★No015007 恐怖体験part07 老婆…


★恐怖体験 part07


偶然、運、不運…。
釣りをしてると、仕掛けを投入した時に出会い頭ではないが、”たまたま”狙っていた本命魚がやってきて(回遊して)
なんの苦労もせずに手にする事もある。
反して、地合いが過ぎて釣り場に入り、時すでに遅くどんなにコマセを打っても、仕掛けに工夫をしても釣れない事もある。
そんな時、  「あー もっと早めに釣りに来るべきだった~」  と後悔する。
もし、夕マズ目から夜半までやり、それでも釣果に恵まれないのなら 海のせい にすればいいのだから~(笑
そんな釣行を重ね、いつの日か夜釣りは夕方から釣り場には早めに入るようになる。


あの日の釣行もそうであった。それは1985’の真夏の暑い夜のこと。
少し早めに駐車場に到着し、いつも縁側で店番をしてる、婆ちゃんに料金を払いながら最近の情報を聞くのが癖になっている。
もっとも、釣りをしない人から情報を入手しようとする自体に無理がある~(笑

釣り場にはまだ釣り人が数人残っていて、道具を仕舞いかけていおり帰り支度の最中である。
早速、近づいて今日の状況など入手して夜釣りの参考にする。
たとえ情報が悪くても釣りをしないで帰ることなどないが、やはり聞いてしまうのが釣り人である。


一時もすると磯は誰も居なくなり、いつも自分が竿を出す場所に移動して準備に取り掛かる。
沈んでいく夕日を見ながら贅沢な趣味を持ったものだと感じる瞬間である。

潮は真潮で絶対に釣れそうな気配だったが、最初の地合い(上げ潮一杯)には本命は釣れることはなかった。
しかし潮の下げ始めると直ぐに一匹が釣れ、まづは一安心といったところ。
遅めの夕食を済ませ、潮が下げ止まる二回目の地合いを待っていた。

駐車場からこの釣り場まで歩いて15分。
いつものホームグラウンドと違い、さしたる険しい道でもなく、通いなれた人なら明かり無しでここまで入れる。

左手の竹薮あたりに ”チラチラ” と懐中電灯の光がしているのが見えた。
釣り人かな?  夜のこの場所で釣り人に会うのは久しぶりのことである。

最初の明かりを見てからすでに10分…それからまた10分。

誰も姿を見せない…?
気のせいだったかな…?
それとも、岬の左手の小さな入り江にある船溜まりに地元の漁師が見回りに行ったのか?
最近、漁具や海産物を盗む不届きな奴も徘徊してるとか?



そろそろ潮が止まるが肝心の本命魚が回って来ないなぁ~。
時計を見ると23時も近く、これからがこの釣り場のゴールデンタイムなのだ。
自然と持ち竿も真剣になってくる。そんな時間が少し流れ、コマセを詰め替えて竿を振ろうとした時!

「まだやってたのかい?!」

真横で シャガレ た声がした。
一瞬!身体が凍り付いたかのように固まる!

”だっ! だっ! 誰~!!”!

振り返るとそこには、こともあろに両手で 懐中電灯を下から照らし
なんと、駐車場の 婆さんが闇夜に顔 が浮いていた。

いやぁ~~たまげたねえ~


磯上がりがあまりにも遅いんで心配になり、様子を見に来たそうだ。
いつも夜半には駐車場に戻る。自宅は勿論明かりは消えて寝静まってる。
なんでこの日に限って様子を見に来たのか?
未だに謎である。

8月になるとこの釣り場に入るが、駐車料金を払うたびに思い出す。
だが、この婆さんは覚えてないらしい。

「上がってくる時は静かにしてよ~。」
「車の戸を閉める音が煩くて眠れんからね~。」


もう20年以上も顔を出してるのに、未だに自分は覚えてもらえない








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