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少しややこしい話が続いたので、今日は分かり易い虫を紹介することにした。シマサシガメ(Sphedanolestes impressicollis)、サシガメ科(Reduviidae)Harpactorinae亜科に属す。 このHarpactorinae亜科、アカサシガメ亜科としているサイトもあるが、基準となるHarpactor属が日本に産しないので、一般に認められた和名はまだ無い様である。日本最大級のオオトビサシガメやヨコヅナサシガメを始め、ヤニサシガメ、アカサシガメ等の大型のサシガメが属す。このシマサシガメも体長は15mm前後と、かなり大きい。ダンギクの葉上にいたシマサシガメ体長15mm程度で白黒模様(写真クリックで拡大表示)(2011/06/22) 居たのは、昨年の秋に虫寄せ用として買ったが全く効果の無かった所謂ダンギク(菊と付いてもクマツヅラ科)の葉上で、6月下旬のことである。 同亜科に属すヨコヅナサシガメやヤニサシガメは動作緩慢で反応も鈍い。しかし、このシマサシガメはかなり敏感、何回も葉から葉へ飛び移り、最後は飛んで逃げてしまった。だから、正面からの写真が無い。こう云う白黒模様の虫は些か撮り難い簡単に黒つぶれ、白飛びしてしまう(写真クリックで拡大表示)(2011/06/22) 類似種が居ないので、それと直ぐに分かる「簡単な虫」である。比較的似ているのはヤニサシガメ位なものだが、本種は脚に白斑が沢山あるし、ヤニに被われず毛が多いので、区別は簡単。こう云う虫を紹介するのは気が楽である。検索表と睨めっこする必要が無い。複眼の後のマウンド上に単眼があり、胸背も盛り上がっている(写真クリックで拡大表示)(2011/06/22) 我が家の庭ではサシガメ類は少なく、このシマサシガメも今まで見た記憶がない。これまでに紹介したサシガメとしては、他にアカシマサシガメがあるのみである。しかし、これはヤスデ食いの地表性なので、一寸印象が異なる。体は白い毛に覆われている.赤い単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2011/06/22) サシガメ類は捕食性のせいか一般に眼が大きい。その中でも、このシマサシガメの眼は大きく、玉の様で特に魅力的?である。 単眼もかなり盛り上がったマウンドの上にあり、結構目立つ。少し下から見たシマサシガメ.眼が大きい(写真クリックで拡大表示)(2011/06/22) もう8月に入ってしまった。6月の更新はたったの1回、7月は2回しか更新していない。幾ら何でも、一寸、サボり過ぎである。ネタは色々あるのだが、写真を調整したり、原稿を書く時間が無い。 ・・・しかし、つべこべ言っている閑があったら、サッサと更新すべし。
2011.08.03
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昨年の秋、余りに虫がやって来ないので、虫集め用に花を何種類か買った。その中に「ブラキカム・マウブディライト」と称するオーストラリア原産のキク科の花がある(学名はBrachyscome angustifolia)。花径は15mm前後で、小さく華奢な花である。虫が沢山集まるシオン類に少し似ているので買ってみたのだが、これが全然ダメ、まるで「集虫力」が無い。これまでに、ヒラタアブ類が2回ばかり留まったのを見かけただけである。 まァ、それでも捨てるのも勿体ないので、そのまま放置しておいたところ、ある日、その花に妙な「修飾」が付いているのを見つけた。マクロレンズで覗いてみると、何てことは無い、成長不良の舌状花の花弁であったのだが、その横に極く小さなカスミカメムシの幼虫がいるのに気が付いた。体長1.5mm、殆どゴミの様なものである。Brachyscome angustifoliaの花の上に居たカスミカメムシの若齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/12/20) この辺り(東京都世田谷区西部)でキク科の花にこう云う感じで留まっているカスミカメは、菊の害虫としてよく知られているウスモンミドリカスミカメ(Taylorilygus apicalis)である。かつて町内の別の場所で、同じ様に菊の花に集っている同種の終齢幼虫を撮影したことがあるのだが(未掲載)、その雰囲気にソックリである。ウスモンミドリの若齢幼虫としてほぼ間違いないと思うが、証拠は全く無いので「?」を付けておくことにした。カスミカメムシの幼虫.ウスモンミドリカスミカメと思うが確証はない体長1.5mm.2倍のテレプラスを付けての超接写(以下同じ)(写真クリックで拡大表示)(2010/12/20) ウスモンミドリカスミカメの詳細については、写真の虫がウスモンミドリであると云う確証がないので、此処では控えることにする。 その成虫の方はずっと以前に紹介済み、・・・と思ったらまだ未掲載であった。もう一つのWeblogでは紹介しているので、成虫に興味のある読者諸氏はこちらを参照されたい。ストロボの光に驚いてウロウロするカスミカメの幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/12/20) この写真の幼虫、体長は僅かに1.5mm。小楯板はまだ認められないし、ウスモンミドリとすると、成虫の体長は5mm前後なので、まだ初齢か2齢位なものであろう。 そもそも、カスミカメムシ科(Miridae)の幼虫が何齢の幼虫期を経て成虫になるのか、色々調べてみたが良く分からない。多くのカメムシでは終齢は5齢だが、ノコギリカメムシでは4齢である(養賢堂:「図説 カメムシの卵と幼虫」に拠る)。 しかし、全農教の「日本原色カメムシ図鑑第2巻」に、クロツヤトビカスミカメの4齢幼虫と終齢幼虫が一緒に写っている写真があり、これを見ると、4齢と終齢との大きさの違いは余り大きくない。どうやらカスミカメも5齢で終齢になるらしい。花柄を伝って逃げ回るカスミカメの幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/12/20) こう云う小さいカスミカメの幼虫を目にすることは滅多にない、と云うか居ても気が付かない。特に黄緑色系の幼虫が草や一番上の写真の様な花の黄緑色をした部分に居ると保護色になってしまい、虫眼鏡で調べでもしない限り気が付くことは先ずない。 この幼虫、その後一度も見ていない。まだ同じ「ブラキカム・マウブディライト」に付いているのか、或いは、何処か別の所に行ったのか・・・。小さ過ぎて、探すのは実際上全くの不可能事である。
2011.01.22
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先月の終わりの頃、コスモスの白い花の上に何か3mm位の小さな虫が居るのを見付けた。一寸見たところでは、ゾウムシの1種の様に見えた。しかし、マクロレンズで覗いてみると、何と、カメムシの幼虫であった。中々綺麗な縞模様で、これまで見たことのない種類である。 早速、カメラを持って来て撮影を始めた。虫が小さいので、テレプラス×2を挟んでの超接写である。コスモスの花に居たヒメナガカメムシの幼虫体長は3.2mmと相当に小さい(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 写真から計測すると、体長は3.2mm。御覧の様に白っぽい地で、頭部には暗褐色の細い縦縞が3対あり、胸部にも暗褐色の複雑な模様がある。腹部も地は白っぽく、その上に茶褐色の不規則な網目状の模様がある。 全体として、中々洒落た色模様の幼虫と言える。真横から見たヒメナガカメムシの幼虫腹側にも同じ様な模様がある(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 翅芽(翅の原基)が発達しているので終齢幼虫である。しかし、何カメムシの幼虫かは分からない。全農教の「日本原色カメムシ図鑑」を引っ張り出し、その写真を1枚ずつ2回調べたが、似た幼虫は見付からなかった。 養賢堂の「図説 カメムシの卵と幼虫」も2回調べたが、やはり該当種はない。正面上から見た図.吻にチョビ髭が生えている(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) カメムシと言っても、色々な科がある。一体何科に属すのか? 科の検索をしようとしても、検索表は成虫を対象としているので、幼虫の検索は難しい。触角や脚の節数は幼虫と成虫で同じとは限らないし、検索キー(key)の中には翅の形態もある。幼虫には翅はまだ無いのだから、こうなるともうお手上げである。 しかし、よ~く顔を眺めると、どうもナガカメムシ科(Lygaeidae)かその辺りらしい。しかし、それ以上は分からない。コスモスの種子を目当てに来たと思われるので、コスモスの萎みつつある花と一緒に飼育箱(100円ショップのパンのケース)に入れて成虫になるのを待つことにした。斜め横から.胸部側面の模様が良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 待つこと2週間、成虫になっていないか否か虫を探すと(虫が小さいので探すのが大変)、チャンと生きており、至って元気。一安心だが、まだ幼虫の儘である。ヒョッとするとこれは幼虫越冬する種なのかも知れない。とすると、来年まで待たなくてはならないが、そんなに長く待つつもりはない。結局、カメムシBBSに御伺いを立てることと相成った。 早速、kameotaku氏から御回答を得た。「ヒメナガカメムシの仲間(この辺の種は分類を再検討中とのことです)の幼虫に見えますが、如何でしょう?」とのこと。ヒメナガカメムシ!!、これならば此処らで最も普通で、キク科の花の上なんぞに幾らでも留まっている、全く面白味のないカメムシである。この綺麗な縞模様の幼虫があの味気ないヒメナガカメムシに変態するとは!!、些か信じ難い。 ヒメナガカメムシの幼虫ならば、カメムシ図鑑に出ている可能性が大である。早速調べてみると・・・、やはりあった。写真が小さいのと色が黒っぽいので、見逃してしまったのである。天眼鏡で写真を拡大してみると、色は全体にかなり黒いが、基本的に同じ模様をしていた。どうも、コムピュータ用の老眼鏡では、図鑑を見るには度が少し低すぎる様である。同じ様な写真をもう1枚.付節は3節の様に見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) ヒメナガカメムシの幼虫ならば、Web上にも沢山あるだろう。「"ヒメナガカメムシ" 幼虫」で検索してみると、やはり沢山出て来た。