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〝ブラック企業〟という言葉が世に知られるようになって久しい。労働基準法を無視したケタ外れの長時間・過密労働に低賃金、こうした超劣悪な労働をさせている企業のことだ。
藤井健介と伊東千秋は恋人同士で、結婚も考えている。健介は大手居酒屋チェーンの『山背』で、千秋は食品会社『銀のさじ』で働いている。健介は会社から店長を任せられるが、長時間労働に耐えられず、精神的に追い詰められ、自殺してしまう。
なぜ、健介は死ななければならなかったのか。千秋と彼の両親の3人は、『山背』とたたかうことを決意する。
ひとつ例をあげる。『山背』では売り上げに占める人件費の割合が、一定の水準を超えるとテンプクという。店長は本社に呼び出される。これをドッグ入りという。役員たちに罵倒され、言葉のリンチをうける。
第二に、ブラック企業とのたたかいを描いている。千秋ら3人は、『山背』の労働実態を調査することから始めた。そして、最終的に裁判に持ち込む。
つまり本書は、恋愛小説を得意とする著者が描く現代のプロレタリア小説である。 なお、『風は西から』という題は、奥田民生さんの楽曲からとっている。
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