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鎌倉に、古峨倫典が建てた時計屋敷と呼ばれる建物がある。この屋敷で、倫典の死んだ娘の幽霊が出るという噂があった。超常現象をあつかう雑誌『CHAOS』が、この建物に目をつけた。そして、霊媒師の光明寺美琴とアルバイトの学生を連れて、取材に乗り込んだ。そこで、連続殺人事件が発生した。
一行は旧館に入る前に、腕時計をはじめ身に付けている装身具は、すべて新館に置いてくことになった。また、旧館には電話はない。だから、旧館に入ると、いっさい外との連絡が取れなくなる。
そして、連続殺人事件が発生した。外に知らせるためには渡り廊下に出る扉の鍵を開けなければならなし。しかし、その合鍵は、旧館の中で行方不明になった光明寺が持っている。そうこうする間にも次々と犠牲者がでていった。
やっと、外に出て新館から警察に電話した。しかし、台風でがけ崩れが起き、道路が使えなくなり、警察が来ることができなくなった。
特徴の第二は、時間のトリックである。普通、時間のトリックといえば、時計をすすめるとか、遅らせるのがよくあるパターンだ。しかし、本書はちょっと違う。こんなことがあるんだ、というちょっと現実離れしたトリックが使われる。これが本書の最大の特徴である。
第三は、殺人は10年前に古峨倫典の娘が14歳で死んだことに端を発していた。死因は、病死だとされていたが、実は自殺だった。その自殺の原因が、今度の連続殺人に大きくかかわっていることがわかってきた。
殺される人が増えてゆくにしたがって、残った者の中に疑心暗鬼が広がり、パニックになる。その中にあって、アルバイト学生の瓜生民佐男と、鹿谷の友人で『CHAOS』編集者の江南孝明は、冷静に事件を解明をしようとする。 謎解きをするのは、推理作家の鹿谷門実。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、次の展開をまったく予想させないストーリーがすすみ、読者を楽しませてくれる。
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