特に、種類が分からない時に屡々お世話になる「カメムシも面白い!!」にもチャンと載っていたのには参った。完全に調べ方が足りなかった、と反省することしきり。口吻を掃除中のヒメナガカメムシの幼虫(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) ヒメナガカメムシは成虫越冬だと思っていたので、その点について更にお伺いを立ててみた。早速、鶉氏から御回答があり、「冬でも成虫と幼虫が混じって地表に見られたので、越冬態は成虫のみではないようです」とのこと。調べてみると、ヒメナガカメムシの仲間(Nysius属)は南方系の様で、越冬態と云うのが明確でないのかも知れない。とすると、今飼育中の幼虫、このまま越冬する可能性が大である。 中々綺麗だし動きも可愛い幼虫なのでどんな成虫になるか楽しみにしていたのだが、ヒメナガと聞いて飼育を続ける気持ちはすっかり無くなってしまった。丁度、一昨日、ベランダのキク科植物に同じヒメナガカメムシの幼虫を見つけたので、其処に逃がしてやった。掃除の合間.口吻が良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/11/27) 尚、kameotaku氏のコメントに「この辺りの種は分類を再検討中とのことです」とある。「検討中」と云う話は以前にも何回か聞いたことがあり、カメムシ図鑑にも「Nysius属には近似種が多く、その分類は本種を含めて全面的に再検討する必要がある」と書かれている。将来的に、ヒメナガカメムシ(Nysius plebeius、同図鑑に拠れば、種名をplebejusと綴るのは誤りとのこと)が数種に分かれる可能性もあるが、此処では単に「ヒメナガカメムシの幼虫」としておいた。
2010.12.18
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今日もまた植木鉢の下に居た虫の話である。とは言っても、今日のはチャンとした虫、サシガメ科のアカシマサシガメ(Haematoloecha nigrorufa)である。 アカシマサシガメはずっと以前に紹介したことがある。しかし、その時は生態を知らなかったので、クリスマスローズの葉上に載せて写真を撮ってしまった。これは非常に不適切な処置であった。と云うのは、このサシガメ、ヤスデを好んで食すと云う地表性のサシガメなのである。恐らく、クリスマスローズの葉上を歩くことはないであろう。今日の写真の様に、地面の上を歩いているのが正しい。 このWeblogでは、1つ種類を同じ様には再掲載しないのを原則としている。しかし、以前掲載した時は、途中で飛んで逃げられてしまったせいもあって、平凡な写真が3枚のみであったし、生態写真としては正しくない撮り方をしてしまった。其処で、今回は前回の「訂正」も兼ねて、もう一度アカシマサシガメを掲載することにした。植木鉢の下に居たアカシマサシガメ.体長は12mm程度(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) ・・・と言っても、写真は多くない。露出不足の写真がかなり多く、補正すると影の部分が酷くザラザラになってしまって、使い物にならなかったからである。撮影中に画像を確認したときは何とかなると思ったのだが、こう云う黒い虫のRAWファイルを現像するときは、暗部を少し明るくする様にしないと、虫体の殆どが真っ黒に潰れてしまい詳細が良く見えない。しかし、暗部を明るくすると、露出の補正によるザラザラが更に目立ってしまうのである。歩き回るアカシマサシガメ.暗部を明るく現像すると黒い体の表面にあるデコボコが良く見える(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) アカシマサシガメは体長12~3mm、久しぶりに撮る大きな被写体である。こう云う大きいのに地面の上をチョコマカ歩き回られると非常に撮り難い。立ち位置を屡々変えながら撮らなければならず、焦点を合わせる暇がなくなるからである。しかし、まだ朝の内で気温が低く、動きが緩慢だったので撮影は楽であった。 ノソリ、ノソリと歩く。時々、止まったまま動かなくなる。恐らくは、一生懸命逃げようとしているのだろうが、寒くて体が利かないのである。まァ、捕まって標本にされる心配は無いのだから、そう慌てる必要は無い・・・。気温が低いせいか、何となく力が入らないと云う感じ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 写真を良く見てみると、頭や小楯板(胸の後にある3角形の部分)にかなりの土が付いている。見付けたときは植木鉢直下の土の上にジッとして居たが、場合によっては土中に潜るのだろうか。或いは、越冬中も暖かい日には餌のヤスデを追って、土の間に入り込むこともあるのかも知れない。アカシマサシガメの顔.やはりサシガメらしく精悍(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 植木鉢の下に居る生き物の話がこれで5回続いた。我ながらウンザリなので、次回は少し違うものを紹介したい。
2010.01.29
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今日の朝、ベランダの椅子に座って一服しているとき、目の前のクリスマスローズの葉上に2mm位の黒いシミの様なものがあるのに気が付いた。単なるシミか、それとも、何か厚みのあるものか? 角度を変えて見ても大きさに余り変わりが無いところをみると、どうやら、何かの「物体」らしい。虫の糞か、将又、単なるゴミか? 虫の可能性もあるので、一応カメラを持って来て、マクロレンズで覗いてみた。 すると・・・、極く小さなカメムシであった。余りに小さく、また、黒っぽいので、ハナカメムシの類かと思ったが、触角が細長いのでカスミカメムシの様である。ズアカシダカスミカメ.翅端まで2.5mmカスミカメの中でも小さい方に属す(2009/08/24) 調べてみると、ズアカシダカスミカメ(Monalocoris filicis:カスミカメムシ科)と言うシダ植物に寄生する普通種であった。しかし、随分小さい。翅端まで2.5mm、今まで我が家で撮影したカメムシ類の中では最少である。クリスマスローズの葉上に居たが、シダ類に寄生する(2009/08/24) 普通、虫を撮影するときは、先ず背側から、次いで横、前、斜めの順序で撮って行くのだが、場所の関係で背側からは撮れない。仕方なく、横から撮っていたのだが、カメムシ君、ストロボの光に驚いたらしくウロウロし始め、やがて飛んで逃げて行ってしまった。ウロウロしている間に背側からも1枚は撮ったのだが、完全な後ピン。それで、今回は背側からの写真は無し、普段ならば没にするところだが、我が家で見るのは初めてだし、ネタは不足しているしで、掲載することにした。頭部は赤く、触角の中央付近が黒くまた脚には顕著な模様がある(2009/08/24) ズアカシダカスミカメは漢字で書くと、頭赤羊歯霞亀、頭が赤くシダに寄生するので、その名が付いたらしい。しかし、それにしてもカスミカメムシ類の名前はみな長ったらしい。斑点米を作るので重要なイネの害虫とされているアカヒゲホソミドリカスミカメなどは、長くて憶え難いと言うので、イネホソミドリカスミカメに改称した位である(改称してもまだ長いが・・・)。 大型で特徴が明確な昆虫であれば、昔からそれなりに識別され、ヒグラシ、ツクツクボウシなど、種固有の名があったり、或いは、同じコガネムシ科でもコガネムシ、ハナムグリ、カナブンの様なグループ分けをして名前を付けられる。しかし、カスミカメムシ類の多くは体長5mm以下、肉眼では見分けの付かない種類も多く、歴史的には全くと言って良いほど区別されていない。だから、カスミカメムシ類の名称は、ダルマカメムシ亜科の約10種を除いて、全部後にカスミカメが付く。しかもその種類数が400種以上なのだから、区別に必要な形容詞を複数積み重ねないと、とても名前が付けられない。それでナガ~イ名前と相成る。 名前を憶える方も大変だが、しかし、付ける方はもっと大変なのである。文句ばかり言わず、散々苦心をして和名を付けている分類学者の苦労も少しは慮ってみるべきであろう。
2009.08.24
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とうとう12月になってしまった。もう直ぐ正月、一年の経つのが速い。些か速すぎるのではないか。こうしている内に、何れ御迎えがやって来るのだろう、などと思う。まァ、まだ大部余裕はあると思うが・・・。 11月以降、我が家では殆ど写真を撮っていない。撮るものが無いのである。花を着けている雑草は全て紹介済みだし、虫の新顔もやって来ない。やはり、こんな狭い庭の生き物を紹介するのには自ずから限界がある、と言うことであろう。 ・・・と、ブツクサ言っていても仕方がないので、先日撮ったチャバネアオカメムシの越冬準備中?の姿を紹介することにしよう。越冬前のチャバネアオカメムシ.翅以外の部分も茶色くなっている(2008/11/17) チャバネアオカメムシの成虫は昨年に紹介済みである。しかし、それは初夏であったので、翅以外の部分は普通の緑色をしていた。今日のは、それが茶色に変色した越冬前の個体である。 カメムシの仲間には、成虫で越冬するものが多い。その中には、夏は緑系の色をしていても、晩秋になると茶色系に変わるものがある。勿論、緑色のままの種類も居て、どの種類が変色しどの種類が変色しないのかは、よく知らない。チャバネアオカメムシにかなり近縁のツヤアオカメムシは冬でも鮮やかな緑色をしているらしい。横から見ると、腹部下面は真っ白(2008/11/17) 今年はカメムシ類の幼虫を随分見たし紹介もした。ところが、成虫の方は何故か少なく、ハリカメムシの他はこのチャバネアオカメムシ位なものである。クサギカメムシは数箇所に卵塊があって、何れもチャンと孵化しているのだが、この分では結局成虫を見ないで年を終わりそうである。何となく、寂しい。正面から見ると2個の単眼が随分離れているのが分かる(2008/11/17) 去年の今頃、一体何を掲載していたか調べてみると、コナラの葉裏に居るアブラムシに関する話が多い。今年もコナラの葉裏にアブラムシは居るのだが、既に紹介済みのヤノイスフシアブラムシばかりで、これでは話題にならない。 しかし、コナラ以外の葉裏にも、結構アブラムシは見つかる。ヤブガラシのもう既に黄色くなった葉の裏に、まだ少数のアブラムシが居るのを見付けた。何れ、数日中に葉と運命を共にすることになろう。オマケにもう1枚.実はこれが最初に撮った写真(2008/11/17) どうも、晩秋の肌寒い曇り日は陰鬱で気が滅入る。天気予報に拠れば、午後には晴天になるとのこと。早く燦々と降る様な天日を仰ぎ見たいものである。
