新国立劇場チェネレントラDay4

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2021年10月09日

カテゴリ： OPERA

La Cenerentola/Gioachino Rossini

Sat, 9 October 2021, 14:00
OPERA PALACE

2021/2022 SEASON New Production
1 Oct - 13 Oct, 2021 ( 6 Performances )

Conductor: JOYA Masahiro
Production: AGUNI Jun
Set and Costume Design: Alessandro CIAMMARUGHI

Choreographer: UEDA Haruka

CAST
Don Ramiro: René BARBERA
Dandini: KAMIE Hayato
Don Magnifico: Alessandro CORBELLI
Angelina: WAKIZONO Aya
Alidoro: Gabriele SAGONA
Clorinda: TAKAHASHI Nobuko
Tisbe: SAITO Junko

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra

2021/2022シーズン<新制作>
全2幕〈イタリア語上演／日本語及び英語字幕付〉
DAY 4

2021年10月9日（土）14：00
新国立劇場　オペラパレス東京

演出：粟國淳
美術・衣裳：アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明：大島祐夫
振付：上田遙
舞台監督：髙橋尚史

ドン・ラミーロ：ルネ・バルベラ
ダンディーニ：上江隼人
ドン・マニフィコ：アレッサンドロ・コルベッリ
アンジェリーナ：脇園彩
アリドーロ：ガブリエーレ・サゴーナ
クロリンダ：高橋薫子
ティーズベ：齊藤純子

チェンバロ：根本卓也

合唱指揮】三澤洋史
新国立劇場合唱団
東京フィル

＊＊＊

新国立劇場チェネレントラDay4

ほぼ満員のお客さんの前で圧倒的なパフォーマンス
そして本当にいい舞台でした。
素直に認めます。
いい舞台でした。

ロッシーニのスペシャリスト、ルネ・バルベラがアリアで単音でのHigh C 5回、bis で3回　合計 8回　そしてヴァリエーションでHighD(？)含めたアジリタ合わせて2回です。
瞠目でした。すごかったです。前回の来日時のセヴィリアの時より好調だと思います。
本人もカーテンコールの大拍手を浴びて感極まっていました。

そして題名役の脇園さん。
本当にすばらしいです。
歌が絶品なのに加えて可愛いし愛嬌あるし演技も上手い。まさにスター誕生でした。
そういうお話でした。

そして本当にすごいのが根本卓也さん
チェンバロの合いの手がマジですごすぎる！
前にも彼のこれは聴いていたので今回も期待していた。
すごいですよ。場面に合わせて即興でよく知ってるメロディを弾く。
バッハのゴールとベルク変奏曲、ヴェルディのBrindisi ベートーベンの田園　天国と地獄　モーツァルトの夜の女王のアリア　トリスタンとイゾルデまで！
もうロッシーニではなく、彼のオペラに変換されていましたw。
やっぱり天才です。

粟國さんの演出で時代設定を読み替えるとはまず驚きでした。
彼はイタリア語の一言一句に合わせて演出するほどの精緻な演出家です。その彼がこんなに大胆に読み替えるなんて！歌詞と内容が合わないのが一番彼は嫌いかと思ってましたが、まあ勝負に出たんでしょうね。良い賭けでした。

城谷さんおめでとうございます！城谷さんの晴れ舞台、皆がやる気になってたと思われます。

ドン・マニフィコのコルベッリさんはいぶし銀の味でした。残念ながらもうそろそろ年齢を感じさせる部分も。全てにおいて大声量で歌うことをもうしてなかったです。

アリドーロ先生は若いバスでしたが、明るい声のバス、リリックバスでした。アリドーロ先生はもっと重く深い声をイメージしていたのですが、Buffoだからこれでもいいのでしょうね。

上江さんは美声のバリトンで繊細で本当に上手いです。

薫子さんがとても可愛かったです。

特筆すべきは男声合唱。パフォーマンスも歌もすべてすごいです。

＊＊＊
※中身にふれていますのでご注意ください。

なるべく自分の目で見るまではSNSなどの雑音を入れないようにしていた。

設定は1940～50年代ぐらいのハリウッド　古き佳きミュージカル黄金時代なのかな

映画撮影に読み替えるって
ロッシーニフェスの「イタリアのトルコ人」でやっていて
極彩色の美しい派手派手な演出が似ていると思った
（奇しくもこのロッシーニフェスの「イタリアのトルコ人」にはバルベラがドン・ナルチーゾ役で出ていた。）

