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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」もいよいよ第15夜。今宵最初に取り上げるのは、日中戦争(中国では抗日战争(抗日戦争)、略して抗战と呼ばれている)時代の上海灘の5人の美しい女優たちの栄枯盛衰と恋愛物語を描いたドラマなのであるが、高虎が演じているのは何と日本軍総司令官!但し日本語は一言も喋らないけど。でもって当然ながら敵国の人間なので悪いヤツなのである。よく日本人役を引き受けてくれたよ、ホント。 「暴雨梨花」[08] 全40話 前夜祭で触れたとおり、このドラマの監督は「雪山飛狐」と同じく “香港バカ映画界の巨匠” とかつては言われていたバリー・ウォン(王晶)。ゲスト出演の高虎は冷酷な日本軍司令官・池田をそれはそれは格好よく演じているのであるが、こんなにシュッとしたイケメン司令官が当時の日本人にいるわけない!知らんけど。 これによりモバイル新聞読者クラブと映画愛好家が共同で主催する “金π奨(ゴールデン・パイ賞)” の栄えある第1回 最喜愛的数字電影演員奨(最も人気のあるデジタル映画俳優賞)を受賞 おめでとう! このドラマで池田司令官の愛人となる、目的のためなら手段を選ばない女優・聂冰を演じているのがクリスティ・ヨン(楊恭如)。「永遠の道士様! ラム・チェンイン(林正英)祭」第28夜で取り上げた「霊幻道士(殭屍道長 II )」(96年に香港で放送されたTVシリーズ)の「幽女編(燈蛾撲火)」で蛾の妖怪三姉妹の長女・盈盈を儚く演じた、あの美しいクリスティ・ヨンが高虎の愛人役だなんて!クリスティ・ヨンを軽々とお姫様抱っこする高虎…嗚呼、眩しすぎる 眼福 「英雄栄耀」(英雄荣耀)[10] 全26話 「英雄栄耀」は中国共産党雲南省委員会宣伝部などが制作した軍事ドラマで、雲南省公安国境防衛隊が大規模な麻薬密売事件に立ち向かう物語だ。 高虎が演じているのは彩雲医薬研究所の教授・陳天瑞。麻薬密売組織に人質に取られた天瑞はこのドラマの主人公である女性国境警備隊員の楊欣欣に救出され、彼女に一目惚れしてしまう。何やかんやあって天瑞は警察の潜入捜査官として麻薬密売組織に潜入することに同意。潜入先で正体を疑われた天瑞は拷問を受けたりしたものの、何とか疑いを晴らして重要な手がかりを楊欣欣に伝え、麻薬密売組織の完全解体につながる重要な証拠を入手するのを助けた。最終的に麻薬王は逮捕され、楊欣欣はハイチの国連平和維持警察の政治委員に任命された。そして天瑞は軍隊に入隊し、軍服姿になった天瑞は楊欣欣の新たな旅立ちを見送るのであった。 このドラマは配音(吹替)ではなく高虎の地声が聞けるのも嬉しいが、白衣姿や軍服姿、拷問姿(というか水牢みたいな感じ)まで見られるのもファンにとっては有難い。 楊欣欣に一目惚れした天瑞は何とか彼女の気を引こうとプッシュしまくるのだが、彼女は国境警察署長の張奇路と恋仲であり、張奇路は彼女の危機に身を挺して庇ったせいで頭を撃たれて一時は植物状態に陥ってしまう。何とか生命は取り留めたものの脳の機能は(おそらく)回復しておらず、それでも最終話で彼女は車椅子に乗って無表情の張奇路と結婚した。可哀そうな天瑞…。
2026.07.19
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」第14夜目の今宵取り上げるのは、07年に放送された「成都、今夜請将我遺忘」。 原作は02年にネット上で連載されて爆発的ヒットを記録した慕容雪村によるオンライン小説「成都、今夜請将我遺忘」。01年の成都を舞台に、急激な経済発展を遂げる大都会の濁流に呑まれて自ら進んで堕落し、倫理を失っていく若者たちの残酷なリアルを描いて大反響を巻き起こした。ドラマ化するにあたりタイトルも「都是愛情惹得禍」となったようだが、おそらく「成都…」の呼び名の方が一般的かも――ってよくは知らんけど。 現代劇であるため配音(吹替)はなく、何と嬉しいことにED曲(片尾曲)「今夜請将我遺忘」も高虎自身が歌っている。甘く優しい歌声がたまらん… 高虎ファン必見のドラマだ。 「成都、今夜請将我遺忘」[07] 全24話 「都是愛情惹得禍」 Chengdu、leave me alone tonight 保険会社の営業部長である陳重は30歳。雑誌社に勤める妻の趙悦とは結婚して7年になる。大学卒業後、陳重は両親と輝かしい将来を捨てて北京から趙悦を追って成都に来たものの、その情熱はすっかり過去のものとなっていた。学生時代からの親友である李良、王林との友情は今も続いており、李良は出版社のおエラいさん(経営者っぽいけどよく分からない)、王林は陳重と同じ保険会社勤務で妻子もいて、陳重夫妻と同じ集合住宅(社宅?)でお向かいさん同士だ。陳重は本社から代表昇進の話も出て、そのうえ昨年購入したマンションも完成し(※)前途洋々であった。(※中国の新築分譲マンションは内装なし・水回り設備なしの状態で引き渡されることが一般的。購入者は鍵を受け取った後、自費で配管工事、床材の張り替え、壁紙、キッチン・お風呂の設置などを全て手配してリフォームしなければならない) そんなある日、陳重が車を運転していると突然後ろから追突された。追突してきたのは美しい女性・叶梅。この事故が縁で叶梅は陳重の顧客となり、陳重は彼女の気を惹くために軽い気持ちで保険契約の金額を改ざんし、特例を設けてあげた。御礼にと飲みに誘われた陳重は酔い潰れ、目覚めるとホテルのベッドの中だった。全く記憶にない不倫の後、陳重は趙悦に対して深い罪悪感を抱いたが、そんな慌てる陳重を叶梅は嘲笑した。 一方、何も知らない趙悦は同僚の林茜からリフォーム会社を紹介されるも法外な値段に躊躇し、結局大工の従弟を呼んで手伝ってもらうことに。 ある時、李良の恋人披露パーティーに招待された陳重は、彼がネットで知り合ったという恋人・叶梅を紹介されて愕然とする。その夜、李良から叶梅を自宅に送るよう頼まれた陳重が仕方なく車で送っていると、彼女は途中で突然車から降りてタクシーを拾って一人で帰った。その後、李良から彼女を無事送り届けてくれたことへのお礼の電話を受け、陳重は訳が分からなかった。 後日、叶梅から連絡があって彼女から妊娠したと告げられた陳重は、出張を口実に叶梅を楽山(成都から約120km)へ連れて行き中絶手術を受けさせた。罪悪感を覚えた陳重は具合が悪そうな叶梅に自分の上着を羽織らせ、その夜はホテルの別々の部屋で休んだ。陳重の上着に入っていた携帯電話に趙悦から電話があったが、叶梅はわざと電話を切った。電話を切られたことに不安を覚えた趙悦は夜半にも拘らず向かいの王林に陳重の居場所を尋ね、楽山中のホテルに電話してついに宿泊先を探し当ててタクシーで向かった。翌朝、叶梅から携帯を返され、趙悦から連絡があったことを知らされ困惑する陳重。更にフロントで趙悦が自分が宿泊しているか尋ねているところを目にし、慌てて売店で酒を買って猛ダッシュで部屋に戻り、酔ったふりをして何とか誤魔化した。 陳重は会社で代表争いに敗れ、趙悦もマンションリフォームで従弟が費用をちょろまかしていたことが判明したため、彼を追い出した。陳重と趙悦はリフォーム中の乱雑に散らかった部屋で大喧嘩してしまう。 ある日、病欠の同僚の代わりにIT会社へインタビューしに行った趙悦は、その会社の有能なオーナー・楊濤が高校時代の同級生だったことに驚く。有能で落ち着きがあり、将来有望な楊濤は陳重とは真逆のタイプだった。 一方、新たに会社の代表となった董経理(陳重たちは陰で「董胖子(董のデブ)」と呼んでいる)の倫理的な問題を耳にした陳重は、董胖子を陥れるため夜中に車で張り込み、董胖子が若い女の子を連れて建物内に入ったところで誰かが麻薬を使用していると虚偽の通報を警察に行い、同時に李良を騙して新聞社の知人に連絡を取らせた。翌朝、意気揚々と出社した陳重であったが、意外にも董胖子は涙ながらに深々と頭を下げて謝罪し、陳重の仕業だと知った部下の徐引や王林からは遣り口が悪質だと非難された。 後日、李良が皆を夕食に招待し、叶梅と近々婚約すると発表。叶梅は趙悦を花嫁介添人に指名した。帰宅した陳重は叶梅に電話し、これ以上問題を起こさないよう懇願したが、叶梅はこれはまだ始まりにすぎず、本当のショーはこれからだと答えた。案の定、数日後に陳重が重要な契約に署名しに行った際、相手側から過去の不正行為記録を提示された。証拠として出された保険契約書は、以前陳重が叶梅のために金額を改ざんして作成したものだった。 結局董胖子は人事部に格下げになっただけで、逆に陳重はクビになったうえ契約改ざんによって会社に与えた損害20万元を請求される羽目に(後に李良が肩代わりしてくれたおかげで刑事処罰は免れた)。さらには叶梅の巧妙な罠に掛かった趙悦が陳重と叶梅の浮気を疑うようになり、離婚を要求。そして李良も車で叶梅を家まで送った際、彼女がわざと車に携帯電話を置き忘れたことで、着信履歴から陳重が叶梅を誘惑していると勘違い。陳重を呼び出して殴りつけた。 趙悦の離婚の意思は固く、挽回の余地はなさそうかに思えたその時、趙悦の母親が突然重篤な症状に陥って入院。手術代が必要になるも無職(クビになった理由のこともあって趙悦には秘密にしている)の陳重とリフォーム代が嵩んで金欠の趙悦夫妻にお金はなく、陳重は何とかしようと知り合いに片っ端から電話を掛けまくるも相手にされない。聞きつけた大林は李良に相談するが、叶梅のこともあって断られたため、妻が必死に止めるのも聞かず通帳を持ち出し、金を下ろして陳重に届けた。だが既に手術代は支払われており、それは李良からであった――。 この後も怒涛の展開が続くのだが、詳しく書くとキリがないので一旦ここでストップ。機会があればまたこのドラマについて詳細を綴りたい。 原作は救いのない物語で、陳重は根っからのクズ男として描かれている。このドラマのような熱い友情など微塵もなく、大林は汚職まみれの警察官、李良はクスリに溺れ、陳重はといえば大林を利用しようとして逆に大林の恨みの巻き添えを食うかたちで滅多打ちにされて命を落とすという、かなり悲惨な末路を辿る。 だがドラマ版では大号泣のハッピーエンドで幕を閉じる。叶梅との仲を疑い、陳重のことを信じられなくなった趙悦は離婚を選択したものの、陳重の情熱や真心を思い出し、北京に帰ろうとしていた陳重の胸に飛び込む。また、復讐のために李良に近づいた叶梅は、善良な李良や李良父が事情を知ってもなお待ち続けてくれていることを知り、元来の心優しい子として彼らの元へと戻る。 ドラマでは毎回冒頭で陳重が前回までの自分の心情を、最後に趙悦がこの回の自分の心情を語っており、夫婦の心境が知れて面白い。そして最後に流れる切ないED曲を陳重(を演じている高虎)が歌っているというのも素晴らしい。 陳重役の高虎と同じく、趙悦を演じている秦海璐(チン・ハイルー)も中国最高峰の演劇教育機関である中央戯劇学院の表演系(俳優養成コース)出身ということで、二人の確かな演技力がよりリアリティを感じさせ、本当にどこにでもいるような夫婦のようだ。 でもって百度(Baidu)情報によると、高虎はドラマの撮影中に毎日四川話(四川の方言)を練習していたのだとか。中国語(普通話)自体が分からないので方言で話しているかなど全く分からなかったが、田舎の素朴な感じがよく表れていた趙悦母なんかはずっと四川話だったのだろう、きっと。この趙悦母は娘が夫と何度喧嘩しようとも一貫して陳重の味方であり続けてくれた、それはそれは優しいお母さんであった。 このドラマは何度もGoogle Geminiに場面の説明や今後の展開、台詞の意味などを質問しながら視聴したので、Geminiと一緒に視聴したと言っても過言ではない。元々がネット小説ということもあるのか、結構詳しく教えてくれた(勿論、回答の全てが正しかったわけではなかったが)。視聴する前にGeminiが「超弩級の傑作」と教えてくれたが本当にそのとおりで、高虎ファンにとっては間違いなく超弩級の傑作といえよう。
2026.06.29
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」第13夜の今宵は中国で07年に、日本でもチャンネルNECOで08年に放送された金庸の武侠小説が原作のドラマ「碧血剣」。 高虎の金庸ドラマ出演は03年放送の「天龍八部」、06年の「神鵰俠侶」に続き3作目。「天龍八部」では心優しい少林僧・虚竹、「神鵰俠侶」ではモンゴルの王子で悪役の霍都を演じているが、「碧血剣」では明の第17代にして最後の皇帝となった崇禎帝役。 ちなみに明の皇帝を演じるのも3作目で、04年の「大明王朝驚変録」で第7代・景泰帝、05年の「大明天子」では第2代・建文帝を演じている。崇禎帝は建文帝や景泰帝より在位期間が長かったからか、はたまた演じ慣れたからなのか、今作では前2作と比べて皇帝としての風格が出ているようにも感じられるけど、結局は明王朝を滅亡させた暗君という悲しい役どころだ。 「碧血剣」(碧血剑)[07] 全30話 第11夜で取り上げた06年放送の金庸原作武侠バカップルドラマ「神鵰俠侶」のスタッフが引き続き製作したドラマと聞くと視聴する気も失せそうだが、「碧血剣」はCGを極力抑えた演出を心掛けたとかで結構見やすい。でもって今作でも世界遺産(複合遺産)に登録されている武夷山などでロケを行っているため、映像美は相変わらず素晴らしい。 明朝末期の崇禎年間、政府は腐敗しており、忠臣の袁崇煥は冤罪を着せられて処刑された。彼の息子・袁承志は華山派に入門して本格的に武芸を学び、父の復讐を誓う。成長した承志は下山して反乱軍の指導者・李自成に協力し、明を滅亡に追い込む。李自成は順王朝を樹立するも――。 主人公の袁承志は架空の人物ながらわりと史実に基づいており、崇禎帝の最期(北京陥落前夜から息子たちを紫禁城から脱出させ、側室と娘たちを自ら手にかけて殺害し、周皇后の自害を見届けた後に紫禁城の北にある景山で自害)も丹念に描かれていて非常に見応えがあった。まぁ死後のどう見ても人形丸わかりやんけ!姿には目を瞑るとして、演技派俳優・高虎を堪能できるドラマだ。 「雪山飛狐」(雪山飞狐)[07] 全40話 (Fox Volant of the Snowy Mountain) 続いてもこれまた金庸の武俠小説「雪山飛狐」と「飛狐外伝」を原作とした07年放送のドラマ「雪山飛狐」を取り上げたい。これも「碧血剣」同様、チャンネルNECOで放送された。 高虎にとっては4作目の金庸ドラマとなるが、当時のネット記事によると「高虎亮相《雪山飞狐》 荣登金庸剧最多男艺人(高虎は『雪山飛狐』に出演し、金庸原作ドラマへの出演回数が最も多い男性俳優となった)」とのこと。中国本土の男性俳優の中では4作出演というのは最多だったらしい。03年に初めて出演した金庸ドラマ「天龍八部」での演技が広く称賛されてのことだとか。まぁ20年近く前の話なので、現在はそれを優に超える出演数の役者さんも多くいるだろう。 今作は中国大陸・香港・台湾で活躍するキャストとスタッフが結集して製作されたそうで、監督はかつて “香港バカ映画界の巨匠” と言われていたバリー・ウォン(王晶)。そして製作・脚本は「神鵰侠侶」「天龍八部」などを支えた中国勢が担当。 でもってキャストだが、香港映画界からはアンソニー・ウォン(黄秋生)やアレックス・フォン(方中信)、パトリック・タム(譚耀文)らが出演。まさかアンソニー・ウォンと高虎の共演が見られるとは! 明朝末期に李自成が敗北した後、彼は莫大な財宝を残した。財宝を開ける鍵は李自成の信頼する4人の護衛、胡、苗、范、田が握っていた。何世代にも亘り4つの家系の末裔たちは、この秘密を解き明かすために数々の争いと確執に巻き込まれた。最終的に胡家の末裔である胡一刀と苗家の末裔である苗人鳳の2人が、手に汗握る生死をかけた戦いを繰り広げた。戦いを通じて2人は互いに敬意を抱くようになったが、田家の末裔である田帰農は、苗人鳳との決闘中に胡一刀を毒殺しようと密かに企てた。胡一刀は毒によって命を落とし、彼の妻は生まれたばかりの息子・胡斐を宿屋の貧しい小作人にして胡夫妻の忠実な召使でもあった平四に託す――。 アンソニーが胡一刀、アレックスが苗人鳳、パトリックが田帰農を演じており、高虎は何と作中一の善人である平四役を好演。 この平四は赤ん坊の胡斐を抱いて逃げている際、胡一刀が残した秘伝の剣術書を奪おうとする悪人に片腕を切り落とされてしまう。それでも何とか逃げ延びて胡斐を育てていく。そして胡斐に修行を積ませるため鉄花会の趙半山に託し、涙ながらに別れを告げるのである。 放送当初は “天下第一大好人(世界で最も善良な人)” とまで言われる平四(原作では平阿四)のイメージにはちょっと…という声もあったようだが、回を重ねるごとに抜群の演技力で視聴者を惹き付けた。特に第8話の胡斐を手放すシーンは見ているこちらも涙してしまう。 ちなみに平四は第8話でお別れかと思いきや、終盤近くに再び登場する。この頃には胡斐も立派に成長しており、平四はまたしても剣術書を守ろうとして今度は命を落とすのであった。
2026.06.23
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」第12夜目の今宵取り上げるのは、06年に放送された高虎主演の眼福ドラマ「逃亡香格里拉」。 香格里拉(シャングリラ)といえば英国の作家であるジェームズ・ヒルトン(James Hilton)の小説「失われた地平線(Lost Horizon)に登場する理想郷の名称だが、なんと中国雲南省デチェン・チベット族自治州に香格里拉市は実在するのである。元々は中甸県だったが2002年に香格里拉県に改名、2014年に市制施行して香格里拉市になったらしい。 このドラマはその香格里拉市や大理ペー族自治州の大理市などでロケを行っているため、景観の素晴らしさもさることながら、何といっても現代劇なので高虎の等身大の自然な姿を存分に堪能できるのが嬉しい。残念ながら配音(吹替)ではあるが。 「逃亡香格里拉」[06] 全26話 ドラマは高虎がチェロキー(車)に細工をして崖から落として炎上させる所からスタート。そして駅で貨物列車に無賃乗車し、父の遺した日記に記されている香格里拉を目指して逃亡中なのであった――。 高虎演じる盛一朝は北京在住の会社員だった。しかし一朝は会社の不正行為を阻止したことで解雇され、更に恋人とも別れたばかりであったために深酒し、酩酊したまま愛車・チェロキーで帰路についていた。その途中で歩行者の男性をはねてしまい、忽ち酔いがさめた一朝は男性を病院に運び入れたものの、そのまま逃げ帰ってしまう。 一旦帰宅した一朝は逃亡のため着替えをごっそりリュックに詰めた。探検隊員だった父から香格里拉の伝説を聞かされて育ち、また父の遺した日記に記されていた香格里拉(父曰く「人間仙境(人間界に残された最後の桃源郷)」)への憧憬や彼の地での恋物語に誘われた一朝は、父の日記を手に香格里拉に向かう。冒頭のチェロキー爆破は逃亡途中に証拠隠滅のため行ったのだった。 雲南省で貨物列車から降りて森の中に逃げ込んだ一朝は、猟師が罠を仕掛けている穴へ落ち、左脹脛に毒竹串が突き刺さってしまう。大声で助けを呼ぶも人気のない森の中で誰も来ず、已む無く何とか自分で抜いたものの意識を失う一朝。そこへ野草採りに通りかかった男性が置かれてあるリュックを不審に思って穴の中を覗くと、足を負傷して意識のない一朝を発見。男性は持っていた紐を近くの大木に括り付けて穴を降り、紐の一方を一朝の体に巻き付けると、自分の手がボロボロになるのも厭わず一朝を引っ張り上げて救出。毒が回って高熱が続き、死の淵に立った一朝のために薬草を調合して献身的に看病した結果、一朝は一命を取り留めた。 男性は潘基業といい、宝石商であった。潘さんは一朝に翡翠を見せた。ある日、藩さんと一朝は農家の家のそばを通りかかり、水を一杯もらおうとしたところ、家の中から女の子が一朝にだけ分かるように何かを投げてきた。一朝が拾い上げたその丸めた紙には「明日、売られようとしている。助けて」という文言と電話番号が掛かれており、森林検査所に寄って相談ついでに電話を掛けてみると女の子は1年前に失踪したと言う。藩さんと一朝は監禁されていた女の子を救出し、追手から逃れるために山を下りて町のホテルに宿を取った。藩さんは一朝に女の子を警察署に連れて行くよう指示すると、どこかへ出かけた。身バレしたくない一朝は女の子に一人で警察に行くように言うが、証人になってほしいと頼まれる。結局警察に付いていき、何とかその場を誤魔化してホテルに戻った。だがその夜、藩さんは殺害されてしまう。警察は藩さんが所持していた鍵からホテルを特定、部屋にいた一朝はそのまま事情聴取を受けることに――。 女の子と訪れた警察署は「南蒼市公安局古城分局」となっていたが南蒼市という市は実在しない。南蒼というのは蒼山の麓にあることを反映させた何だかそれっぽい都市名だが、古城分局の古城は大理古城を指していると思われ、おそらく大理市だろう。この警察署の老刑事・秦茂権(秦茂权)を演じている馬侖(马仑)は第5夜で取り上げた「大脚馬皇后」で高虎が演じた胡大鵬の父・胡惟庸を演じている。あ、高虎の代表作の一つである「天龍八部」にも出演してたっけ。 でもってこのドラマや「大脚馬皇后」、「天龍八部」の監督は周曉文(周晓文)が務めている。高虎が脳性麻痺と運動機能障害を持つ主人公を演じて(一部で)高い評価を受けた98年のスクリーンデビュー作「関於愛的故事」(关于爱的故事)も周監督である。 前夜祭で少し触れたが高虎は03年3月22日、ドラマ「情錯」(情错)で運転シーンを撮影中に死亡事故を起こした。検察は過失致死罪で高虎を起訴。04年2月24日に青島で審理され、同年7月13日に過失致死罪で懲役1年、執行猶予1年の判決を受けたのである。 今回のドラマで演じている主人公も飲酒運転で人身事故を起こして逃亡という、ちょっと現実とリンクするような役どころだったりするが、このドラマで最終的に一朝は自首する道を選ぶ。まぁ高虎をよく知る周監督による、救いのドラマなのかもしれない。 しかしドラマのオープニングセレモニーが行われた際の記事の見出しは『高虎「逃亡香格里拉」再歴 “車禍” 夢魘』(高虎「逃亡香格里拉」で再び交通事故の悪夢を体験)というものであった… 結構複雑なストーリーで(とはいえ大半の登場人物は実は親子だったとか兄妹だったとか、案外身内が多い)とても紹介しきれない。しかし有難いことに中国の動画サイトでは現在でも高画質で全話視聴可能だ。……正直ちょっと怖いけど。嗚呼、でも高虎ファンならば絶対に外せない、彼の魅力が詰まった眼福ドラマなのである。