2008.12.02
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今日は以前に予告していたハリカメムシの5齢(終齢)幼虫を紹介する。これは、もう1つのWeblogの方では、既に昨年秋に掲載したので、御覧になられた読者も居られるかも知れない。 5齢幼虫は、これまでに紹介した2齢や4齢とはかなり形が違っている。まず第1に横幅が相当広くなって、全体の形が丸味を帯びている。成虫はかなり細長い。4齢から5齢になると幅が増大し、羽化して成虫になるとまた細くなる訳である。ハリカメムシの5齢(終齢)幼虫.4齢までに比して棘が少ない(2008/09/02) また、体全体の棘がずっと少なくなる。腹部の棘が事実上、腹部背側の真ん中にある腹背盤上の2対だけになり、胸部や頭部の棘も消失する。しかし、軍配を連ねた様な触角の形は変わらない。4齢にはない逞しさ?が感じられる(2008/09/02) 色彩的にも変化がある。4齢までは腹部に緑色の部分があったのが消失して全体的に青みを帯びた灰~黒系の色合いに変わり、脚や触角は赤味を帯びて来る。また、頭部胸部は真っ黒に近かったのが、終齢ではかなり薄くなっている。棘は減っても触角の形は基本的に変わらない(2008/09/02) まァ、一言で言えば、「奇怪な虫」だったのが、終齢になって漸く普通の虫に近くなった、と言う感じである。「小学生の頃は天才、・・・大人になれば凡人」の昆虫版か? しかし、それでも、この終齢幼虫は普通の虫よりはずっと変わった形をしている。裏側から見た5齢幼虫.先日掲載したイヌタデの葉鞘が見える(2008/09/02) 5齢幼虫がこの様な色合いになるには、少し時間がかかる様である。勿論、脱皮直後は真っ白に近いが、その後、中々色が濃くならず、下の写真の様な状態がかなり長く続いた。丁度、雨模様の天気が続いた時だったので、日光が当たらないと色が濃くならないのかも知れない。脱皮後時間がかなり経ってもこんな色(2008/08/29) 最後に些か悪趣味な写真(下)を載せておく。5齢幼虫の腹部を後から撮ったものである。 幼虫は性的に成熟していない。だから、お尻の先は排泄口があるだけの極めて単純な構造をしている。しかし、この写真を出したのは、それだけを示すのが目的ではない。 腹部背側中央に、2本の棘を持つ大地状の盛り上がりが2つ見える。これを腹背盤と言う。その左右の側面に黒っぽい色をした横向きの穴が1対、全部で4個見える。これが臭線の開口部である。此処から、くさい(種によっては爽やかな)匂いを出す。終齢幼虫のお尻.臭線の開口部が見える(2008/08/15) 面白いことに、成虫の臭線は腹部ではなく、胸部の中脚と後脚との間に開口する。カメムシは不完全変態だから、この5齢幼虫は蛹を経ることなく脱皮して直接成虫になる。一皮剥いただけで、臭線の開口部が腹部から胸部へと移るのである。 恐らく、5齢幼虫の体内では既に胸部への通導が出来ており、老熟するにつれて胸部の開口部が形成され、腹部の開口部は閉鎖されるのだろう。不完全変態と言っても、成虫への変化は外部生殖器の形成と翅が伸びるだけではないのである。・・・当たり前か。
2008.09.19
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7月の末にクサギカメムシの初齢幼虫を掲載したが、今日は2齢幼虫を紹介しよう。 勿論、7月に掲載した初齢幼虫が2齢になったのではない。あの初齢幼虫が孵化したのは多分7月18日、クサギカメムシの孵化から成虫に至るまでの平均日数は夏では40日位だから、もうとっくに成虫になっている。クサギカメムシの2齢幼虫.体長約3mm(2008/09/05) 初齢幼虫は橙色と黒の派手な出立ちであった。変わって2齢以降は白斑と灰~黒だけの地味な配色と思っていたのだが、写真を拡大してみると背中の所々にまだ赤い部分が残っている。3齢からは各脛節の中央が白くなり少し雰囲気が変わるが、背中の赤い斑点はどうだろうか。 一昨年に掲載したクサギカメムシの記事に5齢と3齢の幼虫が載っている。それを見ると、5齢の背側は全体的にかなり赤っぽい色をしている。3齢の方は分かり難いが、別の写真(未掲載)を見てみると、やはり2齢と似た様な赤い部分がある。クサギカメムシの幼虫も思いの外オシャレな様である。触角の一部と腿節は白い.腹部背側の腹背盤の周囲が赤い(2008/09/05) ところで、読者諸氏はカメムシはどの位の期間生きるのか、御存知だろうか。 実は、カメムシ(カメムシ科)成虫の寿命は、見かけによらず?長い。この写真の2齢幼虫は、成虫になっても年内に産卵することはなく、来年の春にシッカリ栄養を摂った後、6~7月になって漸く産卵を始める。それが孵化したのが前回紹介した初齢幼虫である。カメムシの成虫はほぼ丸1年生きるのである。頭部の比率が大きい(2008/09/05) クサギカメムシは1頭がかなりの期間(2~3ヶ月)に亘って10回位産卵する。そのせいか、今、我が家の庭の中には、この2齢幼虫の他にも3齢や4齢の幼虫がウロウロしている。デュランタ・タカラズカにも居るし、先日紹介したオオクロセダカカスミカメが寄生しているツユクサや、ハリカメムシの好きなタデの生えている辺りにも居る。行き場が無くなって情けない格好(2008/09/05) この写真のカメムシ君、実は、初めから葉っぱの上に居たのではない。ネタ探しに庭を少し歩き回ってから、机に向かってキーボードを叩いていると、左足のふくらはぎの辺りがモゾモゾする。何か居るのかと思って、ズボンの裾をひっくり返してみたら、このカメムシが居たのである。カメムシの御家芸「おひけぇなすって」の練習中(2008/09/05) こう言うことは屡々ある。昨年紹介したシラヒゲハエトリも服に付いて来て書斎で一泊した後(一旦見失った)やっと見付けて庭に放した個体だし、今年はチビカマも2回位書斎でウロウロしているのを捕まえて庭に放してやった。 犬好きは犬に好かれる。虫好きも、やはり虫から好かれるのだろうか。
2008.09.08
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先日、ハリカメムシの2齢幼虫を掲載したが、今日は、少し大人になった4齢幼虫を紹介する。5齢になると、かなり形が変わるのだが、4齢まではかなり2齢に近い形をしている。 なお、3齢幼虫は2齢に非常によく似ているので、此処には掲載せず、もう一つのWeblogの方に掲載した。ハリカメムシの4齢幼虫.翅の原基が出来ている(2008/08/29) 写真は何れの齢でも虫体を来るだけ大きく表示する様にしているので、中々本当の大きさが実感出来ないと思う。2齢幼虫の体長(吻の先からお尻の先端まで)は約2.5mmであったが、この4齢幼虫では倍の5.0mmである。 タデの花の大きさは変わらないから、それと比較すればある程度実感出来るのではないかと思う。2齢ではその体長はタデの花の長さより少し長い程度であったが、4齢では花の2~3倍に成長している。軍配を連ねた様な触角と体の棘は2齢と同様(2008/08/29) 触角が軍配を連ねた様な形をしていることや、腹部、胸部、頭部の棘の数も2齢幼虫と同じだが、棘の大きさは相対的に小さくなっている。 2齢では腹部の色が白っぽかった。これは脱皮後どの位時間が経っているかで異なるかも知れないが、3齢、4齢では明確な緑色をしている。体の正中線に沿った胸部の白縦線と腹部中央の隆起が目立つ(2008/08/29) 4齢になると、黒い胸部の左右の後縁が腹側に向かって丸く突出している。これは翅の原基である。3齢幼虫にはこれが全く見られない。また、5齢になるともっと発達して長くなる。 また、胸部背側の正中線に沿う白くて細い縦線が目立つ。これは2齢にもあるのだが不明瞭で、3齢になるとかなりハッキリし、4齢で非常に際だって見える様になる。屡々触角を下に向けて歩く(2008/08/29) 2齢幼虫は、お尻を上に向けてハラビロカマキリの幼虫の様な格好をしていたが、4齢ではその曲がり方が少ない。腹部背側の正中線に沿って縦に隆起が生じているのが見える。これは3齢幼虫には殆ど認められない構造である。こう言うものがあるので、お尻を上に曲げるのが難しくなるのかも知れない。オマケにもう1枚(2008/08/29)草取りをサボった御蔭で、ハリカメムシの2~5齢幼虫を観察する機会が得られた。その内、5齢(終齢)幼虫も紹介する予定である。
2008.09.02
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どうもこのところまた雨模様が続き、写真を撮る機会に乏しい。其処で、余り面白くない写真だが、イトカメムシの超接写を掲載することにした。イトカメムシの出演はこれで3回目、余り同じ役者を出したくないのだが・・・。 小雨の降る日にクチナシの葉裏でジッとして居た。始めはその儘撮ろうとしたのだが、葉裏ではストロボの光が届き難いし、立った儘の姿勢では10枚撮っても全て極端なピンぼけにしかならない。逃げられるかも知れないが、植木鋏を持って来てそ~と枝を切り、ベランダのテーブルに載せて撮ることにした。カメムシ君、初めは些か驚いた様でソワソワしていたが、幸いなことに直ぐに落ち着いた。気温の低いせいもあろう。 なお、イトカメムシの全体像は既に紹介済みなので、ここでは体の一部分を超接写したものだけを掲載する。イトカメムシの頭胸部.妙な凸凹が多い中脚の後から鉤状の突起が出ているピクセル50%.写真横幅は約3.2mm(2008/08/24) 100mmのマクロレンズにケンコーのクローズアップレンズNo.5とNo.3をねじ込み、最大倍率で撮影。原画面の横幅は約12mm、掲載写真の内、ピクセル50%表示の横幅は約3.2mm、ピクセル等倍の横幅は約1.6mmとなる。 撮れた写真を見ると、思ったより面白くない。体表に毛が無く、細かい構造も少ないので、全体的にツルッとした感じである。それでも、何のためにあるのか分からない凸凹がかなりある。特に中脚の後から、妙な鉤型の突起が出ているのが気になる。横から見ると小楯板の突起が目立つ.頭部はツルッとしているピクセル50%(2008/08/24) 横から見ると、小楯板にある棘が目立つ。もう少し棘が沢山あれば先日のハリカメムシの幼虫の様に面白い絵になるのだが、1本だけでは何となく奇妙な感じがするだけ。 長くて細い口器が良く見える。如何にもカメムシらしい。中脚の後に見える突起は後脚基節の一部? 右方が頭ピクセル等倍.写真の横幅は約1.6mm(2008/08/24) 真上から見ると(1番目の写真)、中肢と後肢の間に体側から鉤状の突起が出ている。普通の等倍接写で見たときには臭線開口部の構造かと思ったが、超接写(上)をしてみると後肢基節にある突起の様に見える。これも何のための突起なのか良く分からない。この写真からは、臭線開口部が何処にあるのか些か判断に苦しむ。もう少し裏側から撮る必要があろう。イトカメムシの顔.チョビ髭がある.ピクセル等倍眼を入れた頭部の幅は約0.5mm(2008/08/24) 正面から顔を見ると、吻の先端に毛がチョボチョボと生えている。口吻を差し込む前にこれで何かを判別するのだろうか。妙に鼻筋が通っているのが何となくおかしい。 このカメムシ君、横から見ても前から見てもやや表情に欠けるところがあるが、斜めから見るとアフリカの羚羊(ガゼル)の様な結構可愛い顔をしている(下)。ハチばかりでなく、カメムシも斜め前から撮った方が写真写りが宜しいらしい。カメムシも斜め前から見るのが可愛いピクセル50%(2008/08/24) しかしながら、こう言う極端に脚の長い宙に浮いた様な生き物を超接写するのは容易でないことが分かった。空中を漂う虫を撮る様なものである。やはり、虫の卵とかキジラミの幼虫の様な葉にくっ付いているものでないと、焦点合わせに四苦八苦することになる。
