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著者・編者 | 篠月しのぶ=著 |
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出版情報 | KADOKAWA |
出版年月 | 2015年6月発行 |
ターニャ・デグレチャフ少佐
は、連邦との東部国境への偵察を命じられる。密かに連邦領に降り立つと、巨大な列車砲が帝国領へ向けて火を噴いた。連邦との戦争が始まったのだ。
資本主義のごんげたるターニャは、コミー(共産主義者)に容赦がなかった。連邦に航空戦力が乏しいことを見て取るや、首都モスコーを急襲。上空から帝国国歌を歌い、帝国旗を掲げ、記念撮影までしてみせた。連邦の最高指導者ヨセフ・ジュガシヴィリの腹心ロリヤ内務人民委員部長官は、空を飛ぶターニャに「なんと可憐なのだ」と一目惚れする。
だが、兵士が畑でとれるという連邦軍は、150師団の大軍をもって東部戦線に押し寄せた。帝国軍は防戦するのに精一杯だ。東部最前線へ送り込まれたターニャは、連邦軍が殺到し孤立した都市ティゲンホーフへ救援に向かうとともに、そこを橋頭堡として東部前線を支えようと考えた。連邦軍は次から次へと師団を送り込んでくるが、航空戦力はあらわれない。連邦は、魔導士を粛正してしまっていた。
連合王国と大陸を隔てるドードーバード海峡へ向かった 第203航空魔道大隊 は、連合王国と合衆国の協同部隊に遭遇する。ターニャとの戦いで戦死したアンソン・スー大佐の娘 メアリー・スー は、彼女が父にプレゼントした短機関銃をターニャが持っていることを見るや否や、彼女に襲いかかる。ターニャスーを軽くいなすが、とどめを刺すことはできなかった。
ターニャは中佐に昇進し、 ハンス・フォン・ゼートゥーア 中将はサラマンダー戦闘団の組織を命じる。戦闘団は 第203航空魔道大隊 を中核に構成され、東部戦線へ出発した。
前半の連邦線は、劇場版アニメ『幼女戦記』で映像化されている。同志ロリヤのキャラクターや、メアリーの桁外れの攻撃能力は、映像化によって印象づけられた。繰り返しになるが、ターニャ・デグレチャフの中の人は、現代日本を生きたビジネスマンである。自由市場経済を信奉し、共産主義者を忌み嫌う。「兵士が畑でとれる」というのは、もちろん、旧ソビエト連邦を皮肉った言葉として有名なもの。首都モスコーの様子は旧ソ連時代のモスクワのそれであるが、連邦は魔導士を粛正してしまい、モスコーは防空能力が皆無という設定。だがしかし、1975年の日本では、ソ連のミグ25の函館空港への強行着陸を許してしまっている。わが国の航空戦力は、一体どうなっていたのかと。
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