2026.06.17
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で第11夜。 今回まず最初に取り上げるのは高虎の地声が聞ける現代喜劇で、これまで紹介してきた中で最も等身大の高虎の演技が見られるっぽいが、残念なことに全話通しては見れなかった。哔哩哔哩(bilibili)等の中国動画サイトに会員登録すれば全話視聴可能なようだけど、何となく怖くて無理だった…(右の画像は高虎の代表作「天龍八部」の虚竹。可愛いので意味なく貼っただけ) 「時髦老爹」(时髦老爹)[05] 全21話 「見銭眼開」(见钱眼开) タイトルの「時髦老爹」、“時髦” とはオシャレとか現代的とかいう意味だそうで、“老爹” は老父とかおじいさんとかいうような意味らしい。 百度(Baido)によるドラマの概要は以下のとおり。 この劇はユーモラスで軽快な都会のコメディスタイルで、退職後、顧みられず意気消沈していた特別学級の教師・孫守信の物語を描いている。彼は偶然インターネットカフェに入り、かつての教え子たちとCS(カウンターストライク)をプレイし、「時髦老爹(おしゃれな老父)」という偽名を使うことで人生への情熱を再び燃え上がらせる――。 高虎演じる汪博は定年退職した孫守信の代わりに教員になった、大学を卒業したばかりの青年だ。まぁすぐ辞職してしまうのだけど。ひょんなことからネットカフェに入ってしまった孫守信は汪博にけしかけられてCS(カウンターストライク)を始めるのだが、「時髦老爹」というユーザーネームを名付けたのは汪博だ。孫守信は人生の新たな扉を開いたのだった。 しかし孫守信の娘・孫宇は退職して家にいる父親の干渉にうんざりし、叔母と住まいを交換することに。孫宇のネット友達で、ルームメイト(シェアハウスみたいな?)でもある汪博はネット上で心理学者と名乗って彼女の悩みを聞き出して精神的な支えとなり、どんどん親密になっていく。 まぁ何だかんだで最終的には孫守信の助けもあって汪博は孫宇に気持ちを打ち明け、一年間雲南省で支教(ボランティア教師)として自分を鍛え直してくるので待ってほしいと頼んだ。そして孫守信も汪博の勇気に心を動かされ、自分の幸せを追求することに。1ヶ月後、移民労働者の子供たちが通う学校の簡素な教室の教壇に孫守信の姿が。…って端折り過ぎてさっぱり分からんて。 嗚呼、めっちゃ全話通して見てみたい~。でもやっぱり中国のサイトは怖い~ 「神鵰俠侶」(神雕侠侣)[06] 全41話 「神鵰俠侶」は日本でも07年にチャンネルNECOで放送されたようで、原作は金庸の武侠小説「神鵰剣俠(神鵰俠侶)」。 舞台は南宋末期。幼くして両親を亡くした楊過が数々の苦難を乗り越えて一代の俠客へと成長していく姿を、師である小龍女との許されぬ愛を絡めつつ描いた物語である。 このドラマで高虎が演じているのはモンゴルの王子で、金輪僧(モンゴルの国師にして世界屈指の武術家の一人)の三番目の弟子である霍都。扇子を武器にしている美男子だが狡猾で野心家。これまで取り上げた作品の中では珍しく悪役だ。 劇中で霍都が使用している鉄扇の小道具は2つあったらしく、一つは普段使う本物、もう一つはスポンジ製の偽扇で、閉じることはできても開くことはできないものだったそうな。 金庸原作ドラマといえば第7夜の「天龍八部」もそうなのだが、個人的にはどうにも苦手なのである。ワイヤーアクション過多の奇天烈ドラマにしか見えないのだ。おそらく原作自体は素晴らしいのだろうが、映像化するとどうしてもトンデモドラマになってしまうという…。 でもってこの「神鵰俠侶」は楊過と小龍女の恋愛物語ということもあり、やたらと二人のいちゃいちゃシーンが入るので、もうバカップルにしか見えずイラついたりして(私見です)。これを楽しめる中国人の心の広さに感心する。 とはいえロケ地(の一部)はユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されている、中国屈指の人気観光地・九寨溝。その美しすぎる景色はバカップルにイラつく心を若干落ち着かせてくれた。
2026.06.13
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で第10夜、ついに2桁台に突入だ! 「凌雲壮志包青天」(凌云壮志包青天)[05] 全40話 「凌雲壮志包青天」は中華圏では誰もが知る清官(清廉潔白な官吏)・包拯(尊敬と親しみを込めて “包公” “包青天” などとも呼ばれる)が主人公の40話からなる歴史ミステリードラマである。 包拯のドラマは何十作とあり、日本でいうと「大岡越前」や「遠山の金さん」といった感じ。包拯はいつも何故か黒い顔で額に三日月の傷という特徴的な容姿で描かれ、このドラマでもちゃんとそうなっている。額に三日月傷といえば日本だと旗本退屈男こと早乙女主水之介が(じじばばには)有名だが、元祖はこちらだろう。 ひょんなことから包拯は朝廷の太師の怒りを買い、殺人事件に関与したとして冤罪を着せられ死刑判決を受けてしまう。しかしある人物が身代わりとなって包拯を牢獄から救出した。包拯は事件の真相解明のため展昭や公孫策と調査に乗り出す。そこで出会った記憶喪失中の遼の王女・傲雪、包拯の身代わりとなって命を落とした武峰の妹・武鶴と共に包拯ら一行は数々の事件に遭遇する。 展昭役は「水滸伝 All Men Are Brothers(水滸伝)」で呉用を演じた李宗翰。そして傲雪役は2018年の巨額脱税事件の印象が未だ抜けない范冰冰。追徴課税や罰金などで命じられた支払合計額が8億8000万元(約146億円)って…。中国の役者さんってスゲーッ! さて、そんな下世話な話はさておき、このドラマで高虎が演じているのは藤球(どう見ても現代サッカー。それも01年に公開された周星馳(チャウ・シンチー)監督・脚本・主演の香港電影「少林足球(少林サッカー)」の影響を色濃く受けている感じ)チームである白雲隊の監督・白雲飛。 第8話で密かに應天府へ行った傲雪を探しに向かった包拯ら一行は、現地で何故か “藤球公主” と呼ばれて白雲隊のスター選手になっている傲雪に驚く。傲雪が師父と慕う白雲隊の監督・白雲飛を紹介された包拯らは、傲雪の提案で白雲隊と試合することに。 その夜か別の夜か、とにかくある夜、白雲隊のお茶係で日頃より皆から馬鹿にされていた小福禄が遺体となって発見された。首には絞められた跡があり、手には藤球試合で包拯らが身に着けていたスカーフが握られていた。嫌疑を晴らすため調査を進める中で、この地域でサッカー賭博が横行していることを知る。知府の息子である唐擎が白雲飛の協力を得て密かに賭博を操作しており、小福禄は死の前に唐擎と白雲飛の密談を聞いてしまったのだった。 その後も次々と白雲隊のメンバー(含白雲飛)が殺害され、犯人は皆、籐球の仮面を被っていたことから “藤球殺人鬼(藤球杀手)” と呼ばれて恐れられた。唐擎を最有力容疑者だと睨んだ包拯は彼を罠に誘い込み、裁判を行う計画を立てた。しかし裁判中に白雲隊の別のメンバーが藤球殺人鬼に殺されてしまう。果たして真犯人は――。 高虎が登場する事件は5話分ぐらいで出演シーンもそこそこあるのだが、意外とあっさり殺されちゃうという… これまで取り上げた出演作の中では珍しいパターンである。 「誰憐天下慈母心」(谁怜天下慈母心)[07] 全23話 続いては07年に放送された「誰憐天下慈母心」。海辺の町に暮らす金花は夫・大勇と6歳の娘・海燕の3人で幸せに暮らしていた。しかし大勇は密かに白血病を患っている元妻・阿芳と彼女の間に出来た娘・海君の世話もしていた。大勇は金花に内緒で阿芳の治療費を貯めていたが、缶詰工場のトラック運転手としてどんなに一生懸命働いても莫大な医療費を捻出するには程遠かった。 何やかんやあって金花は夫の元妻ともう一人の娘の存在を知ってショックを受けるも、心優しい金花は彼女たちを受け入れる。一方の大勇も色々あってお金を稼ぐために親友の趙大飛と共に貨物船に乗って海に出た。 大勇が去った後に阿芳の容態が悪化、臨終の床で阿芳から海君を託された金花は二人の娘を育てながら夫の帰りを待ち続けていたが――という物語。 高虎が演じているのは大勇の親友で一緒に海を渡った趙大飛。1話と2話の最初の方ぐらいしか出演シーンはなく、悲しい哉12話で海賊船で殺されていたことが判明する。 しかし嬉しいことに大飛の親友・大勇を演じているのが何とビックリ、香港のバンド・溫拿樂隊(The Wynners)のvo.にして俳優としても大活躍の “阿B” こと鍾鎮濤(ケニー・ビー)!まさか阿Bと高虎が親友役を演じるとは!二人の共演が見られるだけでも視聴する価値大。ただ残念なことに阿Bも高虎も配音(吹替)だ。二人の地声でのやり取りが聞きたかった。 そして金花を演じているのは台湾女優の恬妞(ティエン・ニウ)。ちなみに彼女の姉・恬妮(ティエン・ニー)も有名な女優で、恬妮といえば香港の喜劇王・許冠文(マイケル・ホイ)の邵氏兄弟公司(ショウ・ブラザーズ)時代の作品である「一樂也」や「醜聞」にも出演している。 維基(Wiki)情報によると、阿Bと恬妞は80年代に1ヶ月ぐらいお付き合いしたことがあるらしい。食事の際のマナー云々で破局したのだとか。
2026.06.09
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で9夜目。全く終わりが見えてこないけど、今年中に終わるのかなぁ… 「大明天子」[05] 全33話 これまでに清の皇太子・愛新覚羅胤礽役や戦国時代の秦の君主・荘襄王役をこなしてきた高虎が今作で演じているのは、明の初代皇帝・洪武帝(朱元璋)の孫にして第2代皇帝となった建文帝(朱允炆)。 朱元璋(洪武帝)の長男で皇太子だった朱標が38歳の若さで死去したことにより、16歳で皇太孫に立てられた朱允炆。心優しい性格で、父が病床にあった時には自らの寝食を忘れて看病に当たり、允炆の方がやせ細ってしまったそうな。洪武帝はこの心優しい孫を慈しむも、同時にこの性格で皇帝としてやっていけるかが心配になり、功臣たちを粛清しまくってしまった。洪武帝崩御の後に允炆が即位したものの、洪武帝の四男である燕王・朱棣(後の永楽帝。このドラマの主人公)が建文帝政府に対する反乱を決行。敗北した建文帝は自ら宮殿に火を放って果てたという。何でも洪武帝が粛清しすぎて功臣たちはほぼ全滅していたのだとか しかし建文帝には生存説もあり、建文帝が自害しようとした時に太祖・朱元璋が「いざという時に開けるように」と残した箱を開くと、そこには度牒(僧侶の身分証明書)と袈裟や草鞋・僧帽と路銀が入っていて、それを身に着けて建文帝は南京城を逃れたというもの。このドラマでは生存説を採用しており、何とか落ち延びた建文帝は僧侶となった。 ストーリーは結構史実に沿ってはいるものの、朱允炆と朱棣が同じ女性を愛しており、その女性の妊娠を知って允炆が喜ぶも実は朱棣との子で…って「乱世英雄呂不韋」と似たような展開やんけ!でもって僧侶といえばこれまた「天龍八部」の虚竹がどうしても思い出されるのだが、最終話では何と老僧になった建文帝が登場! 「大明王朝驚変録」(大明王朝惊变录)[04] 全40話 「大明天子」の前年に放送された「大明王朝驚変録」(もしくは「大明王朝1449」)もタイトルどおり明時代の歴史ドラマで、1449年の土木の変で功績をあげた于謙の物語である。土木の変というのは北方モンゴル系部族・オイラトの指導者エセンが明領に侵攻してきたのに対し、親征を行った明の第6代皇帝・正統帝(朱祁鎮。重祚したため廟号の英宗と称されることが多いらしい)が土木堡で大敗して捕虜となった戦いのことで、中国史上でも珍しい、皇帝が野戦で捕虜になった事件とのこと。 そしてこの作品で高虎が演じているのは英宗の異母弟で、兄が捕虜となったことにより第7代皇帝に即位した景泰帝(朱祁鈺)。残念ながら建文帝ではなく永楽帝の曾孫である。 英宗がオイラト軍に捕らえられた際、郕王(英宗が即位後に朱祁鈺に授けた称号)は兄の身代わりとして牢獄に入ることを申し出て于謙らを深く感動させた。オイラト軍が皇帝を利用して領土を奪おうとする陰謀に対抗するため、于謙は郕王を帝位に就かせた。 だがオイラトと明との講和が成立して英宗が送還されると、景泰帝と英宗の間で激しい帝位争いが勃発。景泰帝は皇太子(英宗の息子・朱見深。後の成化帝)を廃位して自身の息子である朱建基を皇太子に据えたため、英宗は激怒。しかし立太子された翌年に朱建基が亡くなったことにより、景泰帝は深い悲しみと絶望に打ちひしがれて自らも病に伏してしまう。朱建基の死が砒素による毒殺だと知った景泰帝は血を吐き、犯人を必ず見つけ出すと誓ったものの、悲惨な最期を迎えるのであった(このドラマでは暗殺説を採用)。これにより英宗は天順帝として重祚し、朱見深を皇太子に復位させた。そして何やかんやあって于謙の処刑によりドラマは幕を下ろすのであった。 景泰帝に肩入れして視聴すると英宗は何だかイヤなヤツ(演じているのは「水滸伝 All Men Are Brothers(水滸伝)」で浪子 燕青を演じた嚴屹寬)で、実際に後世におけるヤツの評価は決して高くはないのだが、建文帝の遺児で永楽帝に50年以上監禁されていた朱文圭を恩赦したという。 高虎は高身長でシュッとして清潔感もあるので、高貴な方の役がとてもよく合う。まぁ似たような役も多いけど。だけど時代モノだとやっぱり配音(吹替)になってしまうので、個人的には彼の地声が聞けて素の姿が見られる現代モノの方が好みかな。
2026.06.06
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で第8夜。 今回は01年に撮影され、04年に放送された「城市的星空」という作品について取り上げたい。この作品は現在でもYouTubeや哔哩哔哩(bilibili)等で全話視聴可能(但し中国語字幕のみ)なのだがとにかく切ない現代劇で、勿論配音(吹替)なし。 中国の作家・鄧一光の小説「懐念一个没有去過的地方(怀念一个没有去过的地方)」が原作のこのドラマは、湖北省の古い山間の町で育った青年たちが都会生活を夢見て省都・武漢にやって来る。そして苦労を重ねながらついには後戻りのできない道へと足を踏み入れ、都会を相手に戦いを挑むという物語。高虎が演じているのは田舎町で育った青年・遠子。 雰囲気的には日本でいうと昭和の高度経済成長期の頃のような感じで、田舎の青年が経済発展真っ只中の大都会・武漢で一旗揚げるべく意気揚々とやって来たものの、そこには様々な障壁が立ち塞がっていたのだった。若者の都会志向は日本も中国も変わりはないが、ただ中国の田舎人が都会で暮らすハードルは日本と比べてあまりにも高すぎた。 中国では戸籍が都市戸籍と農村戸籍の2つに分類され、農村戸籍を持つ人が武漢などの都市部で働く際には、その都市に一時的に住むための許可証(暫住証)を携帯することが法律で義務付けられていたのである。ちょうどこのドラマの時代の03年には湖北省出身の青年が就職準備のため広州市を訪れた際、暫住証を携帯していなかっただけで身柄を拘束され、収容先で暴行を受けて亡くなったという事件が起こっている。この事件をきっかけに国民の怒りが爆発し、強制的な収容遣送制度は03年にようやく廃止へと向かったという。こういう背景を頭にいれてこのドラマを見てほしい。 「城市的星空」[04] 全19話 海軍を除隊した推子が故郷に戻ると、想いを寄せていた教師の小米は推子の弟で、高い野心と強い競争心を持つリーダー格の青年・遠子(远子)と恋仲になっていた。勤務先の学校で校長と衝突してしまった小米、身ごもった子の父親である趙林を探しに江城(武漢)へ行くという小央、詩人の共生と漁師の包子は遠子に相談し、新たな生活を求めて江城へ案内してくれるよう頼んだ。こうして5人を乗せたバスは大都会・江城へと出発。江城に到着した5人はまず晴川橋で記念撮影 ちなみに晴川橋は漢江と長江の合流点にある赤いアーチが特徴的な橋で、武漢のランドマークとなっている。 早速一行は仕事を探すも江城の住民登録や学歴がないために雇ってもらえず、推子の同級生だった胡雪兵を訪ねる。借金から逃れるために頭を悩ませていた胡雪兵は皆の仕事探しを手伝うことに同意するも、彼らを利用しようと考えた。趙林を探しに行った先の運送会社で警備員と揉みあいになった遠子らは警察に逮捕されてしまい、焦った小米は推子に電話して助けを求めた。急いでヒッチハイクで江城まで来た推子は雪兵の恋人で花屋を営む桑紅と出会う。一方、遠子らは胡雪兵の計らいかは分からないけど保釈された後に労働者小屋に連れて行かれ、5人は粗末な小屋で共同生活しながら男3人は建設作業現場で、小米と小央は飲食店で働き始めた。警察官が小屋にやって来て遠子たちに暫住証を取得するよう勧めるも、胡雪兵は無視するよう言った。花屋で世話になっていた推子は胡雪兵から聞いて労働者小屋に行き、遠子は兄との再会を心から喜んだ。だが推子は仲睦まじい遠子と小米を見るのが辛く、警備員の仕事を見つけて小屋を出た。 飲食店を辞めた小米が幼稚園で働き始めた頃、遠子は胡雪兵が自分の店で不正を働く所を目撃してしまう。胡雪兵は遠子を説得して都会で生き抜く術を教えるが、遠子は不正を断固拒否。遠子からその話を聞いた推子は遠子に自分の店を持つようすすめ、除隊手当を開店資金として手渡す。遠子の店は繁盛し、打撃を受けた胡雪兵は遠子を恩知らずだと非難したうえ無許可で営業していると通報したため、店は閉鎖することに。何やかんやで店を再開して売上を再び伸ばすも胡雪兵との関係は悪化し、遂にはボコボコにされて川に投げ入れられてしまった。 回復した遠子は一転して胡雪兵との協力を表明し、皆の反対を押して共同経営に合意した。その後5人はそれぞれ独自の道を歩き始めるのだが書ききれないので省略。 包子は遠子を裏切者と非難したが、遠子は胡雪兵に対して行動を起こす準備をしていると告げた。遠子が胡雪兵の脱税と詐欺を関係当局に通報したため店は閉鎖され、胡雪兵は拘束された。推子と小米はやり過ぎだと非難し、推子は自分のコネを使って胡雪兵を保釈した。復讐に燃える胡雪兵は労働者小屋にグループを率いて行ったものの既に遠子と包子は出て行った後だった。二人は郊外に落ち着き、養魚池を借りて魚を育て始めた。事業は繁盛したがチンピラに襲われる。遠子は皆が自分に敵対していると感じ、この都会と最後まで戦うことを誓うのであった。 話は最終話に飛ぶが、仲違いを繰り返していた小米に対し、夜の晴川橋で去っていく彼女の背に遠子が意を決して叫ぶ。「小米!要是我背回頭、你還要我嗎」(小米!もし俺が改心することを受け入れたら、戻ってくれるか――というような意味だと思う。中国語がよく分からないけど)彼の言葉は小米の心を動かし、二人は駆け寄って抱き合うのだった。 その後、裏社会から足を洗う前に桑勇(桑紅の兄。ムショ上がりで、自らの病を知って妹のために金を稼ごうと偽札を売っている。胡雪兵は色々あって桑勇も恨んでいる)に最後の仕事を持ち掛けられた遠子は、桑勇と指定場所に向かう。そこで初めて偽札売買を知った遠子は立ち去ろうとするも、桑勇に手錠で欄干に繋がれてしまう。取引が始まるや警察がやって来た。桑勇と遠子の会話を盗み聞いた胡雪兵が呼んだのだった。混乱の中で遠子は偽札売買の首謀者を強く抱きしめて足止めしようとしたが、腹部を何度も刺されてしまう。遠子を心配して探していた推子がようやく現場に駆け付けた。病院に向かう車内で「哥…我冷」(お兄ちゃん、寒い…)と言う遠子を泣きながら抱く推子。「哥…這次你恐怕帮不了我了」(お兄ちゃん…今回は残念ながらお兄ちゃんに助けてもらうことはできないよ)と息も絶え絶えに言う遠子に、推子は「不、哥一定会帮你的!哥一直都能帮你!一直都能帮你!」(いや、兄ちゃんは必ずお前を助ける!いつだってお前を助ける!いつだって助けるんだ!)遠子は最期に「小米…小米…」と彼女の名を小さな声で呼び、推子の腕の中で息を引き取った。 その後、推子は遠子の骨箱を抱いてバスに乗り、江城に残る小米や包子、小央に見送られて故郷へ戻るのであった。 田舎人というだけで数々の問題に直面し、必死に足掻く彼ら。遠子、共生、包子の3人も暫住証不所持で拘束されて収容所に入れられたり、小米も暫住証(だか都市戸籍だか)がないばかりに勤務先から一度は解雇されたり、共生が皆に迷惑を掛けるからと腹痛を極限まで我慢したり、労働者小屋での共同生活を余儀なくされたりと切ないシーンも多いが、それでも明日を信じてひたむきに生き抜く姿に胸を打たれる。中国人のバイタリティは本当にスゴい。 そんな中でも遠子は人生最期の瞬間まで戦い続け、懸命に生き抜いた。養魚池から都会に戻った遠子と包子は市場で野菜を売ったり、物乞いのふりをして用心棒代を徴収させられたりもした。そこでたまたま胡雪兵に見つかり、困窮ぶりを嘲笑されてしまう。この悔しさをバネに遠子は物乞いの服を脱ぎ棄て、他の地方出身労働者たちを助けて請負業者から未払い賃金を取り戻そうと、力ずくで名を上げようと決意する。成功を掴もうと野心のままに突き進む遠子を心配する推子や小米とは何度も衝突するが、それでも遠子はひたすら暗闇に向かって突っ走ってしまう――夜の晴川橋で小米に向かって叫ぶまでは。 城市的星空とは都市の星空という意味だ。故郷の町で見ていた星空は美しく、純粋な希望に輝いていただろう。それが大都市・江城で見上げた星空はネオンや欲望に遮られ、どこか遠く、冷たいものだった。遠子が最期に見た星空、それは自分が追い求めた「都会の成功(星)」が実は実体のない虚飾に過ぎなかったことを悟らせてくれたのであった。 最後に新浪網で見た高虎のインタビュー記事より。「像前半年以前放的那个《城市的星空》,那是我2001年拍的戯了,搁了两年以后才播的,当然男主角就是写他最后怎么又走上邪路,最后又迂回来干好事,那可能就是一个比較有个性的人,其実我可能比較適合演這様的人,我可能不太适合演那種偶像戯里的男主角」(2001年に撮影したドラマ「城市的星空」は半年ほど前に放送されましたが、放送されるまでに2年間もお蔵入りになっていました。主人公の男性は道を踏み外し、その後善行に戻るというストーリーで、かなり個性的なキャラクターだったと思います。実は、自分はアイドルドラマの主人公よりも、そういうタイプの役の方が向いているのかもしれません)
