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佐野洋子さんといえば、谷川俊太郎と離婚した女性、というイメージが個人的に先に立つのだが、それは置いておく。本書もまた『やさしいライオン』と同じように愛の物語であるが、主人公の性格はまるで正反対だ。児童文学で、こんな傲岸不遜な主人公も珍しいだろうと思う。その彼が、真実の愛に目覚め、二度と埋まり変わらなくなったお話。不具がこれを読んだのは大人になってからであったが、涙せずにはいられなかった。日本のみならず世界のロングセラーである。100万回生きたねこ (講談社の創作絵本) [ 佐野 洋子 ]
2022.08.25
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やなせさんといえばどうしてもアンパンマンのイメージが先行するけれども、個人的にはこの本が「推し」である。飯森広一氏の漫画『ぼくの動物園日記』では、犬が虎のお母さんになる話があった。これは実話だそうだから、やなせさんもあるいはこの話を知っていたのかもしれない。けれども決定的な違いがある。本書は、うつくしくもかなしい愛の物語だということだ。人間はライオンを猛獣だと思っているから、逃げたライオンを撃ち殺そうとするのは当然かもしれない。けれども、彼は母親想いの「やさしいライオン」なのだ。いつの世も、物事の本質は少数の者にしか理解されず、それが往々にして悲劇の源になる。この物語をこのように読み解くことは、あまりにも不遜すぎるだろうか?やさしい ライオン (やなせたかしの名作えほん 2) [ やなせたかし ]【中古】ぼくの動物園日記 【コミックセット】
2022.08.24
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主人公はカバくんである。このカバくん、独り立ちしようとして、いろいろな仕事をやってみるのだが、ことごとくうまくいかない。その「しゃあない、つぎいってみよ」の精神が、いかにも関西弁ぽい楽天性にあふれていて、いい。そうして最後は、ハンモックに寝転がって「ぼちぼちいこか」。おそらく英語ではTake it easy、になるのだろう。絵本ではあるのだが、本書をお勧めする理由は、癒されること。ただでさえコロナこの方、思い通りにならないことが多い。そんな時、「焦ってもしゃあない、ぼちぼちいこか」というカバくんの生きる姿勢には、大人であっても癒される、と思うのである。ぼちぼちいこか2版 [ マイク・セーラー ]お金を出して英語で読むのはもったいないと思うけど、一応紹介。できれば図書館で見つけた方がいい。ぼちぼちいこか 英語でもよめる [ マイク・セーラー ]
2022.08.15
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いつの間にか、キキは16歳になっていた。ということで、街にやって来てからの3年目のエピソードは、なし。4年目の街での暮らしは、サブタイトルの通り、もうひとりの魔女との出会いらしきものから始まる。と言っても、ケケという名前以外、彼女についてはよくわからないことが多い。年は12歳だが、これは猫のジジからの情報によるものだ。半年間、ケケはキキの心を、嫉妬といら立ちでかき乱して去っていく。もっともそれはキキサイドのお話で、ケケにはケケなりの理由があった。魔女だというのは本当らしい。親指を立てれば何でもできる。本当は空も飛べそうなのだが、作中ではそんなシーンはない。きっと、瞬間移動の方が手っ取り早いからだろう。だが、自称孤児は嘘だった。ネタバレはこれくらいにしておこう。児童文学とはいえ、この物語の内容をこれ以上語ると、興ざめも甚だしい。ただ最後に、自分を見失っていたキキが、自分をとり戻すところで本書は終わる、と言うだけにとどめておこう。筋とは関係ない付け加え。シリーズはこれで3冊目だが、挿絵画家がそれぞれ違う。キキの成長に合わせているのかもしれない。舞台は国籍不明の某所だが、立秋とか出てくるあたり、やはり作者は日本人だと思う。まあ、韓国人でも中国人でもいいかもしれないが。魔女の宅急便 その3 キキともうひとりの魔女 (福音館文庫) [ 角野栄子 ]検索したら、前にも読んでいたらしい。すっかり忘れてしまっていた。記憶というのはあてにならないものだ。
2022.08.07
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名前からして中国の作家さんらしい。ある冬に、うさぎさんが雪に埋もれた蕪をふたつ、見つけた。ひとつは自分のためにしたけれど、もうひとつは、おともだちにあげよう、と思いつく。ところが、おともだちは留守だったので、おいてきた…それを見つけたおともだちが、また同じことを繰り返す。確か星新一氏のクリスマス・ストーリーにも似たような展開の話があったと思う。日本風に言えば「情けは人のためならず」を地で行くような感じだ。1965年に日本に紹介されて半世紀以上。今なおロングセラーを続けているのは、そんなところに理由があるのかもしれない。しんせつなともだち (こどものとも絵本) [ 方軼羣 ]
2022.08.06
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『魔女の宅急便』の続編。里帰りから帰ってきたキキの、15の運びものが、それぞれ連絡短編集のように語られる。順番に書くと、カバ、空色のかばん、森の窓、シャツ、赤ちゃんの写真、おしゃれの自分、黒い手紙、りんご、さんぽ、赤い靴、町の女の子、おいも、運動靴、湯たんぽ、種。最後の種は草の種で、これがキキの新しい魔法、お母さんのコキリさん直伝の「くしゃみの薬」につながっていく。今はまだ一つ一つの単語から、エピソードを思い出すことができるけれど、一年、二年経ったらどうだろう。まあその時はその時だ。恋するキキ、悩めるキキ、今は彼女の成長を見守っていこう。魔女の宅急便 その2 キキと新しい魔法 (福音館文庫) [ 角野栄子 ]
2022.08.04
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ジブリアニメの原作である。お話の前半、キキが街で宅急便の仕事を見つけ、トンボと出会うあたりまでは、映画も原作に割と忠実である。けれどもそこからが違う。絵を運んだり、洗濯物を届けたり、ラブレターを届けたり、船まで「腹巻」を届けたり、「時間」を届けたり、春の音楽を届けたり、そして最後は里帰りで終わる。続きがあるそうなので、機会を見つけて読んでみようと思う。魔女の宅急便 (福音館創作童話シリーズ) [ 角野栄子 ]魔女の宅急便 [ 高山みなみ ]
2022.08.02
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『ウィニー・ザ・プー』の続編。でもってこれでおしまい。その理由についてはこの映画を観ればなんとなく見当がつく。そしてこの物語を最後まで読めば、この映画のこともよく理解できる。ところで、新訳ということでタイトルも新しくなったのだろうけど、個人的には、『プー横町にたった家』の方がしっくりくる。みなさんはどうだろうか。しっくりこないといえば、本書で新しく登場するトララもそうだ。ティガーの方がしっくりくる。まあ、お調子ものなんだなあ、とわかればそれでいいのだけれど。【中古】 プーの細道にたった家 新潮モダン・クラシックス/A.A.ミルン(著者),阿川佐和子(訳者) 【中古】afb
2019.06.07
