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兎田孝則は、誘拐専門の犯罪グループに属している。その犯罪グループに、愛妻の綿子を誘拐された。少し前にグループのカネが盗まれて、折尾という男の手に渡った。綿子を返してほしかったら折尾を連れてこい、というのが彼らの要求だ。折尾の鞄にはGPS発信機が入れられており、スマホで電波をたどって行ったら仙台市の佐藤という家の中にいることがわかった。
家の中には母と父、息子の二人がいた。兎田は、銃で脅し、3人をガムテープで動けないようにした。
気が付いたら、家の周囲は警官隊に包囲され、立てこもり事件としてマスコミが大々的に報道を始めた。
さて、兎田は折尾を発見することができるか。
本書の特徴の第一は、伊坂幸太郎さんの初期の作品『アヒルと鴨のコインロッカー』に似ている。両方とも映画にはできにない作品だ。映像にするとトリックがばれる。
第二に、現在と過去を行ったり来たりする記述になっている。しかもその時間差は数十分しかない。最後に時間的にストーリーがかみあう。時間差があるために、トリックが生きてくる。
最後に、読者が予測するような結末を迎えるが、作品に引き込まれ、一気に読める。
コミカルな犯罪者が登場し、親しみが持てる作品になっている。
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