2026.06.03
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」7夜目の今宵は高虎の代表作と言ってもいい「天龍八部」を取り上げたい。原作は香港の作家・金庸が63~66年まで連載していた同名小説である。 11世紀末宋代の中国大陸を舞台に、契丹人でありながら漢人として育てられた悲劇の英雄・喬峯、雲南大理国の武芸嫌いながら数々の絶技を身につけてしまう王子・段誉、心ならずも戒律を破ってしまう少林寺の僧・虚竹の3人の若者を中心に、親の世代が残した確執に運命を翻弄される若者たちの生き方を描いた群像劇である。(by Wikiさん) 「天龍八部」(天龙八部)[03] 全40話 高虎が演じているのは生後間もなく誘拐され、少林寺に捨てられていた虚竹。幼少時より少林寺以外の世界を知らず、他人の悪意と無関係に純粋で誠実に育った虚竹の身分は低く、武術の腕前も非常に未熟であった。 24歳のある時、蘇星河が企画した珍瓏棋局なる碁の大会に多くの武術家が参加すると茶館で耳にした虚竹が足を運んでみると、「四大悪人」の中でも最も悪名高い段延慶が珍瓏の呪縛に憑りつかれてしまっていた。碁は全く分からないが段延慶を救うべく適当な所に虚竹が一石置いたところ、偶然にもその一手が決め手となり、正気を取り戻した段延慶のアドバイス(テレパシーみたいなモン)により虚竹が勝利してしまった。蘇星河に連れられて洞窟に入った虚竹は蘇星河の師で逍遙派の無崖子と会うや、無崖子が70年以上にわたって研鑽してきた内力を注入されて弟子になった。無崖子は虚竹に逍遙派宗主の証である指輪を渡して丁春秋を殺して復讐するように命じ、絵の中の女性に助言を求めるよう指示して息を引き取った。虚竹は自分は少林寺の僧であるため宗主を断るも、結局受ける羽目に。 その後、義俠心から一人の幼女を助けたところ幼女は実年齢96歳の霊鷲宮の主・天山童姥と発覚。天山童姥は6歳で武術の稽古を始めて至上の内功を修めたものの、その副作用で体の成長が止まってしまったのだった。天山童姥は無崖子の姉弟子だったため、虚竹が身に着けていた指輪に驚き、無崖子の死を知って嘆いた。天山童姥にとって今が30年に一度の若返りの時期で身につけた功力も子供時代と同程度になっているため、虚竹に自分を守るよう要求して武術を教えた。 そんなある日、天山童姥の妹弟子で宿敵でもある李秋水が現れた。李秋水とは無崖子を巡って70年来の恋敵でもあった。李秋水に指輪を奪われたうえ足に怪我を負った天山童姥は、李秋水が西夏の王妃だと知って虚竹と共に西夏の宮殿の暗い氷室に逃げ隠れた。少林寺に帰ると言い出した虚竹に腹を立てた天山童姥は、虚竹に少林寺の戒律を破らせるため無理やり(たぶん)鶴の生血を飲ませた。それでもなお頑なに屈服を拒否する虚竹に激怒した天山童姥はさらってきた女性を虚竹の寝床に放り込み、ついに淫戒を破らせた。 目覚めた虚竹は愕然とするも、あまりの非現実的な出来事に彼女のことを「夢姑」と呼び、恋焦がれるようになった。彼女も暗闇の中で虚竹を「夢郎」と呼んだ。天山童姥は李秋水を殺すのを手伝ってほしいと頼むも虚竹が拒否したため、何度も激しく殴られたうえ生死符(全身に耐え難い痒みを感じ、年に1度薬を飲まなければ精神に異常をきたすほどの苦痛を感じてしまう暗器)を打たれてしまう。しかし天山童姥は虚竹に命を救われたことへの感謝として生死符を破る方法も教えた。 再び李秋水が襲ってきて天山童姥と激しく戦い共に重傷を負ったが、虚竹が氷室から二人を救出した。天山童姥は救援に駆け付けた霊鷲宮の女性剣士たちに向かって虚竹が新たな主人だと告げ、無崖子が死の直前に虚竹に手渡した女性の絵を見て「彼女じゃない!」と笑って息絶えた。一方の李秋水も絵を見るや「彼女だ!」と笑った。絵に描かれていたのは李秋水の妹であった。無崖子と李秋水の間には娘までいたが、無崖子は彼女の妹を愛していたことが判明したのだった。失意のうちに李秋水も息を引き取った後、虚竹は36洞72島の民が押し寄せているという霊鷲宮を救いに向かった。 生死符を打ち込まれているため天山童姥に逆らえずにいた36洞72島の民は、霊鷲宮の女剣士たちに生死符を破る秘訣を尋問していた。そこへ虚竹が到着して彼女たちを救い、天山童姥の死を伝えた。そして島民たちの生死符を取り除いたため、皆から崇められた。 虚竹は少林寺への思いを捨てきれず、一旦は寺に戻るも天山童姥によって数々の戒律を破らされていたため鞭打ちの刑に処され、少林寺から追放された。その後、何やかんやあって虚竹の母が「四大悪人」の2番手・葉二娘であり、父は少林寺の高僧・玄慈であることが判明。しかしやっと父母が分かったのも束の間、玄慈は罪を償うために激しい杖刑を受けて命を絶ち、葉二娘も後を追って自害した。 書ききれないので経緯は端折るが、西夏へ行った虚竹は婿探しをしている西夏の王女がいる宮殿へ。婿候補の面々に対し、宮女が王女に代わって皆に3つの質問をするが、王女の満足する答えは得られなかった。そこに現れた虚竹に宮女が同じ質問をする。「在什公地方最快樂逍遥?」(最も幸せな場所はどこ?)「在一个暗黒的冰窖室」(暗い氷室です)という虚竹の答えに、手にしていた杯を落とす王女。「那先生最愛的人、叫什公名字?」(その男の恋人の名前は?)「我也不知道她叫什公名字」(彼女の名前は知りません)虚竹の答えに婿候補者たちが一斉に笑うも、王女の様子から何かを察した宮女が言葉を続ける。「你愛的那位姑娘、様子一定很漂亮了」(貴方が愛する女性は、きっととても美しい人でしょう)「她長得什公様子、我当時確実有看清楚…」(彼女がどんな容姿だったか、あの時、確かに彼女の姿をはっきりと見ました…)と虚竹が答えていると、帷の奥から「夢郎、貴方なのね…」という王女の声がした。王女は夢姑であり、婿探しをしていたのは実は夢の恋人である夢郎(虚竹)を見つけるためであった。こうして二人は遂に現実に巡り合って結婚に至るのであった。 その後も話は続くが、喬峯・段誉・虚竹が義兄弟の契りを結ぶ話や、段延慶が実は大理国の正統な皇太子で段誉の父親だったとか色んな話を省略したので、結末を書いたところで意味がない。またいつの日か詳しく書こうと思う。文才がないばかりに意味不明な物語になってしまった。 あ、そうそう、丁春秋は虚竹にやっつけられました… そういえば氷室で淫戒を破るシーンの裏話を何かで見た。虚竹役を演じた高虎と “夢姑” こと銀川公主 を演じた王海珍の二人は午前7時から氷室に入り、午後8時半まで撮影を続けたそうな。おかげで撮影後に二人とも酷い風邪を引いてしまったのだとか。 ドラマの評価は高かったようで、04年には第22回中国電視金鷹賞で十大長編テレビシリーズ優秀作品賞(十佳长篇电视剧优秀作品奖)、最優秀撮影賞、喬峯役を演じた胡軍が最も人気のあるテレビドラマ俳優賞(观众最喜爱电视剧男演员)を受賞。他にも数々の賞に輝いている 全40話ある中で虚竹が登場するのは22話あたりと、かなり遅い。それ以降は大活躍するのだけれど。高虎の代表作と言われるだけあって、純粋無垢で心優しい虚竹を巧みに演じている。純粋な感じが表情や所作から滲み出ていて、それはそれは愛らしい。配音(吹替)の方の台詞の言い方も高虎の愛らしさにピッタリ。 少林寺の僧なので大半は坊主だが、氷室に入ってから少林寺に戻るまでの間は髪があって可愛いので、その時の画像を多めに貼っておこう。
2026.05.31
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で6夜目。 12年に開催した「永遠の道士様! ラム・チェンイン(林正英)祭」や23年開催の「Mr.Boo! マイケル・ホイ(許冠文)祭」はどちらも全30夜だったので、高虎祭も30夜で終えるつもりなのだが、果たしてこの調子で終えられるかしらん。 「我這一輩子」(我这一辈子)[01] 全22話 「我這一輩子」は中国の作家・老舎の「私の一生(我這一輩子)」を01年にドラマ化したもので、清末から中華民国時代にかけての北京を舞台に、ある平凡な巡警(下級警察官)の幸薄い半生を描いた物語らしい。02年には第20回中国テレビ金鷲賞最優秀TVシリーズ部門銀賞を受賞したとのこと。 高虎は第3話にゲスト出演しており、主人公たちが巡警になるべく試験を受けに行った外左二區警察署の長官役を演じている。出演シーンはトータルでも2、3分ぐらい。「剛才我講了各国巡警的法律,和違紀怎公処理,大家都記住了吧。第二排第一个,你説東洋巡警的紀律是怎公回事」(今しがた各国の巡警に関する法律について話したが、規律違反への対処法はみんな覚えているな。2列目の最初のヤツ、東洋の巡警の規律はどうなっているんだ?)答えられない主人公・福海に「出ていけ!」と命じる高虎長官。「你們這群人的素質就是太低,知道嘛!剛才的問題誰来回答」(お前たちは質が低すぎる、分かってるのか!今の問題に誰か答えられるヤツはいるか?)福海と一緒に巡警になった趙二が手を挙げ、東洋は分からないけど法国なら知っていると答える。「嗷,我説過法国的巡警的紀律的嗎?法国違反警律是怎公処治呀?」(あぁ?フランスの巡警の規律についてなんか話したか?フランスでは警察規則違反はどのように処罰される?)「砍頭」(斬首)「放屁、你也出去哎!」(でたらめ言うな、お前も出ていけ!) ――以上が高虎長官の全台詞…あ、そういえば高虎長官登場シーンで巡警の面接を受けに来た福海に読んでいた新聞を渡して「念(読め)」と言ってたなぁ。まぁ出番は全部でこれくらいかな。ちなみにこのドラマでもやっぱり配音(吹替)。高虎の地声で楽しみたいよ~。 「各就各位」[02] 全18話 02年に放送された「各就各位」は「水長流(水长流)」「愛情演習(爱情演习)」「記憶倉庫(记忆仓库)」「你的様子(你的样子)「男女之間(男女之间)」「愛你到永遠(爱你到永远)「未完待続(未完待续)」という7つの話から構成されており、高虎が出演しているのは「愛你到永遠」という物語。 残念ながら未見なので百度のあらすじによると、高虎演じる王家衛は恋人の琪琦の浮気を疑って常軌を逸した行動を取るようになり、彼女と別れてしまう。しかし王家衛は執拗に彼女を追いかけ続け、彼女の度重なる拒絶により次第に狂気に陥っていく。そしてある日、彼はついに破滅を選ぶのだった…という話のようで、現代劇なので配音もないらしい。 YouTubeや哔哩哔哩(bilibili)は勿論、その他2、3の中国動画サイトで探してみたが見つからなかった。もっと深掘りすれば見つけられるのかもしれないが、まぁ仕方がない。せっかくの若き日の高虎の地声現代ドラマなのに…残念 全く関係ないけど王家衛といえば香港の映画監督・ウォン・カーウァイ(王家衛)が有名だが、彼の監督作で94年に公開された「楽園の瑕(東邪西毒)」という映画がある。香港の作家・金庸の小説「射鵰英雄伝」に登場する悪役である「東邪」黄薬師と「西毒」欧陽鋒の若き日々を描いた外伝的作品で、ストーリーは王家衛監督のオリジナルとのこと。この「楽園の瑕」が難解すぎてバカ映画好きの私にはどうにも合わず、以来金庸原作と聞くだけで苦手意識が働くようになった。 何故唐突且つ強引に金庸まで話を持って行ったかというと、次回の第7夜で取り上げる予定のドラマが金庸原作なのだ。正直、荒唐無稽すぎて若干キツかったのだが、その作品こそが高虎の代表作と言われていたりする。確かに高虎の演技は素晴らしいけれど、話がもうね、訳分らんのである。 とはいえ日本人の多くが忍者や剣士の活躍する無茶苦茶な時代小説を愛するのと同じで、中国(含香港)人も金庸の訳分らん武侠小説を心から愛しているのだろう。
2026.05.30
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で5夜目。 右の画像は第4夜で取り上げた「東北一家人」にゲスト出演した際の高虎。この頃の高虎がめっちゃ可愛いくてお気に入り まぁそれはさておき、このペースでいくと一体何夜掛かるのやら…。さぁ今宵もサクサク行こう! 「大脚馬皇后」(大脚马皇后)[02] 全30話 第1夜では[01]と書いたが、どうやら02年に放送されたらしい「大脚馬皇后」。 何だか奇妙なタイトルのこのドラマは明の初代皇帝・朱元璋(洪武帝)の妻である馬秀英(馬皇后)が主人公のコメディっぽい時代劇で、庶民出身でありながら教養があり、聡明で経験豊富な彼女は15年間朱元璋の国政を補佐した。そんな馬皇后は当時の中国では一般的だった纏足をしてなかったことで知られているらしい。自然な大きな足のままだった彼女は庶民から親しみを込めて「大脚馬皇后」と呼ばれ、生涯にわたって敬愛されたそうな。 高虎が演じているのは宰相・胡惟庸の息子・胡大鵬。これがまた父親の権力を笠に着てやりたい放題の放蕩息子、いわゆる衙内というやつで、数々の悪行の報いを受けて結局最終話で命を落とすこととなる。皇帝や皇后は勿論、父親も洪武13年(1380年)の胡惟庸の獄で知られる実在の人物だが、大鵬はドラマの創作キャラらしく結構扱いが酷い。とはいえドラ息子役もなかなか似合ってたりして。 時代劇ということもあってやっぱり配音(吹替)なんだけど、最終話で大鵬の悪事がバレて陰謀が露呈した胡惟庸は息子を殺すしかなくなり、大鵬が父親に向かって「父親我死在你手上、總比死在那个臭和尚手里強多了、父親你動手吧父親(父上、あの忌々しい僧侶に殺されるより、父上の手で殺される方がましです!父上、やってください!)」と涙ながらに訴えるというシーン。最後に「父親!(ふーちん!)」と絶叫する声は確かに吹替の声なんだけど、訴えている声は高虎ボイスっぽかったような…勘違いかもしれないけど。また聞き返してみようっと。 「大英雄鄭成功」(大英雄郑成功)[04] 全24話 放送年代順に取り上げるつもりだったのだが、何だかぐちゃぐちゃになってしまった。まぁ別にいいけど。 「大英雄鄭成功」は清に滅ぼされようとしている明を擁護して抵抗運動を続け、台湾に渡り鄭氏政権の祖となった鄭成功の物語。隆武帝から明の国姓である「朱」を称することを許されたため “国姓爺” とも呼ばれたそうで、台湾や中国では民族的英雄として知られる人なのだとか。中国人貿易商(海賊でもあった)の父と日本人の母を持ち、平戸(長崎)で生まれ育った彼は7歳で父の故郷・福建に移り、父親の影響やらもあって抵抗運動に身を投じたそうな。今作は鄭成功と父・鄭志龍の政治的な対立を中心に、鄭成功が軍を率いて清軍に抵抗し、更に台湾の人々を団結させてオランダの植民地支配に抵抗するといった内容らしい。 字幕なしで視聴したため(中国語字幕があったとてだけど)内容もよく分かってないが、高虎演じる黄延は反清活動を行っており、その資金集めのために秦淮出身の遊女・柳円円を競売に掛けていたところに鄭成功が気前よくポンと大金を差し出した。 こうした出会いから何やかんやあり、柳円円絡みの愛憎やら政治的な諸々やらもあって17話では遂に黄延が鄭成功の暗殺を実行するも失敗し、捕らえられてしまう。海辺で処刑されようとしていた黄延は、失明していた柳円円に自分の眼球を差し出すことを申し出て死を免れた。しかし柳円円の視力は回復することなく、黄延が失明しただけに終わってしまった。 そこから更に何やかんやあって(端折りすぎ)結局20話で黄延は柳円円に岩場から突き落とされて命を落としたのであった。 意外と高虎の出番が多くてそこそこ見応えもあるドラマなのだが、如何せん中国語が分からないと話が何のことやらさっぱり… 柳円円を演じている林静とは「大脚馬皇后」でも共演しており、同じ「大脚馬皇后」で高虎演じる放蕩息子・胡大鵬の父である宰相・胡惟庸役を演じた馬侖(马仑)も出演してたりして。ちなみに鄭成功役の何家勁(ケニー・ホー)は香港の俳優兼歌手の方である。ドラマ内での何家勁の北京語台詞は吹替なしの同時録音だったらしい。それなのに中国語話者の高虎はやっぱり配音(吹替)なのであった。
2026.05.29
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」も今宵で4夜目。学生時代に購入した光生館の現代中国語辞典がこれほど役立つ日が来ようとは!第2外国語で中国語を選択していて本当によかったとしみじみ思う。とはいえせっかく当時学んだ中国語も38年後の今ではすっかり忘れているのが悲しい。 「東北一家人」(东北一家人)[01] 全120話 25-26話:保険没問題!(保险没问题!) 「東北一家人」は中国東北部の中規模工業都市に暮らし、大規模な国有企業に勤めるごく普通の労働者階級の3世代7人家族である牛一家のシットコム(シチュエーション・コメディ)で、高虎は25-26話の「保険没問題!」(上・下)にゲスト出演。素に近い(かは分からないが)自然なコメディ演技が見られるのが嬉しい。 高虎演じる保険員が牛一家にやって来た。彼は入ってくるなりとても丁寧な態度で、少しのお金で何でも手伝うと言う。呂小品(吕小品)演じる小偉(小伟。失業中で家にいる30代の長男)はボロボロの車を購入してわざと傷を付けて保険会社から賠償金をだまし取ろうと考えるも――という話らしい。字幕なしで視聴したため、話がさっぱり分からず 高虎演じる保険外交員は家に入るなり「大家好!初次見面,請大家多多関照!」と元気よく挨拶し、家族の質問に答える度にお辞儀して「はい」と答えているので日本人役っぽい気もするが、ずっと中国語を喋っているので日本人というわけではないのかな…とも思ったり。一応Geminiくんに尋ねてみると日本人役じゃないよ、との答えだった。信じていいの?Geminiくん曰く普段のシリアスな役とは一転、東北地方独特のユーモアが漂う世界観の中で少し照れくさそうに、でも楽しそうに演じている姿がとても新鮮…ってGeminiくん、分かってるなぁ。話の筋は良く分からないけど高虎の口から発せられる「ハイ」や「サヨナラ」といった日本語が聞けるだけでも見る価値大あり! 「黒白布局」(黑白布局)[01] 全15話 維基(Wiki)や百度(Baidu)では01年となっているが豆瓣(Douban)だと98年放送になっている全15話のサスペンスドラマ「黒白布局」。おそらく98年が正解のような気がする…って、まぁどっちでもいいけど。 国家安全保障機関の秘密防諜チームと外国のスパイ組織との戦いの物語で、高虎が演じているのは女たらしのフリーランスライターでありながら実はスパイ組織の一員である余西凡。 転覆工作や情報窃盗といった外国諜報機関の巧妙かつ複雑な隠密活動、知られざるスパイ活動の手法やスパイの心理、対する防諜捜査官たちの並外れた戦略立案能力など、秘密戦線における両陣営の知的な駆け引きを中心に物語が展開する。 第14話で遂に防諜捜査官に捕まり、逃げ場のない独房に入れられた余西凡は、観念して持参の薬を飲んで自殺した――と思いきや、最終回15話冒頭、いきなり遺体安置所で息を吹き返す。どうやら仮死状態になる薬だったらしい。恐るべし、スパイの執念。しかし防諜捜査官の手からは逃げられなかった。14話でスパイ組織のメンバーが芋づる式に逮捕されてしまったため、組織再建に適した人物を探すよう指示された余西凡に、廖京生演じる防諜捜査チームのリーダー・肖風(肖风)は敵陣に潜入するため自分を推薦してほしいと言う。余西凡は肖風に従うしかなく、二重スパイになってしまった。肖風は海外でのスパイ訓練のため、飛行機で旅立ったところでドラマは終了。 余西凡はやたらとPCを使っているのだが、OSが懐かしのWindows 95!データ転送の時に書類のアイコンがひらひら飛んでいく画面やら残り時間表示やらが久々に見られて思わず感激。 高虎の眼鏡姿も新鮮で、めっちゃよく似合っていた。時代劇もいいけど、高身長なので洋服だとスタイルの良さが際立って本当に格好いい。配音(吹替)でなければ更によかったんだけど。
