ヨカッタ探し

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November 17, 2006
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カテゴリ: 読書ろぐ(mystery)
若竹七海『依頼人は死んだ』 (文春文庫、2003)



先日、ブックオフで買ってきた2冊目を読みました。
若竹さんの葉村晶シリーズ第2作です。
とはいっても、前作 『プレゼント』 は小林警部補とのW主役、
という感じだったので、葉村晶目線で殆どの作品が語られる今作が、
事実上の葉村晶シリーズ開始、といってもいいのかも。
前作では職が定まらないフリーター、という設定だった葉村晶も、
今作では契約探偵、というところで落ち着いてます。


探偵、と銘打ったのでそれほど不自然でもないのだけれど、
葉村晶もずいぶんとトラブルに巻き込まれる人、だなぁ~。
白戸クンほど受け身ではないけれど。
でも、この人の巻き込まれつつもタフなところ、
いろいろ屈折してはいるけれど曲がらないところ、好きです。
決してpositiveな生き方をしてるわけではないけれど、negativeに
なりきれないところも。

若竹さんお得意の、各篇を貫く謎が1つ用意された連作短編で、
葉村晶の個人的背景も絡んで、自殺にまつわる謎が多いので、
なんだか読んでいて気分が落ち込んでいきます…。
その上、これも若竹さんらしいとこなのだけど、

どちらかと言うと、この後の 『悪いうさぎ』 の方が、葉村晶の強さが
出ていて、ラストもちょっと希望が見えるのでわたしは好きです。
とはいえ、久しぶりに読んだ今作も、すっかり忘れていて、
新鮮な気持ちで読めたので、なかなか面白かったです。


葉村晶も白戸クンと同様、作者の意図を超えて動き出したキャラなのかな、
なんてことを思いました。
どこにもそんなこと書いてなかったし、確証のない想像に過ぎないのだけど。
当初は、転職癖のあるフリーターで、そこで得たノウハウをもとに、
巻き込まれた事件の謎を解く…というだけのキャラだったんじゃないか。
だけど、かなりヘビーな人生を背負わせちゃったりしてるうちに、
だんだん彼女の中のクールさとか、タフさとか、作者も予想外に気に入って、
こうやって独立した主役としてシリーズ化されたのかな??
前作に比べると、格段に彼女の内面や友人・家族といった様々なつながりが
明らかになっていて、読んでいるわたしの中でも、葉村晶が姿かたちを持って、
動き回っていくような気がしました。





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最終更新日  November 20, 2006 01:52:06 AM コメント(2) | コメントを書く


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