時はバラエティ番組しか放映されていない。しかも、どの局も似たり寄ったりのキャスティング。若手芸人は一発屋として消えてゆく。
消費者としては色々なジャンルの番組を見たいのである。それこをがテレビの面白みではなかったか。
バラエティ番組にしても、かつての「8時だョ!全員集合」は生放送であるにもかかわらず、緻密な企画と猛烈なリハーサルに裏打ちされていたから、内容が濃かった。PTA が眉をひそめようが、俗悪番組のレッテルを貼られようが、子どもは毎週「8時だョ!全員集合」を楽しみにしていた。そして、ザ・ドリフターズに会えるのは土曜日の 45 分だけだった。今時の芸人がいくら才能があったとしても、1週間に 4 時間も 5 時間も番組に出ていたのでは、面白さ密度は薄くなってしまう。
だが私は、テレビ放送全体を見渡せば面白い番組は山ほどあると思っている。我が家では夕飯時、ニコニコ動画やバンダイチャンネルを使って地上波の深夜アニメを見るようになった。
本書の後半では、そんなネットとテレビの関係を論じている。
「ネット上の情報が氾濫すればするほど、公正・中立を目指すテレビの報道は、ネット情報の真偽と価値を判断する指針としての役割を増すことになる」(152 ページ)と指摘するが、「発掘!あるある大辞典 II」のデータ捏造事件や、「真相報道バンキシャ!」の誤報を取り上げ、「なんともお寒い限りである」(158 ページ)と嘆息する。
石光さんは最後に、「来たるべきテレビ業界の再生は、『民放 3NHK1』の 4 大ネットワークをスタートラインとすべきであって、すべてはここから始まる」(195 ページ)と提言する。広告の奪い合いを避け、放送の品質を維持するためだ。私も、民放はドラマに強い局、バラエティに強い局、アニメに強い局の 3 つあれば十分だと思う。そして、「アニメに強い局」はテレビ東京に担ってほしい(笑)。
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