2026.05.26
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」で彼の出演作品を紹介していくにあたり、ドラマ、映画問わず出演年代順に取り上げた方が分かりやすいかなとも思ったが、まぁ第1夜でつらつら挙げた順でいっか――今更誰も興味ないだろうし ということで、まずはドラマの出演作品を取り上げてから映画に移ることにする。 ただ97年だか98年に高虎が脳性麻痺と運動機能障害を持つ主人公を演じた映画で見せた彼の演技力が余りにも素晴らしく、若くして既に才能が溢れていたということを念頭に置いておいてほしい。 「非常案件」 [00] 全20話 00年だか03年だかに放送された全20話のサスペンスドラマ「非常案件」は4つの事件に分かれていて、1-5話が「紅舞之夜(红舞之夜)」、6-10話が「黒色通道(黑色通道)」、11-15話が「神人龍面(神人龙面)」、16-20話が「死亡遊戯(死亡游戏)」となっている。 高虎が出演しているのは最初の事件「紅舞之夜」。鄭爽(郑爽)演じるバレエダンサー・謝越(谢越)の恋敵である鄒蕾(邹蕾)が彼女を訪ね、その夜自分の家に来るように頼んだ。謝越が断るも、鄒蕾はアパートで殺害されていた。謝越の後援者(パトロン)・呂楓(吕枫)、何やかんやあって呂楓の代わりに公演を後援することとなった魏玉、魏玉の運転手・邢大海、謝越が主演する公演「アンナ・カレーニナ」の脚本家兼監督・林志成、そして謝越の初恋相手であり今回の公演で謝越の相手役を務めることとなったダンサーが高虎演じる曹磊。この中の誰かが鄒蕾を殺したに違いないが、一体誰が…? 色々あって謝越と曹磊がよりを戻したことで、曹磊に惚れていた魏玉の不興を買い、謝越は主役降板の羽目に。曹磊が二人の仲を取り持とうとするも対立はさらに激化してしまう。そんな中、警察は魏玉宅で鄒蕾の所持品を発見し彼女を逮捕するも、邢大海が自白して鄒蕾を殺したのは自分であり、魏玉は無実だと主張した。そして翌朝、謝越が自宅で遺体となって発見された――。 主役は勿論警察特案組の方々で、柳雲龍(柳云龙)演じる敏腕警察官・周峰が主人公。中国語字幕頼りで視聴したが、結構面白かった。現代ドラマなので配音(吹替)なし。劇中ではモテモテな高虎の優しい地声も聞けて嬉しいが、曹磊はなかなか嫌なヤツであった。果たして犯人は誰だ!? 「乱世英雄呂不韋」(乱世英雄吕不韦)[01] 全29話 「呂不韋伝奇」(吕不韦传奇)Lv Bu Wei - The Hero In Times Disorder 01年に全29話で放送された「乱世英雄呂不韋」は袁銀波(袁银波)と汪炎による歴史小説「秦宮秘史」を原作とした歴史ドラマで、タイトルどおり秦の宰相として権勢を振るった呂不韋の伝説を描いている。 呂不韋といえば「奇貨居くべし」ということわざが有名だが、これは珍しい品物は買い取っておけば後日大きな利益を生むことから、絶好の機会はうまく利用すべきという意味。 中国戦国時代、大商人だった呂不韋は趙の国に人質として送られて貧しく不遇な生活を送っていた秦の公子・異人と出会う。商才に長けていた呂不韋は異人の非凡な価値を見抜き、「これ奇貨居くべし(この珍しい宝は手元に置いておく価値がある)」と直感。異人を秦王にしてその功績を以て権力を握り、巨利を得る事を狙って莫大な財産を異人に投資した。また呂不韋が寵愛していた趙姫を異人が気に入ったため、彼女を譲りもした。趙姫は呂不韋の子を宿していたが、何も知らない異人は後に子の誕生を心から喜んだ。この子供が後に中国の初代皇帝・始皇帝となる。 何とか秦に逃げ帰った異人は呂不韋の働きかけにより父・安国君の寵姫・華陽夫人の養子(安国君の世子)となり、名を子楚と改名。 昭襄王56年(紀元前251年)秦の昭襄王が薨去。安国君が孝文王として即位し、子楚は太子となった。さらに孝文王元年(紀元前250年)には孝文王が即位してたった1年で没したため、子楚が荘襄王として即位、呂不韋はついに丞相となったのであった――。 高虎が演じているのは安国君の子として生まれながらも、安国君には20人以上の子があった上に母の夏姫が安国君から気にいられなくなったために捨て駒の如く趙の人質として出されていた異人。呂不韋によって秦の国王に即位するも、在位僅か3年、35歳で薨去。秦の天下統一後、始皇帝により太上皇に追尊された。中国史上初めて太上皇の称号が使われた事例なのだとか。 人質時代の異人の不遇っぷりを健気に演じる高虎がとにかく愛おしいのであるが、反面、そんな愚かしい異人を利用しまくる張鉄林(张铁林)演じる呂不韋と、寧静(宁静)演じる趙姫が腹立たしくもある。異人と結婚してもなお2人の関係は続いているし。そんな2人の関係に全く気付かない異人が気の毒すぎて見ていられない。とはいえ人質高虎が可愛すぎるので見てしまうけど。 しかしそんな健気だった異人も皇帝即位後は放蕩に耽り、呂不韋はそれを悪用して放蕩三昧の末に子楚を死に至らしめた。第20話で子楚が最期を迎える場面、二人の側室と豪遊していたが満足せずに皇后・趙姫を呼び寄せた。怒った趙姫は到着するや子楚に馬乗りに。この頃の子楚は致命的な量の媚薬を服用していたせいで毎日吐血しており、趙姫が馬乗りになったことで子楚は息ができなくなり絶命するシーンでのこと。 この場面の撮影中、監督は高虎にまるで死にかけているかのように息を止めるよう指示し、高虎は全力で息を止めて顔を真っ赤にしたがOKは出ず。2度目も全力を尽くしたが先程の息止めで脳の酸素が不足していたためか、今度はそのまま気を失ってしまった。趙姫役の寧静が驚いて「高虎、どうしたの?(高虎你怎么啦?)」と叫んだという。高虎は意識を取り戻すとすぐに「監督、あのシーンは大丈夫でしたか?本当に死んだんです。まだそう見えないと言うなら、もう本当に無理です」と尋ねたところ、監督は「やっぱりダメだ。目が動いていた」と答えたそう。高虎は考え込んで、“完全にショック状態で意識もなかったし、表情もコントロール出来なかったから、あのシーンはやっぱりダメだったんだ” と気付いたそうで、その後休憩を取り、外に出て数周走って体を温めてから再び撮影に臨み、ようやく納得のいくものが出来たのだとか。
2026.05.24
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」第2夜の今宵から高虎(ガオ・フー)の出演作品についてあれこれざっくりと紹介していきたい。 彼の出演作品のいくつかはYouTubeで視聴することが出来るし、YouTubeになくても中国の動画サイトである哔哩哔哩(bilibili)などでも視聴可能だ。但しbilibiliだと会員登録しなければ全ての尺は見せてもらえないものもあるような…って勘違いかもしれないけど。私は登録する勇気がないため(安全ではあるらしいが)、可能な範囲でちらっちらっと視聴しただけの作品も中にはあったりして。そういう作品を紹介する場合は中国のサイトに深入りして調べるのは怖いので相棒であるGeminiくんに教えてもらおうと思うが、このGeminiくんも結構いい加減なヤツで、しれっと間違った情報を教えてくれたりもするので万が一気になる作品があったら御自身でちゃんと調べてみてくださいまし。 …と、言い訳はこのくらいにしてそろそろ出演作品を紹介していこう。 「北京夏天」 Summer In Beijing [96] 全20話 まずは96年に放送された彼のデビュー作「北京夏天」から。 高虎が中央戲劇学院3年生の時に初めて出演した作品で、大学の話劇社(演劇部)を舞台に、理想と現実、恋愛とキャリアに悩む大学生たちの姿を描いた全20話の青春恋愛ドラマ。彼が演じているのはサッカークラブに所属していて演劇に参加することとなる、お調子者でムードメーカーっぽい男の子・邵壮。 ちらっちらっと観ただけだが、結構自然な演技で初々しいというか瑞々しい感じで可愛い 「康熙微服私訪記」(康熙微服私访记)[97] 全30話 続いては97年に放送された全30話の歴史時代劇ドラマ「康熙微服私訪記」。 清の第4代皇帝で唐の太宗とともに中国歴代最高の名君とされる康熙帝が身分を隠してお供達と現地へ赴き調査して腐敗した官僚たちを正すという物語で、日本でいう「水戸黄門」にちょっぴり似た感じだ。 1-7話の「犂頭記(犁头记)」、8-16話の「八宝粥記(八宝粥记)」、17-23話の「銅鼎記(铜鼎记)」、24-30話の「紫砂記(紫砂记)」の4つのうち高虎が出演しているのは「犂頭記」。康熙帝の第二皇子で、わずか2歳にして皇太子に立てられた愛新覚羅胤礽(允礽)を演じている。 史実における胤礽は清朝における最初で最後の皇太子であり、のちに廃太子されて幽閉され、一度は許されて復位されるも結局再び廃されて幽閉先で死去したという人物。今作で高虎が演じているのは父・康熙帝の留守を預かることになる若き日の胤礽で、ドラマ出演2作目とは思えぬほどの堂々とした皇太子っぷりには恐れ入る。贔屓目なしで達者な演技に舌を巻く。ペロン。 「犂頭記」の最終7話では、お忍び旅を終えた康熙帝が旅先で集めた不正の証拠を突きつけながら紫禁城で厳しく胤礽や大臣に降格を命じる。帝の面前から引きずり出される重臣2人、そして絶望や恐怖に打ちひしがれた表情を浮かべつつ静々と引き下がる胤礽。可哀そうに…。 「康熙微服私訪記3」(康熙微服私访记3)[00] 全26話 「康熙微服私訪記」は好評につき第5部まで放送されており、高虎は第3部にも胤礽役で出演している。 第3部は1-9話の「錦袍記(锦袍记)」、10-18話の「食盒記(食盒记)」、19-26話の「鈴鐺記(铃铛记)」から成っており、高虎演じる胤礽が出演しているのは「鈴鐺記」。 「鈴鐺記」ではのっけから皇太子の地位争いが勃発。うんざりした康熙帝は宮廷を抜け出して田舎へ向かう。そこで平民たちと過ごすうちに…というような話。胤礽は大丈夫!? 胤礽の衣装が1では銀色だったのが、3は金色にグレードアップ!心なしか1の頃より若干威厳が備わりつつあるようなないような(単に髭のせい!?)、それなりに成長っぷりが伺える。 残念なのは1も含みこの作品での高虎の声は配音(吹替)だということ。高虎の地声はちょっと特徴があって分かりやすいのだが、はっきりとした喋り方ではない(私見)せいで配音なのかと勝手に思っていたら、どうやら中国のドラマは配音が多いらしい。標準語(普通話)の義務化やら撮影現場の騒音と環境、厳しい検閲とセリフの変更などのためなのだとか。
2026.05.23
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「Gao Hu!! 高虎(ガオ・フー)祭」を開催するよ~…ってあれッ!? 誰もいない!? まぁしゃあない、独りでひっそり始めるとするか。 第1夜の今宵は高虎が出演したドラマや映画のタイトルを維基(Wiki)や百度(Baidu)などを参考にしてつらつら挙げてみたい。様々な中国サイトを参考にして精度を上げようと試みた途端、騒々しい警告音とともに画面いっぱいにGoogleの偽セキュリティ警告画面が!やっぱり中国のサイトに深入りするのは危険だ。なので書き洩らしている作品もあるだろうが、已む無し。 中国本土では簡体字という、我々が慣れ親しんでいる漢字の偏(へん)や旁(つくり)が簡略化された文字が使用されているが、日本人には逆に分かりづらいので今回は普通の漢字で書くことにする。簡体字だと入力できない字もあるし。中国っぽさが抜けるけどこれもまた已む無し。 電視劇(电视剧) TVドラマ ※ 色付きタイトルをポチっていただくと紹介ページが出ます 【タイトル(/別名)、おおよその制作年(もしくは放送年)、役名の順で記載】 ・北京夏天 [96] 邵壮 ・康熙微服私訪記 第1部 犂頭記 [98] 愛新覚羅胤礽 ・康熙微服私訪記 第3部 鈴鐺記 [00] 愛新覚羅胤礽 ・非常案件 [00] 曹磊 ・乱世英雄呂不韋 / 呂不韋傳奇 [01] 異人(後に子楚/荘襄王) ・東北一家人 25-26話:保険没問題! [01] 保険員 ゲスト出演(客串) ・黑白布局 / 黒諜 [01] 余西凡 ・大脚馬皇后 [01] 胡大鵬 ・各就各位:愛你到永遠 [02] 王家衛 ・大英雄鄭成功 [02] 黄延 ・我這一輩子 [02] 軍官 ゲスト出演(客串) ・天龍八部 [03] 虚竹 ・城市的星空 [04] 遠子 ・大明天子 [04] 朱允炆(建文帝) ・大明王朝驚変録 / 大明王朝1449 [04] 朱祁鈺(景泰帝) ・凌雲壮志包青天 [05] 白雲飛 ・誰憐天下慈母心 [05] 趙大飛 ・時髦老爹 / 見銭眼開 [05] 汪博 ・神雕侠侶 [06] 霍都 ・逃亡香格里拉 [06] 盛一朝 ・碧血剣 [07] 朱由検(崇禎帝) ・成都、今夜請将我遺忘 [07] 陳重 ・雪山飛狐 [07] 平四 ・生死対峙 [07] 李建軍 ゲスト出演(客串) ・暴雨梨花 [08] 池田司令 ゲスト出演(客串) ・英雄栄耀 [09] 陳天瑞 ・国家宝藏之覲天宝匣 / 天眼 [09] 祁老三 ・警察遇到兵 / 一个好漢两个帮 [09] 徐春磊 ・我的三十年 / 純真的年代 [10] 冼广偉 ・大時代 [10] 憑杰 ・水滸伝 [11] 青面獣 楊志 ・王海涛今年41 [11] 李好 ・大唐双龍傳之長生訣 / 新大唐双龍傳 [11] 隋煬帝 ゲスト出演(客串) ・風雲之十里洋場 [12] 朱洪生 ・童話二分之一 [12] 曹湛陽 ゲスト出演(客串) ・民兵葛二蛋 [12] 麦子 ・四川往事之有多少愛可以重来 [12] 孟天運 ・相愛十年 [14] 劉元 ・家宴 [14] 皮大聰 ・紅色 [14] 胡勁松(出演シーン全カット) ・龍門飛甲 [15] 万喩楼(出演シーン全カット、俳優交代) 電影(电影) 映画 ・関於愛的故事 [98] 馬大力 ・都市天堂 [99] 阿順 ・情路悠長 [99] 王阿貴 ・上車、走吧 [00] 劉承強 ・開心哆来咪 [00] 瘦子 ・旅程 [04] 小淮兵 ・龍朝風 [04] 游伯龍 ・一石二鳥 [05] 柳玉樹 ・新街口 [06] 巡警 友情出演 ・幸福成本 [07] 陸軍 ・扈三娘与矮脚虎王英 [08] 祝彪 ・天堂凹 [09] 福林 ・愛有来生 [09] 阿九哥 ・斗牛 [09] 八路軍戦士 ・人皇伏羲 [09] 傲洪 ・愛来不来 [11] 東不拉 ・金陵十三釵 [11] 中国軍兵士 ・消失的子弾 [12] 高官 ・大上海 [12] 林壞 ・白狐 [13] 海蝠王 ・賭城風雲 [14] 高先生 ・誰説我們不会愛 [14] 莫秋一 ・刀之隊 [14] 亨特張 ・烈日灼心 [15] 陳比覚 ・五行殺人 [18] 制片人(プロデューサー)も兼任しているらしいが、確認とれず 舞台 舞台 ・電影之歌 [05] ミュージカル主演 ・紅玫瑰与白玫瑰 [08] 主演
2026.05.21
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かつて中国には高虎(ガオ・フー)という非常に優れた俳優がいた。 だが2014年8月におクスリ使用容疑で逮捕され、その後國家廣播電視總局(国家ラジオテレビ総局)が2014年10月に発令した “封杀劣迹艺人(不名誉芸術家命令。薬物使用や売春などの違法行為やスキャンダルを起こした芸能人を追放するという文書)” に掲載されたため、高虎の俳優活動は禁止されてしまった。 おクスリがよろしくないのは百も承知ではあるが、それでも数々の作品における高虎の演技はやはり素晴らしい。本当にいい役者さんなのである。 日本ではほとんど馴染みがないうえ、12年も前に俳優業から遠ざかっている方の祭りを開催したとて需要がほぼ皆無なのは重々承知。高虎について日本語で詳しく書かれているサイトはあまりなさそうなので、今更誰も興味がないことをだらだら綴るがモットーのこの駄BLOGに、是非とも彼の足跡をひっそりと残しておこうと思う。ちなみに今年はデビュー30年という節目だったりする。 高虎は1974年4月25日に中国山東省青島市で誕生。父親が楽器演奏者(チェンバリスト)兼油絵画家だったそうで、子供の頃から劇団で育ち、音楽と演技に強い関心を持っていたという(百度百科調べ)。山東芸術学院に進学するも、教師に勧められて中央戲劇学院(中国を代表する国立の演劇大学)に入学。 96年、大学3年時に青春ドラマ「北京夏天」に出演し、俳優としてデビュー。以降、コンスタントに数々のドラマに出演。スクリーンデビューは98年の「关于爱的故事」、英題は「The Common People(普通の人々」)」。この作品で高虎は脳性麻痺と運動機能障害を持つ主人公・馬大力役を見事に演じ切っているのだが、興行成績が振るわず、ほとんど注目されなかったそうな。 00年公開のドラマ映画「上车,走吧」では今作が俳優デビュー作となる同郷の友人・黄渤と共に主演を務めた。 01年に放送された「乱世英雄吕不韦」の異人(後に子楚に改名。荘襄王)役で頭角を現した後も出演依頼が途切れなく続き、03年に放送された金庸原作の武侠ドラマ「天龙八部」で主人公の一人・虚竹を演じて人気を博した。しかしその最中、ドラマ「情错」での運転シーン撮影中に死亡事故を起こしてしまった。04年2月に青島で審理され、同年7月に高虎は過失致死罪で懲役1年、執行猶予1年の判決を受けた。 事故後は舞台劇「紅玫瑰与白玫瑰」やミュージカル「电影之歌」、ネット小説が原作のドラマ「都是爱情惹的祸」で主役を務めた。 05年にはこれまた金庸原作の武侠ドラマ「神鵰俠侶」で霍都を演じ、高難度アクションを自らこなしたという。金庸原作といえば他にも07年の「碧血剑」では朱由检(明最後の皇帝・崇禎帝)役、08年の台湾ドラマ「雪山飛狐」では平阿四を演じている。 同じく08年のドラマ「暴雨梨花」は、かつて “香港バカ映画界の巨匠” と言われていたバリー・ウォン(王晶。香港の同名の脚本家との混同を避けるため、今はウォン・ジン読みになっているらしい)が脚本・監督を務めた、日中戦争時の銀幕女優たちの栄枯盛衰を描いた作品で、高虎はゲスト出演して日本軍の池田司令役を演じている。勿論、台詞は全て中国語ではあるが。これによりモバイル新聞読者クラブと映画愛好家が共同で主催する “金π奖(ゴールデン・パイ賞)” の第1回 最喜爱的数字电影演员奖(最も愛されるデジタル映画俳優賞)を受賞 その後も様々なドラマや映画に出演。10年には「水浒传(水滸伝 All Men Are Brothers)」で梁山泊の好漢、序列第17位の天暗星・楊志をそれはそれは格好よく演じている。12年の「民兵葛二蛋」は日中戦争のドラマで、主演の黄渤演じる葛二蛋の幼馴染・麦子役で出演。翌年の年度十佳電視劇榮譽(年間トップ10TVドラマ)の10位にランクインした人気ドラマとなった。 しかし12年3月、またしても事件が起こる。北京市内にある高虎の別荘で作業していた改修作業員が、電気ケーブルに触れて事故死するという痛ましい事件が。作業員の妻は高虎を訴え、死亡賠償金、葬儀費用、精神的苦痛に対する賠償金として88万5000元以上を支払うよう裁判所に求めた。後に高虎に責任なしと認められたものの、自発的に原告に対し35万元を賠償したという。03年の過失致死、そして12年の作業員感電死事故、人生で2度も死亡事故に関わってしまうって…。一体前世で何したの? 12年に公開された「大上海(ラスト・シャンハイ)」は中国・香港の合作映画で、監督は「暴雨梨花」のウォン・ジン(王晶)。チョウ・ユンファ(周潤發)やサモ・ハン・キンポー(洪金寶)といった香港電影の大スターとならんで高虎も出演。1920年代から1930年代にかけて上海で活躍した黒社会のボス達の実話に基づいている物語で、高虎が演じているのはユンファ演じる成大器の護衛・林壞。超絶格好いい役である。謝謝、王晶導演。 13年にはバラエティ番組「中国星跳跃(オランダのリアリティ番組『Celebrity Splash!』の中国版。有名人がプールで高飛び込みをする番組)に出演し、決勝戦で3位を獲得。審査員に何やら見覚えのある顔が…と思ったら「乱世英雄吕不韦」で主人公・吕不韦(呂不韋)を演じていた張鐵林だった。 14年公開の香港映画「賭城風雲(ゴッド・ギャンブラー レジェンド)」はまたしても監督がウォン・ジン(王晶)とビリー・チョン(鍾少雄)で、主演がユンファ。89年公開の「賭神(ゴッド・ギャンブラー)」が大ヒットし、翌年には「賭侠(ゴッド・ギャンブラーII)」が公開。以降、幾多のギャンブラー映画が製作されたが、ユンファが出演するのは94年公開の「賭神2(ゴッド・ギャンブラー 完結編)」以来、何と20年ぶり!高虎が演じているのはマネーロンタリング組織DOAのオーナー・高先生。広東語吹替ではなく高虎の地声(彼だけ普通に中国語で喋ってる)なのも嬉しい。高虎のバカ演技も必見だ。流石「黄金男配角(黄金の助演男優)」と称されるだけはある。 2度の事故を乗り越えて高虎の俳優人生も再び軌道に乗ったと思った矢先の14年8月12日午後5時、北京市公安局の公式微博アカウントは高虎が薬物使用で逮捕されたことを確認する声明を発表した。8月4日夜、高虎を含む4人は薬物使用の容疑で北京警察に逮捕され、大麻約7gとメタンフェタミン約1gが押収されたとのこと。そして8月22日に釈放され、微博で謝罪した。 ――以上がざっくりとではあるが高虎の俳優経歴である。次回から詳しく作品を紹介していこう。
2026.05.17
