2004年06月24日
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それを挟んで手前に私、奥に夫。

昨日、今日、私たちは殆どの時間をそうして過ごした。



それは、私が出戻る前の数ヶ月間となんら変わりのないものだと思っていた。

怒鳴り合い、憎しみ合った、あの数ヶ月。





「もう一度、トライするべきだ。」

「・・・・・。」

「リコ、頼む。」

「・・・・・。」

「まだ可能性はある。」

「・・・・・。」

「諦めるなんてオマエらしくない。」

「・・・・・。」

「聞いてんのかよ!」

「もういい。私にはできない。あんな思い、もうしたくない。」

「だから何度も言っているだろ!もう、両親には何も言わせない!」

「そんなの無理!」

「辛いのはオマエだけじゃない!」

「だから、もういいって!」

「どうしてわからないんだ!」

「あなたは何をわかっているの?あなたこそ何もわかってない!」


最後は必ず怒鳴り合い。

あの数ヶ月間、まともな会話をした記憶がない。

二人とも同じところを行ったり来たり。

心から、不幸せだと思った。




外すことのできないクライアントとの食事。

レストランに着くまでひと言も口をきかず、目を合わせることもなかった。

それでもテーブルでは良い夫、良い妻を演じ続けた。

斜め向かいに座る夫を見て偽りの笑顔。


”この人の眉毛って、変に下がってる。”

まじまじと見た夫の顔。

パーツを順に見ていて、変に目元が気になった。

”目じりもだ。下がってる。昔からこうだったかな?”

まっすぐこっちを見ている老けた二つの瞳。

”前は・・・・あったんだ。”

この瞳に見つめられたくて、見つめられたくて、どうしようもない頃。

そんな頃が私にはあった。

私の行動の全てを捕らえていたこの瞳。

どんな時でも逸らさずまっすぐ私に向けられたこの瞳。

ここに映るのが私だけならいいのに  そう思っていた。


「そうだった、リコ。」

この声が聞きたくて、聞きたくて、どうしようもない頃。

そんな頃が私にはあった。

おはよう おやすみ それだけ聞きたくてかけた電話。

ずっとずっと聞いていたくて、いっこうに切れなかった。

YOU ARE MY EVERYTHING, BABY 愛し合うときにしか聞けないこの言葉。

耳元で囁かれるだけで、全てを受け入れられた。

ねえ、聞かせて  そう迫ったことさえあった。


”そんな頃があったのに・・・・・”

今はもう、その瞳の奥に何が映っているのか私にはわからない。

今はもう、その声が遠くに遠くに遠ざかって私には届かない。

そう思ったら、席を立たずにはいられず、化粧室で泣いた。

アイラインを直すのに苦労したっけ。








そして昨日、今日。

夫は違って見えた。

いいや、確かに違っていた。

前のような強気な発言はどこにもなかった。


でもそれが嫌だった。

私の決心を揺さぶる。

だからそれが嫌だった。


こうして考えてしまうのは、私に迷いがあるからなのか。









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最終更新日  2004年06月25日 01時20分24秒
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