話飲徒然草(S's Wine)

話飲徒然草(S's Wine)

2015年05月29日
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タイトルの「プロジェクト」は、実態のあるものではなく、まったくのノリでつけたものです。
今年ももうすぐボジョレーヌーヴォーの季節がやってきますね。
毎年11月第3週の木曜日にあわせて数十万ケースのヌーヴォーが輸入され、解禁日当日にはそこかしこで祝宴が催されます。ふだんはワインを飲みつけないけれども、この日だけは晩酌にワインを飲むという家庭も少なくないかと思います。

もっともボジョレ・ヌーヴォー自体は愛好家の香味の追求の対象というよりは、採れたての葡萄のフレッシュさを気軽に味わう類いのワインです。
今やすっかり季節の風物詩として定着し、ワインを身近にしてくれているという意味において、決してヌーヴォーの意義や貢献度を否定するつもりはありませんが、ヌーヴォーのイメージがあまりに強いがために、ボジョレ・イコール「早飲み用の安価なワイン」「お祭り用の初心者向けワイン」というイメージがついて回るのは少しばかり残念に思います。

ボジョレ地区からも愛好家を唸らせるような優れたポテンシャルをもったワインは作られています。とくに「クリュ・ボジョレ」と呼ばれる地域が優れいているといわれます。
クリュ・ボジョレとは、ボジョレ地区の中で特に優れたワインを生産しているサンタムール、ジュリエナ、シェナ、ムーランナヴァン、フルーリー、シルーブル、モルゴン、レニエ、ブルイイ、コート・ド・ブルイイの10地区に与えられたAOCの総称。ソムリエ・ワインアドバイザー・ワインエキスパート呼称の試験勉強では必ず出てくる名称ですが、これらをすべて飲んだことがあるという人はあまりいないのではないでしょうか。
私が最近自宅で集中的に飲んでいるアイテムのひとつがクリュ・ボジョレなのです。
YOLボジョレ1

しっかり作られたボジョレは一流のピノにもひけをとらないすばらしい香味を見せてくれること、長い年月の熟成に耐えることはシャトー・デ・ジャック(ジャド)やマルセル・ラピエールなどで何度か経験済みでした。しかし50年近く経過した、バッドビンテージのボジョレがかようなすばらしい熟成を遂げているとは予想すらできませんでした。
まあそこまでの古酒は例外中の例外といってよく、一般的なボジョレの飲み頃はクリュものであってもおそらく数年からせいぜい10年程度でしょう。
しかし逆説的に考えれば、五十路に届く年齢となった今、熟成までに15年20年といった忍耐の必要な良年のブルゴーニュやボルドーを追い求めるよりも、短めの熟成のスパンで変化を楽しめるボジョレのほうが我が家のワインライフにふさわしいのではないかという思いもあります。家計苦しき折、財布にやさしいということも大きなポイントです。
YOLボジョレ2
そんなわけで最近はクリュ・ボジョレのバックビンテージをいろいろと飲み倒しているのですが、いざ探し始めていると、あらためてヌーヴォー以外のボジョレはあまり人気がないんだなぁと実感させられます。
というのも、市場に出回っているアイテム数がお世辞にもバリエーションに富んでいるとは言えないのです。
たとえばヒュージョンソン氏の「ポケットワインブック」を紐解いてみると、コート・ドール地区のAOCの項目に名前が掲載されている生産者のワインはほとんど国内のショップで入手可能です。しかし、ボジョレの各クリュの項で名前の出てくる生産者の中には見かけたことがないような名前がかなり並んでいます。国内で買える生産者の多くははボジョレの作り手というより、自然派の生産者ということがセールスポイントにされているようです。
店頭在庫の回転もよくないのか、バックビンテージのボトルで状態が今ひとつだなぁと思うものに何度か遭遇しているのも不安要素です。

ここまで自宅で飲んだのは20銘柄程度。試飲会に赴いたり、みずからボジョレを飲み倒すワイン会を企画するなどすればもっと多くのアイテムを試すことも可能でしょうけれども、今はなるべく一本一本じっくりと向き合いたいので、自宅でかつ自費で飲む範囲にとどめています。
それらの中では、マルセル・ラピエールの2000年のモルゴンや2001年のシャトー・デ・ジャック、2010年のティボー・リジェ・ベレールのムーランナヴァンなどが印象に残っています。
とはいえ、これらはもともと定評ある作り手であり、「再発見」というのにはやや違和感があります。
では今回初めて出会ったような作り手たちはどうかといえば、残念ながらほとんどが想定の範囲内、もしくは期待値以下で、瞠目に値するような銘柄にはまだ出会えていないのが実情です。







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Last updated  2015年05月31日 10時48分43秒 コメントを書く
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shuz@ Re[1]:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) うまいーちさんへ お久しぶりです。コメ…
うまいーち @ Re:今になって新型コロナ感染(8日目)1週間ぶり出社(04/25) コロナですか。お大事に。 私もなりました…
shuz1127 @ Re[1]:【竹橋ランチ】マンマ・ミーヤ再び(娼婦風)(02/09) maki5417さんへ コメントありがとうござ…
maki5417 @ Re:【竹橋ランチ】マンマ・ミーヤ再び(娼婦風)(02/09) スパゲッティーは、材料費が安くお店にと…
shuz1127 @ Re[1]:【悲報】東京アスリート食堂ランチ値上げ(02/08) Henryさんへ なんと、そうだったんですか…
Henry@ Re:【悲報】東京アスリート食堂ランチ値上げ(02/08) アスリート食堂は、昨年8月に親会社(バル…
shuz@ Re[1]:2024年あけましておめでとうございます(01/01) Sugar7さんへ 本年もよろしくお願いしま…
成山裕治@ Re[1]:柴又帝釈天~その2(12/30) ダイアパレスさんへ

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