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3月末にTBSで放送された「ちるらん 新撰組鎮魂歌」 “江戸青春篇” 第1夜がYouTubeで無料公開されているので視聴してみた。 このドラマは梅村真也さん原作、橋本エイジさん作画の漫画を実写化したもので、ちょっと試しに観てみたらやっぱり続きが気になってしまい、結局U-NEXTで “江戸青春篇” 2話と “京都決戦篇” 6話の全てを視聴した。 元々ドラマには全く興味がないのでほとんどの俳優さんを知らなかったが、結構イメージに合ったキャスティングだったように思う。 主人公である新選組(ドラマタイトルは「撰」の字だけど、私は「選」の字派)副長・土方歳三を演じているのは山田裕貴さん。山田さんはザイル系(EXILE系)総出演映画「HiGH&LOW」での鬼邪高校番長・村山良樹役や、「志村けんとドリフの大爆笑物語」での志村さん役で好感を持っていたので、山田さん見たさで「ちるらん」も見てみたのだが若干今作では影が薄かったかな。というより単に私が勝手に抱いている土方さんのイメージとは違った。まぁそれは山田さんのせいでは全くなくて原作によるものなのだが。 その原作漫画の作画と実によく似ていると感じたのは、幕末の四大人斬りの一人に数えられる土佐藩郷士の “人斬り以蔵” こと岡田以蔵役の中島健人さん。漫画の以蔵の雰囲気そのまま!ナイスキャスティング!全然知らなかったけど、この方はアイドルなのね。原作漫画の以蔵はとにかく純粋で心優しい青年で、以蔵と土方さんが最後に剣を交えた後に約束を交わすシーンは涙無くしては読めなかったが、ドラマでも見事に再現されていた。アイドルってすごい…。 アイドルもすごいが、このドラマで最も印象深かったのは何といっても壬生浪士組(新選組)の初代筆頭局長・芹澤 鴨を演じた綾野 剛さん。ドラマを全く見ないので綾野さんも今作で初めて知ったが、綾野さんの芹澤局長見たさでわざわざU-NEXTに加入してしまったぐらい魅了されてしまった。新選組に惹かれて40年、関連書籍を多数読み、いくつかの映像作品を見てきたにもかかわらず、今の今まで芹澤局長に関心を持ったことなど一度たりともなかった。それが今回、綾野さんがあまりにも蠱惑的に演じているため、芹澤局長に初めて興味を持った。漫画が原作なのでオーバーに演じてはいるが、もう色気がだだ洩れ。綾野 剛さん――いい役者さんだ。 新選組八番隊組長(ドラマでは「隊長」)・藤堂平助役の宮崎秋人さんもよかった。“魁先生”(市中巡察の際に隊の先頭に立ち、戦闘の際には常に先陣を切ったという平助の異名)と呼ばれていたという平助の元気の良さを上手く演じていた。 でもって新選組での個人的一押し、十番隊組長・原田左之助役は栁俊太郎さん。おおッ、美男だったと言われている左之助を演じるに相応しい、なかなかの美青年だ。調べてみるとMEN'S NON-NOの専属モデルだったとのことで納得。道理で一人だけスタイルが別格なわけだ。しかしそんな美青年の栁さんが演じている左之助は、残念ながら台詞が極端に少なく、やたら食べてばかりいるという…。何故か死神みたいに黒いローブのような衣装で武器が大鎌だったりするけど、唯一の戦闘シーンでは最後にちゃんと槍で仕留めていたのでよしとしよう。 逆に酷い描かれようで愕然としたのが諸士調役兼監察・山崎 丞(ドラマでは「烝」)。本来の山崎さんは非常に有能な長身の美男子だったはずなのだが、何だか変なガスマスクのようなものを常に付けており、金のためなら近藤派にも芹澤派にも情報を売るという下種っぷり。 同じくドラマの最後の方でちょろっとだけ登場した長州藩士・高杉晋作にもショックを受けた。「GOD」を自称する傲岸不遜な男って…。まぁ漫画だから仕方ないか。 原作漫画は10年くらい前に「土方歳三VS岡田以蔵編」と題された、以蔵話をメインに収録しているコンビニコミックを読んだだけなのでほとんど知らないに等しく、山崎さんや晋作、妙に迫力がある会津藩主・松平容保らのキャラクターには正直、違和感しかなかった。 とはいえ全体的に見たらなかなか面白いドラマだった。時代劇はやっぱり血が滾っちゃうよね。
2026.05.04
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いつの間にやら春になっていた 2ヶ月半ぶりの駄BLOG更新である。このだらだらと過ごしていた間に、以前からお気に入りだったエバースがかが屋と行ったツーマンライブを見に行った。かが屋の加賀さんが岡山の方だからかな?こんな田舎までお越しいただき恐縮っす。アラシックス(around sixty。一般的にはアラ還という)も十分楽しめた。 でもって今月から中国語講座に通い始めた。大学1年時に第2外国語で中国語を選択して一年間学習して以来、およそ40年ぶりに学ぶ中国語。発音を学びながらふと思い出す、そういえば学生時代も発音がめっちゃ苦手だったっけ…。 何故唐突に中国語を学ぼうと思ったのかというと、単に中国人俳優さんに夢中になったからである。厳密には元俳優さんになるのだが。その方のまつり(祭)をひっそり開催しようと数々の出演作品を視聴したものの、いずれも話の筋がおぼろげにしか理解できず悲しい思いをしたのだった。(まぁ、姿を見られればそれはそれで幸せではあるのだけれど) この悲しみを払拭すべく中国語講座の門を叩き、現在は入門コースで発音練習に勤しんでいる。とはいえ中国ドラマを理解出来るようになるまで一体何年掛かるのやら、ということでおぼろげな理解のままでまつりを催す次第である。 ♪祭り 祭り 毎日愛しき何かの 祭り 祭り~ と 藤井 風さんも歌っているが、当駄BLOGでも数々の愛しきまつりを独り寂しく開催してきた。 でもって前回の許冠文(マイケル・ホイ)祭から約3年ぶりに新たなまつりを開催するつもりであるが、正直、需要皆無なのは重々承知している。完全に自己満足だ。まぁ元々BLOGなんてそんなモンだし。 3ヶ月ほど前に「水滸伝 All Men Are Brothers」という駄記事を綴るにあたってドラマを見返した際、楊志を演じた高虎さんに心を奪われてしまった。以来、高虎についてあれこれ調べ(とは言っても中国のサイトは何となく怖いので詳しくは調べられない)、出演作品もあれこれ視聴した。日本語字幕で楽しめた作品も少しはあるが、大半は中国語字幕すらない原語台詞のみでストーリーはよく分かっていないが、高虎の格好良さだけは堪能できた。嗚呼、それなのに10年以上前のおクスリ吸引で引退状態だったとは…。一時のりPさんが中国で人気があるとか言われていたので、中国っておクスリに寛容な国だとばかり勝手に思っていた。やっぱりアカンのやね。 今更他国民がひっそりとまつりを催すのは迷惑千万だろうが、それでも私は高虎という役者の素晴らしさをネットの片隅に日本語でちゃんと書き記し留めておきたいのである。悲しい哉、日本では “高虎” でググっても藤堂高虎しかヒットしないのだ。まぁそりゃそうだろうけど。“高虎 中国人” で検索してやっと百度(Baidu)や維基(Wiki)の中国語ページに辿り着けるのである。日本語の高虎紹介記事が見当たらないのであれば自分が書くしかない、需要がないから見当たらないというのは置いといて。 さぁ、誰も楽しめないまつりに向けて準備しようっと まつり - 藤井 風
2026.04.29
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前回の駄記事「水滸伝 All Men Are Brothers」でも書いたが、今日の午後10時からWOWOWで「北方謙三 水滸伝」が配信される。全7話でどこまで話が進むのかは分からないけど、私の一押しである青面獣 楊志は登場するようだ。北方版水滸伝では楊志が何故だかやたらと格好よく描かれているので、ひょっとすると日本で楊志ファンが増えるかもしれない。 しかし北方版配信前のタイミングでこんなことを言うのもアレなのだが、それでも私は声を大にして言いたい、中国ドラマで高虎が演じた楊志こそ至高である、と。 原作での楊志は身の丈7尺5,6寸(約230㎝)、顔には青痣とまばらな赤ひげがあり、宋初期の英雄・楊業の子孫で若くして武挙に合格し殿司制使となったエリート武官だ。武芸十八般に通じた豪傑で、林冲、索超、魯智深、呼延灼ら作中屈指の名手と互角に渡り合う実力者なのである。 ということで今までの楊志はわりとゴッツいというか男っぽい方が演じることも多く、98年に中国で放送された「水滸伝 永遠なる梁山泊(水滸伝)」では髭もじゃのおじさん(翟乃社)だった。 それが2011年に新たに中国で放送された「水滸伝 All Men Are Brothers(水滸伝)」では従来の楊志のイメージを一新、本当に高身長でありながら色白で柔和な顔立ちの高虎がそれはもう見事に楊志を演じきっている。まぁ流石に230㎝はないが、それでも190㎝近いので立ち姿にも華がある。 でもって何より手が綺麗。指も長くて綺麗。腕も細くて綺麗。とても武芸十八般に通じた男の手には見えないが、手(と腕)フェチの私にはそんな設定などもうどうでもいい。ただひたすらに高虎の手(と細い腕)を愛でるドラマなのである。 「水滸伝 All Men Are Brothers」全86話中、楊志が登場するのは12話ほどとやや少なめ。 初登場は第14話「楊志、刀を売る」。禁軍師範だった林冲が殿帥府太尉であり姦臣の高俅に嵌められて罪人となったうえ命を狙われ、返り討ちにしたため梁山泊に逃亡。林冲の実力を恐れた首領の王倫から3日以内に旅人を殺し金目の物を奪うという入山条件を提示され、3日目に現れたのが楊志。殿司制使として花石綱運搬の命を受けたものの任務に失敗して逐電していたが、大赦が出たことを知って復職を望み都へ向かう途中であった。林冲と楊志の勝負はつかず、待ったを掛けた王倫は自分の地位安泰のため林冲の当て馬にしようと入山を勧めてきたものの、楊志は断って都へ向かった。 都に到着すると賄賂を使って方々にとりなしを頼み、あとは太尉・高俅の認可を得るだけという状況まで漕ぎ着けるが、高俅からは一蹴されてしまった。所持金を使い果たした楊志は、止む無く伝家の宝刀を売りに出している所に絡んできたゴロツキの牛二を斬殺。しかしすぐに自首したのと相手が鼻つまみ者だったため、宝刀を没収の上北京へ流罪という軽い罰で済んだ。 流刑先の北京留守司・梁中書は楊志を気に入り軍人として取り立てようとするが、他の武官たちが納得しない事を考慮して御前試合を催す。試合で副牌軍の周謹を破り、正牌軍の索超と引き分けた楊志は提轄使に取り立てられた。 第15話「晁蓋一行、楊志を欺く」と第16話「宋江、晁蓋をかばう」では、ある時、梁中書の舅である宰相・蔡京の誕生祝(賄賂)で、10万貫の価値がある生辰綱の運搬監督を命ぜられた楊志は、盗賊対策に十分な配慮をして出発するも、指揮下にある使者や運び手達の反発に遭い、その隙を晁蓋ら盗賊団に突かれ、痺れ酒を盛られた挙句に宝物を全て奪われてしまう。 ――と、ここまでは原作どおりだが、ここからはちょっと原作とは違う部分も出てくる。 皆より後に痺れ酒を口にした楊志が目を覚ますと、先に目覚めた使者や運び手達が任務失敗の責任を全て楊志に押し付けようと相談していた。皆が引き上げた後、絶望した楊志は自害を図るも道士(公孫勝)に「大事を成すため命を大切にせよ」止められ、思いとどまった。 第21話「魯智深、二竜山を制する」では、あてもなく歩き続けていた楊志だったが路銀も底をつき、知人もいない地でどうしたものかと思案しているところへ酒屋が目に入った。酒と飯をたらふく腹に入れてそのまま店を出ようとすると、店主が肉切包丁で切り付けてきた。店主・曹正は林冲の弟子だったこともあり、相手が楊志だと知るや酒屋でもてなし、楊志の身の上話を聞いて青州にある二竜山に行って山賊になるように勧めた。 翌朝、楊志が曹正の店を出ようとしているところへ、62斤の禅杖を手にした筋骨隆々の大男の坊主が酒を求めてやってきた。怪しい坊主を追い払おうとした曹正に坊主が挑みかかってきたのを楊志が受け、暫く遣り合った後に坊主が潔く負けを認めた。坊主は林冲と義兄弟の契りを交わした花和尚 魯智深で、二人は早速意気投合。聞けば魯智深も二竜山の山賊になろうとしたが、そこの頭領に断られ山門から締め出されたという。そこで、曹正の策により魯智深を捕まえたと偽って山門から潜入した後、頭領らを殺して山賊達を降伏させて手下にし、魯智深と楊志は二竜山の頭領となった。 第55話「呉用、楊志に忠義を証す」。そこから話は進み、白虎山の頭領である孔明と孔亮の兄弟は 青州知州である慕容に捕らえられた叔父を救うため青州を攻撃。しかし慕容の元に身を寄せていた呼延灼に蹴散らされ、孔明も捕縛される。孔亮に助けを求められた梁山泊の宋江は、三山(白虎山、桃花山、二竜山)との同盟を試みるが、かつて官府の人間として生辰綱の護送を担当するも梁山泊に強奪された楊志は梁山泊を強く憎んでおり、とりわけ呉用を目の敵とする楊志は呉用に忠義とは何か、宋江に忠義を貫けるのかと問うた。これに呉用は死しても貫くと答え、宋江の首に刀を押し当てながら尚も問う楊志の眼前で「この命で兄貴を取り戻す」と自らの胸に刀を刺した。 第56話「宋江、三山を結集させる」では何とか一命を取りとめた呉用だったが、これには楊志も驚きを隠せず、そのうえ魯智深からはあらぬ疑いまで掛けられたこともあって楊志は二竜山を去る。それを聞きつけた慕容は楊志を取り込むべく使者として張統制を遣わし、懐柔できなければ楊志を毒殺するよう命じる。その後、反省した楊志は二竜山に戻って呉用に詫び、呉用の作戦どおり別働隊として慕容の陣営を襲撃するも、戦いの最中に血を吐いて離脱を余儀なくされる。 そして第57話「晁蓋、曾頭市を攻める」。楊志を診た呉用は、原因が張統制からもらった蚕蛹の揚げ物による七彩蚕蛹の毒であることを見抜き、薬を与えた。楊志は呉用に改めて心から詫び、わだかまりを解く。そして後日、回復した楊志も参戦して再度慕容を攻めて見事青州を陥落させ、何やかんやで仲間になった呼延灼並びに楊志を含む三山の一行等計12名は梁山泊の仲間入りを果たした。 梁山泊の一堂が会した酒宴の席で、「兄弟諸君」と楊志が声を上げた。「この楊志は梁山泊とは腐れ縁だ。晁蓋天王が祝いの品を奪わなければ兄弟と出会うことはなかった」その言葉に呉用が言う。「これも天が定めた何かの縁であろう。貴公こそ梁山泊の財神だ。あの品がなければ今の梁山泊の繁栄はなかった」続いて晁蓋(梁山泊2代目首領)も「確かに貴公は梁山泊の財神だな。我らから感謝の杯を」。一同も楊志に向かって杯を掲げた。「それもそうだ。乾杯」楊志の音頭により一同は杯を飲み干した。こうして楊志も梁山泊の一員となったのであった。 第64話「呼延灼、関勝を欺く」では梁山泊軍が北京大名府を攻め、かつて梁中書の下で楊志と戦い、共に提轄使に任命された索超が捕虜となって連れてこられた。元同僚の楊志の説得のあって索超も梁山泊に加わることとなった。 第76話「梁山泊、童貫を破る」。宋江(梁山泊3代目首領)が待ちに待っていた朝廷からの招安の詔書は、梁山泊にとって屈辱的な文面だった。朝廷の使者は梁山泊一団の怒声を浴びながらほうほうの体で帰る。これを聞いて激怒した蔡京と高俅は、梁山泊の掃討を徽宗皇帝に進言。枢密院長官である童貫が指揮官として大軍を率いて討伐に向かうことに。招安を受ける前に梁山泊の強さを朝廷に見せつける必要があると考えた宋江たちは、必勝を期してこれを迎え撃つ。初めて楊志が梁山泊軍の一員として戦っているシーンが! 第77話「梁山泊、高俅を迎え撃つ」ではいよいよ高俅が大軍を率いて出陣してきた。高俅に対し怨み骨髄に徹す林冲や、高俅に復官の夢を断たれた楊志らが大軍に立ち向かう。 第78話「林冲、高俅を罵る」。梁山泊の水軍によってついに捕らえられた高俅であったが、招安に有利に働くようにと宋江は高俅を開放してしまう。これに納得のいかない林冲は梁山泊を離れることに。魯智深、楊志、武松の旧二竜山3頭領と別れの盃を交わすのであった。(ちなみに林冲はほどなくして戻ってくるけど) 第80話「燕青、李師師と別れる」。前回、ついに朝廷からの招安を受けた梁山泊一同は梁山泊を離れ、陳橋に駐屯することに。奸計だと気付きつつも、堂々と入城する梁山泊軍。そして朝廷から仰せ付かった方臘の討伐に向けて出発した。 ――ぐらいが楊志の出演回である。あ、あと第70話「百八星、梁山泊に集結する」にもチラリと登場する。ようやく頭領が108人になり、天罡地煞の星の数と一致した。そしていよいよ席次も決まった。天暗星・楊志の序列は第17位。 ちなみに「水滸伝」の元ネタ(の一つ)ともいえる説話集「大宋宣和遺事」における楊志の席次は第3位であった。何故、水滸伝ではこんなに下がっちゃったのかしらん?ま、そこがまた楊志らしいっちゃあらしいけど。不幸を背負ってるからねぇ、楊志は。その暗さが魅力でもあるのだ。高虎の楊志はどことなく瞳に暗さが宿っているようにも見え(それは流石に贔屓目で見すぎ!?)、その点でも完璧なのである。高虎の前に楊志なし、高虎の後に楊志なし。ただ、惜しむらくは高虎の生声ではなく声優が声を当てていること。高虎の声や話し方はこんなにハキハキした感じではないので、まぁ仕方がないかな。でもこの声もなかなかいいよね。
2026.02.15
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08年4月に北方謙三さんの著書「水滸伝」について綴ったが、何とこの作品が日本でドラマ化されて今月15日からWOWOWで配信されるらしい。 北方版水滸伝は原作とは全くといっていいほど大きく異なる物語で、まぁそれはそれで大変面白く、水滸伝に集う好漢108人の中で個人的に一押しの “青面獣” 楊志がなぜか破格の扱いなのが嬉しい。とはいえ原作では女っけなど皆無な楊志に妻のような女性がいたり、本来なら終盤でいつの間にかあっさり病死していたはずなのに、北方版では序盤のほうでやたら派手に命を散らしたりと、結構印象深い役どころになっている。 どんなドラマになるのか気にはなるが、やはり日本人が演じるのは違和感しかない。例えば関ヶ原の合戦を中国人キャストが中国語で演じたら妙な気がするし。何より既に中国で15年前に放送されたドラマがあまりに素晴らしすぎて、どうしても見劣りしてしまいそうだ。 その中国のドラマとは、2011年1月1日より浙江銭江チャンネルを含む複数の地元チャンネルで放送された全86話からなる「水滸伝 All Men Are Brothers(水滸伝)」である。 構想10年。総製作費は4.5億人民元(55億円)。時間とお金をたっぷり使って製作されたこのドラマの何が一番素晴らしいかといえば、何といってもキャスティングである。姦臣である高俅役のレイ・チーホン(李子雄)は86年公開の「男たちの挽歌(英雄本色)」で裏切者・シンを演じて有名になった香港の俳優で、まさに物語最大の悪役である高俅役にピッタリ。一方、その高俅の養子・高衙内が横恋慕した林娘子(林冲の妻)役もこれまた香港の女優であるアニタ・ユン(袁詠儀)が演じているのだが、40歳近いアニタに若い高衙内が恋焦がれるのは無理がありすぎる… 他の登場人物は大体イメージと合っており、そのうえイケメン俳優が多いのも嬉しい。史進役の韓棟、武松役の陳龍、石秀役の劉冠翔、張横役の劉科、燕青役の嚴屹寬、花栄役の張迪など美形俳優がズラリ。 そして楊志を演じているのは高虎。楊志は宋初期の英雄・楊業の子孫にして、若くして武挙に合格したエリート武官である。武芸十八般に通じた豪傑で、林冲、索超、魯智深、呼延灼ら作中屈指の名手と互角に渡り合う実力を持つ。 そんな武闘派・楊志を演じるにしては優しい顔立ちの方だなぁ――というのが高虎の初見の印象であったが、ドラマを何度も見返した今となってはもう楊志=高虎と思えるほどドンピシャのハマり役である。 楊志は宿星名が天暗星というだけあって、暗いというか結構悲惨な転落人生を歩むのだが、高虎も色々あった末、14年におクスリで逮捕されて俳優活動禁止という憂き目にあっている。いい役者さんだったのに何てこった…哦,我的天啊! 北方版同様、この中国ドラマでも原作にはない(と思われる。ひょっとしたら忘れているだけかもしれないけど)楊志のシーンがいくつかある。彼が運搬監督を命ぜられた生辰綱(北京大名府知府の梁世傑から舅である宰相の蔡京に贈る誕生祝)を晁蓋や呉用らに奪われて自害を図ろうとするも留まった後の放浪シーンや、その呉用に対する感情のもつれからくる拗ねっぷりシーンやら。魯智深や武松やらと立てこもっていた二竜山を飛び出し、青州知州の慕容の命で毒殺されかかるシーンなんかもあったりする。中国のドラマ、最高! 楊志といえば高虎。このカッコよさ、たまらん…。 まぁ武松や李逵が退治した虎がショボいCGや完全にぬいぐるみなのは置いといて、全体的にとても良く出来ているドラマだと思う。これを超える水滸伝の実写作品はおそらくないだろう。 「北方謙三 水滸伝」怖いもの見たさで見てみたい気もするが、そのためだけに月額2,530円払うのもなぁ…。とはいえ北方版の楊志も高虎が演じてくれたらいくらでも払って見るけどね。
2026.02.01
