2007年05月10日
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カテゴリ: 映画日記

2006年度イギリス作品。

監督はスティーブ・フリアーズ。

出演はヘレン・ミレン、マイケル・ソーン、ジェームス・クロムウェル。

昨日レディースデーを利用して、TOHOシネマズ府中PM14:15の回を観た。

行くとロビーにはレディースデーと言う事でおばちゃん達がいた。

一瞬「今韓流スターの作品を上映しているかな?」と思ったりしたが、入場すると公開して日にちが経っているにも関わらず、結構席が埋まってて顔ぶれはおばちゃん達がほとんどだった。

やはりダイアナ元妃の死を扱った作品だからだろうか?と思った。

私はヘレン・ミレンと言うイギリスの女優さんが好きで、特に「カレンダーガールズ」が大好きだ。

イギリスの俳優さんは男女どちらも、知性と品格があるから好きだ。

若いジュード・ロウにしてもどこかインテリジェンスがある。

老齢の俳優さんは特に、ピーター・オトゥールからアラン・リンクマン、ヒュー・グラント、女優さんではこのヘレン・ミレン、マギー・スミスなどなど、知性と品格がある。

昔からアメリカの俳優にはシェークスピアは演じられないと揶揄する言葉があるそうだが、なんだか頷けるものがあったりする。

ハリー・ポッターシリーズで始めて、「ハリー・ポッター炎のゴブレット」を観た時に、若いメインの3人を脇で支えるイギリスの俳優陣の重厚で知的で品のある演技に目を見張った。

貫禄のある存在感が、作品全体にどっしりとした重厚感を与えて、さすがのイギリスの俳優陣だった。

それで私は又イギリス俳優の重厚な演技を堪能できるだろうと、「クィーン」を観るのを楽しみにしていた。

先日観た「スパイダーマン3」はあれやこれや詰め込み過ぎているような気がしたが、この「クィーン」はその逆で内容をダイアナ元妃の死と、その後の女王をメインにした7日間に絞っている。

7日間に絞っているので、エリザベス女王とブレア首相の感情の推移と、周囲の人々のリアクションや思惑などが、表面上は静かに、しかし心の中に燃え盛るもつれた感情などが、丁寧に描けていて見応えあった。

そして感心したのは映画の構成だ。

ダイアナ元妃に関する部分は実際のフィルムを使用して、そこの部分はドキュメントのように挿入して、他の部分は俳優が演じている所がとても良かったと思う。

それでとても解かり易くシンプルになったと思う。

そして1番好感が持てたのは、過去に女王とダイアナ元妃の間で軋轢があり、今も女王やエジンバラ公や皇太后にはわだかまりが残ったままと言う事を、各々のせりふで観客に思い巡らせ感じ取らせるに留めている事と、女王が最後に決断させるブレアとの話し合いも、はっきりと観客に映像で見せていない事だった。

強制的に観客にこのように思えと提示するのではなく、ダイアナ元妃の死に際し女王は多くの苦悩や逡巡があったと言う事だけが描かれている。

歴史や伝統を守り次代へと引き継ぐ事で、王制は今まで守られて来た。

幾多のアクシデントを乗り越えて今の至る英王室。

時にはアクシデントを乗り越える為に強引とも思える大英断もあったと思う。

そうやって来たからこそ英王室は今まで続いて来たのだろう。

ダイアナ元妃と言うイギリス国民の最高の人気を誇る女性であり、皇太子と離婚したとは言え、未来の国王の母親である女性。

ダイアナ・スペンサー嬢が民間人でありながら皇太子と結婚し離婚し、又民間人に戻って交通事故で亡くなった。

そう言う女性の葬儀と言う前例を見ない事例で、どう処すべきか、どう処す事がイギリス王室の為に最良なのか、女王と首相それぞれの立場で、国民感情を踏まえて、どう選択すべきか逡巡する。

それと平行して、突然母親の死に直面した孫を心配し、幼心が不躾な人間達によって、少しでも傷つかないように、最前線のロンドンから避難させようとする、1人の祖母として当然の孫可愛さもある。

その辺りの事がとても丁寧に描かれている。

王室の歴史や伝統を守る為に、王室の尊厳や存続を維持する為には、当然だと思い選択した事が裏目に出る。

王室を守り次代に引き継ぐ為には国民の支持は不可欠なもので、その国民の支持を取り戻す為には、歴史や伝統や慣習から外れる事も必要なのだと、最後は大英断を下す女王。

女王としては苦渋の決断で、最後の最後瀬戸際の薄氷を踏む思いの決断だったのは言うまでもない。

女王は国民に対し、いつもの通り毅然としてカメラに向かった。

女王とは1人の人間である事は許されない。

人間である前に女王でなければならない。

でも7日間の女王は、車を運転している姿は1人の人間だったような気がする。

カメラに向った凛とした佇まいの女王の心の中には、言うに言われぬ思いがあっただろうと思った。

ヘレン・ミレンはこの女王役でアカデミー賞他多くの主演女優賞を受賞しているが、かなり研究して演じきっていると思った。

アップになると少し線が女王より太いかなと思ったが、斜に構えた時や歩いている後姿など、驚く程よく似ていると思った。

さっきたまたまニュースでブレア首相が辞任すると言っていた。






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最終更新日  2007年05月10日 17時13分56秒 コメント(4) | コメントを書く


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