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発達障害が理解されずに
職場で苦しんでいる大人がいることを知ってもらおうと、
発達障害の診断を受けた高等支援学校の用務員、
難波満さん(38)=中区国府市場=が4~5月、
野村教育研究所(北区奉還町3)で講演する。
自身も周囲も障害に気づかず、仕事になじめずに職を転々とした経験がある。
「障害があっても、周りの気配りで働けることを知ってほしい」
と願っている。
難波さんは子どもの頃からコミュニケーションがうまくいかず、
学校ではいじめにも遭った。
当時は障害とは疑わず、普通高校に進学。
卒業後に地元の工場に就職したが、
人の気持ちを想像することが苦手な難波さんに同僚はつらく当たった。
訳も分からず怒られてストレスがたまり、
体調も悪化して退職した。
次に勤めた企業でも要望をうまく伝えられず、
「勝手に行動した」と責められた。
説明できず、
トラブルがこじれて辞めざるを得なくなった。
障害が分かったのは2011年。
就職相談をしていたハローワークから心療内科の受診を勧められ、
発達障害の一つであるアスペルガー症候群と診断された。
発達障害という言葉を聞いたことがなかった難波さんは驚き、
同じ悩みを持っている人がいることを初めて知った。
6年前から勤めている今の職場には、
障害があることを事前に伝えた。
障害が原因で不規則なスケジュールの管理が苦手だが、
現在の仕事は予定が急に変わることはほぼない。
分からないことがあれば、気軽に同僚に尋ねることもできる。
「働くことは自立の大切な収入源。
働かないという選択肢は考えられなかった」
という難波さんには安心して働ける環境だ。
講演することを決めた理由は
「話さないと分かってもらえないから」。
発達障害のある人は一見してそうと分からないケースが多いといい、
周囲とトラブルになりやすい。
難波さんは名刺に自身が発達障害であることを記し、
相手に伝わるようにしている。
今回の講演について
「当事者が困った時、解決のヒントを出してくれる人が周りにいてほしい」
と訴えている。
講演は全3回。
4月17日は「難波さんのライフヒストリー」、
5月1日は「発達障害と向き合う方法」のテーマでそれぞれ講演し、
同15日はパネル討論を予定している。
午後7~8時半。定員30人で要予約。
1回500円。
問い合わせは野村教育研究所(086・236・9070)へ。
発達障害は、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害のこと。
特定のものへのこだわりが強い自閉症
▽コミュニケーションが苦手なアスペルガー症候群
▽読み書きや計算などが苦手な学習障害(LD)
▽衝動性や多動性を示す注意欠陥多動性障害(ADHD)--の総称。
岡山市発達障害者支援センターの担当者は
「発達障害は、当事者が持つ障害も経過もそれぞれ違う。
パターンに当てはめず、オーダーメードの対応が必要だ」
と指摘する。
こうした人を雇う企業や事業者の注意点については
「当事者とよく話し合い、
職場全体で配慮についてのコンセンサスを取るとよい。
当事者の適性については苦手な面だけに注目せず、
多面的な見方をすることが大切」
と忠告。
配慮があっても当事者がうまく適応できない時もあるとし、
「『やる気がない』と誤解せず、
当事者と相談しながら別の方法を気長に探して」
と話している。