2008.08.29
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前回、涼しくなってから庭に現れた虫を羅列した中に「カスミカメムシの1種」が入っていたが、今日はそのカスミカメを紹介する。オオクロセダカカスミカメ、体長約4.0mm強の小さなカメムシである。オオクロセダカカスミカメ.体長4mm強ヒメセダカカスミカメと似るが、ヒメセダカの小楯板の先端は淡色(2008/08/22) カスミカメムシと言っても、余り馴染みがないのではないかと思われる。しかし、カスミカメムシ類はそれだけで1科を成しているばかりでなく、日本産カメムシ約700余種の半数以上を占める大家族なのである。ただ、種類は多くても、殆どは体長5mm以下で、一般の眼に触れる機会は少ない。このオオクロセダカカスミカメも、肉眼で一見したところでは、毛虫の糞としか思えない様な外見である。オオクロセダカカスミカメの中後脛節は黄褐色の部分が多いヒメセダカにも黄褐色の部分があるがずっと狭い(2008/08/22) しかし、寸詰まりの「毛虫の糞」の様なカスミカメは比較的少数で、体形としてはこの辺りにも多い(但し、我が家で見たことはない)ウスモンミドリカスミカメや、昨年紹介したヨモギヒョウタンカスミカメの様な形が一番多く、中には、イネの大害虫として有名なイネホソミドリカスミカメ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)の様に細長い種類も居る。ツユクサの茎を歩くオオクロセダカカスミカメ時々口吻を刺したりしていた(2008/08/22) カスミカメムシには、型こそ小さいが、斑点米を生じさせたりする「悪い虫」がかなり居る。其処で、このオオクロセダカカスミカメはどうかと思い、「"オオクロセダカカスミカメ" (防除|駆除)」で検索してみたが、有意なヒットは一つも無かった。 初めに見付けたときはクリスマスローズの葉上に居た。しかし、その後の行動を見ると、目当てはその直ぐ横に生えているツユクサの様である。こんなものの汁を吸って栄養になるのかと些か心配になるが、調べてみると、専らツユクサに寄生する種類の様である。害虫扱いされていないのも当然であった。カスミカメムシはかつてはメクラカメムシと呼ばれ単眼を持たない(この写真では倍率が不足か?)単眼が無いのをもっとよく見たい方はこちら(2008/08/22) 実を言うと、初めに見たときはオオクロセダカカスミカメではなくヒメセダカカスミカメだと思った。と言うのは、外見がよく似ているだけでなく、1ヶ月程前に、町の少し奥の方にある草原にヒメセダカが沢山居るのを見付けたからである。 危うくまた誤認するところであったが、「日本原色カメムシ図鑑(第1巻)」に載っているヒメセダカカスミカメの写真は、実はオオクロセダカカスミカメの誤りである。第2巻に訂正が出ている。専門家でも間違えるのだから、素人が間違えそうになるのも致し方ないと言える。オマケにもう1枚.ツユクサの葉上で(2008/08/22) カスミカメ君、せっかく涼しくなって活動を始めたのに、このところ毎日冷たい雨でまた姿が見えない。天気が回復すればまた出て来ると思うが、その直ぐ横に居たシマバエ科の未記載種やその他の綺麗なハエ達も一緒に姿を現して欲しいものである(そりゃ~無理と言うもんだ)。
2008.08.25
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御盆を過ぎたら、まるで北海道であるかの様に、朝晩急に涼しくなって来た。それと同時に色々な虫が現れ始めた。特に昨日は、黄と赤と黒のハッとするほど綺麗なハエ(多分ミバエ科)、別のWeblogで掲載したシマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.)、橙色の綺麗なハエ(多分ショウジョウバエ科)、カスミカメムシの1種、それと今日紹介するハリカメムシの若齢幼虫(多分2齢)を見付けた。 但し、ミバエらしきハエは撮影する間も無く逃げ去り、シマバエ科の未記載種は1枚撮ったと思ったのだが、シャッターの走る前に飛び去って葉っぱしか写っていないし、ショウジョウバエは1枚横から撮っただけで逃げられてしまった。 先日はハリカメムシをホソハリカメムシと間違える大失態を演じてしまったが、その誤りであることを知らせてくれたのがハリカメムシの終齢幼虫であった。この終齢幼虫は、また別の機会に紹介することにして、今日は、もっと小さい、多分2齢の幼虫を紹介する。タデの花にいるハリカメムシの幼虫.体長2.5mmで多分2齢体中棘だらけ(2008/08/22) カメムシの卵や幼虫に関しては「図説 カメムシの卵と幼虫」と言う書籍があり、カメムシ上科に属すかなり多くの幼虫の正体を知ることが出来るのだが、ヘリカメムシ科、カスミカメムシ科、サシガメ科、ハナカメムシ科その他に付いては触れられていない。だから、この幼虫が何齢なのか正確には分からないのだが、体長僅か2.5mm、大きさから判断して2齢であろう。斜め前から見たハリカメムシの2齢幼虫.中々カッコイイ(2008/08/22) ハリカメムシの幼虫は成虫よりもずっと特徴的な格好をしている。終齢幼虫も中々厳ついが(何れ掲載の予定だが、その前に見たい方はこちら)、この2齢幼虫の方がもっと凸凹が多く、形の面白さという点では、終齢を凌駕している。真横から見たハリカメムシの2齢幼虫奇妙な形の触角が目立つ(2008/08/22) 先ず、触角の形が奇妙キテレツである。この軍配の様な構造は終齢幼虫になっても変わらない。何故、こんな格好をしているのか、何か特別な機能があるのか・・・、まァ、虫に訊いてみなければ分からないだろう。タデの花軸を歩くハリカメムシの2齢幼虫(2008/08/22) お尻にある棘もスゴイ。側方に3対、背側の腹背盤(臭線盤とも言う、幼虫はこれの両端から匂いを出す)からも2対棘が出ている。更に頭部に1対、胸部にも1対の棘がある。そのまま食べたら、棘が刺さってかなり痛そうである。 お尻をカマキリの若齢幼虫の様に反り返らせているところが中々可愛いが、これも「寄らば刺すぞ!!」との意思表示なのかも知れない。 終齢幼虫の腹部にも棘はあるが、これと較べればずっと温和しい。なお、ヘリカメムシ科の若齢幼虫には、これ程見事ではないが、棘のあるお尻を反り返らせる種類が多い。正面から見たハリカメムシの2齢幼虫(2008/08/22) この幼虫が付いているのはタデ(種は調べていない。高さ30cm程の小型のタデ)の花である。タデという植物は、花弁が散りも萎れもしない間に種子が出来てしまうらしいので、多分、タデの子実が目当てなのであろう。昨年紹介したツヤマルシラホシカメムシもこのタデに来ていた。今年も来ているところをみると、やはりタデが好物らしい。 このWeblogを始めてから、庭に来る虫を1種類でも多くする為に除草を止めてしまった。庭仕事をサボる良い口実が出来た訳だが、御蔭でハリカメムシもツヤマルシラホシカメムシもやって来た。草取りをサボった成果と言える。
2008.08.23
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イトカメムシは既に昨年の秋掲載したが、この時は虫が撮影の途中で行方不明になってしまい、充分撮影することが出来なかった。今回は、ゆっくり撮影出来たので、もう一度掲載することにする。 体長は7mm前後と決して小さくはない。しかし、何分にも体の幅が0.5mmにも達しないので、翅が光を反射でもしない限り、中々目に付かない虫である。葉の上に留まったヒトスジシマカよりも、ずっと目立たない。イトカメムシの成虫。ユスラウメの葉上に居た(2008/08/09) イトカメムシはイトカメムシ科に属し、この仲間は日本にはたった4種しか棲息していない。しかし、イトカメムシは決して珍しい虫ではなく、注意していると彼方此方で見ることが出来る。触角を振り上げジッとたたずんでいる(2008/08/09) 前回はコナラの葉裏に居たが、今回はユスラウメの葉上に居た。葉っぱの上で、写真に示した様な格好をして、微動だにすることなく、一日中たたずんでいた。 以前は植食性とされていた様だが、今では捕食性の強いカメムシとされている。葉の上で一日中微動だにしないと言うのは、カマキリの幼虫と同じ行動である。正面から見たイトカメムシ.妙な顔をしている(2008/08/09) 次の日には、もうユスラウメの葉上には居なかった。しかし、同じ個体か否かは分からないが、フヨウの葉裏にまたイトカメムシを見付けた。フヨウには僅かだが、ワタアブラムシ(ワタムシのワタではなく、繊維植物のワタ)が寄生している。この辺りでは、真夏には珍しいアブラムシである。これを狙ってやって来たのかも知れない。斜め前から(2008/08/09) 写真を拡大してみると(下の写真)、背中にかなり鋭い棘があり、また中肢と後肢の間の体側側にも妙な棘状の構造がある。「日本原色カメムシ図鑑」のヒメイトカメムシの項を見ると、小楯板の「基部に針状の突起がある」と書かれているので、種は異なるが、前者はこれであろう。しかし、この小楯板の突起がイトカメムシ科の全種にあるのかは、調べてみたが分からなかった。上の写真の部分拡大.背中と体側に妙な突起がある(2008/08/09) カメムシ成虫の臭線開口部は中肢と後肢の間の体側側にある。ここから臭い匂いを出す。恐らく上の写真に見える妙な棘状構造は、臭線の開口部を囲む突起であろう。クヌギカメムシ科は全種が臭線の開口部に針状突起を持つが、イトカメムシ科も開口部に特別な構造を持つのかも知れない。
