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2022.07.19
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カテゴリ: 書籍
エンディミオン(下)

エンディミオン(下)

 アイネイアー「とうさんは、人間同士のほんとうの友情は、人間の自然に対する共鳴よりも高次のものだと考えていたけど、人間が到達しうる最高のレベルは愛だと考えていたの」(18ページ)
著者・編者 ダン・シモンズ=著
出版情報 早川書房
出版年月 2002年2月発行

エンディミオン、アイネイアー、A・ベティックの3人は筏に乗って〈テテュス河〉を下っていた。次に訪れたのは惑星〈マーレ・インフィニトゥス〉だった。海に浮かぶプラットフォームに人がいた。偵察に向かったエンディミオンは捕らわれるが、瀕死の重傷を負いながらも脱出し、アイネイアーとA・ベティックに救出される。だが、ホーキング絨毯と拳銃を失ってしまった。
3人は次の惑星〈ヘブロン〉に入った。ニューエルサレムはヘブロン最大の都市で、つい数週間前まで人が暮らしていた痕跡はあるものの、いまは誰もいなかった。復活の奇蹟を受けられないニューエルサレムでは医療施設が充実しており、エンデュミオンの治療に専念することになった。
次の惑星は〈ソル・ドラコニ・セプテム〉で、重力は1.7Gもあり、惑星全体が凍り付いていた。行く手を氷の壁にはばまれた一行だったが、原住民チチャタクに救われ、盲目のグラウコス神父に出会う。神父は3人と語り、オールド・アースで第一次大戦に従軍し、地質学者で考古学者だったテイヤール・ド・シャルダン神父が唱えた進化理論は、異端として裁かれなかったことを知らせる。そして、現教皇であるルナール・ホイト神父が恐れテイヤールの異端とは、人類が努力して神聖な存在を目指そうとする〈希望〉のことだと明かす。

惑星〈パケム〉に戻ったデ・ソヤ神父大佐は、検邪聖省による異端審問を受けた後、ルールドゥサミー枢機卿からアイネイアーの脅威を知らされる。彼女は〈テクノコア〉が派遣したウイルスのような存在で、転移ゲートやシュライクを使って人類を滅ぼそうとしているというものだ。そして、枢機卿はアイネイアーが惑星〈ソル・ドラコニ・セプテム〉にいることを告げた。そして、新設した〈キリストの軍団〉の女性戦士ラダマンス・ネメスを同行し、デ・ソヤに再びアイネイアーの捕獲を命じた。

〈ラファエル〉は、惑星ソル・ドラコニ星系で実体化した。デ・ソヤらが復活している間に、ネメスは降下艇に乗り込み、地上へ降りた。彼女は神経探針を使ってグラウコス神父の脳から情報を吸い上げ、神父を殺した。
彼女は、惑星〈ソル・ドラコニ・セプテム〉の転移ゲートにアクセスし、アイネイアーらが惑星〈クム=リヤド〉に転移したことを知る。そして、次の転移先は惑星〈ゴッズ・グローブ〉であった。〈ラファエル〉に戻ったネメスは、惑星に着陸した痕跡を消去し、〈ゴッズ・グローブ〉へ向かう命令を書き加えた。
〈ラファエル〉内で復活したデ・ソヤは、〈ゴッズ・グローブ〉へ向かう命令を聞いたが、コーヒーバルブの把手の向きが変わっていたことに不安を覚え、ネメスを疑う。

惑星〈クム=リヤド〉に到着すると、アイネイアーは急に発熱と痛みを訴えた。住民は姿を消していたが、エンディミオンとA・ベティックは彼女を医療施設に担ぎ込んだ。
目を覚ましたアイネイアーは、グラウコス神父が死んだことを告げ、後ろから何か恐ろしいものがやって来ると言った。アイネイアーによると、自分を追っているものが〈コア〉で、〈パクス〉と〈コア〉が手を結んでいるという。
筏の上にはシュライクがいたが、3人には見向きもしなかったので、そのまま〈テテュス河〉を下っていくことにした。

〈ラファエル〉が惑星〈ゴッズ・グローブ〉に到着すると、デ・ソヤらが復活している間に、またしてもネメスは降下艇に乗り込み、転移ゲートの周囲にモノフィラメントで罠を張り巡らせた。転移ゲートを出た3人の前にネメスが現れた。モノフィラメントの罠でA・ベティックは左腕を切断し、瀕死の重傷を負う。ネメスはエンディミオンとアイネイアーを襲うが、シュライクがネメスと対峙した。ネメスは旧型のシュライクをあしらい、アイネイアーに襲いかかるが‥‥。

3人は最終目的地〈地球〉に到着した。そこには〈落水荘〉があった。アイネイアーによれば、彼女を呼び寄せた存在は、地球で人間性の実験を行っているという。一方、デ・ソヤ神父大佐は〈パケム〉へ帰投した。

下巻もネタがてんこ盛りだ。
登場する惑星の名前だが、ハイペリオンはギリシア神話、パールヴァティーはヒンズー教、ルネッサンス・ベクトルは西欧のルネッサンス時代、マーレは海を意味するラテン語、ヘブロンはユダヤの古都、リヤドはサウジアラビアの首都、パケムは平和を意味するラテン語。解説にもあるが、どんな非難を浴びようとも自分に課せられた役職の範疇から逸脱せずに命令を遂行するデ・ソヤ神父大佐は、アニメ「ルパン三世」の銭形警部のようである。一方、終盤に登場する女性戦士ラダマンス・ネメスとシュライクの戦いは、映画「ターミネーター2」のようだ。
最後に登場する〈落水荘〉だが、帝国ホテルの設計で知られるフランク・ロイド・ライトの手になるもの。特撮テレビ「サンダーバード」に登場するトレーシーアイランドに似ていると思うのは私だけだろうか‥‥。






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最終更新日  2022.07.19 18:26:13
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