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新年快樂!明けましておめでとうございます。 当へっぽこBLOGをリスタートして19回目の新年となる今年は午年。午(馬)に因んだ歌で真っ先に思い浮かんだのは、ソルティー・シュガーの “走れコウタロー” だ。とは言ってもこの歌が発売されたのは70年(昭和45年)7月のことで、グループ自体も翌年解散しているため、正直ほぼ知らなかった。 それが1、2ヶ月ほど前に「探偵!ナイトスクープ」で「“走れマキバオー” を完璧に歌いたい!」という依頼を永見探偵が解決したのを見て、アニメ版「みどりのマキバオー」のOP主題歌が “走れコータロー” のカバーであることを知った。この歌が未だ馬好きさん達に愛されているのも納得。 走れコータロー - ソルティー・シュガー 脳裏に浮かんだ曲はもう一つあるのだが、これを馬の歌として取り上げるのは違うはず。だが意味を調べると「小型の馬」である単語がタイトルに入っているので、午年ソングに入れておこう。 ビートルズ(The Beatles)が70年にリリースした12thスタジオアルバム「レット・イット・ビー(Let It Be)」に収録されている “ディグ・ア・ポニー(Dig a Pony)” である。まぁタイトルにポニーが入っているだけという…。 Dig a Pony - The Beatles 年末にふとしたきっかけから「アルプスの少女ハイジ」全52話を何十年かぶりに観た。子供の頃も確かに感動したが大人になって改めて観ると号泣しまくりで、堆積していた心の毒が綺麗さっぱり洗い流された気がする。おじいさん(おんじ)の子供たちに対する優しさや包容力、ペーターの純朴さ、クララのおばあさまの茶目っ気溢れる優しさ等々が胸に沁みた。ハイジに関しては17年前の08年(平成20年)に一度取り上げているが、また近いうちに再度綴ろうと思う。 もう20年近くだらだらと綴っているため更新回数は大幅に減ってはいるが、今年も今更誰も興味がないことやどうでもいいことを綴っていく所存であります。本年もよろしくお願いいたします。
2026.01.03
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M-1グランプリ 2025はたくろうの優勝で幕を閉じた。最終決戦での審査員方や会場の受け度合からしてもまぁ納得の優勝ではあったが、個人的にはやはりエバースの1本目が最高だった。あと今回初めてドンデコルテを知ったが、めっちゃ面白かった。 私の中で今年のTop 3はドンデコルテ、エバース、真空ジェシカだった。来年もこの3組を決勝で見たい。 決勝戦ネタが大ウケだったにもかかわらず最終決戦で優勝を逃したといえば、09年に「鳥人」で初の100点を獲得して1st Round(決勝戦)で1位になりながら最終決戦の「チンポジ」が0票で2位になった笑い飯や、23年に「ホームステイ」が大ウケしてこれまた1st Roundで1位になりながら最終決戦の「見せ算」が0票で3位に落ちたさや香を思い出す――この2つはどちらも特殊な例だけど。 他にも決勝でめっちゃウケても何故か優勝できなかったコンビといえば、昨年3月に解散してしまった和牛や、今や多数の冠番組を抱えるかまいたちやらがいる。ナイツや麒麟なんかもそう。案外エバースはこっちの路線に行っちゃうかも。でもって真空ジェシカは笑い飯路線を爆走中だ。 ホント、勝負は時の運なのだとM-1を見てつくづく思う。 お笑い好きにとって12月は楽しみがいっぱいあって幸せな月だ♪「笑ってはいけない」シリーズがなくなったのは寂しいが、近年ではYouTubeでBSよしもと公式チャンネルが年2回(上半期と年末)配信している「営業-1 グランプリ」を楽しみにしている。今年もサバンナの八木さんがとにかく面白すぎた! それに30日には「アメトーーク」年末SPの「運動神経悪い芸人」でガチ王こと元ザブングルの松尾さんも見られるし、24日には「水曜日のダウンタウン」の「名探偵津田」第4話の完結編も待っている。助手(のような)役のみなみかわさんが好きで、本当に楽しみ。 今年もたくさん笑って幸せに年を越せそうだ。
2025.12.21
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早いものでもう師走、暮れの楽しみといえばやっぱりM-1…なのだが、今年は全く心が躍らない。 真空ジェシカとエバースの決勝進出は楽しみではあるのだが、どういうわけか近年やたらとM-1関連でマヂカルラブリーがMCを務めているため、彼ら(というか野田さん)が苦手すぎて心からM-1を楽しめない。 数年前まで麒麟・川島さんが務めていた決勝進出者発表記者会見のMC、そして千鳥のお二人が進行役を務めていた大会直後の打ち上げ、そのどちらもが何故かマヂカルラブリーが担当に。YouTubeで公式が新たに上げている「決勝戦9組発表直後!突撃インタビュー」もやっぱりインタビュアーはマヂカルラブリーっぽい(見てないけど)。どうして近年のM-1はこんなにも彼らを起用するのだろう。打ち上げの進行役はまだよかったが、決勝進出者発表記者会見のMCは本当に酷かった。 …なんて勝手なことを書いたが、需要があるからここまで起用されるのだろう。単に私が苦手なだけだ。まぁ笑いのセンスは人それぞれだからね。
2025.12.08
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いよいよ鹿児島最終日。2日間お世話になったホテルアービック鹿児島でチェックアウトを済まし、鹿児島中央駅のコインロッカーに余分な荷物を詰め込んでから向かった先は、鹿児島本線で20分足らずのところにある伊集院駅。駅を降り立つと関ヶ原の敵中突破をイメージしたと言われる島津義弘の銅像が出迎えてくれる。おおッ、格好いい!御年65歳とは思えぬ雄姿! 伊集院駅のある日置市は戦国島津ゆかりの地としても知られ、義弘は天文4年7月23日(1535年8月21日)、島津家第15代当主・島津貴久の次男として日置市にあった伊作城で誕生した…が、遠いので行けない。駅から歩いて向かったのは義弘の菩提寺である妙円寺。自分の菩提寺に妙円寺を指定した義弘は、生前に京都より仏師・康厳を招いて自らの姿を彫刻させ、その木像を生きている義弘と思い弔うよう指示して妙円寺に500石を与えたという。妙円寺に電話で確認を入れると御住職がいらっしゃるとのことなので、急ぎ足で向かった。 本堂に上がらせていただき、御朱印をいただいたうえ丁寧にお寺の説明までしていただき、有難き幸せに存じ奉り候。戦国島津位牌堂には島津4兄弟(貴久の4人の息子。長男の島津家第16代当主・義久、次男・義弘、三男・歳久、四男・家久)と、家久の長男で関ヶ原の戦いにおける島津の退き口で捨て奸(すてがまり。退却する途中で小部隊を留め置き、追ってくる敵と死ぬまで戦って足止めして本隊を逃がすという、壮絶すぎる戦法)となって討死した島津豊久の位牌が並んでいたが、これらの位牌は義弘公没後400年祭の時だったかに作られたものだそうで(うろ覚え)、それらとは別に義弘だけは流石菩提寺だけあって「元和五年七月廿一日薨去 妙圓寺殿松齢自貞庵主 義弘公尊位 享年八十五」と記された当時の位牌も祀られていた。 鹿児島の有名な行事に妙円寺詣りというものがある。かつての鹿児島城の城下町である鹿児島市から島津義弘が祀られている徳重神社を詣でる行事だそうで、江戸時代から続いているという。関ヶ原の戦いで敵中突破して奇跡的な生還を遂げた義弘を偲び、泰平の世に士気を鼓舞して心身の鍛錬をするため、鹿児島城下の武士たち(庶民は明治以降)は関ヶ原の合戦前夜の9月14日(旧暦)、往復40kmの道のりを鎧・兜に身を固め、夜を徹して義弘の菩提寺である妙円寺に参拝し始めたのが始まりなのだとか。何故現在は妙円寺ではなく徳重神社を詣でるかというと、明治2年(1869年)の廃仏毀釈により妙円寺は廃寺となり、当時の住職は義弘の位牌などの宝物を持って避難。その跡地へ明治4年(1871年)に創祀された神社が徳重神社なのであった。妙円寺は明治13年(1880年)に以前の寺地の近隣に再興されたものの、かつて義弘が自分だと思って弔うようにと仏師・康厳に彫らせた木像は徳重神社に御神体として祀られたままになっているそうな。 そんな徳重神社は妙円寺のすぐ近くにあり、こちらも参拝させていただいた。御祭神は勿論、精矛厳健雄命(義弘の神号)。境内西側には島津義弘公殉死者13名地蔵塔が並んでおり、当時は薩摩藩で禁止されていたにもかかわらず義弘を慕う家臣たちが殉死してしまったため、哀れんだ忠恒(家久。島津家第18代当主にして薩摩藩初代藩主)が寛永9年(1632年)に建立したものらしい。拝殿の横には弓道場があり、妙円寺詣りの行事として行われる大会でも使用されるとのこと。御朱印をいただきたく呼鈴を鳴らすと、離れた場所にある社務所からわざわざ書置きを持ってきてくださった。有難うでごわす。 更に歩いてこの近くにあるという義久・義弘・歳久の生母・雪窓夫人の菩提寺があった雪窓院跡にも寄ってみた。雪窓夫人の三十回忌に義久、義弘、歳久が連名で建立したという。 筑前・豊後の一部を除く九州の大半を手中に収めていた島津家であったが、天正14年(1586年)豊臣秀吉による九州征伐が行われ、圧倒的な兵力差によって島津軍は敗北。翌天正15年(1587年)5月、当主・義久は雪窓院で剃髪して名を「龍伯」と改め、秀吉のもとを訪れて降伏したとのこと。義久は雪窓院の境内にあった座禅石の上で剃髪したそうで、その座禅石や雪窓院にあったと思われる仁王像頭部などが道路脇の歩道に置かれてあった。何という大らかな展示…。 伊集院駅で義弘の銅像に別れを告げて鹿児島本線で中央駅に戻り、前日も乗車した日豊本線に再び乗り込んで帖佐駅へと向かう。昨日行った加治木駅の二つ手前の駅なので一緒に見て回ればよかったのだが、歩きすぎて足が痛かったので別日にした次第。 帖佐にも島津義弘居館跡(帖佐御屋地跡)があり、文禄4年(1595年)末から慶長11年(1606年)まで居館を置いたそうで、慶長5年(1600年)9月に起こった関ヶ原の戦いから奇跡的に生還した義弘は、この地に帰ってきたのである。 帖佐駅からタクシーで居館跡に向かう。今は稲荷神社となっているため行先をそう告げると運転手さんは若干怪訝そうな顔をされ、スマホを見せると地元では宇都神社と呼ばれているとのことだった。成程、姶良市デジタルミュージアムには確かに帖佐宇都御屋地跡石垣と出ていた。 歴史を感じる石垣や大手門跡、「惟新公邸址之碑」と刻まれた立派な石碑などがあった。義弘は朝鮮からの帰国後、剃髪して惟新斎と号したため惟新公との敬称でも呼ばれていたという。この石碑も大正7年(1918年)の島津義弘公三百年祭に際して有志により建立されたものだそうな。地元の方々の義弘に対する敬愛っぷりが至る所でひしひしと感じられ、鹿児島は本当に素晴らしい。 ちなみに「帖佐御屋地跡」とあるのは、義弘が帖佐から平松、そして加治木に移ったあと、帖佐の館には義弘の娘・千鶴(御屋地様)が住んだためとのこと。 帖佐駅から日豊本線で鹿児島中央駅に戻ってきたのが14時前。帰りの便までまだかなり時間があったので、鹿児島に到着した当初から気になっていたアレを目指し、意を決してアミュプラザへ。アミュプラザ鹿児島のシンボル的存在でもあり、建物の上にあるというビジュアルも印象的な、直径約60m、最大高91mの大観覧車・アミュランに乗ってみた。年をとってすっかり高所が苦手になったものの、どうしても鹿児島の景色を一望したかったのだ。2泊3日の短い鹿児島滞在中、ずっと目にしていた桜島の雄姿を最後に目に焼き付けたかった。 一回転約14分半。あっという間に楽しい観覧タイムは終わってしまった。それでもまだ時間に余裕があったので、もう一度、今度は明るい時間に桜島を見ようと再度鹿児島港に向かう市バスを待っていると、鹿児島老マダムにいきなり首の辺りを触られてビックリ!どうやら首に湿布をしているように見えたらしく、首だか肩だかが悪いのならここを押すとよいと腕をグリグリ押してくださった。…いや、首も肩も全く悪くありませんけど… 老マダムは見間違いを詫びてくださったが、まぁ善意からのことなので無問題。鹿児島ってフレンドリーな方が多い土地柄? この旅2度目の桜島渡航。今となってはそれほど時間があったのならもっと他の観光名所に行けばよかったなぁと思うのだが、どういうわけかあの時はすっかり桜島に引き寄せられていた。長渕 剛さんの生霊にでも憑依されていたのかしらん…。 今回は島津義弘公・重年公の旧址を訪ねる旅ということで鹿児島市、姶良市、日置市、そして霧島市ぐらいしか足を運ばなかったが、見て回りたい場所はまだまだあった。鹿児島がこんなに見所の多い、栄えた地だったとは!何度でも行きたいなぁ。 伊集院駅 義弘公銅像 法智山 妙円寺 義弘公御位牌 新ver 義弘公御位牌 旧ver 向かって一番右側が義弘公の当時からの御位牌。中央の新しい御位牌は義弘夫人である実窓夫人のもの。その左側の御位牌は長州太守 大内家第10代当主・大内義弘の息女のもので、妙円寺という寺号はこの御位牌にある法智妙圓霊位から。何と室町時代のものらしい。 徳重神社 島津義弘居館跡(帖佐御屋地跡) 大手門跡(帖佐御屋地跡) アミュランから見た鹿児島市の風景
2025.11.26
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鹿児島2日目。まず向かったのは天照大御神の孫・瓊瓊杵尊が葦原中国を統治するため高天原から天降った、いわゆる天孫降臨の地・高千穂峰の麓に6世紀中頃創建されたという霧島神宮。最初は高千穂峰と火常峰(御鉢)の間にある背門丘に建てられたものの霧島山の噴火による消失と再建を繰り返し、文明16年(1484年)に再興されたのが現在の霧島神宮とのこと。しかし社殿はその後も幾度も炎上し、現在の社殿は正徳5年(1715年)、島津家第21代当主で薩摩藩第4代藩主・島津吉貴の奉納により再建した物とのこと。歴代島津家の尊崇も篤かったという。 鹿児島中央駅から特急きりしま(真っ黒な車体が格好いい!)に揺られること1時間弱で霧島神宮駅に到着。駅からはタクシーで向かった。平日の午前9時前ということもあって参拝客もまばらだったため、落ち着いて参拝できた。本殿・幣殿・拝殿は令和4年に国宝指定されたそうで、朱塗りの柱と極彩色の装飾が周りの緑に映えてそれはそれは美しかった。島津重年(島津家第24代当主で薩摩藩第7代藩主)もこの景色をきっと目にしたことだろう。 重年といえば、同じ霧島市にあって山幸彦(彦火火出見尊。瓊瓊杵尊と木花開耶姫の子)を祀る鹿児島神宮も島津家の尊崇を受けたとされ、宝暦5年(1755年)に重年の寄進により起工、翌年、島津重豪(島津家第25代当主で薩摩藩第8代藩主)の代に竣工されたとあり、鹿児島神宮のHPにも『現社殿は桃園天皇の宝暦6年(1756年)島津重年公(24代)の造営になるものである』と記されている。残念ながら重年は宝暦5年6月に江戸の芝藩邸で卒去されたため、現在の社殿を目にすることは出来なかった。ということで私も涙を呑んで参拝は見送った次第である。 霧島神宮駅から今度は日豊本線で戻り、途中の加治木駅で下車。駅から徒歩で向かった先は島津義弘(島津家第17代当主という説は賛否両論)を祀る精矛神社(くわしほこじんじゃ)。御祭神である精矛厳健雄命というのは義弘の神号で、そこから精矛神社と命名されたのだとか。 ここ加治木は義弘が晩年を過ごした地で、元和5年(1619年)に義弘が薨去すると加治木本誓寺に霊屋が造営されるも廃仏毀釈により廃寺となり、明治2年(1869年)に加治木屋形内に社殿を造営して精矛神社と称したそうな。大正7年(1918年)に義弘の300年祭にあたって加治木島津家が別荘「扇和園」を神社に寄進、新たに社殿を造営して移転遷座したのが現在の精矛神社とのこと。 良くいえば質朴剛健といった雰囲気の神社で、この飾り気のなさが義弘の気風に合っているような気がしないでもない。境内には文禄の役に陣僧として義弘に従軍した鳳山和尚が朝鮮から持ち帰ったという石臼と手洗鉢や、義弘が厚く信奉していた御稲荷様を祀る神社があったりもした。 宮司さんが在中している神社ではないので、御朱印等は事前に連絡するなり祭事があるときに参拝するなりすればいただけるのかもしれない。 島津忠恒(家久。島津家第18代当主にして薩摩藩初代藩主)の三男・忠朗が寛永8年(1631年)に祖父・島津義弘の遺領大隅国姶良郡加治木1万石と義弘付き家臣の加治木衆317家を拝領して興したのが加治木島津家で、この加治木島津家第4代当主・島津久門というのが重年だったりする。 享保14年(1729年)2月に島津家第22代当主で薩摩藩第5代藩主である島津継豊の次男として鹿児島城で生誕した久門は、同年11月に分家筆頭の加治木島津家第3代当主・島津久季の養子となり、享保17年(1732年)に加治木島津家第4代当主となった。しかし寛延2年(1749年)7月に兄であり島津家第23代当主で薩摩藩第6代藩主でもあった島津宗信が22歳の若さで卒去したため本家に復帰、その跡を継いで藩主となり、9代将軍・徳川家重より偏諱を授かって久門から重年に改名したのであった。晩年の義弘、そして若き日の重年が過ごした加治木。 続いて向かうは慶長12年(1607年)に義弘が造営した加治木屋形跡で、元和5年(1619年)7月21日に義弘はそこで薨去したという。 精矛神社から徒歩で向かう道中に小っちゃな神社が見えたので寄ってみた。諏訪神社とのことで、元和2年(1616年)に義弘が再興したものだとか。そこから更に15分ほど歩いて加治木屋形跡に到着。歴史を今に残す石垣はいつの時代のものなのだろう?敷地内にある加治木護國神社に参拝してから辺りを見て回ると、慶長11年(1606年)に屋形の南堀に架設された際の青銅製の擬宝珠を使用して再建された石造橋の一部(欄干橋)や義弘公薨去地碑(これまた義弘公没後三百年祭に関連して建てられたものらしい)などがあった。 義弘や重年がここにいたのかと思いを馳せるだけで胸がいっぱいになる。他にも歴代島津家当主が社殿の改築などに関わっているという春日神社にも行ってみたかったが、流石に徒歩では無理そうなので諦めて加治木駅に戻り、日豊本線で鹿児島中央駅へ。 ホテルで暫し休憩し、歩き疲れた足を休めてから再び中央駅に行って市バスに乗車。水族館前で下車した先にあるのは鹿児島港フェリーターミナル。鹿児島に来たからにはやっぱ桜島に行かないとね。桜島フェリーに乗船し、心地よい潮風を浴びるスカイデッキで夕陽を眺めながらぼ~っと揺られること約15分、あっという間に桜島に到着。 関ヶ原の戦いの後、何とか薩摩に帰還できた義弘は徳川家に恭順の意を表すため2ヶ月ほど桜島・藤野の藤崎家に蟄居した。その藤崎家の武家屋敷門が今なお残っていることは知っていたが、既に辺りは暗く、今更行っても…と逡巡しつつフェリーターミナルの辺りを散策しているとタクシーが目に留まり、結局義弘の蟄居跡に行ってみることに。 運転手さんがとても気さくな方で、歴史話に花を咲かせているうちに10分ほどで蟄居跡に到着。普通に住宅がぽつぽつ立ち並ぶ、坂になっている細い路地の途中に蟄居跡の門が残っていた。親切にも運転手さんが門に向けてヘッドライトを照らしてくださり、更には懐中電灯まで使って細かい所まで見せてくださった。せっかくなのでスマホで撮影してみたところ、すっかり闇の中だったにもかかわらず門だと分かる画像が残せた。…って、どうしてこんな時間に来ちゃったんだろう? 同じく関ヶ原の戦いで敗れた備前岡山城主・宇喜多秀家は義弘を頼って薩摩へ落ち延び、2年ほど大隅牛根(鹿児島県垂水市)に匿われていたという。その秀家の潜居地跡は義弘蟄居跡から桜島を挟んだ反対側にあるそうで、秀家は毎日約3km離れた神社に参拝されていたのだとか。 桜島港に戻ってきても運転手さんの話は続き、車内で暫く聞いていた。楽しくて有益な歴史話を有難う。桜島の良い思い出となった。 桜島港フェリーターミナルで3種類の御船印(御朱印の船バージョン)&鹿児島市船舶事業90周年記念御船印を購入し、またしてもスカイデッキで対岸の夜景をぼ~っと眺めながら15分の船旅を楽しんで鹿児島港に到着。帰りは観光地循環バスのカゴシマシティビューで鹿児島中央駅に戻り、駅直結の商業施設アミュプラザ地下1Fのスーパーで夕飯を買い込んでから西口のホテルへ。この日の歩数は前日より800歩ほど多い24,093歩。加治木でよく歩いたからなぁ。 平日朝の霧島神宮 霧島神宮 精矛神社 諏訪神社 加治木屋形跡 桜島フェリー 義弘公蟄居跡 辺りが真っ暗でもここまで映るとは…。スマホの撮影技術ってスゴい。ちなみに蟄居跡は門だけで、奥の家は無関係。
2025.11.25