2008.08.14
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今年は昨年と違って時々夕立がやって来る。御蔭で空にしてある蹲踞(つくばい)に雨水が溜まってボウフラが湧いてしまったので、その水を汲み出していたら、足許で茶色い1cm位の虫が飛んだ。良く見ると、ハリカメムシの類である。ハリカメムシ.体長9.0mm(2008/08/09) ハリカメムシはヘリカメムシ科に属し、ヒメハリカメムシやホソハリカメムシとよく似ている。しかし、ヒメハリカメムシは8mm以下と小型で、触角第1節が頭幅とほぼ同じ(短い)なので容易に区別が付く。ホソハリカメムシはハリカメムシによく似ているが、やや小さく、且つ、ハリカメムシよりも細長くて、肩の棘がより水平方向を向いている。また、ハリカメムシには触角第1節の外側に細い黒条があるが、ホソハリカメムシはこれを欠く。横から見たハリカメムシ.肩の棘が目立つ(2008/08/09) ヘリカメムシ科には、ハリカメムシ、ホソハリカメムシ、ヒメハリカメムシが所属するが、「ヘリカメムシ」と言うカメムシは居ない。また、ホソヘリカメムシ科にはホソヘリカメムシが居るが、ヒメヘリカメムシ科にはヒメヘリカメムシ」の和名を持つカメムシは居ない。アカヘリカメムシはヘリカメムシ科ではなく、ヒメヘリカメムシ科に属し、この科にはアカヒメヘリカメムシと言うのも居る・・・。 カメムシの和名は、もう少し整理が出来ないものだろうか。何時も頭がこんがらがって、図鑑で名称を一々確認しないと安心が出来ない。正面から見ると肩の棘は水平より少し上を向いている(2008/08/09) このハリカメムシ、1km程奥にある草原の方に行けばかなり普通に居るが、これまで我が家では余り見たことの無いカメムシである。実は、数日前にも一寸見かけたので、或いは、我が家が気に入って棲み着いているのかも知れない。上の写真の部分拡大.赤い単眼がよく見える(2008/08/09) ハリカメムシはイネ科やタデ科植物に寄生する。しかし、ホソハリカメムシとは異なり、大した悪者ではないらしい。我が家では、雑草として生えているタデ類の子実を吸汁している様である。雑草だから、特に吸汁されて困る様なことはなく、そのまま放って置くことにした。立派な触角がカッコイイ(2008/08/09) 今日は、他にツヤマルシラホシカメムシの幼虫とイトカメムシも見付けてしまった。やはり、今年はカメムシの当たり年の様である。追記:本稿の表題は、始め「ホソハリカメムシ」となっていたが、ハリカメムシの誤りであったので、本分を含めて訂正した。 体長9mmと小型であったのと触角第1節の外側に明確な黒条が認められなかったので、ホソハリカメムシだと早合点してしまった。ところが、今日、タデの花穂上に脱皮直後の幼虫を見付けた。写真に撮ってみたところ、これはホソハリカメムシではなくハリカメムシの幼虫であった。そこで、本稿のカメムシもハリカメムシではなかったかと思い、詳しく調べた結果、ハリカメムシとの結論に達した。 ホソハリカメムシはもう少し細長く、色が薄い。また、肩の棘は殆ど水平を向く。触角第1節外側の黒条は、此処で掲載した写真では不明瞭だが、原画を拡大して見ると、それらしきものが認められた(2008/08/13)。
2008.08.09
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今日はクサギカメムシの初齢幼虫を紹介する。赤と黒の派手な色彩の幼虫である。クサギカメムシの成虫と幼虫(終齢と若齢)は、一昨年に紹介した様に、全体的に黒っぽい地味な色合いである。この初齢幼虫も2齢になるとそれらと同じ黒っぽい色になる。クサギカメムシの初齢幼虫.孵化直後は無色(透明)と黄色で1時間後には無色、青、黒となり、その後赤と黒になる(2008/07/19) 多くのカメムシは、孵化後卵上やその近くに集団をなして留まり、数日を過ごす。この間、餌らしい餌は摂らず、やがて脱皮して2齢になる。 飯を食わないで何をしているかと言うと、見ていてもまるで動かないので良く分からないが、文献に拠れば、卵の表面に付着している「魔法の薬」を食べたり、葉っぱの上に溜まった水を飲んだりしているそうである。上の写真の部分拡大.殆ど真ん丸.体長約1.8mm(2008/07/19) 植物から師管液を吸汁して生きる虫は、自分独りでは生きて行けず、常にある種の細菌と共生する必要がある。師管液に含まれるアミノ酸は量が少なく、また、ヴィタミン類も不足している。更に、アミノ酸を含んでいるからと言っても、必須アミノ酸をバランス良く含んでいる訳ではない。師管液だけでは、栄養不良になってしまうのである。そこで、師管液に比較的多量に含まれている糖類を摂取して必須アミノ酸やヴィタミン類等を産生する細菌と共生する必要が出て来る。アブラムシの場合は、ブフネラと言う共生菌を発生のかなり早い時期に母胎内で供給され、それを体内に飼っている。次の日.卵殻の跨っている個体は居ない卵殻に付いている洋凧の様なものは卵殻破砕器これをどう使うのかは調べても分からなかった(2008/07/20) 先の「魔法の薬」とは、親が産卵時に肛門から排泄したもので、これに子供の必要とする共生菌が含まれているのである。カメムシはアブラムシの場合とは異なり、初齢幼虫の時に親の排泄物を食べて、その中に含まれている共生菌を腸の盲嚢に送り込む。 草食性のカメムシは、師管液よりはずっと栄養価の高い種子を主に吸汁する種類が多い。種子にはアミノ酸はかなり豊富に含まれているはずだが、ヴィタミン類は足らないのかも知れない。或いは、適当な種子の無い時期に師管液や果汁を吸汁して生き延びる為の用意なのだろうか。上の写真で右側に居る個体.昨日より少し伸長し体長約2.2mm(2008/07/20) このクサギカメムシが孵化する一月半ほど前には、ガラス戸に付いていた卵塊2個からチャバネアオカメムシが孵化してきた。我が家としては珍しいことである。今年はカメムシの流行り年かもしれない。
2008.07.31
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先日、朝の散歩から帰ってきたとき、玄関の壁に7mm位の丸い真っ黒な虫が居るのに気が付いた。平らな体で一見ゴキブリの幼虫に似ている。 ヒョッとして、と思い、カメラを持って来て覗いてみると、やはりツチカメムシの幼虫であった。背景が壁のタイルでは写真を撮るのに落ち着きが悪いので、庭の地面の上に移って貰った。ツチカメムシの幼虫(5齢).脚に剛毛が多く一見ゴキブリの幼虫に似る(2008/07/16) この辺りでは余り見ない虫だと思うが、黒光りしているので、注意しないとゴキブリの幼虫や甲虫と間違えてしまう可能性もある。隠れるところを捜すツチカメムシの幼虫(2008/07/16) ツチカメムシの仲間はカメムシ上科ツチカメムシ科に属し、日本では約20種が棲息する。名前の通り、普通は地面の近く、石の下や、草の根ぎわ、落葉の下などで生活するので、余り目に付くことがない。しかし、燈火に飛来し、時に屋内に侵入することもあるので、一応「害虫」とされている様である。 普通は落下した種子や根を吸汁するが、種類によっては他の昆虫を捕食することもあるとのこと。また、植物体に登ってまだ落下していない種子を吸汁する場合もあるらしい。写真の個体は3階まで続く我が家の壁面を一心不乱に登攀中であったが、一体何をするつもりだったのだろうか。暑さで頭がおかしくなったのかも知れない。逃げるツチカメムシの幼虫(2008/07/16) カメムシ君、陽の当たる庭に降ろされて土の上をウロウロ、ウロウロ、少しでも隠れるところがあれば直ぐに潜り込む。こちとらはそれを木の葉で追い立てて撮影する。何回かやっている内に、カメムシ君が哀れになって来た。真横や正面からの写真はまだ撮っていなかったが、数枚撮ったところで解放してやった。
2008.07.27
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最近掲載する昆虫は、どうも表情に欠けるものが多いので、先日、「もう少し可愛気のある虫達を紹介したい」と書いた。其処で今日は、カメムシの中でも3枚目に属すと思われるウズラカメムシを紹介する。 茶と黄色の縞模様だし、頭が尖っていて形も鳥のウズラに似ているので付けられた名前であろう。独特の形をしているが、特別なカメムシではなく、カメムシ科に属すフツーのカメムシである。体長は約1cm。 イネ科植物の穂を吸汁し、時に斑点米の原因にもなるそうである。しかし、「ウズラカメムシ 斑点米」で検索しても10数件しかヒットしないから、大した悪者ではないらしい。地面を歩くウズラカメムシ.体長約1cm.触角が赤い(2008/05/23) 見付けたときは、庭の土の上を歩いていた。一見、殻を剥いたカボチャの種子が落ちているかの如し。マクロレンズで覗くと触角の赤いのが目立つ。 地面の上では背側からしか撮れない。そこで木の葉に乗せてクリスマスローズの葉上に移そうとしたら、突然見えなくなってしまった。 しかし、飛んで逃げた様子はない。何処かに隠れているに違いない。よ~く捜してみると・・・居た!! 土の窪みの中に隠れていた(下の写真)。地面の窪みに隠れるウズラカメムシ(2008/05/23) 細い木の葉で突っついて追い出す。カメムシ君、仕方なく出て来てまたヨタヨタ歩き始めた。早速、クリスマスローズの葉の上に引っ越して貰う。突っつかれて窪みから逃げ出したカメムシ君(2008/05/23) このウズラカメムシ、眼が円らで、カメムシにしては中々愛嬌のある顔をしている。腹側に黒い点々が見える(下の写真)が、気門ではない。気門は各腹板の外縁近くに1つずつある。クリスマスローズの葉縁を歩く.カメムシにしては眼が可愛い(2008/05/23) 愛嬌はあっても、カメムシお得意の「おひけぇなすって」は余り上手ではない。しかし何故、カメムシは止まるときに、片方の前脚を少し上げた儘にするのだろうか。「おひけぇなすって」は余り上手でない(2008/05/23) さて、カメムシ君、クリスマスローズの葉の上を歩いていたら、とうとうその先端に来てしまった。写真を撮る者にとって、カメムシやテントウムシなど歩き回るが飛ぶことも出来る虫がこう言う状態になるのは非常にマズイ。だからと言って、突っついたり、叩き落とす訳にも行かない・・・。葉の先端に来てしまったカメムシ君.この先、どうするか(2008/05/23) 予想通り、この直後にカメムシ君は飛んで何処かへ行ってしまった。 今日は、少しは可愛気のある虫を紹介できたと思っている。しかし、画像倉庫の中には、まだ、アブラムシの有翅虫やキジラミが何種類も入っている。一体どうしたものだろうか?