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『グッバイ・クリストファー・ロビン』を観た時から、原作をまとめて読みたいものだと思っていた。実をいうと、ディズニーのアニメで断片的に内容は知っていたものの、読むには歳をとりすぎてから初めて活字の存在を知ったので、読む機会がなかったのである。その頃はすでにホームズやトム・ソーヤーが友達だったから。この本には10の短編が収録されている。そのひとつひとつについて、ここで語るのは興を削ぐのでやめておく。ただ、第1話ではプーとロビンしか出てこない。第2話でようやくウサギがでてくるが、このウサギだけ、固有名詞がないのである。なんとなく、創作過程が見えてくるようだ。「バカなくまちん」がロビンの十八番。だがそういうロビンだって、字を書かせればつづりを間違うし、ノース・ポールを何かの棒と勘違いしてるし、「おつむが弱い」ことにかけては、プーさんとゆかいな仲間たちと五十歩百歩である。いや、こう言っては失礼か。それなら、「幼い」ということにしておこう。そうなのだ。彼らはとても幼い。なんだかうちの学校の生徒たちを見ているようである。知ったかぶりのフクロンも、メランコリックなイーヨーも、怖がりのコプタンも、肝っ玉母ちゃんのカンガと子どものルーも、どこかで見たようなメンツだ。だからこの物語はほとんど中身のない笑い話であるにもかかわらず、読む者を癒すし、元気を与えてくれる。世界中で愛されるゆえんである。こムツカシイばかりが児童文学ではないのだ。ウィニー・ザ・プー (新潮モダン・クラシックス) [ アラン・アレクサンダー・ミルン ]【中古】ウィニー・ザ・プー / MilneAlan Alexander
2019.06.05
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昔、アニメで観た。もう何十年も昔である。この本もその頃の本だろう。絶版である。だが書名は多少変わっても、中身は同じだ。小さくて非力な少年が、大の大人を向こうに回して、知恵と勇気で局面を打破していく様は、『一休さん』を彷彿とさせる。「ぼくは、いまのままの自分で満足している。英雄めかしくふるまって、自分をひけらかさなきゃならないのは、弱くって自信がない、あわれな連中だけのことだよ」【中古】 小さなバイキングビッケ 児童図書館・文学の部屋/ルーネルヨンソン【作】,エーヴェットカールソン【絵】,石渡利康【訳】 【中古】afbr1_97171 【中古】【VHSビデオ】小さなバイキング ビッケ(7) [VHS] [VHS] [2000]小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1 新品 マルチレンズクリーナー付き小さなバイキング ビッケ DVD-BOX II 栗葉子 マルチレンズクリーナー付き小さなバイキング ビッケ DVD-BOXIII 栗葉子 新品 マルチレンズクリーナー付き
2019.05.16
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カエルをやめたい息子と父親の会話。長所は短所、蛙の子は蛙。昔ながらのことわざの真実を、ユーモアたっぷりな絵と台詞で送る、悩める子羊のための伝導書。ちとおおげさか。オレ、カエルやめるや [ デヴ・ペティ ]
2019.05.14
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アンデルセンではない。『絵のない絵本』ではない。絵本なのに文字ばかり。でもそれがすばらしい。これ、子どもが読む本じゃない。大人が読む本でもない。大人が、子どもに読んで聞かせる本なんだ。それ以上のことは言えない。百聞は一見に如かず。どうぞ手に取ってみてください。【中古】 えがないえほん /B.J.ノヴァク(著者),おおともたけし(訳者) 【中古】afb【中古】絵のない絵本 (岩波文庫) [文庫] アンデルセン; 末吉, 大畑
2019.01.02
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「月曜日に来たふしぎな子」名前はマンデー。そのままじゃん。これがメアリー・ポピンズも真っ青のとんでもないいたずらっ子。ある日火をつけたと誤解されて放り出され…「おばあさんと四つの音」いいえ、家がきしむのは古いからじゃありません。妖精がいるんですよ。それと、ネズミがね。「水兵ランビローとブリタニア」壜の中の船の水兵さんと雪の降る球の中の家に住むブリタニアの恋。「エルフィンストーンの石工」ジェイムズ・リーブス版「大工と鬼六」「フーの花瓶」花瓶を割ったら、楽器になったという話。舞台は中国。「11羽の白い鳩」留学中の長男に国を追い出された王様や王妃、楽器を演奏したりして過ごしていた王子たち。長男の施政は厳しくて民の反発を招き、王様は返り咲く。血なまぐささはこれっぽっちもなく、メルヘンティックな一篇。月曜日に来たふしぎな子 (岩波少年文庫) [ ジェームズ・リーブズ ]
2018.09.20
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「星の王子さま」の英訳版はいくつかある。昔英語で読んだ本と比べると「ペインター」が「アーティスト」になっていたりと、手元に本を持っているわけではないので(どこに置いたかわからないので)うろ覚えではあるけれども、訳語が多少おしゃれになっているようだ。でも「メランコリー」は「sad」ではなく、そのままにしといてほしかったなあ。でも、それが翻訳者の解釈ということか。そう、翻訳は解釈である。一次読者のバイアスがかかったものを、われわれは二次読者として読むわけだ。「初期設定」がどんどん逸脱していく現象はここでも変わらないけれど、出来上がったものを見て意見を交換することはできる。すなわち、コミュニケーションだ。僕らが人生を語り合うのも、畢竟そうした現象ではないだろうか。「別のもの」ではあるけれど、完全にそうであるとも言い切れない。日本語訳は、またそっけない。これはたぶん意図的なもので、自分の解釈を見つけなさい、ということなのだろう。版権が切れて以来、それこそ雨後の筍のように翻訳が現れたが、個人的には岩波の内藤訳が好みである。ただ彼の翻訳は昭和の子どもに特化したものなので、若松賤子訳『小公子』のように、いずれは好事家にしか読まれないものになるかもしれない。すくなくともこの不具の目の黒いうちは、そのままにしておいてほしいのだけれど、前例があるから、あてにはならないかもしれない。外国語でこういう本を読むときのメリット。日本語の時と比べて、いやでもスピードが落ちるから、いきおい精読になること。読み終わってしまった今、本当は蔵書にしたいところなのだけれど、あいにく図書館から借りた本なので、返さなければならないのがつらいところだ。【中古】 対訳 英語で読もう「星の王子さま」 /アントワーヌ・ドサンテグジュペリ【原作】,リチャードハワード【英訳】,小島俊明【和訳・注解】,奥中規夫【編集協力 【中古】afb詠んだのは上の方だけども、こんなん↓もあります。【中古】 「星の王子さま」を英語で読もう /アントワーヌ・ド・サン・テグジュペリ(著者),キャサリン・ウッズ(訳者),西きょうじ(その他) 【中古】afb
2018.06.03
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図書館の児童書コーナーで発見。職業柄、こういうタイトルの本をみかけるとそのまま見過ごすことができず、つい座り込んで頁をめくってしまう。300頁以上あったが、ティーン向けのライトノベルなので、映画一本見るより早い時間で読み終えてしまった。感想。英国の物語、ということもあるが『ハリー・ポッター』の影響をもろに受けていると感じた。本の中に魔法が込められているという設定は面白いし、ミステリー的要素とファンタジー要素がバランスよく配分されている。ディズニー系の作品として実写化したらそれなりにいいものができるだろう。あとはやる気と資本の問題である。【中古】 アーチー・グリーンと魔法図書館の謎 /D.D.エヴェレスト(著者),こだまともこ(訳者) 【中古】afb
2017.10.04
