ここ数日は秋田、広島と出張続きでした。本業の経営コンサルタントとしての活動が続いています。
仕事をする中で、ある経営者の方が
「3期連続赤字が続いたら、その事業は社会に貢献できていないということであるから、事業再編を考えなくてはならない」
ということをおっしゃられていました。
こういう風に言っていただくと、本当に気持ちいい。さすがに良い経営をなさっていると感じ入ります。
赤字であるということは、社会に対して価値提供ができていない状態である、と言い換えることができます。
逆に儲かっているということは、社会に価値提供ができている一つの証になります。
もちろん、単に儲かれば良いのかというと、そうではないですが、価値の代価として売上があり、利益があるのですから、黒字を出すというのはとても大切なことなのですよね。
当たり前のことのように思えますが、案外、私たちはこういった当り前のことを受け入れられない場合があるのです。
「単に儲かればいいのか」と負け惜しみを言ってしまう時。
「正直者は損をする」と愚痴を言ってしまう時。
「良いものなのに売れない」と意味不明のことを言ってしまう時。
ビジネスを持っている人なら、一度くらいはこういう経験があるのではないでしょうか。
ですが、売れていないということは、単純に価値創造できていないということで、これは受け止めなくてはならないことなのですよ。そのことを受け止めて、自分のやり方を改善しようとしない限り、一生売れない状態から抜け出せません。
ところが、多くの人は自分が間違ったやり方をしているということ、自分が価値を創造できていないということを受け入れられないんですよね。
おそらく、自分を否定されるように思えて、辛いのです。「自分のやり方ではうまくいかない」と考えると、誰しも嫌な感情が生まれます。
これを受け入れる時というのは、本当に辛いものです。
とある本の中に、
「人間はパラドックスと問題を混同して、問題解決をしようとしてうまくいかないでいる」
というような意味のことが書かれていました。
「売れない」ことは問題だと捉えることもできますが、実は、パラドックスに陥っているだけかもしれません。
「自分は良くやっている」という思いと「売れない」という事実の間にある矛盾を受け入れられず、自分の中にモヤモヤとした気持ちを抱え続けているだけなのかもしれません。モヤモヤしながら、売れないという問題を解決するために手を打ち続けても、うまくいかないのでしょう。
ですが、矛盾の意味を理解すれば、モヤモヤは消え、ス~っと前に進むのではないでしょうか。この時には、パラドックスが解消されたということになります。
人間の思考というのは、こうしたパラドックスをたくさん抱えているそうです。
私自身も考えてみると、いろいろと思い当たる節があります。
なかなか解決できない問題だと思い込んでいることの中には、
もしかしたら、こうした思考の仕方が原因になっていることが、たくさんあるのかもしれないですね。
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