Best Opera 2021 Outstanding Performance of this year -Stage Director for the Opera-
<work in progress>
ローラン・ペリー Laurent PELLY
(東京二期会「ファルスタッフ」Stage Director & Costume Designer)「ローラン・ペリーの洒落たセンスが際立つ演出。シェークスピアの時代の話を現代(近過去)に置き換えている。」「ステージ上中央に狭く仕切られた居酒屋のセット。広い舞台を狭く使う手法!左右上下が黒い幕で覆われ、視点をそこに集中させるようにデザインされている。ステージを狭く使ったり拡げたりすることでダイナミックさを感じさせる。小さく仕切られて見せられると小さいテレビの画面を見ているような気分になる。1960~70年代ごろの白黒テレビの時代はこういう「ワイプ」の手法をよく使っていた。時代設定は1960年代ぐらいのなのだろうがこの時点ではまったくの現代に思える。」「第2場 フォード邸 これがびっくり!オール階段ハウスです。階段しかありません。シンメトリカルな巨大なセットで一番高いところは相当な高さになります。上品なひし形模様のシックな壁紙。部屋のスペースというのがこの時点では現れていません。1階から2階に続く左右のシンメトリカルな階段、1階には物入れ(クローク)や出入り口があります。踊り場も左右対称にあります。中央の部分にさらに高く空中に伸びる階段があります。アリーチェ、メグ、クイックリー夫人、ナンネッタ。彼女たちは上流(金持ちの家)の女性です。美しくセットされた髪型に明るい色のドレス。ここで洋服を見て時代設定は1960年代ぐらいかと思います。」
キース・ウォーナー Keith Warner
(東京二期会「タンホイザー」)「昨日の謎の一つ、子供。子供は多分リヒャルト・ヴァーグナー自身。ヴェーヌスにはワーグナー自身の実母とわからずやの妻ミンネを重ねている。二律背反構造の中で右往左往する、それはヴァーグナー自身。これは今日プログラムに載っていた演出家キース・ウォーナーのインタビューから連想した。だってヴァーグナーは父は実父ではなかったと言われてるでしょ。そこですよ。今はっきりとわかった。ヴェーヌスはタンホイザーの母。タンホイザーは毒母のもとで幼少期から創作を徹底的に仕込まれる。タンホイザーは成長し、母がうっとおしくなって伺候する。伺候先は義父のヘルマンの世界。ヘルマンは不肖の息子の帰還に疑心暗鬼であった。案の定息子はやらかしてしまった。息子を追放する。戦場に。瀕死で帰ってきた息子は絶望して死ぬ。ローマ教皇ではなく、最後まで認めてくれなかったのは義父。とするとですよ。最後の棺はエリーザベトではなくタンホイザーのものだったということになる。」
太田麻衣子
2021に手掛けた作品:Vivid opera Tokyo「アルジェのイタリア女」、オペラシティ「カルメン」、春祭Wagner for Kids演出補、東京二期会「ルル」演出補)他、枚挙に暇なし。経歴を生かして日本におけるドイツ語オペラの上演を補佐する一方、独自の太田麻衣子ワールドを創出。悲劇を喜劇にすることもできる特異な才能。