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手品セットの水晶玉から漏れた液体によって、命を吹き込まれたぼろイスのボス。原題「チェア・パーソン」とはイス人間のことだけど、まるでチェアマン並みに大威張り。大食漢でおしゃべりで、人の話は聞かないで、やることなすこと大迷惑。まだイスだったころに観たテレビ番組の悪影響か、家によく来るでしばりおばさんの真似なのか。結果的に「いいこと」もするのだけれど、差し引きやっぱりマイナスかな。元のぼろイスに戻ってめでたしめでたし…???ぼろイスのボス [ ダイアナ・ウィン・ジョーンズ ]
2017.09.18
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『四人のおばあちゃん』の作者の遺作。アーヤの本名はアヤツル。赤ちゃんの時孤児院に棄てられていた。どうも魔女の子らしい(この辺、ジプシー、おっと今はロマ族というのかな、を連想させるね、通俗的に)。もうすっかり大きくなった今でも、相変わらず孤児院にいる。見てくれは決して悪くないのだが、養子なんかに出されるより此処の方が居心地がいいので、第一印象が悪くなるように操っていたのだ。もっとも本人は自分が魔女の子だとは知る由もない。ところがぎっちょん、アーヤを貰いたいという奇特な人、実は魔女が現れた。もっとも娘にするのじゃなくて、婢としてこき使うつもりだったのだ。アーヤは散々な目に遭うが、口をきく使い魔猫のトーマスの力を借りて、「どんな魔法も無効にする薬」をつくりあげる。その結果どうなったかは、読んでみてのお楽しみ。誤解を恐れずに言えば、「子どもが大人に内緒でこっそり借りて読む本」である。【中古】 アーヤと魔女 /ダイアナ・ウィンジョーンズ【作】,田中薫子【訳】,佐竹美保【絵】 【中古】afb新品はこちら。↓【送料無料】 アーヤと魔女 / ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 【本】
2017.09.08
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『火の悪魔と魔法使いハウル』は映画ほど面白くなかった。だがこの本は面白い。だって、ふつうおばあちゃんったら、二人じゃん。それが何で四人も?てとこから話がはじまる。だって、二人とも再婚同士だったから。そもそもエルグとエミリーのパパとママが四日間も家を空けるからいけないんだ(また四だよ。なんて不吉な数字だろう)。おばあちゃんたちもおばちゃんたちさ。聖女の四号も厳格な一号も金持でけちんぼの三号もみんな一度は断っておきながら、孫たちのことが気になってそれぞれ勝手に来るんだから。ちなみに心配性の二号おばあちゃんは一番に…来たのは四号おばあちゃんだったんだけど、次から次に二号、一号。ここまでくれば、三号が現れるのも時間の問題。でもエルグは忙しかった。自家製の「願い事叶え機」の製作に夢中だったんだ。頼みの妹のエミリーは、四号おばあちゃんが持ってきた本を読んで洗脳、もとい感化されちゃうし、おばあちゃんたちはすぐ首つっこんできてうるさいし。で、機械にお願い事をしちゃったら、叶っちゃった! しかも三つも!でも、こういうお話って、願い事は三つまでなんだよね。それも二つまでだったらともかく、三つも叶えちゃうと、元に戻しようがない。どうなったかって?ひとつ、想像してみてください。四人のおばあちゃん
2017.08.26
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小学部のリクエストで図書館に入れた本。どうぶつにふくを きせては いけません。なぜなら…やまあらしはとんでもないことになるし、らくだはのせるばしょを まちがえるし、へびはそこらに おいてくるし、ねずみはきえてしまうし、ひつじはあせだくになるし、ブタはひどく たべこぼすし、にわとりはややこしいことになるし、カンガルーにはよけいな おせわだし、キリンはまが ぬけているし、ヤギはおひるごはんに してしまうし、セイウチはぬらしっぱなしだし、トナカイはどうにも こんがらがるし、フクロネズミはどっちが うえだか わからない。でも、なにより にんげんがいちばん バツがわるいでしょ。思わず笑ってしまった。短くて、ユーモラスで、コミカルで、諷刺的で、詩的だ。これを子どもにだけ独占させておくのはもったいない。みなさんも、どうぞ。どうぶつにふくをきせてはいけません ジュディ・バレット 絵本 子供 赤ちゃん 幼児 おすすめ 人気 知育 誕生日 誕生日プレゼント 出産祝い 10P03Dec16
2017.08.01
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本ブログでは『ミオよ わたしのミオ』に続き2冊目の紹介となる。『ミオ』と違ってこちらは徹頭徹尾(?)現実的なお話だ。もとはラジオの13回ドラマの脚本だったもののノベライゼーションだという。その際ひとつ増やして14章にしたのだが、これが効果的だった。種明かしをするとつまらないので、読んだ人のお楽しみということに。メルケルは作家だ。どちらかと言えば売れない作家だ。けれども子供たちを愛している。早くに亡くなった母親代わりのマーリンと、弟のペッレたちはウミガラス島に、短い夏の間のレンタル別荘を求めた。島の子供たちや大人たち、水夫さん(犬)、ユムユム(犬)、ユッケ(可哀そうなことをしたウサギ)、モーセ(アザラシ)など、個性的なペットたちが絡まり合うホームドラマに、読んでいて思わず、口元がほころぶ。とくに後半の展開はスピーディ、スリリング、ロマンスありユーモアありの展開である。「カエル王子」事件然り、水夫さん濡れ衣事件然り、別荘売却事件然り。繰り返すようだが、百聞は一見に如かず。大人も子どもも楽しめる、子どものための本である。【中古】 わたしたちの島で 岩波少年文庫222/アストリッド・リンドグレーン(著者),尾崎義(訳者) 【中古】afb
2017.07.24
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アパートに住む初老の男性。一つ下に住む中年の女性に恋心を寄せている。しかし内気でなかなか誘えない。ひょんなことから、女性がペットに亀を飼っていることから、あることをひらめいた。さてその秘策やいかなるものなりや?蛇足。原題は英語で「陸亀」の字謎になってます。ことっとスタート ロアルド・ダールコレクション / ロアルド・ダール 【全集・双書】
2017.02.03
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むかしむかし、ある村に、新しい牧師さんがやってきました。とても人のいい牧師さんなのですが、ひとつとてもやっかいな病気がありました。しらずしらずのうちに言い間違えてしまい、本人がそれに気がつかないのです。「どうぞよろしく、ノリス・ロバートです」が「よし泥食うぞ、スリのロバートです」という具合に。「親睦の死人」「蚤、心噛み」「臭いに臭いを重ねる」「消化に好きな小便でしょう」「変くそ」さてこれらの字謎をどう解いたらいいのでしょうか。また、この奇妙な病を治す方法はあるのでしょうか。興味のある方はどうぞ、書店や図書館で本書をお求めください。したかみ村の牧師さん ロアルド・ダールコレクション / ロアルド・ダール 【全集・双書】
2017.01.30
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ぼくのところのニワトリが、でっかいたまごを生んだ! 孵る時期になっても孵らなくてやきもきしたけど、出てきたのはトリケラトプスの赤ちゃんだった! 嘘じゃないよ、だってえらい古生物学者のセンセイが言うんだもん…その後の狂騒曲については本文を読んでいただくとして、これは非常にアメリカ的なお話である。世の中を動かしているのは議員じゃない、選挙民たる国民なんだということを如実に「著した」物語ともいえよう。当然その伝統は現在のアメリカ社会にも受け継がれているわけで、その結果が今回の大統領選とその後の混乱ということなのかな、とも思う。それはさておき、ファミリー映画になるくらい面白いお話を、少年少女だけに独占させておくのはもったいない。恐竜の生態に関する知見についてはいろいろ議論もあるだろうけれど、ここは大人も童心に還って、楽しんで読んでみたらどうだろう。【新品】【本】大きなたまご オリバー・バターワース/作 松岡享子/訳