2008.06.05
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ヨモギヒョウタンカスミカメの成虫は、かなり以前に掲載したが、今日はその捕食の様子と幼虫を紹介する。 舞台はまたコナラの葉裏である。今はもうかなりの葉が黄~茶色になって、1/3位は落ちてしまったが、今日の話はその葉がまだ緑色をしていた頃のことである。ヨモギヒョウタンカスミカメの幼虫.体長約4mm翅の「原基」が明瞭に認められるので5齢であろう.写真の上はテントウムシ幼虫の脱皮殻(2007/11/06) 先ず、幼虫を紹介しよう。以前にも書いた様に、このヨモギヒョウタンカスミカメやヨツボシヒョウタンナガカメムシ等の小さなカメムシは、大きさと言い歩き方と言い一見アリの様に見えるものが多い。成虫の場合は、翅があるのでやや平たく見えるからまだ区別が付くが、幼虫は体に丸味があり、本当にアリによく似ている。実際、コナラの葉裏にはアリも来ているので、何度かアリをカメムシの幼虫と間違えた。 成虫の大きさは翅端まで約5mmあるが、5齢(終齢)幼虫では体長約4mm、下の写真に示した若齢幼虫は3mm弱である。老眼鏡を掛けないとアリとの区別は一寸難しい。ヨモギヒョウタンカスミカメの若齢幼虫.体長約2.7mm(2007/11/06) さて、次は捕食の様子である。カスミカメムシ科にはイネその他を吸汁して被害を与える農業上の大害虫が沢山居る。しかし、中には専ら他の昆虫を捕食するものも居るし、環境によって食性を変えるものも居る。何れにせよ、口吻を突き刺して唾液を送り込み、相手を消化して汁を吸うのだから、カメムシにとっては大した違いでないらしい。何かを捕食している様に見える(2007/11/08) 上が捕食中の写真である。困ったことに、被捕食者が何者なのかが分からない。一見、ヤノイスフシアブラムシ(ヤノイスアブラムシ)の若齢幼虫の様に見えるが、そうではない。詳しくは、後で考察する。上の写真の50秒後.被捕食者が萎んで白っぽくなっている(2007/11/08) 50秒後の写真(上)を見ると、この不明幼虫が萎んでいる。カスミカメに吸い取られたものと判断して間違いないであろう。別の捕食の様子(2007/11/08) 別の捕食の様子を2コマ(上と下)示す。3番目、4番目の写真もそうだが、何れも口吻でただ触っているだけの様にも見える。しかし、カメムシは口吻そのものを突き刺すのではなく、その中にある口針を伸ばして刺すのである。口吻は謂わば口針の鞘に当たる。 これらの他に写真は示していないが、口吻の先がコナラの葉に触れているものもある。葉から吸汁しているのか、或いは、只休んでいるのか、区別は難しい。しかし、3番目と4番目の写真から、少なくとも、ヨモギヒョウタンカスミカメがこの不明幼虫を捕食することがあるのは確かであろう。 「カメムシBBS」に問い合わせたところ、「この属(Pirophorus)の仲間は基本的にアブラムシなどの小昆虫を捕食して生活しているものと思われます」との回答があった。 なお、このヨモギヒョウタンカスミカメの近縁種であるクロヒョウタンカスミカメは、コナジラミその他の吸汁性小昆虫を広範囲に捕食する為、現在、生物農薬としての利用を目指して研究が行われているそうである。口吻の先を被捕食者に付けているヨモギヒョウタンカスミカメの幼虫(2007/11/08) ところで、この捕食されている不明幼虫である。一体何の幼虫であろうか。ヤノイスフシアブラムシの幼虫と似ているが、このアブラムシの幼虫には毛がかなり生えているにも拘わらず、件の不明幼虫には、次の写真に示した通り、毛が生えていないし、背面にある赤色の点列は2列しかない(ヤノイスフシ幼虫では4列)。それに、ヤノイスフシ幼虫よりもずっと小さい。 写真に示したのは、終齢と思われる最も大きな個体であるが、体長僅か0.41mmである。ヤノイスフシ幼虫の方は約1.25mmで、体長にして3倍もある。 この被捕食者が終齢とする根拠は、他のこれよりもずっと小さい同様の形態を持つ幼虫が沢山居り、また、かなり長い期間観察したにも拘わらず、これ以上大きな幼虫個体は見つからなかったからである。不明幼虫の拡大写真(ピクセル等倍).体長0.41mmと小さい葉裏では良く分からないので灰色の厚紙に叩き落としてから撮影した体に目立った毛は無く比較的長い触角と6本の脚が見える(2007/11/12) 終齢幼虫が居れば、その成虫や、種類によっては蛹が見つかって然るべきである。しかし、このコナラの葉裏に見られる怪しげなものと言えば、最後以外の全ての写真に写っている長径0.5mm位の黒くて中央の白い楕円形の「何か」しかない。これは一見ある種のコナジラミの蛹殻に良く似ているのだが、普通のコナジラミの場合は小さなものでも長さ1mm位はある。これはその1/2である。 それに、コナジラミの幼虫は普通は葉に固着して略円盤形をしている。こんなアブラムシの様な6本脚で歩き回る幼虫ではない(この不明幼虫と白黒円盤とは関係ない可能性もある)。 ある種のカイガラムシの幼虫はこの「不明幼虫」に似た形のものもあるらしい。そこで「日本原色カイガラムシ図鑑」で調べてみたが、該当するものはなかった。 そこで、この黒白の円盤も「カメムシBBS」に問い合わせをしたのだが、残念ながら回答は何も得られなかった。専門家も投稿するこのサイトで回答がないのだから、こちとらとしてはもうどうしようもない。精々、来年の夏に辛抱強く観察するほか手が無い様である。 葉裏の世界は難しい。しかし、正体不明のものが色々と有って、妙に好奇心をそそる世界でもある。読者は来年も葉裏の話でウンザリさせられるかも知れない。
2007.12.18
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我が家の庭もすっかり冬の様相を呈し、新顔の虫なんぞもう来ないと思っていたら、昨日の朝、スイレンボクの葉の上に小さなハチの様な虫が居るのに気が付いた。 早速マクロレンズで覗いてみると、ハチではなく、何とヨツボシヒョウタンナガカメムシ(四星瓢箪長亀虫)であった。体長6mm強のナガカメムシ科に属すやや小さなカメムシである。スイレンボクの葉の窪みに這いつくばるヨツボシヒョウタンナガカメムシ(2007/11/25) このヨツボシヒョウタンナガカメムシ、タデやイネ科の雑草の子実を好んで吸汁し、この町の色々な空き地に棲息している。特に、少し奥に行った所にイヌタデやエノコログサ(ネコジャラシ)が沢山生えているところがあり、其処ではこのカメムシが正にゴマンと居る。しかし、我が家にはその様な植物は無いので、来ることはないだろうと思っていた。 屹度前日の夕方、何処かへ移動中に我が家に立ち寄ったのであろう。ヨツボシヒョウタンナガカメムシの顔.単眼を持つと言うが何処にあるのか分からない(2007/11/25) このカメムシも、先日のヨモギヒョウタンカスミカメと同じくアリの様に活発に歩く連中で、形勢不利と見るとスタコラサッサと足早に逃げてしまう。写真を撮る方にとっては、些か厄介な虫なのである。 しかし、まだ陽が射していないので体が温まらず、葉っぱに張り付いてジッとしている。珍しく、写真が撮り易い。陽に当たって元気の出たヨツボシヒョウタンナガカメムシ(2007/11/25) 既に紹介したスカシヒメヘリカメムシ、アカヒメヘリカメムシ、ヒメナガカメムシ等も子実を吸汁するカメムシである。しかし、稲やその他の農作物には余り被害を与えない様で、害虫としては殆ど無名である。 一方、このヨツボシヒョウタンナガカメムシはどうかと言うと、一応、斑点米カメムシとしてその名が知られている。しかし、アカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメの様な「大害虫」ではなく、それ程の悪者では無いらしい。葉の先端に進出したヨツボシヒョウタンナガカメムシ(2007/11/25) その内、スイレンボクにも陽が射してきた。葉っぱに這いつくばっていたのが、段々と体を伸ばし、やがて葉の先端に陣取った。間もなく何処かへ飛んで行くのに違いない。
2007.11.26