衣裳がとてもすばらしい！

序曲のシーンですでに芝居が始まっていて
映画プロデューサー兼映画スター：ラミーロ
映画監督（撮影監督？）：アリドーロ先生
運転手：ダンディーニ
ラミーロとアリドーロは新人女優を抜擢したリアリティーTVのようなミュージカル映画（当時はそんなものないが）を撮影することにする。
オーディションが始まりおかしな一家が売り込みに来たので、その一家を丸ごと雇った。
そのへんの説明は上部に字幕が出て説明される。

セット
5番スタジオ
2人の姉がそれぞれのセットの中で撮影されている
アンジェリーナは姉たちの世話を焼いている
アイロンをかけたり、食事を持ってきたり

Una volta c'era un Re

すばらしい！

アリドーロ先生が浮浪者の恰好？で現れる
これはチャップリンのオマージュというか
動きもチャップリンの動きをまねする

ドン・マニフィコは奥から豪華な寝台のセットで美女二人を侍らせて現れる。

Miei rampolli femminini - Buffo Cavatina
Don Magnifico
Voice Part : bass-baritone
Fach : buffo bass

マニフィコのロバのアリアの間にクロリンダとティースベは美しい撮影衣裳を見て頭に帽子だけかぶっている。このように長いアリアの間には必ず広いセットで別の展開をさせていて客を飽きさせることなく、豪華に目を愉しませる。さすがの粟國さん演出です。

スタジオまでやってきたドン・ラミーロ
スタジオの扉は閉まっている

Tutto è deserto.
Amici?
Nessun risponde.

ドンという名前でジーン・ケリーが「雨に唄えば」で演じた「ドン・ロックウッド」を連想しますよね。
扉が開く。
照明が消えていて暗い
暗闇の中で鼻歌を歌いながら出てきたアンジェリーナと衝突する
ガッチャーン

お化けかと思ったの？

そうよ！
…いいえ、だんなさま

ラミーロ
Un soave non so che

アンジェリーナ
Io vorrei saper perché

Una grazia, un certo incanto

男爵の娘さんはどちらに？

身の上を説明するアンジェリーナ

二重唱
Ah ci lascio proprio il core
Questo cor più mio non è.

マニフィコ

騎士たちの登場

セットの上でかっこつけてポーズをとるダンディーニ

Come un'ape ne'giorni d'aprile - Cavatina with Chorus
Dandini
Voice Part : bass|baritone
Fach : lyric bass|lyric baritone

ダンディーニ：
Come un'ape ne' giorni d'aprile

ダンディーニの嫁選びについての説明部分のしゃべりはすべて語尾が韻を踏んでいる

皆をパーティに招く

アンジェリーナはマニフィコにすがって自分も連れて行ってほしいと頼む

マニフィコは拒絶する

様子を見に戻ってきたダンディーニとラミーロ

アリドーロ先生が戸籍を持ってきて3人目の娘がいるはずだと主張する

死にました

ウソ泣きするマニフィコの演技に客笑う

死んでないわ！

論争になる

重唱
Nel volto estatico

早口の展開へ

皆が去り、アンジェリーナは泣きながらセットの中に戻る

娘よ

娘と呼んでくださるの
義父にも言われたことないのに

王子のパーティに行くのだ

でも鍵かけなくちゃ泥棒が入って怒られるわ

アリドーロ先生が彼女を変身させる

アリドーロのアリア
Là del ciel nell'arcano profondo
（alternate aria written to take the place of "Vasto teatro e il mondo"）
Alidoro
Voice Part : bass
Fach : lyric bass

”Là del ciel nell'arcano profondo”に置き換わってしまったというアリドーロ先生のアリア”Vasto teatro e il mondo”はこのストーリーにぴったりの内容だからもしかしてこっちだったのかな？記憶があいまいです。通常は”Là del ciel nell'arcano profondo”です。