2017.01.16
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誰もが知っている『ロビンソン・クルーソー』の物語を児童文学風に翻案したもので、19世紀にベストセラーになった。筋書きはだいたい原典に沿っているが、いくつかの大きな改変がある。1、難破した船からは何も持ち出せなかった。これは、ルソーの「自然に帰れ」を踏まえたものらしい。ロビンソンは島にあるもので何とかすることになる。当然、聖書もない。2、地理的に正しい描写に努めた。山羊はラマに、コメと小麦はジャガイモとトウモロコシとパンノキに置き換えられている。その他カカオなども登場する。カリブ海だからである。3、酒や煙草は出てこない。したがって病気になっても煙草をラム酒に浸して飲むこともない。もっともこれは危険な治療法だが。4、以上を含めて、教育的な、あまりに教育的なお話である。原典もキリスト教くさかったが、こちらはそれに輪をかけて酷い。絵に描いた餅のような父親が同じく絵に描いた餅のような子どもたちにシェラザードよろしく語って聞かせる三十一夜(ちょうどひと月)の口吻は、今まともに読むと『クオレ』よりも恥ずかしい。蛮人という言葉がまずひっかかる。文明と野蛮という考え方がそもそもキリスト教中心主義と無知に基づくものである。この物語でもロビンソンよりフライターク(独逸語で金曜日の意味)の方が丸木舟の造り方を心得ているし、火の熾し方も縄の綯い方もよく知っている。それなのに蛮人とは!百歩譲ってそれは食人の習慣があるからだということにしておこう。だが宗教はどうか。キリスト教もまた一種の迷信ではないか。彼らの迷信を自分たちの迷信に置き換えることができたからと言って得意げにしているその無知蒙昧さと無邪気な傲慢さには辟易した。1と2の要素があるから面白いことは面白い。ヴェルヌの『神秘の島』に通じる要素もある。しかし世界観が古臭い。同じ翻案でも、映画の方がまだましだと思えてならなかった。もの好きな人はぜひご一読あれ。新ロビンソン物語 [ ヨアヒム・ハインリヒ・カンペ ]【中古】 ロビンソン・クルーソー(上) 岩波文庫/ダニエル・デフォー(著者),平井正穂(訳者) 【中古】afbr1_75520 【中古】【VHSビデオ】ロビンソン・クルーソー【日本語吹替版】 [VHS] [VHS] [2001]ロビンソン・クルーソー【吹替え・字幕】ピエール・リシャール【中古】
2016.12.11
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出木杉君は山の手に住んでいる、空想好きの少年。ある日、弁護士をしている父親の目をかすめ、バスを船に見立てて冒険の旅に出る。降りた先は葛飾区、下町である。そこで彼はジャイアンとスネ夫の兄弟に、お転婆しずかちゃんと友達になり…というのび太が出てこないスピンオフ『ドラえもん』のお話。というのはもちろん冗談だけど、当たらずといえども遠からず。読んでみればわかります。アマゾンで買うと1万円もするので、図書館の相互貸借制度をご利用ください。
2016.09.24
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会社、と言っても従業員は四人。キリンとペリカンとおサルさんでござんす。これにマネージャーの男の子ビリーが加わって、全部で四人。そういうことでござんす。なに社長? 社長はおりません。四人の身分はみんな平等、ペリカンがバケツになって、キリンがハシゴになって、おサルさんが登って高いところの窓を拭く。シンプルなアイデアでしょ?なにお客? 来ましたとも、来ましたとも。公爵からのお使いが。豪邸の窓ふきお願いしたいと来たもんです。でも公爵は会社の内情を知らないから、ビリー少年が間に入る。それで一体どうなったかは、読んでみてのお楽しみ。こちらゆかいな窓ふき会社 ロアルド・ダールコレクション / ロアルド・ダール 【全集・双書】The Giraffe and the Pelly and Me(こちらゆかいな窓ふき会社)[L3]【RCP】【楽ギフ_包装】【楽ギフ_メッセ入力】
2016.09.22
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マチルダと言えばガンダムである。これは、彼女がまだ5歳くらいの頃の逸話を記した物語である。というのはもちろん冗談。トンビが鷹を生む、ということわざがある。マチルダはまさにそんな子どもだった。父親は中古車販売業を営んでいる。アメリカでは「信頼できない職業」というイメージがあるが、父親のやり方はまさにそれを地でいく、いやそれ以上のものであった。母親がまた軽薄そのもので娘にてんで無関心。この夫婦ときたら彼らを多少現代風にしただけのことで、マチルダの味方は村の図書館の司書のおばさんと、小学校の担任の先生だけだった。以下、幼いマチルダの読書リストを挙げよう。・バーネット『秘密の花園』・デイケンズ『大いなる遺産』『ニコラス・ニクルビー』『オリバー・ツイスト』・シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』・オースティン『高慢と偏見』・トマス・ハーディ『テス』・メアリー・ウェッブ『大地に帰りて』・キプリング『キム』『なぞなぞ物語』・ウェルズ『透明人間』・ヘミングウェイ『老人と海』・フォークナー『響きと怒り』・スタインベック『赤い子馬』『怒りの葡萄』・プリーストーリー『友だち座』・グリーン『ブライトン・ロック』・オーウェル『動物農場』大人顔負けの顔ぶれで、正直言って、『大地に帰りて』『友だち座』は聞いたこともなかった。実際はまあ、知的天才はあり得ても、情緒の発達は年齢相応の事が多いので、こんな小学1年生はいないだろうが、マチルダの天賦の才はそれだけではなかった。数学的才能、それに超能力もあったのである。担任の先生の住居はごく粗末なものだった。それには理由があった。彼女は孤児で、伯母が搾取していたのだ。その伯母とはだれか。マチルダが通う小学校の校長先生だった。彼女の暴君ぶりや、それに伴うくさぐさのことはここでは語るまい。子どもは単純に面白がるだろうが、大人の目で見るとこれは抑圧者が圧制者に復讐する物語であり、胸のすく勧善懲悪譚でもある。いやもうあまりに語りすぎた。最後に一言。これは、映画になる(と思ったら、すでになっていた)。おとぎの国のなかで馬を乗り回しながらぐっすり眠っているわが娘よ、けっして、けっしておびえることはない羊のように白い頭巾をかぶった狼が荒々しくも楽し気に跳ねたり唸ったりしながら露にぬれたこの年の葉むらのなかのねぐらを飛び出してバラ色の森の中の家で眠るおまえの心臓を食べに来るなんてそんなことは絶対にないのだから。(ディラン・トマス「田舎の眠りの中で」の一節より)チャンチャン。【中古】 マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダールコレクション16/ロアルド・ダール(著者),宮下嶺夫(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afbマチルダ★【中古】VHS★未DVD化!マーラ・ウィルソンが、じゃじゃ馬娘な天才・超能力少女を演じた現代版おとぎ話!インチキ中古車販売業を営む両親を始めとするキャラが濃すぎな脇役陣と、暖かみのあるCG。ロアルド・ダール原作の世界観を最良の形で実写化した秀作!
