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著者・編者 | 安河内哲也=著 |
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出版情報 | 角川書店 |
出版年月 | 2010年3月発行 |
著者は予備校で英語を教えている安河内哲也さん。熱い話り口で授業を進めるそのスタイルは「鬼コーチ、安コーチ」と呼ばれ人気が高いという。
カリスマ講師だけあって、言葉の切れが鋭い。「できない理由は考えないこと」(27 ページ)、「ラクなことばかり選んでいたら幸せにはなれない」(37 ページ)、「がんばり体験があると、次のハードルが低くなる」(38 ページ)、等々。
内容としては、「他人を『その気』にさせる技術」というより、「自分を『その気』にさせる技術」に多くのページが割かれている。
モチベーションを上げるテクニックとして、「マインドセットを『やらなければならない』意識から『やりたくなる』意識へと変えることが必要」(55 ページ)と指摘する。これは自覚がある。上司や顧客から強制されていると感じたり、給料のためにやっていると考えると、仕事がだんだん辛くなる。好きだからやっていると、気持ちを切り替えられると、とたんに楽になる。
そして、「相手のやる気を引き出すためには、まずこちらが肩の力を抜いてかかる必要」(96 ページ)があるという。「真っ向からぶつかっていくのではなくて、まずは受け入れてから、パラダイムを変えていく」(108 ページ)といいとアドバイスする。
何でも褒めることや受け入れることは、子ども/部下をひ弱にしてしまうかと考えていたが、なるほど、受け入れた後に大人/先輩の視線で軌道修正をかければいいわけだ。
安河内さんは、「さりげなく環境を整えて、子どもの資質を伸ばす応援団長になる」(143 ページ)ことを、「ぎんぎらぎんに、さりげなく」と呼ぶ。
安河内さんは「人闘が行動を起こして目的を達成するためには、次の 3 つの作業が必要」(175 ページ)という
?目的と目標を明確にする。
?目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する。
?目的を達成するまで、その実行を中止しない。
「目的」「目標」を区別することは、よく言われることだが、相手のやる気を引き出すためには、目標のハードルは思いきり引き下げる必要があろう。
また、「反省を『技術的な反省』と『精神的な反省』に分けて、精神的な反省は一切しない。技術的反省だけを徹底的にやるのです」(179 ページ)とアドバイスする。技術屋としては、これを実践していく必要性を感じた。
自信を失ってネガティブ思考に陥っているときは、「内側から取り戻そうとしても難しいものがあります」(189 ページ)と指摘する。その通りだ。安河内さんは、塾の講師のアルバイトをして生徒から頼りにされた経験を振り返り、「『誰かから頼られている、必要とされている』という外側からのエネルギーが契機になることもある」とアドバイスする。そして、この「誰かから必要とされている」ことが、もっと進むと、長期的なライフミッションとなる。
安河内さんは最後に、「人を動かすには、結局、人間の熱意が一番」(223 ページ)と述べている。真理ではあるが、「他人を『その気』にさせる技術」が精神論になっていることは少し残念だ。
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