アンジェリーナはみるみる美しい蝶に変身する
この黄色と黒のドレスの美しいこと！
すばらしく似合います
まさに孵化したばかりのゴージャスな蝶です。
プロジェクションマッピングも効果！

アリドーロ先生
アップテンポ

Il destino s'è cangiato,
L'innocenza brillerà

かぼちゃの馬車ではなく書割のオープンカーだ。

撮影は続いている。

＊＊＊
ラミーロはダンディーニに姉2人の性格を報告するように命令する

ダンディーニは出ていく王子を呼びつけて王子風を吹かせてまた追い払う
（客笑う）

クロリンダとティスベは王子の歓心を買おうと売り込み合戦

残された姉妹はお互いを罵り合う

＊＊＊

ワイン蔵の大臣に任命されたマニフィコ
酔っぱらって真っ赤になっている（メイク）

ワイングラスのツリーがあしらわれたセット

すべて可動式のセット（撮影できるような）に集約して出てくるのがおもしろい

マニフィコは命令をメモさせる

＊＊＊
ラミーロとダンディーニ：
Zitto, zitto, piano, piano

軽やかなテンポ

クロリンダとティスベはダンディーニに決断を迫る
ダンディーニは業を煮やして召使はどうですか？とラミーロを売り込む

いやだわ召使なんて！

ラミーロ：
Sarò docile, amoroso

姉妹：
Solamente a immaginar.

そこに謎の貴婦人が到着したとの知らせが。

女⁉

誰なのよ。

美人？

だれ⁉

ゴージャスなセットに乗ったアンジェリーナ登場

男声合唱

アンジェリーナ：
Sprezzo quei don che versa
これは本意ではありません…
M'offra chi mi vuol sposa
（繰り返し部分はアジリタ）
Rispetto, amor, bontà
私が結婚相手に望むものは、
尊敬と愛情と善良さです。

ラミーロ：
Perché la speme accende?
Di me maggior mi fa
高音

ダンディーニもアジリタあり

ダンディーニ：
お顔をお見せください

チェネレントラにそっくりじゃないか‼

あっけ

Parlar … pensar… non so

ダンディーニ
Andiamo presto in tavola

ロッシーニの早口の重唱、合唱

Fanno l'anima nuotar.
Ma ho timor che sotto terra
Piano, piano, a poco a poco
Si sviluppi un certo foco

a dileguar.

第1幕了
大拍手

第2幕

マニフィコと娘たち

疑念を話し合う
あいつの財産を使い込んでるのがばれたら

大丈夫よ

勝機ありか

もちろんよ

マニフィコのアリア：
Sia qualunque delle figlie

Ah! non lasci in abbandono
Un magnifico papà

Da palazzo può passar

早口

姉妹
＊＊＊

ラミーロ

ダンディーニがアンジェリーナを追い回している

私はあなたの召使を愛してるのです

ラミーロにアンジェリーナは腕輪の片方を渡して探し出してほしいと言い去る

いよいよです！

Sì, ritrovarla io giuro

Amore, amor mi muove

H音

Se fosse in grembo a Giove

High C

Se fosse in grembo a Giove

High C

アダージョ
Pegno adorato e caro

君を抱きしめたい

Noi voleremo, domanderemo

アップテンポに
Dolce speranza, freddo timore
Dentro al mio cuore stanno a pugnar

二回目の
cuore　で
3回目の
High Cです。

ここで驚いたことにヴァリエーションでHigh Dと思われる最高音のフレーズ
レ→ド→シ（？）
を入れてきた！

繰り返し
cuore　で
4回目の
High Cです。

最後
da guidar
で5回目のHigh C

会場拍手が鳴りやまず、バルベラはいったんはけたのだが躊躇なくbis に応える。

Noi voleremo, domanderemo
の部分から返して
途中のHigh D（？）のアジリタも同じように繰り返した！
つまり
単音でのHigh C 5回、bis で3回　合計 8回　
そしてヴァリエーションでHighD(？)含めたアジリタ合わせて2回