2016.09.20
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魔法のくすりと言えば、フィエラブラスの霊水が有名だ。製法は簡単。ぶどう酒とオリーブ油と塩とローズマリーを鍋にぶち込んで煮込むだけである。これを飲めばどんな深手も即座に治る。嘘だと思うならドン・キホーテに聞いてみたまえ。冗談はさておき、この物語に登場する人物はたったの四人。ジョージと、その父親、母親、母方の祖母である。さてこのおばあちゃん、青島幸男扮する「いじわるばあさん」よりもたちが悪い。女だから当然だろうって? いやいやそんな意味ではなく、まるで魔女みたいなのだ。材料:ヘア・シャンプー、歯磨き粉、髭剃りクリーム、美顔クリーム、マニキュア、脱毛剤、ふけ取りぐすり、入れ歯洗浄剤、脱臭剤、パラフィン、ヘアセット、香水、白粉、石鹸、ワックス、犬の蚤取粉、カナリアのエサ、靴クリーム、カレー粉、辛子粉、チリ・ソース、黒胡椒、山葵ソース、ニワトリ総合薬、馬のノドぐすり、牛のくすり、羊のくすり、豚のくすり、エンジン・オイル、不凍液、グリース、茶色いペンキ。問題:このくすりを飲んだおばあちゃんは、さて、どうなったでしょう?【中古】 ぼくのつくった魔法のくすり ロアルド・ダールコレクション10/ロアルド・ダール(著者),宮下嶺夫(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afbGeorge's Marvellous Medicine(ぼくのつくった魔法のくすり)[L5]【RCP】【楽ギフ_包装】【楽ギフ_メッセ入力】
2016.09.16
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田村隆一訳。大判である。が、検索しても出てこない。最近は別の名前で売られているようだ。一読してとくに差別用語はなかったように思うのだが、なぜだろう。残念である。はなしをひらがなにしたのがいい。話、にするとワニの述懐のような印象を受ける。実際は噺であり、昔ながらの民話の構造をもつものだ。悪だくみが次々に露見し、次々に邪魔されるという繰り返しの構図。最後に悪者はやっつけられるというお約束。ダールは本作において昔話を現代によみがえらせたのであり、「この先どうなるんだろう」「やっぱり」「ああ、すっとした」という童心に寄り添った快作である。どでかいワニの話 ロアルド・ダールコレクション / ロアルド・ダール 【全集・双書】The Enormous Crocodile(大きな大きなワニのはなし)[L2]【RCP】【楽ギフ_包装】【楽ギフ_メッセ入力】
2016.09.12
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タイトルを見て、海洋冒険物語かと思ったら、ごっこ遊びの話だった。赤ん坊のころ捨てられた主人公は、ちょっと変わった三人のおばさんに育てられ、空想好きの少年になった。屋根裏の自分の部屋を船に見立て、〈ユリシーズ号〉と称し、ペットを水夫長や提督と呼び…そんなある日、近所の刑務所から脱走してきた男を、少年はかくまった。脱走犯ではなく、密航者として扱って。男は少年に自分は海の男だと言った。島を所有しているのだと語った。少年は男の話に引き込まれ、一緒に家を出て海に出よう、ともちかける。その結末は…スペインの物語だけに、アロンソ・ケハーダ殿がよくご存じだろう。
2016.09.10
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『イップとヤネケ シンタクラースがやってくる!』の姉妹本。というか読む順番からすればこちらが先だろう。オランダの新聞に連載された約240編のうち、42編を収録。季節の話、病気の話、ペットの話、ごっこ遊びの話、行事の話などテーマはいろいろ。重複は「シンタクラースがやってくる」だけなので、併せて読めば51編読んだことになる勘定である。イップとヤネケの可愛さもさることながら、この齢になるとママやパパたちの「教育方針」に感心する。頭ごなしに叱らない。代案を出す。子どもの論理、子どもの世界を尊重しつつ、要所要所は締める。小さな子どもにわかるように伝える話術には舌を巻く。中でも「わんぱくパパ」は特に秀逸である。『ペテフレット荘のプルック』でおなじみのフィープ・ヴェステンドルプの挿絵がまた可愛らしい。小さな二人の姿は常にシルエットで描かれる。それがまた、お話の内容と相まって、「子どもはどこの国でもやっぱり子どもだ」という普遍性にお墨付きを与えてくれているように感じられるのである。【中古】 イップとヤネケ /アニー・M.G.シュミット(著者),西村由美(訳者),フィープヴェステンドルプ(その他) 【中古】afbオランダで人気の猫も居るポストカード・イップとヤネケ★ボートオランダで人気の猫も居るポストカード・イップとヤネケ★王様とお姫様ごっこ?ポストカード【イラスト】イップとヤネケ(paper)
2016.09.06
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『変身』というカフカの有名な短編がある。「虫」になってしまった男の話である。また『青い鳥』というメーテルリンクの童話がある。幸せの「青い鳥」を探してさまようが、青い鳥は自分の家にいた、という話である。われらがバランキン君とコスチャ君は落第点を取り、クラスの恥だとしてつるし上げを食らう。『バランキン君、人間になれ!』という原題は、クラスメートの女の子から発せられたセリフだが、この後彼らが自分の意思で(あるいは何か目に見えざるものの不思議な力で)鳥や虫になることを考えると、なかなか意味深長である。そう、彼らは人間に嫌気がさして、スズメになりたいと思う。なった。しかしスズメの生活も楽ではない。飼い猫に食べられそうになった刹那、ふたりはチョウになった。花から花へと蜜を探して渡り歩くのも乙な生き方だ、と思いきや、蝶生、そんなに甘くない。クラスメートに捕まって危うく標本にされそうになったところを、へんし~んで働きアリになった彼らは、本能に抗い自由に行動しようとしてつるし上げを食らい…何だ、人間と変わりないじゃないか。というわけで、本書は『変身』と『青い鳥』を足して二で割り、メドウェーデフ一流のユーモアのセンスをスパイスとして随所に効かした、大人が読んでも笑える物語である。穿った見方をすれば、ソ連流「働かざるもの食うべからず」を具現化した寓話で、ゆえに<ロシア文部省文学賞>を受賞したのだろうと言えなくもないが、そんなのは横に置いといて、素直にファンタジーを楽しめばいいのだ。余談。図書の貸出期間票によれば、本書を借りたのは不具が初めてだった。半世紀以上前の作品で、書庫に眠っていたのだろうが、たいへんもったいない話である。
2016.09.03
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昔話でキツネが出てくると、だいたい「ずるがしこい奴」というのが相場である。日本でいうと「キツネとクマ」なんかがそうだ。もっともクマ君だってやられっぱなしというわけじゃなくて、キツネは最後に痛い目に遭って、読者は胸がすっとするのだけれど。ダールのこのお話はどうか。「キツネとクマ」のように、これも結末は「いい気味だ」という感じ。ただ悪役はキツネではない。人間たちである。客観的に言えば、そうではない。キツネたちが人間の飼っている家畜を襲うのだから、被害者はおのずと明らかである。それでも、人間の方を品性卑しく描くことで、作者は見事価値の逆転に成功している。この本を読んで、わが同胞たる霊長類の長たる三人の男に肩入れする人は、まずいないだろう。◆◆父さんギツネバンザイ / ロアルド・ダール/作 田村隆一/訳 米沢万里子/訳 / 評論社【中古】 すばらしき父さん狐 ロアルド・ダールコレクション4/ロアルド・ダール(著者),柳瀬尚紀(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afb
2016.09.01
