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2.2 アイデアで勝負!
冒頭に「アイデアで勝負!」と書きました。アイデアがなければどんな事でもできないと思いますがアイデアを発揮するには、余計な情報を入れない方がよいです。すなわちセオリー通りやっていたら世界で初めての論文ではなくなってしまうからです。あの長嶋茂雄さんは、他の人のバットでもホームランが打てたそうだですが、論文を書くさいも似たような感覚があります。人のまねをしていては、独創的なアイデアは出てきません。それを引き出すために他の論文を読む必要性はりますが、あまりそれらに振り回されない方が良いかと思います。余計な勉強はしないと書きましたが情報の蓄積は必要です。それらを上手く引き出すためにある程度の時間の余裕とリラックスをする必要があります。そうする事により脳からアイデアを引き出すことができます。
2.3 他力本願で行く
私は、大学へ行く環境がなかったこと、加えて学力では劣っていたことが障壁(コンプレックス)になっていました。そこで、論文を書くためにどうしたかと言うことをお話しましょう。知識は誰にでも必要です。私にも少々得意な分野があります。第1章で書いた無線や電気の知識です。好きな分野をのばし、それをおしみなく出すと言うことです。すなわち、相手にとって不足がちな知識や行動力で補うのです。誰でも得意なところ不得意なところがあります。研究者も普通の人です。少し違うと事と言えば、博士課程の研究者は大学の研究室に残って課程を長く勤めていると、それに狭い分野に深く入り込む傾向があります。そうした場合、どこかで別の得意な分野の人に助けてもらう必要性が出てきます。そうした時いかに頭を下げてお願いすることができるかどうかにかかってきます。
2.4 チャンスは逃すな
正直に言って、良く博士なんぞになれたものだと思う。ラッキーとしか言いようがない。しかし、少しづつ積み上げられたものが形になって達成できた様な気がする。そこには、助けてくださったたくさんの方々もいましたし、足を引っ張ってくれる人もいました。私は、両方の方々に感謝しています。すべてのでき事をふまえて博士の重みを感じています。思い起こすと最初の論文から10年の月日がたちました。でも、着実に一歩一歩チャンスを生かしながら進めた様に感じます。博士号を授与し少し経ってから思わぬ方々から「おめでとう」をたくさんいただきました。これには大変驚きました。その思わぬ方々は、ほとんどが博士取得者であり、ここで仲間の一人として迎えてくれたのだと自負しました。ここでも博士の重みを強く感じました。
第3章 コンプレックス
3.1 山登り
第2章でも話しましたが、コンプレックスすなわち障壁は、自ら勝手に決めるものです。最初からあきらめてしまっていてはどんな山でも登り切りません。高い山は、昇のに時間があかかるか一生懸命早く登らなくては到着しません。毎日、自分の行ける所まで昇る。明日も同じそのまた翌日も同じ様に一歩づつ進むのです。時折、ロープウェーがあって思ったより早く上れたりもします。私の場合は、頂上の近くにロープウェイーがありました。最後は早く上り詰めました。今、こうして頂上から見てみると山の高さにビックリしています。でも、他の山はこの山よりももっと高いのです。博士になるのも人生の一つの山を制覇しただけにすぎません。最後は天までいっちゃいそうですが、あきらめたらそこで終わりなんでしょうね。
3.2 課程博士と論文博士
一般的には、大学に残って修士課程・博士課程と進みますが、そのほかに博士をとる手段として論文博士があります。私は後者の論文博士です。どちらも取得すれば同じ博士には違いはありません。何処何処大学の工学博士(現在は博士(工学)と記する)と言うぐらいです。学士は何処で取得されましたか?と聞かれると事情を話さなければなりません。外国に出てしまうと博士の価値は、その人の書いて論文の内容が評価されます。たとえ東大であっても世界の東大ではりません。東大でどういうことを研究した人かと問われます。
3.3 博士のお値段
博士になるためには前の節で書いたように課程博士が多い、学部の時は学費を納めなくてはならないが修士ぐらいからは、国から奨学金をもらっているので何とか研究に打ち込めることにはなる。ただし、研究室にあまりお金がないと学会費や学会発表するための費用がかかる。また、博士になるころには20代の後半か30才に手が掛かってしまいます。人生の1/3はこのために費やすことになる。当然、生涯賃金は減ることになる。私の場合の論文博士は、論文を3から5本くらいテーマに沿ってまとまれば審査してもらえます。この論文を書くまでの費用は研究所が学会費以外はすべて出してもらえましたので無料でした。必要だったのは大学の審査料金56000円ぐらいです。私は、20才から働きましたから収入がありながら仕事の延長沿いで論文を書いて審査してもらうだけで博士になれたのです。世の中はすべて同じ仕組みの元にできているわけではありません。人が人の価値や資格を決めるのです。
3.4 博士は博士と言う名の資格試験
こんな事を言うと怒られるかもしれませんが、博士とは終身免許証だと思うのです。一度とったらずっとそのまま更新無しで一生涯ついて回ってきます。どんな職業に就こうが名紙には博士(工学)と言ったような肩書きをいれれます。外国に行けばDr.
XXXと呼ばれます。それがどうしたと言うわけでもありませんが、生涯その人にくっついてきてしまいます。たとえ、能力があろうが無かろうが肩書きとはそう言ったものです。よく博士と名の付く方は、社会生活と無関係な独自の世界を持っているようなイメージがあります。しかし、私のような人は広く浅く人間関係だけで博士になったため、逆にマイナスのイメージがついたら嫌だなと思うこともありました。しかし、現実には博士は、何万人かいるわけですから大してめすらしくもなく肩書きなどには全く気づかれません。たまに昔からおつきがある方に「おめでとうございます」と言われるときは嬉しいものがありますが…。
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