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今日は、またコナラの葉裏の話に戻る。 葉裏にはアブラムシが居るので、其処には当然アリも来ている。しかし、一見アリに似ているが、その挙動が何となくおかしい虫が居るのに気が付いた。マクロレンズで覗いてみると、アリではなく、カメムシの1種であった。 体長約5mm、葉裏に居る生き物の中では大きい方。この程度の大きさのカメムシ(カスミカメムシ科、ナガカメムシ科)には非常に足早に歩くものが多く、少し遠目で見ると、アリと区別が付かない。 しかし、成虫の場合、近くから見れば体が扁平なのでアリではないことが分かる(翅の無い幼虫の場合は近くから見ても間違え易い)。ヨモギヒョウタンカスミカメ.体長約5mm.色合いが洒落ている(2007/11/06) 茶味を帯びた赤と黒の下地に白い筋を数本引いて、中々洒落た色柄のカメムシである。 種類を調べると、カスミカメムシ科のヒョウタンカスミカメの仲間(Pilophorus属)であることが分かった。しかし、この属には類似種が沢山居るので、種まで判別するのは容易ではない。斜め上から見たヨモギヒョウタンカスミカメ(2007/11/06) 図鑑では今一つ情報が不足なのでInternetで調べてみると、「農業環境イベントリーセンター」がやっているサイトに「日本産ヒョウタンカスミカメ族の図説検索」があるのを見付けた。 その検索表をたどると、ヨモギヒョウタンカスミカメに落ちた。この種は「カメムシ図鑑」では「主にヨモギ類で発見される。個体数はあまり多くない」と書かれている。しかし、我が家のコナラの葉裏にはかなり居る。 本当にヨモギヒョウタンカスミカメだろうか?真横から見たヨモギヒョウタンカスミカメ.背中に起立毛は認められない(2007/11/06) 一方只のヒョウタンカスミカメは普通種で、図鑑には「多くの落葉広葉樹やときに多年生草本上で生活する」とある。都内の私鉄の駅から僅か250mの我が家のコナラに居るのは、当然、この落葉広葉樹に生活する普通種の方だろう。ところが、こちらは背面に起立毛があるのだが、我が家に居るカメムシには、どの写真を見てもそれがない。触角第2節は筒状で、後脛節は真っ直ぐ、それと触角第3節の半分位が着色しているので、やはりヨモギヒョウタンカスミカメになってしまう。 この検索表が正しいと言う保証はないのだが、まァ、学術論文ではないから、ヨモギヒョウタンカスミカメとしておく。ヨモギヒョウタンカスミカメの顔.この仲間には単眼がない.嘗ては「メクラガメ」と呼ばれたが、差別用語だと言うので「カスミカメ」にかわった(2007/11/06) 今日も、読者には余り興味のない、種の判別に伴うややこしい話になってしまった。最近はどうも、文章がガサガサして、潤いに欠ける。いけませんな!! このカメムシ、植物に悪さをするのではなく、実は、アブラムシを捕食する益虫の様である。捕食の様子と幼虫の写真は、写真の枚数が多くなり過ぎるので、また次の機会に。
2007.11.22
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秋も深まり、内庭の方では新顔の虫はサッパリ。そこで、外庭にあるコナラの葉裏に何か居ないか探してみた。 実はこのコナラの内の1本は元気が悪く、その葉裏には正体不明の微小な虫が正にゴマンと付いているのである。この奇妙な虫は、多分カイガラムシの1種ではないかと思うが、現在調査中である。もう1本のコナラは元気だが、葉裏には淡緑色のアブラムシがかなりの数付いている。 これらの葉裏に居る虫を目当てに、色々な捕食者や寄生者がやって来る。しかし、何れも甚だ微小で始末が悪い。ところが、少し大きな虫も現れた。まず、これから紹介しよう。 イトカメムシ、カメムシ目イトカメムシ科に属すカガンボの様なカメムシである。イトカメムシ.体長約6.5mm(2007/11/07) 体長は6.5mmあるが、体の幅は一番太い胸部で僅か0.6mm半、それに合わせてか、触角も脚もまた矢鱈に細くて長い。 肉眼的には細過ぎてよく見えない。羽が光を反射して線状にキラリと光るので、その存在が分かる程度である。上の写真の部分拡大.中肢の後肢の間に奇妙な突起が見える.何だろうか??(2007/11/07) 写真映りは良い方なので、部分拡大を上に示した。中々面白い顔をしている。普通のカメムシよりは、以前紹介したクサカゲロウの1種に似ている。横から見たイトカメムシ(2007/11/07) 横からも撮ってみた。一寸ユウレイグモやザトウムシの様な雰囲気がある。頭部は、上から見るのとはかなり感じが違うので、その部分拡大を下に示した。上の写真の部分拡大(2007/11/07) このイトカメムシ、図鑑では種々の植物に寄生する、と書いてあるが、実際はかなり捕食性が強いらしい。居たのは元気の悪い方のコナラの葉裏で、葉っぱはもう殆ど病的な状態になっており、1/2は枯れて残りも黄色くなっている。こんな萎れたような葉を吸汁するとは思えないから、多分「正体不明の虫」の幼虫でも捕食していたのではないかと思われる。 被写体としては中々面白いのでもう少し撮りたかったのだが、裏返した枝の一部が跳ねっ返たとき、カメムシ君、そのショックで下の茂みに落下して行方不明になってしまった。後悔先に立たず。追記:イトカメムシは珍しい種類ではないが、写真が特に良く採れているので、別のサイトに1024×768ドットの写真を掲載した。御笑覧被下度候(2007/11/10)。
2007.11.08
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セイタカアワダチソウに集まる小さなカメムシを既に2種紹介したが、もっと小さなカメムシもやって来た。ヒメナガカメムシ、ナガカメムシ科に属す体長4mm程度のカメムシである。 小さいのと翅が透明なので、一見したところは小さなハエと言う感じ。とてもカメムシとは思えない。ヒメナガカメムシ.体長約4mm(2007/10/23) カメムシではなく、ハエと思われるとどんな利点があるのか良く分からないが、頭部の形も眼が大きくて、ハエに擬態しているのではないか、と思わせる。 しかし、まァ、これは人間の勝手な推測と言うものであろう。ヒメナガカメムシ.肉眼ではハエの様に見えるが、ハエの触角は短い(2007/10/23) この様な小さなカメムシは、往々にして稲作その他の農業上の害虫として駆除の対象になる。しかし、このヒメナガカメムシも、既に紹介済みのスカシヒメヘリカメムシ、アカヒメヘリカメムシも、イネ科、キク科などに寄生するにも拘わらず、害虫としては重要な存在ではないらしい。Internetで検索しても、悪者としては殆ど登場していない。斜めから見るとやはりカメムシ的(2007/10/23) セイタカアワダチソウの花期も終わりに近づき、「北米原産シオンの1種」の花も昨日の雨ですっかりショボクレてしまった。我が家の庭も兪々晩秋めいて来た様である。 明日より数日間、7年ぶりの一寸した旅行に出る。このWeblogも暫しの休みとなるので、御承知被下度候。
2007.10.28
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バラの柵の中に生えて来たセイタカアワダチソウをその儘にして置いたのは正解の様である。また、違う種類のカメムシがやって来た。 先日のアカヒメヘリカメムシに近い(しかし、別属の)スカシヒメヘリカメムシである。スカシヒメヘリカメムシ.体長約6mm眼が円らで可愛い(2007/10/23) アカヒメヘリは約体長8mmで肉眼でもカメムシと判別できたが、このスカシヒメヘリは体長約6mm、一見しただけでは一寸何だか分からなかった。羽が透き通っている(2007/10/23) 世間で話題になるカメムシの多くはカメムシ科に属し、肉眼でも識別が出来るものが多い。しかし、カスミカメムシ科やハナカメムシ科には、体長2~3mm位の種類がゴマンと居るし、その他の科にも小型のカメムシは沢山いる。 このスカシヒメヘリカメムシの属すヒメヘリカメムシ科も、アカヘリカメムシ以外はみな体長1cmに満たない小型の種類ばかりである。真っ正面から見たスカシヒメヘリカメムシ花粉が沢山付いている(2007/10/23) 実のところ、昨年「日本原色カメムシ図鑑」を買うまでは、この手のカメムシは「種判別不能」として意識の埒外に置いていたのである。それが、図鑑とマクロレンズの御蔭でかなりの程度判別可能になった。 そう言う「武器」を持って改めて周囲を眺めてみると、ある種の植物の花や未熟な種子には実に多くのカメムシが吸汁に来ていることが分かった。残念ながら、我が家でカメムシが沢山来る植物はセイタカアワダチソウ位なものだが、1km程奥の方に沢山生えているオオイヌタデの花等には、カメムシが正にたかる様に付いていた(もう一つのWeblog参照のこと)。真横から見たスカシヒメヘリカメムシ毛が多い(2007/10/23) 子供の頃から虫に親しんで来たが、この年になって漸く気が付く虫の世界も間々有るものである。何事も、分かったつもりになること程恐ろしいことはない。
2007.10.25
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我が家の南面は金網の柵になっていて、其処に20mに亘ってツルバラが絡んでいる。バラの花は6月で今は葉ばかり、しかし、その間からセイタカアワダチソウの黄色い花穂が数本顔を出して僅かに彩りを添えている。3~4年前から「棲み着いて」居る雑草だが、花は結構綺麗だし、虫集めにもなるのでそのままにしている。 虫にも色々好みがあるらしく、花に集まる虫の種類は一様ではない。セイタカアワダチソウには蝶は余り来ないが、ハチ、ハエ、カメムシ、それとルリマルノミハムシはこの花がお好みの様である。 先日、その黄色い花に、小さなカメムシが1頭来ているのを見付けた。セイタカアワダチソウに花に留まるアカヒメヘリカメムシ(2007/10/20) 体長8mm程度の小さなカメムシである。この類の虫は、マクロレンズで覗いただけでは一寸種類が分からない。データをコムピュータに移して拡大してみると、ヒメヘリカメムシ科のアカヒメヘリカメムシであった。横から見たアカヒメヘリカメムシ(2007/10/20) 同じヒメヘリカメムシ科に属すスカシヒメヘリカメムシの赤色型とよく似ているが、小楯板の後端に白斑がないし、結合板(翅の横から微かに見えている腹節)の模様が異なるので区別が付く。スカシヒメヘリカメムシは、この辺り(東京都世田谷区)でも少し奥の藪や草原のある所へ行くと、タデの花穂等に集っている最普通種である。しかし、アカヒメヘリカメムシは少ない。それが住宅地のど真ん中にある我が家に居たのだから少し驚いた。アカヒメヘリカメムシの顔.花粉が沢山付いてよく見えない.セイタカアワダチソウが虫媒花であることが良く分かる(2007/10/20) 10月中半を過ぎて、我が家の庭に来る虫の種類はごく少数に限られてしまった様だ。しかし、前述の「少し奥の藪や草原のある所」へ行くと、まだ、実に多くの虫が見つかる。そんな訳で、最近はもう一方のWeblogの更新に忙しい。このWeblogの更新が無い日には、その「もう一方」を更新している可能性が高い。