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基本的アイディアとプロットは、『キス・キス』収録の「ほしぶどう作戦」と同じ。ただこちらの方がはるかに面白い。ヘイゼル氏を思いっきりヒールにしたことで、大人向きの諧謔が子どもにもわかる諷刺になった。映像化したらとびっきりのファミリー映画になるだろう、と思ったら、すでにされていた。送料無料/ぼくらは世界一の名コンビ! ダニィと父さんの物語/ロアルド・ダール/小野章【中古】 ダニーは世界チャンピオン ロアルド・ダールコレクション6/ロアルドダール【著】,クェンティンブレイク【絵】,柳瀬尚紀【訳】 【中古】afb
2016.08.28
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シンタクラースとは何か。サンタクロースのオランダ語である。ただしこのサンタじゃなかったシンタクロース、11月の半ばにオランダにやってくる。かの国では、12月5日にシンタクロースのお祝いをするそうである。イップは男の子。ヤネケは女の子。家がご近所で、友達同士だ。日本の児童文学で似たような関係のお話はとっさに思いつかない。新聞連載という点からも『風の中の子供』がそれに当たるのかもしれないが、こちらは図書館入り、むこうは作者が亡くなったのにもかかわらずまだ現役のバリバリである。わが国ではむしろ『サザエさん』の方が認知度的に近いかもしれない。以下覚書として収録掌編のタイトルを。「シンタクラースへの手紙」「くつのなかにプレゼントを」「シンタクラースの馬に水を」「迷子になっちゃった!」「十二月三日」「シンタクラーにマフラーを」「歌をうたう」「シンタクラースがやってくる」「トラック」「シンタクラースの翌日」【中古】 イップとヤネケ シンタクラースがやってくる! /アニー・M.G.シュミット【作】,フィープヴェステンドルプ【絵】,西村由美【訳】 【中古】afb
2016.08.22
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のっけから読者は主人公の少年に両親がいないことを知らされる。『魔女がいっぱい』もそうだったが、作者はなぜ両親を「殺す」のか。別に寺山修司的なものではない。単に、物語の進行上、男の子が冒険するのに邪魔な存在だからである。可哀そうに。そうかもしれない。しかし可哀そうな主人公は民話には事欠かない。現代だって『家なき子』は可哀そうな男の子の話ではないか。まして少年が自分と同じくらいの背丈になった「虫」たちと気球のように桃に乗って冒険するこのお話は、現代のおとぎ話である。しかもわざわざ年少の読者に「夢を与える」ために、『オ・ヤサシ巨人BFG』と同種のラストまで用意されて。訳者は田村隆一さん。やはり「差別用語」多く保存版。↓【中古】 おばけ桃の冒険 児童図書館・文学の部屋/ロアルドダール【著】 【中古】afbおいやな方には別の桃ものを。【新品】【本】ジャイアントピーチ ダールのおばけ桃の冒険 R.ダール/原作 レイン・スミス/絵 ケアリー・カークパトリック/文 小川仁央/訳おばけ桃が行く ロアルド・ダールコレクション / ロアルド ダール 【全集・双書】
2016.08.20
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「オ・ヤサシ巨人BFG」は、ニンゲンマメを食べないただ一人の巨人である。その彼が主人公のソフィー(日本語に訳せば智恵)に言う。「巨人はニンゲンマメを食べるが共食いはしない。ニンゲンマメはどうして自分たち同士で殺し合うのかね?」この、人間はどうして? という問いは同じ作者が書いた本書において、よりはっきり出てくる。「人間はどうして楽しみのためにほかの動物を殺すの?」というわけで、これはファンタジーであり現代の民話であり、そうして民話によくみられるように教訓的な物語だ。人間同士の関係でも、狩るものと狩られるものの立場が逆転しない限り状況が改善しないことが、ままあるではないか。◆◆魔法のゆび / ロアルド・ダール/作 宮下嶺夫/訳 ウィリアム・ペン・デュボワ/絵 / 評論社魔法のゆび ロアルド・ダールコレクション / ロアルド ダール 【全集・双書】
2016.08.16
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巨人が出てくるお話、といえば今日、イギリス人ならずとも『ジャックと豆の木』や『ガリバー旅行記』を思い浮かべるだろう。実際、この物語にも上記2作品へのオマージュ乃至パロディのシーンが出てくる。とくに『ガリバー旅行記』の影響は本国だけあって顕著である。小人国、大人国、そして馬の国のヤフーを髣髴とさせる場面が少なくない。別の角度から見てみよう。本書はダール作品の中でもとくに言葉遊びにこだわった作品である。ニンゲンマメ、ヘッピリコプター、オシメカエ(お召し変え)などは特に秀逸だ。惜しむらくは「ウェリントン人は長靴(ウェリントン)の味がする」とか、まんまのものが散見せられること。全体的に訳者の中村さんはいい仕事をしていると思うけれども、柳瀬尚紀さんならどう訳すだろう、とつい考えてしまった。オ・ヤサシ巨人BFG/ロアルド・ダール/中村妙子【2500円以上送料無料】【送料無料】 オ・ヤサシ巨人BFG ロアルド・ダールコレクション / ロアルド ダール 【全集・双書】
2016.08.05
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ねえねえ、知ってる? 魔女って本当にいるんだよ。本当の魔女ってどういうものか、おばあちゃんが教えてくれたから、ぼくすぐわかったんだ。それも一人や二人じゃない。イギリス中の魔女が集まってたんだ。運悪くつかまっちゃって、×××にされたけど、おばあちゃんと協力して、あいつらも同じ目に遭わせてやった。そうそう、ぼくと同じ目にあった男の子がもうひとりいるんだけど、こいつがブクブクトリーみたいなとんでもない食いしん坊で、てんで役に立たないの。あんな姿にされてしまって、それでもお父さんお母さんと再会できたけど、どうなったかなあ。ザムザのようになっていなければいいけれど。もとにもどれそうもないのはぼくも同じだけどね、ぼくにはおばあちゃんがいる。のこされた寿命もあんまり変わらないだろう。だからこのままでも、ぼくは結構ハッピーなのさ。チャオ!【中古】 魔女がいっぱい ロアルド・ダールコレクション13/ロアルド・ダール(著者),清水達也(訳者),鶴見敏(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afb
2016.08.03
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さあお立会いお立会い。これなる全身モジャモジャのヒゲオヤジ、生れて一度もヒゲを剃ったことがないそうな。といってもシーク教徒じゃないよお立会い。名前はトウィット、このオヤジ、生れて一度も顔を洗ったことがないそうな。よく見たらヒゲ中食べた物のカスだらけ。歯もまともに磨いたことがないんじゃないか。おお、汚ったねえ、おお、臭え!おっと逃げない逃げない、そこのお兄さんとお姐さん。もうひとりお見せしたい人がいるんださあお立会い。これなるドブス、まるでオズのあの悪い西の魔女のようなおばあさん、こいつがあのヒゲオヤジの連れ合いでさあね。これでも若いころは別嬪さんだったとか。それが今じゃあこれこのとおりのありさまで。類が友を呼んだのか、それとも朱に交わって赤くなったのか、お互い同士、いじわるを仕かけ合ってはうまくいって喜んでいる始末。それがどうして二人して消えちゃったかって?さあさそこだよお兄さん、お姐さん。ふたりはサルの家族を飼っていた。こいつに逆立ちの芸をさせては大喜び。それからふたりの好物は鳥の煮込み。トリモチに引っかかった哀れな犠牲者を釜茹での刑ときたもんだ。サルたち一家がどんなにふたりを恨んでいたか、鳥たちがどんなに意趣返しに飢えていたか。その結果が、消えた、ってことなんだな。そうはいっても、べつにパクリと食べちゃったわけじゃない。第一臭い、第二に汚い、第三に不味い。煮ても焼いても食えない輩だからね。くわしいことはこの本にすべて書いてある、さあお立会いお立会い。だけどひとつ言えること、それはふたりがこの世から消え去っても、だあれも悲しまなかったってことなのさ。【中古】 いじわる夫婦が消えちゃった 児童図書館・文学の部屋/ロアルドダール【著】 【中古】afb↑ロアルド・ダール作、クェンティン・ブレイク絵、田村隆一訳。最凶トリオだお立会い。【中古】 アッホ夫婦 ロアルド・ダールコレクション9/ロアルド・ダール(著者),柳瀬尚紀(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afbThe Twits(いじわる夫婦が 消えちゃった!)[L4]【RCP】【楽ギフ_包装】【楽ギフ_メッセ入力】
