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著者・編者 | ダン・シモンズ=著 |
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出版情報 | 早川書房 |
出版年月 | 2002年11月発行 |
惑星〈パケム〉では教皇ユリウス14世が崩御した。シモン・アウグスティノ・ルールドゥサミー枢機卿と腹心のモンシニョール・ルーカス・オティが暗躍する。
その翌日、大天使級急使船〈ラファエル〉に乗っている3人の男女は、プランク空間を通過した際にも死なずに惑星〈ゴッズ・グローヴ〉に降り立ち、地中に埋まっていたラダマンス・ネメスを救出した。
教皇として崩御したルナール・ホイト神父が57年ぶりに復活する前に現れたのは、あの神父だった。ルールドゥサミー枢機卿は彼を地獄へ送り返し、〈コア〉から派遣されたアルベド顧問官がその様子を伺っていた。ホイト神父は、ウルバヌス16世として即位した。ルールドゥサミーは、かつて十字軍を招集したウルバヌス2世の名を思い起こした。
一方、地球で建築を学んでいた90人のグループの中で一番若い16歳のアイネイアーは、いつしかリーダー的な存在になっていたが、師であるフランク・ロイド・ライトが他界し、いよいよ地球を去らなければならなかった。アイネイアーとA・ベティックを残し、ロール・エンディミオンは一人カヤックに乗って、川を下りながら転移ゲートをくぐる冒険の旅に出発した。アイネイアーは最後に地球を出発し、惑星〈天山〉(テイエンシャン)でエンディミオンに合流するという。一方、パクス艦隊司令長官の副官マージット・ウー大佐は、砂漠惑星マドレ・デ・ディオスに流されたフェデリコ・デ・ソヤ神父大佐の元を訪れ、復隊を命じた。デ・ソヤは一緒に戦ってきた巨体の持ち主グレゴリウス軍曹を呼び戻し、新造された大天使級戦闘艦〈ラファエル〉の艦長として、無敵の〈ギデオン〉機動艦隊に加わり、再び〈アウスター〉討伐に向かう。だが、産まれたばかりの〈アウスター〉の乳児を殺戮する中で教会のやり方に疑問を感じた〈ラファエル〉の乗組員たちと反乱を企て、艦隊を離脱してしまう。
惑星〈ルーサス〉でエンディミオンは腎臓結石の痛みで七転八倒したが、現地で治療を受け、〈パクス〉の追っ手を振り切り、転移ゲートに飛び込んだ。だが、転移先に川はなく、巨大ガス惑星の上空に飛び出した。アイネイアーに教わった非常用ボタンを押すとパラセールのような帆が開き、墜落は免れたが、荒れ狂う雲の渦に巻き込まれ、巨大生物に飲み込まれてしまう。
〈パクス〉を資金面で支える〈トーラス・マーカンティラス〉のCEO、ケンゾー・イソザキは密かにアルベド顧問官に会い〈コア〉との接触を望むが、アルベドは〈聖十字架〉を使ってペットをしつけるように罰を与えた。かつて連邦の軍事基地があった火星に教会の一部勢力が駐留していたが、突然シュライクが現れ全滅する。シュライクは彼らから〈聖十字架〉を剥ぎ取り、二度と復活できないようにした。
〈パクス〉の重要人物は〈ガンドルフォ城〉に集まり、そこに教皇ウルバヌス16世とアルベド顧問官が現れた。アルベドは〈パクス〉と〈コア〉の関係について説明し、アイネイアーが〈聖十字架〉を破壊するウイルスをばら撒き、教会と〈パクス〉を滅ぼし、人類という種族の抹消を謀ろうとしていることを告げる。
エンディミオンが目を覚ますと、そこは、かつて修理のために別れた宇宙船が沈んでいる惑星だった。彼は宇宙船に乗り込み、治療を受けながら、惑星〈天山〉を目指す。宇宙船によると、到着まで客観時間で5年以上もかかるという。
惑星〈天山〉で再会したアイネイアーとA・ベティックには仲間が増えており、ダライ・ラマの依頼で岩山に寺院〈懸空寺〉(シュアンコンスー)を建設していた。アイネイアーは仲間たちとの問答を通じて、〈コア〉の進化の歴史を語る。かつて、コンピュータのRAMに挿入された80バイトのプログラムは、システムに寄生し、自己増殖を続け、人工生命として繁栄したという。
エンディミオンはアイネイアーと愛し合った。そんな中、ダライ・ラマのいるポタラ宮に、〈パクス〉の使節が訪れた。
本作でも、下敷きにしている作品の数々が連想できる。第1部は、ウルバヌス16世が即位するが、これは十字軍遠征を招集したウルバヌス2世を連想させる。巨大ガス惑星でエンディミオンがカヤックに帆を張って、雲と雷の乱気流を行様は、アニメ「天空の城ラピュタ」だ。惑星〈天山〉では、日本人になじみの深い高野山や弘法大師の名前が出てくる。弘法大師は〈天山〉におり、世が改まれば目覚めるという設定。
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