2007.10.23
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昨日は、夏にも拘わらずネタ切れと言う失態を演じてしまった。其処で今日は朝から狭い庭で虫探し。何とか2~3種を見付けることが出来た。今日はその中から、ツヤマルシラホシカメムシ(艶丸白星亀虫)、またの名をムラサキシラホシカメムシ、を紹介する。ツヤマルシラホシカメムシ.背中の1対の大きな白斑が商標(2007/08/24) 小さなカメムシである。体長5mm、体が丸く、小さい割に厚みがあるので、遠くから見るとまるでテントウムシの様に見えた。しかし、タデの花に集っているのだからハムシかも知れない、と思ってマクロレンズで覗いてみたら、何れとも異なるカメムシであった。ツヤマルシラホシカメムシの仁義.他のカメムシと較べると御上品.脚全体に小さな黒斑がある(2007/08/24) タデの花から汁を吸っているらしい。先日のオオツマグロヨコバイもそうだが、やはり花は師管液の出が良いのであろう。人は、ヤシ酒を作るのに、ヤシの花梗を切って出る師管液を集める。花から師管液が出易いことを利用している点では、人間もカメムシも同じである。倒れたタデの花の上を歩くツヤマルシラホシカメムシ.このカメムシの小ささが分かる(2007/08/24) これまでに掲載したカメムシは今日のツヤマルシラホシカメムシを入れてたったの5種、ハムシも5種、一方ヒラタアブは8種で、まだ未掲載のが1種あるので全部で9種。これは、我が家の庭の植物相がどれだけ貧困かを示していると同時に、如何にアブラムシが多いかを示しているような気がする。些かメゲる話ではある。
2007.08.24
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今年、我が家の庭では、テントウムシとヒラタアブ類が随分と多く、毎年かなり見るはずのカメムシは何故か殆ど見なけない。先日のアカシマサシガメを除くと、まだたったの1頭だけである。その唯一のカメムシが、このチャバネアオカメムシ。カメムシ目カメムシ科の臭いカメムシである。 このカメムシや、以前紹介した中世の騎士の様なクサギカメムシは、屡々我が家の庭に現われる、謂わば常連のカメムシと言える。何れも果実の汁を吸うのが好きなカメムシで、果樹園では大の嫌われ者である。チャバネアオカメムシ.如何にも臭そう(2007/05/16) 以前クサギカメムシを紹介した時には、デュランタ・タカラズカの花から汁を吸っていたが、今、我が家にはハナモモとボケの実が沢山なっているし、トベラにもかなり果実が着いているので、それが御目当てなのだろう。何れも、食べるための果実ではなく、その内落果する運命にあるから、カメムシ君達に食べて貰っても一向に差し支えない。正面から見たチャバネアオカメムシ.何となくヤクザっぽい(2007/05/16) カメムシと言う虫は、正面から見るとどうもヤクザっぽい。アカスジキンカメムシの時は前肢を途中まで上げ、しかも内側を上にしていたので、正に「おひけぇなすって」と言う感じだったが、別に前肢を上げないでも何となく柄が宜しくない。少し脚が曲がっており、人間で言えば中腰になっているので、そう見えるのだろうか。 本当は、カメムシの外骨格に基本的な構造上の欠陥があって、カメムシ君達は慢性的な腰痛、否、腰はないから、関節炎に悩まされているのかも知れない。
2007.06.12
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少し前のことになるが、我が家のカナヘビ君達の一匹が落ちていた簡易雨量計(只の円筒形の屑籠)に、赤いサシガメのような虫が落ちていた。もう少し正確言うと、一度落ちて這い上がる途中で止まっていた。全く動かず、死んでいるかの如くであった。 「雨量計」を逆さにすると、スレートの上に落ちたまま、やはり動かない。どうやら本当に死んでいる様である。しかし、綺麗な虫なので後で同定しようと思い、クリスマスローズの葉に載せて写真を撮っていたら、段々動き始めた。 死んだ真似、と言うよりは、気絶していたらしい。真上から見たアカシマサシガメ.体長15mm弱、腿が太い(2007/05/03) 赤と黒の模様で中々大人っぽい柄をしている。真っ赤な胸部の背側に十字に掘られた黒くて深い溝がある。胸は頭部に向かって余り窄まらず、かなり「怒り肩」になっている。こんなサシガメいたかいな?? その内、身繕いを始めた。「雨量計」の底に溜まっていた雨水で濡れたらしい。後で写真を良く見てみると、中肢と後肢の両方を使って翅を擦っている。先日のキイロナミホシヒラタアブではないが、随分器用な奴。身繕いをするアカシマサシガメ.中肢と後肢の両方を使っている(2007/05/03) 身繕いが済むと、翅を広げて何処とも無く飛んでいってしまった。もう少し撮りたかったのだが・・・。横から見たアカシマサシガメ.首が長く胸部が盛り上がっている(2007/05/03) さて、この虫、本当にサシガメか? 調べてみたらやはりサシガメで、アカシマサシガメと言う種類であった。サシガメ類はカメムシの仲間だが、植物の汁を吸うのではなく、昆虫その他の小動物の体液を吸う。「サシガメ」とは「刺すカメムシ」の意。刺す時に毒液を注入するので、アシナガバチ類に刺された程度に痛いとのこと。首の長いカメムシを見たら御用心。 このアカシマサシガメ、葉の上ではなく、地表を徘徊してヤスデ類を好んで捕食すると言う。それならば、クリスマスローズの葉に載せて写真を撮ったのは一寸マズかった。不適切な「やらせ」になってしまった。
2007.05.29
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先日、網戸に妙な虫がとまっているのを見付けた。球を削いだ様に真ん丸で、直径は1cm強、模様は黒と白の染め分けだが、青色の反射光を放つ。 良く見てみると、カメムシの幼虫である。大きさからして終齢であろう。黒の中に焦げ茶の部分があり、また、白い部分も少し黄色みがかっている。 網戸にとまっていたのだから、本来何の木に居たのかは分からない。写真を撮るのに背景が網戸では無粋なので、クリスマスローズの葉の上に移って貰った。アカスジキンカメムシの終齢幼虫(2006/10/19) 中々綺麗な虫である。カメムシの中には極彩色で、時に綺麗を通り越してケバケバしい位派手な色彩のものも居るが、これはもっと渋い色合いをしている。何か言いたげなアカスジキンカメムシ(2006/10/19) 「日本原色カメムシ図鑑」で調べてみると、アカスジキンカメムシの5齢(終齢)幼虫であった。 キンカメムシ類の成虫は金属光沢を放つ種類が多い。このアカスジキンカメムシも成虫になると金緑色の光沢の中に赤い複雑な形の模様を持つ様になり、一名「歩く宝石」とも呼ばれるとのこと。しかし、標本にすると金属光沢は失せてしまうそうである。カメムシの仁義.おひけぇなすって・・・(2006/10/19) まだ幼虫なので、金緑色の光沢はないが、それでも撮影中にその渋い色合いを充分色を楽しむことが出来た。真横から見たアカスジキンカメムシ.腹側は真っ平ら(2006/10/19) 横から見ると、正に球を削いだ様で、腹側は真っ平ら。 写真をシッカリ撮った後、アカスジキンカメムシ君には他のカメムシもよく来ているデュランタの方に移って貰った。クリスマスローズは毒草なのである。
2006.11.07
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デュランタ・タカラズカは虫集めに植えてあるようなもので、蝶や蜂ばかりでなく、このクサギカメムシや先日のクロウリハムシの様な「害虫」までやって来る。 先日、トベラの葉裏にクサギカメムシの成虫がいるのを見つけた。春から良く見るカメムシで、普段はハナモモの実に悪さをしているらしいが、今はもうモモの実はない。トベラはボケの隣に植わっているので、此奴はボケの実が目当てなのかもしれない。トベラの葉裏にとまるクサギカメムシの成虫(2006/09/17) しかし、一昨日デュランタの花を食害しているクサギカメムシの幼虫を見つけた。犯行現場の証拠写真を下に示す。吻を花の基部に突き刺し汁を吸っているのは明らかである。デュランタの花に吻を差し込んでいるクサギカメムシの幼虫(2006/09/25)クサギカメムシ幼虫の犯行現場その2(2006/09/25)クサギカメムシ幼虫.後ろ姿で犯行の様子は隠れて見えない(2006/09/25) まァ、デュランタの花は沢山着いているから、ケチケチすることはあるまい。それにしてもナカナカ厳つい格好で、西洋中世の騎士を思い起こさせる。カメムシにしては威厳があると言える。デュランタの葉にとまるクサギカメムシの幼虫.上の個体よりは若齢(2006/09/25) 別にもっと若齢の幼虫を見つけたが、これはまだ余り貫禄がない。修行中の身らしい。 何れにせよ、デュランタと言うのは色々虫が集まるようで、まだ掲載していないものも幾つかある。虫のお好きな方は、デュランタ・タカラズカを植えるのが宜しかろう。
2006.09.27
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