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慶長3年(1598年)に起こった朝鮮・慶長の役における泗川の戦いでの圧倒的大勝利、はたまた慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いでの “島津の退き口” と呼ばれるまさかの敵中突破&前進退却で知られる、鹿児島が誇る戦国武将・島津義弘。島津家第17代当主であり(近年この説は否定されつつある)、島津家第18代当主にして薩摩藩初代藩主となった島津忠恒(家久)の父でもある。 時代は下がって宝暦3年(1753年)、幕命により木曾三川の治水工事(宝暦治水)を命じられ、完成の翌月に病弱のうえ心労も重なったのか享年27歳という若さで卒去した島津家第24代当主で薩摩藩第7代藩主の島津重年。 このお二方が生まれ育った薩摩の風景を是非ともこの目で見、肌で感じてみたく、山陽・九州新幹線の最速達列車「みずほ」で鹿児島へ向かったのであった。 6:51に岡山を出発して9:46には鹿児島中央駅到着。みずほ速ッ! まず最初に向かった先は前々から是非とも行ってみたいと切望していた、歴代島津家の墓所である福昌寺跡。福昌寺は島津家代々の菩提寺だったが明治2年(1869年)の廃仏毀釈により廃寺となり、現在は島津家歴代(6~28代)の墓地として保存されている。早速義弘の墓前で手を合わせる。画像から想像していたより小ぶりな印象を受けた。近くには本来であれば島津家第18代当主となるはずだったが朝鮮・文禄の役に参陣し21歳にして現地で病死した、義弘の次男・久保の墓もあった。そして念願だった重年の墓に向かおうとするも、まさかの立入禁止 重年の墓だけでなく、重年の長男で “高輪下馬将軍” と称されるほど権勢を振るった島津家第25代当主で薩摩藩第8代藩主の島津重豪の墓やら忠恒の墓やら、そこらかしこが立入禁止に。万が一崩れたりでもしたら危ないから仕方がないのだけれど。もっと早くに訪れていれば自由に展墓出来たかと思うとちょっと…いや正直かなり悔しかった。けどまぁしゃーない。 気持ちを切り替え、続いては慶長6年(1601年)に薩摩藩初代藩主となった忠恒(家久。通称 “悪久”)により築城された鹿児島城へと向かう。父・義弘は海岸に近いこの地は防御に問題があるため城を築くのに適さないとし、最後まで築城に反対していたとか。 福昌寺跡から歩くこと暫し、途中、西郷隆盛終焉の地(明治10年(1877年)に西南戦争で自害)という看板があったが幕末の薩摩藩には興味がないのでそのまま通り過ぎ、へろへろになりつつ歩き続けていると、宝暦治水で犠牲となった薩摩藩士を弔う薩摩義士碑が建っていた。幕吏や地域住民との対立、 悪疫の流行などで88名の犠牲者を出し、およそ40万両(通説)もの莫大な費用を負担する羽目になった宝暦治水。総奉行を務めた家老・平田靱負は工事終了後、幕府目付による検分報告を国元に認めた翌朝に自害(病死説も)。しかしそんな彼らの偉業も幕府に遠慮してか地元では知られておらず、大正10年(1921年)になってようやく慰霊碑が建ったという。慰霊碑の線香台(っていうの?)には木曽川、長良川、揖斐川とそれぞれに彫られた3つの石が置いてあった。 慰霊碑から水堀に沿って進むと鹿児島城御楼門に到着。鶴丸城ともいうが、明治以降に呼ばれるようになった通称とのこと。御楼門を潜ると中は鹿児島県歴史・美術センター黎明館という資料館が建っており、島津家に関する資料(書状とか)もあった。 歩きすぎて足が痛くなったので帰りのバスを待っていると、地元のおばあさんから何やら尋ねられた。バスがいつ来るかというようなことだったと思うのだが、鹿児島弁なので正直ほぼ分からず。分からないなりに会話は進み、暫し談笑していると鹿児島市内の観光地循環バス・カゴシマシティビューがやって来たので乗車。そのまま終点の鹿児島中央駅に向かうつもりだったが、ふと思い立って有名観光地である仙巌園(磯庭園)で下車してみた。 仙巌園は万治元年(1658)に忠恒の次男で島津家第19代当主にして薩摩藩第2代藩主・島津光久が築いた別邸で、桜島や錦江湾を庭の景色に取り入れた借景庭園は「仙巌園附花倉御仮屋庭園」として国の名勝に指定されているそうな。また園内の旧集成館反射炉跡は世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産にもなっているらしいが、まぁそれらは結構どうでもいい。ここに来た目当ては尚古集成館所有の島津家に関する資料のみである。 うわッ!見つけた時に思わず声が出そうになったのが「島津重年書状」。宝暦3年(1753年)12月に幕府から仰せつけられた濃州・尾州・勢州川々御普請に対し、重年が御礼を述べた書状だ。宛先は幕府の若年寄・松平宮内少輔。おおッ、嬉しいかな釈文付!有難いことに撮影OK(展示物の一部は撮影不可)とのことなので、スマホでパシャリ。まさかここで重年の書状に出会えるとは。…もしや重年公、呼んでくださいました? 園内にある鶴嶺神社は明治2年(1869年)の創建で、島津家の歴代当主とその家族、及び分家の玉里島津家歴代当主とその家族が祀られており、中でも島津家第16代当主・島津義久(義弘の兄)の三女で久保の室、久保の死後は久保の弟である忠恒の室となった亀寿を祀る神社として知られているそうな。亀寿と忠恒の不仲は有名で、福昌寺跡の墓所でもこの夫婦の墓だけ離れた所にあったりして。 美しい錦江湾と雄大な桜島をカゴシマシティビューの車窓から眺めつつ鹿児島中央駅に戻り、駅西口すぐのビジホにチェックイン。腕時計を外す際、ふと目にした歩数計は23,279歩となっていた。初日から張り切りすぎだって。 福昌寺跡 島津義弘公墓(宝篋印塔) 島津重年公、重豪公墓所 薩摩義士碑 鹿児島城 御楼門 仙巌園 鶴嶺神社 島津重年書状
2025.11.23
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もう30年以上も昔の話ではあるが学生時代は日本近世史を専攻し、中学・高校の社会科教諭一種免許まで取得した歴史好きの端くれながら、何故か今まで然程興味のなかった薩摩藩。 唯一、宝暦治水事件(宝暦3年(1753年)に幕府から木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の手伝普請を命じられた薩摩藩が、多大な犠牲者と膨大な借財を抱えることとなった事件)には興味があり、この時の島津家第24代当主にして薩摩藩第7代藩主・島津重年公だけは以前から好ましく思っていた。心優しき青年藩主・重年公の身も心も苦しめた宝暦治水の地を自分の目で見てみたいと思い、岐阜県海津市まで足を運んだのが5年前のこと。その際に大垣城にも寄ったのだが、関ヶ原の戦いにおいて西軍の主力部隊が入城して根拠地となった城だということで、おらが殿様・宇喜多秀家や石田三成やらが420年前にここにいたのかと感動した。 関ヶ原には17年も前に一度行ったきりだが、大谷吉継の陣跡や墓所、垂井城主・平塚為広の碑などに感動したものだった。 そして現在。歴史関連のYouTubeをぼんやり視聴しているうちに突如 “鬼島津” こと島津義弘公ブームがやって来たのである。関ヶ原でも大垣でも義弘公は全く意識していなかった――何と勿体ないことを! というわけで来月末に義弘公史跡巡りを敢行すべく、鹿児島に行ってみることにした。 前々から是非とも行ってみたいと切望していたのは島津家墓所の福昌寺跡。元々重年公のお墓参りがしたかったのだが、近頃夢中の義弘公と、義弘公の三男にして薩摩藩初代藩主である “悪久くん” こと島津家久(忠恒)公のお墓にも参りたい。何度お墓の画像を眺めたことか。嗚呼、実際にこの目で見れる日が来るとは夢のよう。…いやまぁ、新幹線だと直通だし3時間ぐらいで行けるんだけど、 貧乏なもんで往復43,000円払う勇気がなかなか出なくて そういえば、おらが殿様(宇喜多秀家)も関ヶ原で敗れた後、薩摩に逃亡して2年ほど悪久くんに匿ってもらったんだよね。やっぱり縁があるなぁ、薩摩とは←無理ありすぎ。 鹿児島の地図を眺めては義弘公と重年公に思いを巡らす今日この頃なのであった。 85年10月12日、The B-52'sのギタリストだったリッキー・ウィルソン(Ricky Wilson)はAIDSによる合併症により32歳の若さで亡くなった。今年は41回忌にあたる。リッキーがこの世で過ごした年月よりも、いなくなってからの方が遥かに長くなった。 しかしどういうわけかWikipedia日本版でリッキーの来歴が詳しく書かれたのは、ここ数年のことだ。嬉しいことにリッキーに興味を持つ人が増えたのかしらん。 リッキーの命日に駄Blogを更新しようと思ったものの、リッキー物語(全20+2回)やリッキーフェス(全28+1夜)でリッキーに関することは全て書ききってしまった。 リッキーのお墓参りにも行きたいけど、米国ジョージア州はあまりにも遠すぎる…
2025.10.14
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8月29日公開の「ベスト・キッド:レジェンズ(Karate Kid: Legends)」を見てきた。 上映時間94分のうち、最初の5分は本家の「ベスト・キッド(The Karate Kid)」というか「ベスト・キッド2(The Karate Kid Part II)」、最後の4分は2018年~2025年までYouTube Red(YouTube Premium)→ Netflixに移行して配信されたTVシリーズ「コブラ会(Cobra Kai)」、さらにその内10分はなぜかボクシングに費やされ、残り75分が2010年公開のリメイク版「ベスト・キッド(The Karate Kid)」の延長といった感じ。まぁリメイク版は見たことないけど いきなり冒頭で何やら見覚えのあるシーンが。「2」でミヤギ(主人公・ダニエルの空手の師)が故郷の沖縄へダニエルを連れて戻った際、道場に飾られている人物画が誰か尋ねたダニエルに、初めて沖縄に空手を伝えたミヤギ・シンポー先生だと答えるシーンだ。ミヤギ曰く漁師で酒好きだったミヤギ・シンポーは1625年の或る日、不漁だったため船で酒を飲んで眠り込んでしまって起きたら中国だったそうだが、その10年後に中国人妻と子供2人を連れ空手の奥義を窮めて戻ってきたとのことだった。しかし今作の冒頭で初めてその続きが判明!何とその時シンポーはハン家の世話になってカンフーを教わり、沖縄に戻ってそのカンフーを基にミヤギ道空手を発展させたのだという。ハン家…。見ちゃいないが、リメイク版でジャッキー・チェン(成龍)が演じたカンフーの師範がミスター・ハン…。強引に繋げたなぁ。 ということで今作の主人公はそのミスター・ハンの弟子にして姪孫(姪の息子)でもある高校生のリー・フォン。医師である母親(ミスター・ハンの姪)の転勤で北京から米国ニューヨークに移住したリーは、ピザ店を営む元ボクシングチャンピオンのヴィクター・リパーニの娘で店を手伝っている娘・ミアと仲良くなる。しかしミアの元カレで地元の空手チャンピオンでもあるコナー・デイに目を付けられ、いじめられる羽目に。ある日コナーと対峙したリーは亡き兄から教わった技を繰り出すもあっさり敗北してしまう。 何やかんやあって空手の大会(コナーが前回のチャンピオン)に出場することになったリー。北京から来た師範のミスター・ハンはロサンゼルスのダニエルに助力を求める。ダニエルとミスター・ハンの指導で空手の技を身に着けたリーは大会を順調に勝ち進み、ついに決勝で再びコナンと対峙する――というストーリー。 正直、ストーリーはどうでもいいのである。最後の4分こそ本家「ベスト・キッド」(と「コブラ会」)ファンにとって待ちに待ったお楽しみシーンであった。 主人公リー・フォンを演じたベン・ウォン(Ben Wang、王班)のアクションがとにかくキレッキレ!まぁほぼカンフーなんだけど…。セイディ・スタンリー(Sadie Stanley)演じるミアといい仲になっていくのだが、割とあっさりしてていい感じ。 そのミアの父で元ボクシングチャンピオンで現在はピザ屋を営むヴィクターを演じているのがジョシュア・ジャクソン(Joshua Jackson)。「飛べないアヒル(The Mighty Ducks)」シリーズのチャーリーだ。借金返済のため再びリングに立つことになるのだが、果たしてどうなることやら。 でもって最後の4分に登場するのがダニエルの永遠のライバルにして盟友のあの御方!このラストシーンだけは「コブラ会」を視聴してなければ楽しめないかも。 本家とリメイク版の世界の融合かぁ。私は本家ファンなので、融合してほしくなかった。ジャッキーのカンフー映画は大好きだが、Karate Kidにカンフー要素はいらない。カンフーが入るとアクロバティックになりすぎてしまう。そのぶん見応えは確かにあるけど。 今後シリーズが続くとしても、カンフー混合路線になっちゃうのか…うーん、複雑。
2025.09.02
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戦後80年という節目を迎えた8月15日、地上波で7年ぶりに「火垂るの墓」が放送されたとのこと。「火垂るの墓」は野坂昭如さんの短編小説をスタジオジブリの高畑勲さん監督で昭和63年(1988年)に公開されたアニメ映画なのだが、見てみたい…というか見ておかねば、という思いはあるものの、やはり戦争モノは怖くて悲しいので未だ未見であった。 一応原作の方は既読で、15年前の駄記事には “アニメの方はどのようなものか知りませんが、原作は意外と淡々と綴られており、戦争に対する恐怖は感じませんでした。もうただただ切なかったです。これが野坂さんの実体験に基づいた話だということに胸を締め付けられました” なんて綴っていたりもする。 7月5日の大災難や何かが起こると言われていた8月15日も無事に生き延びることが出来たのは(両日とも何もなかったけど)、偏に「火垂るの墓」を見ずして生を終えるなかれという天からの啓示だと勝手に解釈した私は、勇気を振り絞って先月から国内配信が開始されたNetflixでこの作品を鑑賞すべく、タオルと箱ティッシュを用意して再生トライアングルをポチったのであった。「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ――」 昭和20年の神戸・三ノ宮駅構内。駅舎の柱にもたれて衰弱死した14歳の清太のポケットに入っていた錆びたドロップ缶を見つけた駅員は、無造作に草むらに投げ捨てた。ドロップ缶から出てきたのは小さな骨。骨はひと月前に衰弱死した清太の4歳の妹・節子のものだった。 太平洋戦争末期、神戸に住んでいた清太と節子は6月5日の神戸大空襲で母も家も失い、西宮の叔母宅へ身を寄せる。戦争が進むにつれて二人を邪魔者扱いする叔母との諍いが絶えなくなり、居心地が悪くなった清太は節子を連れて家を出て防空壕の中で暮らし始める。母の遺した貯金はあるものの世間と断絶し、情報も知恵も持たない兄妹は食料調達が困難となり、畑の野菜を盗んだり火事場泥棒を働いて何とかしのいでいたものの、節子は徐々に衰弱していく。節子に栄養のあるものを与えようと清太が銀行から貯金を下ろした際に日本の降伏と敗戦を知り、海軍大尉である父の所属する連合艦隊も壊滅したと知って愕然とする。やっと手に入れた食料を持ち帰って節子に与えるも、終戦7日後の8月22日に節子は衰弱死してしまう。節子を火葬して荼毘に付した翌朝、節子の骨をドロップ缶に納めて山を下り、壕へは戻らなかった――。 冒頭、赤味がかった映像で戦時中の格好(国民服姿)をして正面を見据えた清太が現れて「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」と告げる。清太がふと目線を下げると柱脇手前に設置されている灰皿が一瞬映し出されるもすぐに消え、柱の向こうには天然色のボロボロで衰弱しきった清太の姿が。そのまま清太は息を引き取り、その後駅員がポケットにあったドロップ缶を放り投げると、弾みで蓋の開いた缶から骨が出てきて、再び赤味がかった防空頭巾を被ったモンペ姿の節子も現れる。節子は倒れているボロボロの清太の姿を見て駆け寄ろうとするも国民服を身に纏っている清太に止められてしまう。戦時中姿の二人は電車に乗り、節子が大事そうに持っていたサクマドロップス缶を開けて仲良く一つづつ頬張りながら、車窓に映る無数の爆撃機から投下される焼夷弾に目をやっている。それらは再び天然色となって6月5日の神戸大空襲の場面へとつながっていく。 そして映画の最後、節子を荼毘に付した清太は再び赤味がかった国民服姿となり、モンペ姿で無邪気に駆け寄ってきた節子に「もう遅いからおやすみ」と優しく言い、清太の膝を枕にしてドロップ缶を抱いて眠る節子の傍らで今の神戸の街並みをただじっと見つめるシーンで幕を閉じる。 視聴前に用意していたタオルも箱ティッシュも不要であった(いや、1枚だけティッシュを使ったけど)。お涙頂戴の悲しい物語かと思っていたが、ただただ胸が締め付けられる切ない話であった。原作読了時に綴った “意外と淡々と綴られており、戦争に対する恐怖は感じませんでした。もうただただ切なかったです” という感想そのままであった。 赤味がかった国民服姿の清太とモンペ姿の節子は幽霊であり、二人は昭和20年6月5日の神戸大空襲から同年9月21日に清太が死を迎えるまでの108日間の生き様に繰り返し(かどうか分からないけど)目を向けなければならないのである。清太や節子が力尽きるシーンの悲しさより、死してなお現世に留まって苦しみと悲しみに向き合っていることが何とも痛ましすぎる。1枚だけ使ったティッシュは未だ煉獄から抜け出せない兄妹(兄だけかも)の霊魂に涙したものだった。 昭和20年から24年後の昭和44年8月に私はこの世に生を受けた。24年しか経っていなかったというのに物心がついた頃には既に戦争の面影など微塵もなく、戦争は遠い過去の歴史としか思っていない。たったの24年で。 高畑監督曰く「反戦アニメなどでは全くない、そのようなメッセージは一切含まれていない」とのこと。私もこの作品は確かに戦時中の庶民の悲哀が描かれているけれども、反戦がテーマというのは違うような気がする。戦争反対なんて訴えてないしね。監督は心中物として描いたとのこと。成程、清太は何と心中したのだろう…節子?誇り? 「火垂るの墓」は悲しいだけの映画かと今日見るまではずっと勘違いしていた。ただただ切なく、考えさせられる作品だった。戦後40余年間(公開時)に清太が何度も目にした14歳の少年の懸命な生き様を、私も繰り返し視聴して目に焼き付けておきたい。 今年で戦後80年、清太と節子がもう神戸にはいないことを願う。天国だか極楽だかで家族4人、幸せな日々を送っていますように。
2025.08.17
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先月ぼんやりとYouTubeを見ていたら何故かおすすめに「ルパン三世」2ndシリーズ第112話「五右ヱ門危機一髪」があがっていたので、何の気なしに見てみた。「ルパン三世」2ndシリーズは昭和52年(1977年)から昭和55年(1980年)まで放送されていたそうで、当時小学2~5年生だった私はリアルタイムで視聴したうえ再放送も見ており、確かに面白くはあったがそれほど夢中にはならなかった。 ルパンシリーズで見た記憶があるものはTVの第1、第2シリーズと昭和53年(1978年)公開の劇場版「ルパンVS複製人間」、翌昭和54年(1979年)公開の「カリオストロの城」、昭和62年(1987年)発表のOVA「風魔一族の陰謀」、それと平成元年(1988年)から毎年放送されていたTVスペシャルの第1作「バイバイ・リバティー・危機一発!」~平成6年(1994年)放送の第6作「燃えよ斬鉄剣」までぐらいだったように思う。 今回約30年ぶりに見てルパンの面白さ――正確には石川五ェ門の魅力にすっかり開眼してしまったのである。 そこで改めてTVの第1~第6シーズンを見てみて驚いた。五ェ門がこんなキャラになっていたとは!クールな侍だったはずの五ェ門が、何というかちょっぴりお茶目な末っ子キャラに変貌を遂げていたことにビックリ。 そう、私の知っている五ェ門はこういう、大人の色気のある色白侍であった。それが昭和59年(1984年)放送の第3シーズンになると右画像のような姿になってしまい(原作に近いらしいが)ガッカリ。小麦色でケツあごの五ェ門なんて見たくない… …と思っていたら30年後の平成27年(2015年)に放送された第4シリーズ以降の五ェ門は元の色白侍に可愛さがプラス。何だかすっかり愛らしいキャラになっちゃって 最後に見たのが「燃えよ斬鉄剣」だったこともあり、ルパンの声は山田康雄さん、次元大介は小林清志さん、峰不二子は増山江威子さん(第1シリーズは二階堂有希子さん)、銭形警部は納谷悟朗さん、そして五ェ門は井上真樹夫さん(第1シリーズは大塚周夫さん)で慣れ親しんでいたが、今回初めて今の声優さん(栗田貫一さん、大塚明夫さん、沢城みゆきさん、山寺宏一さん、浪川大輔さん)verを見た。声が変わってもルパンの世界観は変わらずひと安心。その中でも大塚さんの次元と浪川さんの五ェ門は全く違和感なし! 平成29年(2017年)に発表されたLUPIN THE IIIRDシリーズ(原作に漂う危険な世界を引き継いだ原点回帰のスピンオフ作品シリーズ)第2作「血煙の石川五ェ門」は、五ェ門が剣豪になるまでの成長を描いた作品で、時系列上はTV第1シリーズ第5話「十三代五ヱ門登場」直後あたりとのこと。 第4シリーズ以降の愛らしさはすっかり消え、陰惨というか惨烈な細マッチョ侍になった五ェ門の壮絶な修行シーンに息を呑んだ。戦闘シーン(50人斬り、“肉を切らせて骨を断つ” ホークとの死闘)はグロテスクでちょっと苦手だが、まぁ刀で戦うってそういうことだわな。五ェ門のあまりの格好良さについAmazonでBlu-rayをポチってしまった。 以前、「一休さん」に登場する新右衛門さんこと蜷川新右衛門さんについて熱く綴ったことがあるが、元々武士やら侍やらが好きなのであるからして五ェ門に惹かれるのも必然であった。ありがとう、TMSアニメYouTube公式チャンネル。この出会いがなければ、五ェ門の魅力に気付かぬまま生涯を終えるところだった。 TVシリーズやTVスペシャル、OVA作品に劇場公開作品までも有難いことに今はいつでもネットで視聴できるので(有料だけど)、このところルパンばかり視聴している。 さて、五ェ門に目覚めるきっかけになった「五右ヱ門危機一髪」(石川五ェ門 ピュアハートセレクション)をもう一度見ようっと。 ♪あ それ わ~いえむしえぃ わ~いえむしえぃ
