2023年10月01日
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カテゴリ: OPERA
皆様 お疲れ様です。
このサイトでもおなじみ、オペラ通の『名古屋のおやじ』こと松崎教授(写真右→)から、鑑賞した世界の歌姫、ソニア・ヨンチェヴァのリサイタル感想と、お勤めの大学で今年も開催する展示会のお知らせをいただきましたので掲載させていただきます。
以下、よろしくお願いいたします。

***
旬の名歌手シリーズ2023-II ローマ歌劇場来日記念特別コンサート
ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート
2023年9月30日(土) 15:00 東京文化会館(上野)
指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

マスネ:「エロディアート」より“美しく優しい君”
マスネ:「タイス」より“ああ、やっとひとりになれた〜私を美しいと言って”(鏡のアリア)
ベッリーニ:「海賊」より
   “ああ、目の前にかかる雲を〜その無心の微笑みで”(イモジェーネの狂乱の場)
チレア:「アドリアーナ・ルクヴルール」より“私は創造の神のいやしいしもべ”
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」より“亡くなった母を”
プッチーニ:「妖精ヴィッリ」より“もし私がお前たちのように小さな花だったら”
プッチーニ:「マノン・レスコー」より “捨てられて、ひとり寂しく”
***

Shevaさま
昨日、上野でソニア・ヨンチェヴァの「ソプラノ・コンサート」を聴きました。昨年も、同じ場所で彼女のソロのコンサートを聴いたのですが、今回の方が、私には楽しむことができました。指揮者の音楽づくりとプログラム内容の違いが、その理由。

プログラムは意欲的なもの。結局、変更になりましたが、当初は『イリス』やプッチーニではなく、レオンカヴァッロの『ボエーム』のアリアなども含まれていましたからね。今回の目玉はベッリーニの『海賊』のアリア・フィナーレでしょう。これを聴きたくて、上京しました。昨年の彼女のコンサートのあとNBSから送られてきたネットアンケートに、「歌は良かったけれども、プログラムがありきたり。(ヨーロッパの劇場では歌っているので)ベッリーニの『ピラータ』の狂乱の場を彼女が歌うのを聴いたみたい」というようなことを書きました。私の希望が受け入れられたというわけではないのでしょうが、プログラムが発表になった時に、この曲が入っているのを見つけ、驚きました。
『海賊』の狂乱の場の実演に接するのは、20年ぶりくらい。前回はメトでルネ・フレミング主演の舞台でした。彼女の希望で上演されたもので、メトでの初演(世界初演は1827年のスカラ座)。それは、「限界のギリギリのところで歌っている」ことがはっきりとわかるもので、狂乱の場のカバレッタが終わった瞬間、フレミングは役柄としても、そして素の彼女本人もステージ上に崩れ落ちる、そのような思いを抱かせる凄まじい気迫のパフォーマンスだったと記憶しています。R.シュトラウスなどを歌っているときとは明らかに違う彼女がそこにはいました。メトでの一連の公演の後、彼女はその過酷さゆえに、イモジェーネをレパートリーから外したはずです。
今回のヨンチェヴァもすごかった。前半の弱音で嫋々と長い旋律を聴かせる巧みさ、喉は大丈夫かと、心配になるほどのドスの効いた胸声も使いつつ、声を上下させる技巧的な後半。圧巻でした。フレミングの後、コロナで中止になったけれども、メトはダムラウ主演で『海賊』の再演を計画していました。実現していたら、彼女の狂乱の場はもっと「声をいたわる」ようなものになっていたように想像します。

最後に。昨年から続けてきた、職場の「博物館」と称する展示室で、私が折に触れて集めてきた公演プログラムをお見せする会を10月に行います。1963年からバブルの頃までを扱う今回の3回目が、このシリーズの一応最終回。
1963年の秋、日比谷で日本人によるブロードウェイミュージカルの初めての公演『マイ・フェア・レディ』(江利チエミ主演)と海外の歌劇場による本邦初の「引っ越し公演」がベルリン・ドイツ・オペラによって行われました。今回の展示では、東宝や劇団四季のよる初期の様々なミュージカル公演、武満徹が劇団四季の公演のために初めて劇音楽を書いた際の公演プログラム(これは1950年代半ばのもの)、ベルリン・ドイツ・オペラやそれ以後の欧米の有名歌劇場による、それぞれの初めての「引っ越し公演」、万博関連のクラシックの演奏会、私自身が学生時代を過ごしたバブル時代の公演プログラムなど並べてみました。ホロヴィッツの2回の来日公演のプログラムもありますが、実施年だけが違っていて全く同じデザインなのです。吉田秀和さんに「ひびの入った骨董」と称された初回の来日公演に対する、「リベンジ」のようなものを感じます。それではまた。

名古屋のおやじ  











愛知学院大学文学部博物館 2023 年度秋季特別展
「公演プログラムで辿る文化交流:高度成長からバブルまで」

2023年度文学部博物館 秋季特別展担当
愛知学院大学文学部教授・松崎博

日時:2023 年 10 月 23日(月)~ 10 月27 日(金) 10:00~16:00
 ホームカミングデー特別展示:10月28日(土)11:00~16:00

場所:愛知学院大学 日進キャンパス  3 号館 4 階
           (3 号館 1 階「丸善」斜め前のエレベータ利用)
          愛知県日進市岩崎町阿良池12
入場無料

松崎先生の人となりはこちらでご確認ください。

【アイガクにマナベ!】愛知学院大学 文学部英語英米文化学科 松崎博 教授





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最終更新日  2023年10月01日 15時44分33秒
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