＊＊＊
ダンディーニ：
これでオレもお払い箱か

マニフィコが来る

あなたに秘密をお教えしましょう

椅子を二脚ぴったりくっつけ横に座って太ももを触る

まさか…わしと結婚したいのか？

このシーンでチェンバロの根本さんがトリスタンとイゾルデの不協和音の愛のメロディを奏でるのです。
もうお客さん爆笑です！

ぱっと席を立つマニフィコ

マニフィコはわがまま放題希望を述べる

ダンディーニ
Son Dandini il cameriere.
私はダンディーニと言いまして王子の運転手（付き人）でございます。

え？

客大笑い
コルベッリはこれが日本のお客さんに受けると知っている。

二重唱

このあいだずっと背後では映画（ローマ時代の歴史映画）の撮影が行われている。これがおもしろくてこっちにも釘付けです。多分これは無声映画で、大仰なしぐさが笑える。この時代トーキーに移行していく中、本作品もトーキーで撮影しているという伏線。まさに「雨に唄えば」へのオマージュ作品なのである。

＊＊＊
アンジェリーナ：
Una volta c'era un Re

帰宅したマニフィコと姉妹

嵐が来る

嵐で飛ばされそうになる人々のダンスが秀逸です

嵐がやみ穏やかな天気になると根本さんがベートーベンの「田園」（？）からメロディを弾く（笑）

ラミーロたちがマニフィコの家へ

姉妹は黒のワンピースに変わっている。

椅子をお持ちしろ！

アンジェリーナはダンディーニのそばに椅子を持っていく

マニフィコが罵声を浴びせる

バカ、王子はこっちだ！

ラミーロの顔を見て驚いて椅子を落としてしまうアンジェリーナ

Siete voi?

Voi Prence siete?

見つめ合う
（見つめ合うシーンは多いです）

あの！

うるさい！

重唱
Questo è un nodo avviluppato

すばらしい重唱が聴けます。
最高です！
名手揃いです。

怒りのクロリンダ
Donna sciocca!

とりなすアンジェリーナ
Ah! signor, s'è ver che in petto

重唱

ラミーロ
Questa sarà mia sposa.

バカにするマニフィコら

Lo giuro: mia sarà

Lo giuroで高音H

ダンディーニ：
Alfine sul bracciale
Ecco il pallon tornò

In aria il ribalzò

アップテンポの重唱
退出するアンジェリーナとラミーロ、ダンディーニ

激怒するクロリンダ
根本さんが夜の女王のアリアから一節（客笑う）

アリドーロ先生は姉妹に説教する。

クロリンダは往生際が悪い
退場でまた夜の女王のアリアのメロディ

ティスベは現実を受け入れる

最終場

仕切りが開くとお着替えしたアンジェリーナ。
今度はピンクと黒で胸元が切り換えられているロングドレスで華やか。
ウェディングドレスでないのは設定が映画の撮影だから。

態度を豹変させたマニフィコ
姉妹は黒のワンピースに白いエプロンをしている。
スター→付き人へと立場逆転の図。

アンジェリーナ：
E sarà mia vendetta
ここで間をとって、
il lor perdono

いよいよアンジェリーナの最大の見せ場、ロンド
♪苦しみと涙のうちに生まれ
Nacqui all'affanno, al pianto
Angelina (Cenerentola)
Voice Part : contralto
Fach : lyric mezzo

アンジェリーナ：
Padre… sposo… amico… oh istante!

そんな彼女を見守ってにこにこしているラミーロとアリドーロ
アリドーロはそっと場を外してクレーンカメラに乗り込む

アンジェリーナ：
Ah fu un lampo, un sogno, un gioco
Il mio lungo palpitar

エキストラ：
Tutto cangia a poco a poco
Cessa alfin di sospirar

アジリタ！

銀幕の女王として輝くアンジェリーナ
アリドーロ監督が撮影している。
ジュディ・ガーランドとかデビー・レイノルズのイメージでしょうか。

大団円。

おわり。
名演に拍手が終わらない！
歌手たちも感激の様相！
お疲れ様でした！

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