今年の漢字は「輪」と決まったようですな。
東京五輪の「輪」、応援の「輪」とか人の「輪」とかの意味なんでしょうが、こちらも銀輪散歩、銀輪家持にてあれば、やはり「輪」でありますので、喜ばしいことにて御座候(笑)。
さて、万葉集に「輪」があるかと言うと、思い付くのは「面輪」という言葉でしょうか。こちらは、五輪とも銀輪とも関係なく「顔面」のことである。今でも「顔の輪郭」などと言いますな。
桃の花
紅
色に にほひたる
面輪
のうちに
青柳
の 細き
眉根
を
笑
みまがり 朝影見つつ
娘子
らが 手に取り持てる まそ鏡
二上山
に
木
の
暗
の 茂き
谷辺
を 呼びとよめ 朝飛びわたり
夕月夜
かそけき
野辺
に はろはろに 鳴くほととぎす 立ち
潜
くと
羽触
れに散らす
藤波
の 花なつかしみ 引き
攀
ぢて
袖
に
扱入
れつ
染
まば染むとも (大伴家持 万葉集巻19-4192)
<
桃の花が紅色に輝いている、そのような顔に、青柳のような細い眉根を下げて微笑し、朝の姿を写し見つつ、少女たちが手にしている鏡の、箱のふたではないが、その二上山に、木陰が暗くなるほどに茂った谷のあたりを鳴き声を響かせて朝に飛び渡り、夕月の光がかすかに照らす野辺に遠くはるかに鳴くほととぎすが、その下を飛びくぐっては、羽が触れて散らす藤の花がいとおしくて、それを引き寄せ袖にたくし入れた。袖が花の色に染まるなら染まってもよいと。>
万葉集巻9-1807の、高橋虫麻呂が「葛飾の真間の手児奈」を詠んだ長歌にも 「・・ 望月の 満 れる 面輪 に 花 のごと・・」と「面輪」が出て来るが、全文引用は「面倒」なので、止めて置きます。
「輪」にかこつけての記事でした。
こういうのを「我輪引説」と言いますな(笑)。
<追記>
(2013.12.15.)
当記事に恰好の写真でありますので、下記に追加で掲載させて戴きました。これは、「我田引輪」ですな。
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