2016.08.01
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『チョコレート工場の秘密』の続編。エレベーターに乗って工場を飛び出したのはいいけれど、勢い余って宇宙に飛び出してしまったチャーリー一家。アメリカ大統領に「敵性外国人」と間違われるは、エイリアンに襲われるは、大変だったけど何とか無事工場に帰ってきた。で、後半は現代版コメディ「若返りの泉」。広い意味でのSFに属するのかもしれないけれど、まあ続編だし同じカテゴリーでいいだろうと思う。『工場』ほどではないけれど、多少の「差別用語」あり保存版。翻訳者は正編と同じ田村隆一さん。本職だけあって作中詩の日本語訳がとても上手。 乳母ナニイの歌わたしの歌う、素晴らしい男性は、この世で一番偉い男性は、もとは、たった十八センチの可愛い赤ちゃんだった。ちびっ子のころからわたしは、この子を膝に抱いてあやしたもの。便器にお座りさせておしっこですよ、と教えたもの。汚れた足を洗ってやり、小ちゃな爪を切ってやり。髪をとかし、鼻水をふき、体重計に乗せて。幸せな少年時代を、遊びまわったこと、よい子たちの毎日とおなじように。わからず屋で、お尻をぶたれたっけ?でもそれは、ほんのたまのこと。やがてわたしにわかったこと、この子は賢くないのでは?二十三歳になっても読み書きが全く駄目。「おお、どうしよう」と、悲しむパパとママ。「この子は馬鹿なんだ!新聞配達の仕事さえできそうにないわ!」そこで、わたしは、「ああ、このちびさんは、政治家にするのがよろしいでしょう」するとこの子がいいました。「ナニイ、おお、ナニイ、なんてすばらしい考えだ!」「では、はじめます」とわたし。「政治のかけひきをおぼえなくちゃ。わざとチャンスをふいにし、へまをやり、人びとの票を集め、もっともっとかけひきをおぼえなくちゃ。テレビ演説もうまくやり、うそ八百をならべたて、なかでもいちばん大切なこと、それは、きれいな歯ときれいな指を見せること」そして、もうわたしは八十九歳、もう悔やんでもはじまらない。わたしの可愛いおばかさんが大統領になったってことを。(作者がこれを書いた当時、大統領はニクソンでした)【中古】単行本(実用) ≪児童書・絵本≫ ガラスのエレベーター宇宙にとびだす / ロアルド・ダール/田村隆一【02P06Aug16】【画】【中古】afb【中古】 ガラスの大エレベーター ロアルド・ダールコレクション5/ロアルド・ダール(著者),柳瀬尚紀(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afb
2016.07.30
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だあれも、その工場に入って行った人がいない。だあれも、その工場の外に出てきた人がいない。でも工場は動いてる。いったいどうして?そりゃあ、中を見学するっきゃないでしょ!ということで、見事当たりくじを引いた五人の少年少女とその保護者達が工場に招待された。貧乏なチャーリー以外は、みんなお金持ちだ。訳者は詩人の田村隆一さんだけど、ここは柳瀬さんにならって紹介すると、ブクブクトリーイボダラーケ・ショッパーアゴストロングテレヴィスキーといった面々だ。彼らがどうなったか、ご存知の方も多いと思う。原題の『チャーリーとチョコレート工場』というタイトルで映画化されたからだ。そっちの方は観ていないので何とも言えないけれど、何で今更のようにブログで紹介するのかというと、そういえばこれもエレベーターで外に飛び出す話だった、からなのだ。もちろんそれがメインの話ではないし、実は続編の方がもっと直接的だ。けれども順番としてまずこっちを紹介するのが、筋というものだろう。なお、現在この本を持ってらっしゃる方は、大事に取っておくこと。原語に忠実に翻訳してあるのだとは思うのだけれど、今はつかわれない「差別用語」が満載だから。児童文学ということもあるし、おそらくもっと当たり障りのない…ムニャムニャ。↓【中古】 チョコレート工場の秘密 児童図書館・文学の部屋/ロアルドダール【著】,田村隆一【訳】 【中古】afb追記。ロアルド・ダールは大人向けの本よりもこうした児童文学の方が、当たりはずれがない作家さんである。【中古】 チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダールコレクション2/ロアルド・ダール(著者),柳瀬尚紀(訳者),クェンティンブレイク(その他) 【中古】afb
2016.07.29
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面白い。これは絶対、映画になる。『ネコのミヌース』のように実写でもいいけれど、ジブリがいい。こんな感じだ。子どもたちが言う。「ねえ、お父さん、見に来てよ」「何だい」お父さんが見つけたのは、リリパットのようなこびとだった。このこびと、魔法が中途半端にしか使えなくてオン出された、らしい。得意なのは生きているものを石に変えることだが、もとにもどせたり、できなかったり。ある日一家は外に食事に出かけた。ところが支払いの段になって、お金が足りないのに気付いたお父さん。こびとはみんなを助けるために、一家を自分と同じ背丈に変えてしまった。なんとかその場は逃れたけれど、さあ、もどし方がわからない!この齢になって読むと、彼らの大冒険よりも、売れない詩人ホリディさんのお話の方が興味深い。ホリディさんはウィプララを捕まえようとして石にされてしまった。そこに置いとくわけにもいかないので、えっちらおっちら運んでいると、市長さんにばったり。市長さんはその石像に感心して、除幕式をすることに。でも、売れない詩人だから、誰も詩集を読んだことないんだよねえ。それが(本人が)石像になった途端に、売り切れ、重版続出。このへん腹を抱えて笑った。印税のおかげで妹さんの生活は楽になったけど、兄の身が心配でしょうがない。果たして売れない詩人はもとにもどれるのか?なお、1968年刊行の本なので、現在市中に出回っておりません。お求めの際は図書館の相互貸借制度をご利用ください。原題は『ウィプララ』。
2016.07.27
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王さまや王子さまやお姫さまのお話12編。「遊園地に行った王さま」『王子と乞食』のようにならなくてよかったね。「カエルになったお姫さま」ナルシストへの特効薬。「心のやさしいルール王子」優しいだけでは、世の中渡ってゆけませぬ。「考えを持たないお姫さま」人畜無害だが役に立たない。「王さまと<聞き耳>」恐怖政治の成れの果て。「点てん姫とツグミ」ツグミ姫の物語。「勉強ぎらいの王子」水道から墨汁インクしか出てこなくなったら…「コウノトリと公爵の赤ちゃん」コウノトリが落とした赤ちゃん、だあれがひいろった?「金色の髪の王女と風車こびと」民話によくある御礼結婚譚のヴァリエーション。日本だとちょっと違うけど「聞き耳頭巾」に近いか。「そしてそれから……みんなカエルになりました」こびとの仕返し。オランダはカエルが多いそうな。「リンデルーシェ姫をなおせるのはだれ?」不眠症に効く歌は?「ヨリスと巨人とお姫さま」これも御礼結婚譚。挑戦者が三人というのは『ヴェニスの商人』にも受け継がれている類型である。【送料無料】 カエルになったお姫さま お姫さまたちの12のお話 / アニー・m・g・シュミット 【単行本】
