ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2009.05.15
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カテゴリ: 民衆の歴史
イギリスの庶民生活(7)  パブと飲酒…15

パブは様々な出会いの場でもありました。また庶民にとっては、日常生活の雑多な必要を満たしてくれる場でもありました。

労働者にとっては、パブは労働組合の事務所代わりでしたし、友愛協会の例会の場でした。そしてパブの経営者であるパブリカンが、積立金の管理責任者となっているケースも多かったのです。このシリーズでも綴った、葬儀費用の積立金幼児殺人事件に関する保険金の支払いも、パブで行われたのでした。そしてパブは、職業紹介所の役割も果たしていました。

こんな調子でしたから、工場労働者の1週間の賃金も、しばしばパブで支払われていたのです。これは問題でした。居酒屋やバーが賃金の支払い場所で、ご自身が酒の目のない方だったとすると、どうなるかは簡単に想像できます。月給システムで、会社で給料を受け取っている場合でも、自宅までまっすぐ帰りつくか否かは、「三丁目の夕陽」の時代においてすら、大きな問題だったのですから…。 その意味で給料の銀行振り込みが、果たした役割は大きかったというべきなのでしょうね。

当時の識者はこんなことを描いています。
「土曜の夜遅く、しかもパブで職人に賃金を払うやり方だと、彼は1日の仕事でクタクタになっているものだから、どうしてもそのまま居座ってしまうか、馴染みのタヴァーンに足を向けることになってしまう。暖かな暖炉のそばで、時間はあっという間に経ってしまう。おかみさんが亭主の賃金を心配して探しにやってくる頃には、賃金のかなりの部分が飲み代に消えてしまっていることになる。」と。

節酒運動家が問題にしたのは、こうした下層階級の実態にありました。ですから、彼らの二重基準にも、彼らなりの意味があったことは事実なのです。しかし、彼らが遂に理解することがなかったことは、それでは飲酒に替わる、健康的であまり財布の負担にならない楽しみを、激しい肉体労働で日々疲れ切っている労働階級に提供することだったのです。

労働者と飲酒との関係が、次第に整理されていくのは、労働者階級をひきつける健康的なレジャーが登場し、その苦しい生活状況も少しづつ改善し始める、19世紀末のことだったのです。
                                続く





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最終更新日  2009.05.15 13:04:35
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