2016.07.21
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『ネコのミヌース』の作者による、ふしぎな11のおとぎ話。オランダの新聞などに載ったものから採った、日本オリジナル短篇集である。「パン屋のこびととハリネズミ」パン屋のこびとに悪態をついたばかりに災難に遭ったパン屋さん。「ヨリスとふしぎなブーツ」どこでもブーツ。ただし呪文がなければ…「ハミングこびと」小泉八雲の「忠五郎のはなし」を連想。幸い国際アンデルセン賞の作家の話は悲劇にはならず…「このうえなく美しいマルリータ」美と仁徳が境遇を救う。「マッチ箱」一度に一つだけ何でも入れられるマッチ箱があったら、あなたはどう使いますか?「仕立屋と三十人の海賊」ただ働きをさせられた仕立屋の意趣返し。あるいは当然の報酬。「ぶつくさ屋」教訓:今の幸せに気がつかぬものがぶつくさ屋になる。「巨人のボレマンス」結婚式に呼ばれたボレマンス、自分も結婚したくなっておいおい泣き出し…「裁判長と魔法のぼうし」どんな人でも陽気に変える帽子を、気難しい裁判長がかぶったら…「氷女」オランダ版『雪女』。「天国のトランペット」そは、人間が吹くべきものにあらず…。パン屋のこびととハリネズミ ふしぎな11のおとぎ話 / 原タイトル:ALLEMAAL SPROOKJESの抄訳[本/雑誌] (児童書) / アニー・M・G・シュミット/作 西村由美/訳 たちもとみちこ/絵
2016.07.08
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ある日、エレベーターのいちばん上のボタンを押したら、ホテルの天井を突き破って、空高く飛んで行ってしまった!なんて、どこかで聞いたような話です。違うのは、これがエレベーター旅行メインのお話でないことと、主人公が犬であること。犬? 犬がどうしてエレベーターに乗れるんだ。ボタンを押せるんだ。だいいち、届かないじゃないか。さにあらず。ある日フェルディナンド君は決心したのです。二本足で立って歩こうと。それから洋服屋へ行き、レストランで骨を食べ、ゴリッパー・フェルディナンドとしてホテルに宿泊。お金ももっていないのに、すいすいうまくいっちゃうんですな。そんな馬鹿な! ありえない!もちろん、ありえません。けれどもありえないお話なんて、世の中にごまんとあります。これもそのひとつでして、あえて寓話的意味を見出すなら、犬は子どもの隠喩というところでしょうか。犬が子ども?そうです。犬は人間の子どもに似ています。どちらも人間の大人に養われ、従属する存在です。一人前には扱われません。けれどもフェルディナンド君は行く先々で人間として扱われ、あるところでは「人間はおひきうけできません」と断られてしまいます。そんな主人公に子どもが自己を投影しひそかな共感を覚えたとしても、それはごく自然なことではないでしょうか?画像はないの?こちらをご覧ください。品切中だと思いますので、図書館から借りた方が早いでしょう。ポーランドの作家です。
2016.07.02
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上下巻。フィープ・ヴェステンドルプのカラーの挿絵抜きでは語れない絵物語なので、少年文庫に入れることもできず、出版についてはいろいろ検討されたらしい。そのかいあって、素晴らしい本が上梓された。電子書籍がこの先どんなに発展しても、こういう本は紙媒体で読みたいものだ。主人公のプルックは、動物と話ができる。といってもミヌースのようにもと動物だったというのでもない。どこにでもいる普通の8歳の男の子である。いや、普通というと語弊があるかもしれない。彼には両親がいる気配がないし、学校にも行っていないようだ。それでも彼は持ち前の「生きる力」で住むところを見つけ、わが身に、あるいは仲間や友達の身に降りかかってくるさまざまな難問を本屋のペンおじさんなどの力を借りながら解決していく。上巻も面白いが、傑作なのは下巻である。<キジバト森>を守ったり、<マキゲフナドリ>を助けたりするのに大活躍する。プルック自身は学校に行っていないけれども、小学生くらいの本好きの少年少女にとって、等身大のヒーローだと思う。ついでながら、西村由美さんの翻訳センスにも満腔の敬意を表したい。 ペテフレット荘のプルック 上/アニー・M・G・シュミット/フィープ・ヴェステンドルプ/西村由美【2500円以上送料無料】 ペテフレット荘のプルック 下/アニー・M・G・シュミット/フィープ・ヴェステンドルプ/西村由美【2500円以上送料無料】
2016.06.27
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『アーベルチェの冒険』の続編。前作はファンタジーだったが、今度は地に足のついたミステリーだ。そしてどちらもハラハラする冒険物語である。主な登場人物は例の四人の老若男女。ところがお話がはじまるやいなや、少女が誘拐されてしまう。犯人は誰? 動機は? どこに連れ去られた? さんざんミスリードされたあとに明らかになる真相とは…。個人的には前作の方が好みだけれど、続編ということで二番煎じに甘んじることなく、同じ登場人物を使って新たな物語を紡ぎだした亡き作者の冒険心に心からのエールを送りたい。【楽天ブックスならいつでも送料無料】アーベルチェとふたりのラウラ [ アニー・シュミット ]
2016.06.20
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『ネコのミヌース』を読んで、この人の作品をもっと読みたくなって図書館から借りた本。理屈抜きに面白い。主人公はもとよりアーベルチェという少年で、エレベーターボーイ。ある日、エレベーターのいちばん上のボタンを押したら、デパートの屋根を突き破って、空高く飛んで行ってしまった!ひとりで、じゃない。乗っていたのは、少年の他に、熟年男性と、熟年女性と、少女。たまたま居合わせた赤の他人同士だが、この組み合わせがいい。この四人はエレベーターに乗って世界のあちこちを回るのだけれど、それぞれの世代、それぞれのジェンダーの視点から語られるから、老若男女、誰が読んでも楽しめるお話になっているのである。エレベーターは最初ニューヨークに着く。少年は人違いされ、男性は詐欺師と間違われ、女性は求婚される。そのドタバタぶりが笑いを誘う。次に飛んだ南米の某国では、大統領一家という破格の扱いを受けるが、実はそれには裏があり…。ほうほうのていで逃げ出した先のニュージーランドではエレベーターが故障して…。四人がどうやって祖国に帰ったか、までばらしてしまうと面白くないので、あとは本をご覧ください。岩波少年文庫 202アーベルチェの冒険/アニー・M.G.シュミット/西村由美【2500円以上送料無料】
2016.06.15
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ネコのミヌース / アニー・シュミット 【絵本】↑えー、絵本とありますが、絵本ではありません。絵本の主役は絵。この本の主役は文章です。多少の挿絵がついていれば絵本になるのなら、『オズ』だって『アリス』だって絵本になってしまいます。閑話休題。お話はほぼ映画と同じように進んでいきます。こっちが原作だから当然です。違いは、出版後30年以上たって映画化された作品ですから、原作にないパソコンや携帯があるのは当然として、オリジナルではティベがもともとネコを飼っていたこと、スミット先生が出てくること、事件の目撃者がいたこと、悪事が暴露される舞台、といったところでしょうか。この人の本を、もっと読んでみたくなりました。
2016.06.09
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