2025.08.10
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『罪と罰』 オジー・オズボーン 「The Ultimate Sin」 Ozzy Osbourne (86)オジーのロック美学が今、昇華する。ジェイクとオジーの絶妙なコンビ・プレイ。伏して聴け!A面 1. 罪と罰 - The Ultimate Sin 2. シークレット・ルーザー - Secret Loser 3. ネバー・ノウ・ホワイ - Never Know Why 4. サンク・ゴッド - Thank God for the Bomb 5. ネバー - NeverB面 1. ライトニング・ストライクス - Lightning Strikes 2. キラー・オブ・ジャイアンツ - Killer of Giants 3. フール・ライク・ユー - Fool Like You 4. 暗闇にドッキリ! - Shot in the Dark 7月22日にオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)が死去したとのことで、急遽オジーの邦題アルバムの中で個人的に最も親しみのある86年リリースの4thアルバム「罪と罰(The Ultimate Sin)」を取り上げてみた次第。 アルコールに溺れ、ドラッグに溺れ、鳩やコウモリの頭を嚙みちぎっても、76歳まで生きられたのはスゴい。亡くなった悲しみより、よく今まで生きてたなぁという思いが勝ってしまう。オジーのバンドの初代ギタリストだったランディ・ローズ(Randy Rhoads)と43年ぶりに再会して、あの世で酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせているだろう。 オジーは68年にブラック・サバス(Black Sabbath)を結成し、70年にデビューアルバム「黒い安息日(Black Sabbath)」をリリース。その後も順調にヒットしていたものの70年代後半には衰退し、77年にオジーが脱退するもすぐに復帰。しかし79年には薬物やアルコール漬けになっていたオジーは解雇されてしまい、ソロ活動を開始することに。 ソロ1作目は80年発売の「ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説(Blizzard of Ozz)」。gに元クワイエット・ライオット(Quiet Riot)のランディ・ローズ、bには一時レインボー(Rainbow)に在籍していたボブ・デイズリー(Bob Daisley)、dsには元ユーライア・ヒープ(Uriah Heep)のリー・カースレイク(Lee Kerslake)を迎え、元々はバンド名が “The Blizzard of Ozz” のはずだったのだが、リリースされたアルバムのジャケットにはオジーの名前がバンド名より大きく書かれており、ブリザード・オブ・オズというタイトルのオジーのソロアルバムのようになってしまったのであった。 81年に2ndアルバム「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン(Diary of a Madman)」をリリース。レコーディング終了後、ボブとリーは当時のオジーのマネージャーで後にオジーの妻となるシャロン(Sharon Osbourne)により突然解雇されてしまう。この件やらオジーの常習的な薬物とアルコールへの依存やら何やらが重なって、ランディとオジーの関係が悪化。ランディはレコード会社との契約終了後にバンドを脱退するつもりだったが、82年3月に墜落事故により25歳という若さで突然他界してしまった。 83年には3rdアルバム「月に吠える(Bark at the Moon)」をリリース。原題直訳ながらいい邦題だよね。bのボブが復帰し、dsにトミー・アルドリッジ(Tommy Aldridge)、gはジェイク・E・リー(Jake E. Lee)が今作から参加。よッ、待ってました!しかし、このアルバムは作詞作曲が全曲オジー単独になっているが、ジェイク曰く楽曲のかなりの部分は自分が作曲したものの、マネージャーのシャロンに作詞・作曲・出版の権利を奪われたとのこと。アルバムに関する作詞・作曲や出版の権利を一切主張しないという契約書を提示され、拒否した場合は解雇して別のギタリストに自分のパートを録音させ直すと脅されたため契約書に署名したのだとか。うーん、あのババァならそんな悪辣なことも平気で言いそうな気がする。 そして86年にリリースされたのが4thアルバム「罪と罰」。gのジェイクは前作からの続投だが、bはフィル・スーザン(Phil Soussan)、dsはランディ・カスティロ(Randy Castillo)。前作で痛い目を見たジェイク、今回は作詞・作曲権と出版権を保証する契約書を目の前にするまで、楽曲提供を拒否したという。いいぞ、やったれジェイク! このアルバムで特筆すべきは、ラストを飾るにふさわしい邦題 “暗闇にドッキリ!(Shot in the Dark)”。まさかオジーの曲にこんな可愛い邦題が付いていようとは。 だがしかーし翌87年、アルバムのツアー終了後にジェイクはババァシャロンから突然解雇されてしまった。理由は不明。 オノ・ヨーコさんが苦手過ぎてジョン・レノン(John Lennon)までも苦手になったのと同じく、シャロンが苦手なのでオジーもどうかと思っていたのだが、昨年10月にジェイクが何者かに銃撃を受けた際、「ジェイク・E・リーと離れてから37年になるが、今日彼に起きたことを聞いた衝撃は今も消えていない。また銃による無意味な犯罪が起きた。彼と彼の可愛い娘のジェイドに思いを送りたい。彼が大丈夫であることをただただ願っている」とTMZ(ニュースサイト)に語ったとの記事を見て、ちょっと嬉しかったりして。ごめんよオジー、やっぱりオジーはいいおじさんだったよ。 日本が大災難の話題でもちきりだった7月5日、ブラック・サバス(97年にオリジナルメンバーで再結成していた)は英国バーミンガム・アストンでお別れチャリティコンサート「Back to the Beginning」を開催した。元々パーキンソン病を公表していたオジーは歩行不能となっているため玉座に座って歌い、メタリカ(Metallica)やスレイヤー(Slayer)、ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)などのバンドに加えてジェイクやルディ・サーゾ(Rudy Sarzo)等の元オジーバンドメンバーも参加して大成功の大盛況だったらしい。そのラストコンサートから僅か17日後、オジーは自宅で家族に囲まれながら静かに人生の幕を閉じた。R.I.P. Ozzy そんなオジーに哀悼の意を表しつつ、こちらをどうぞ♪ 罪と罰 暗闇にドッキリ! 87年にリリースされたライヴアルバム「トリビュート〜ランディ・ローズに捧ぐ(Tribute)」より クレイジー・トレイン(Crazy Train)
2025.07.24
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84年に公開されて大ヒットした「ベスト・キッド(The Karate Kid)」は「ロッキー(Rocky)」シリーズで知られるジョン・G・アヴィルドセン(John G. Avildsen)が監督を務め、ラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)演じるダニエルが引っ越し先で不良グループからいじめられるも、ノリユキ・“パット”・モリタ(Noriyuki “Pat” Morita)演じる空手の達人・ミヤギに空手を教わり、少年空手選手権でウィリアム・ザブカ(William Zabka)演じる不良グループのリーダー・ジョニーを下して優勝するという物語で、86年には続編「ベスト・キッド2(THE KARATE KID, PART II)」、89年にはシリーズ3作目「ベスト・キッド3 最後の挑戦(THE KARATE KID, PART III)」が公開された。 同じ89年にNBCで放送されたアニメ「The Karate Kid」や94年公開のシリーズ4作目「ベスト・キッド4(The Next Karate Kid)」、10年公開のリメイク版「ベスト・キッド(The Karate Kid)」は置いといて、18年には「ベスト・キッド」の公式な続編として製作された「コブラ会(Cobra Kai)」がYouTube Red(YouTube Premium)で配信されるや再び人気を博し、シーズン3からはNetflixに移行して完結編となるシーズン6まで続いた。 ちなみに「コブラ会」というのはジョニー達不良グループが所属していた空手道場で、マーティン・コーヴ(Martin Kove)演じる先生・クリーズは手段を選ばない冷酷非道な男であった。 数年前、「コブラ会」の配信を知って楽しみにちょこっと見てみたのだが、ちょっと思っていたのとは違ったのですぐに見るのをやめた。しかし今回、15年ぶりに「ベスト・キッド:レジェンズ(Karate Kid: Legends)」が公開されるとのことなので再び「コブラ会」を見てみたのだが、これがめちゃめちゃ面白かったのである。どうしてこれをつまらないと思ったのか、以前の自分に問い質したいくらい最高に面白かった。シリーズ3作目までに出演したキャストも多数登場し、お馴染みの場所、懐かしいBGMもふんだんに出てきて、懐かしさで胸がいっぱいになり、とにかく嬉しすぎて配信シリーズ全話65本を一気に見た。 「コブラ会」というタイトルどおり、この配信シリーズの主人公は34年前に少年空手選手権決勝でダニエルに敗れたジョニーだ。酒に溺れ、零落していたジョニーが隣に越してきたショロ・マリデュエニャ(Xolo Maridueña)演じる少年・ミゲルのいじめ現場にたまたま出くわして助けたことから空手を教えて欲しいと懇願され、コブラ会を再興することに。 もう一方の主人公・ダニエルは高級車ディーラー、ラルーソ・オートの経営者として満ち足りた生活を送っていたが、あの悪辣非道なコブラ会が再興したと知って空手への情熱が再燃。コブラ会撲滅のため、ミヤギ道を立ち上げる。そこにクリーズが現れて…というストーリー。 ラルフが好きで見始めたものの、ダメ男のジョニーを演じるウィリアム・ザブカが愛おしすぎて中盤からは良い子のダニエルに何度もイラついてしまった。ジョニーの一番弟子・ミゲルもこれまた愛すべき少年であり、格好よすぎる。 そして更に愛おしいキャラといえば、映画2作目で憎々しい敵役だったユウジ・オクモト演じる渡口チョウゼン!まさかあのチョウゼンがこんなに愛すべきキャラに生まれ変わるとは! 他にもかつてのコブラ会メンバーでジョニーの不良仲間だった面々、映画3作目の敵役だったショーン・キャナン(Sean Kanan)演じるマイク・バーンズやトーマス・イアン・グリフィス(Thomas Ian Griffith)演じるテリー・シルバーなども登場。不良仲間の一人で「Get him a body bag, yeah!」という台詞が印象的だったトミーは19年4月に配信されたシーズン2の1エピソードに出演するも作中で没してしまったが、演じたロブ・ギャリソン(Rob Garrison)も実際に19年9月に59歳で亡くなられたため、これが最後の出演となった。同じく不良仲間だったダッチ役のチャド・マックイーン(Chad McQueen)の姿がなくて残念に思っていたら、昨年11月配信のシーズン6 Part2の6話の最後に追悼メッセージが出てビックリ。体調が優れなくて不参加だったのかしらん…。 また、元はジョニーの恋人だったがダニエルとくっついたアリ役のエリザベス・シュー(Elisabeth Shue)やら、2作目の舞台となった沖縄でダニエルと仲良くなったクミコ役のタムリン・トミタ(Tamlyn Tomita)やらダニエルの歴代GFたちもこぞって登場しており、元気そうで何より。 「コブラ会」については書きたいことが山のようにあるのだが、それにはまず映画を知らないと楽しめないので、いつかの機会にカラテ・キッド祭りでもひっそりと開催することにしよう。 何度見ても面白い、面白すぎる「コブラ会」。Cobra Kai Never Dies !! …しかし「コブラ会」があまりに面白過ぎるので、ひと月前はあんなに楽しみにしていた「ベスト・キッド:レジェンズ」が邪道に思えてくる今日この頃なのであった 7/19追記 深夜のテンションで書き上げた当初、クリーズ先生(Sensei Kreese)をずっとグリース先生と書いておりました。翌朝見返して間違いに気付き、慌てて訂正いたしました。すみません。
2025.07.19
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大災難が危惧されていた7月5日はやはり何も起こらなかった。ノストラダムスの大予言や2000年問題で懲りているはずなのに、心の片隅ではちょっとグレートリセットを期待していたりもした。まぁ何事もなかったおかげでGeoGuessrでゼロゲッサー目指してGoogle ストリートビューとにらめっこする平穏な日々を送れているのだけれど。 その7月5日はザ・ドリフターズのメンバーであった仲本工事さんの誕生日で御存命であれば84歳を迎えられたのだが、残念ながら3年前に他界されてしまった。 子供の頃から大好きなドリフの中では可愛くて面白い加藤茶さんが一押しだったのだが、今更ながら仲本さんの魅力にハマってしまい、過去のコントや映画、音楽映像を見返している。 学習院大学卒で運動神経抜群、ギターも弾けて歌も上手く、めっちゃ有能でありながら決して我を出さずに3番手に徹している姿に惹かれるようになった。子供の頃から加トちゃんと志村けんさんにばかり目が向いていたが、改めて見ると仲本さんが実にいい仕事をしていたのである。 自分が年齢を重ねたせいなのか、ちょっと控えめながらキラリと光る人に魅力を感じるようになった気がする。元々仲本さんのTwitter(X)をフォローしていたけど、ツイートからも優しい人柄が感じられていた。志村さんも生前「優しいのは仲本さん」と語っていたようだし。 仲本さんといえばマックロード(NationalのVHSビデオデッキ)の「コ・マ・オ・ク・リ・モ・デ・キ・マ・ス・ヨ」というCMがおぼろげに記憶に残っているけど、覚えている方は50代以上かしらん…。 ドリフのズンドコ節 ばか兄集 アドリブ集 National マックロードSS CM 20年3月に来日公演が決定していたもののコロナ禍により2度の延期の末に公演中止となったA-ha。22年に拙記事で “再びモートンの生歌を聴く機会が生きてる間にあるのだろうか…” と綴ったのだが、先月、voのモートン・ハルケット(Morten Harket)がパーキンソン病を患っていることが公表された。生命に係る病気ではないにしても心配だ。モートンは心配しないでと言っているけど…。再び生歌を聴く機会はおそらくなくなっただろうが、そんなことよりモートンが心穏やかに日々を送れることを願う。とはいえ音楽活動を止めてしまったわけではないので、今後の音楽制作を心から応援したい。 AHA THE FINAL CONCERT full 今年の夏も相変わらずの猛暑続きで外出する気にもならない。瀬戸内観音霊場巡りも秋というか初冬頃まではおあずけだ。GeoGuessrで時折映し出される寺社をPC画面越しに眺めて我慢しよう。 だがこの猛暑の中、7月18日に公開される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 』第一章 猗窩座再来』と、8月29日公開の『ベスト・キッド:レジェンズ(Karate Kid: Legends)』は観に行かねば! 嗚呼、なんでTVで放送してくれないんだろう、無限城編。伊黒さんの活躍が観たいだけなのに。伊黒さん大活躍の対無惨戦は何としてもTV放送を望む。何年先になるのか分からないけど。 ベスト・キッド(元々の原題は「The Moment of Truth」だったので、こんなヘンな邦題が付いちゃったのかな?)の方は予習として3年前に出版されたダニエル役を演じているラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)の自伝「Waxing On: The Karate Kid and Me」を購入し、現在格闘中。 「Waxing On(ワックスがけ)」という妙なタイトルは、84年公開の第1作「ベスト・キッド(The Karate Kid)」での有名なシーン「Wax on →、Wax Off ←、Paint up ↑、Paint down ↓」から。ダニエルに空手を教えるミヤギがまずは空手の基礎防御の構えを体に叩き込むため、ワックスがけやペンキ塗りといった雑用を命じるシーンだ。 この修行方法はジャッキー・チェン(成龍)の「酔拳」に通じるような…と当時から思っていたが、まさか40年後に共演するなんて!! 7月5日限定ではなく7月中という説もある大災難。果たしてどうなることやら。どうせなら伊東市長の卒業証書(とされるもの)公開までは何事も起こりませんように。学歴詐称は些少なことで、問題は証書の真偽だ。まぁ他市民からしたら偽でも何でもいいのだけれど、ちょっと今後の展開が気になるところ。どうやら同学年のようだけど(平成4年卒)、あの時代ってバブルの余韻もあってみんな遊んでたからなぁ。さぁ本物の卒業証書は出てくるのだろうか、それとも…!?
2025.07.13
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米国では5月30日に公開され、日本では8月29日公開予定の「Karate Kid: Legends(邦題は「ベスト・キッド:レジェンズ」」が楽しみで仕方がない。7月5日に起こると噂の大災難が9月以降にずれ込むことを祈るばかりである…ってまぁ何も起こらないに越したことはないけど。 17年前の08年2月に綴った「ベスト・キッド」で愛してやまない映画5本の内の1本として挙げたくらい、ラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)演じるダニエルと、ノリユキ・パット・モリタさん演じる空手の先生・ミヤギの親子のような師弟愛溢れる青春空手ストーリーが大好きだ。84年に公開されて大ヒットを記録し、その後シリーズ化されて計4本製作されたものの、回を重ねるごとに見るも無残なものに…。 そして10年にはリメイク版「ベスト・キッド(The Karate Kid)」が公開されたが、なぜかジャッキー・チェン(成龍/Jackie Chan)がカンフーを教える話に。空手はどこ行った…。 リメイク版は一旦忘れて、18年からはネットドラマ「コブラ会(Cobra Kai)」の配信がスタート!コブラ会というのは、84年公開の「ベスト・キッド」でダニエルくんをイジメていた不良グループのリーダーで少年空手選手権の元チャンピオンだったジョニーが習っていた空手道場の名前で、このドラマの主人公はそのジョニーだ。「ベスト・キッド」の最後でダニエルに敗れてから34年後のジョニーである。ダニエルは勿論、映画版に登場した面々も結構出てきて、結局シーズン6まで続いたのであった。 でもって日本では今夏公開される「Karate Kid: Legends」、本家とリメイク版が(コブラ会もちょっぴり)融合しているという。ということは、そう、「Karate Kid」でありながら空手とカンフーを教えるようなのだ。子供の頃からジャッキーの拳モノは確かに大好きだったけど…ラルフとジャッキーの共演は確かに嬉しいけど…ジャッキーのは空手じゃない ま、それは置いといて更に楽しみなのは、今作にはジョシュア・ジャクソン(Joshua Jackson)も出演しているのである。これまた愛してやまない「飛べないアヒル(The Mighty Ducks)」シリーズのチャーリーだ!嗚呼、何という夢の共演♪ 15歳の時に劇場で「ベスト・キッド」を観た時は確かにめっちゃ感動はしたけど、まさか40年後まで続くとは思ってもみなかった。当時のミヤギさんの年齢を越しちゃったもんなぁ。そのミヤギさんを演じたパット・モリタさんは20年前に亡くなられてしまったけれど、ダニエル役のラルフは60代とは思えぬ若さを保っていて嬉しい。 あまり期待値を上げ過ぎると残念だった時のガッカリ度も爆上がりするけど、それでもやっぱり期待せずにはいられない。とにかく楽しみ。どうか無事でありますように。
2025.06.21
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横溝正史シリーズ 第3作『三つ首塔』 放送日:昭和52年(1977年)5月28日~6月18日(全4回) 第1作が信州・那須で第2作が岡山・高瀬。どちらも架空の田舎町で起こったおどろおどろしい事件であったが、今作の舞台は東京。前2作とは打って変わってお色気シーン(というか何というか…)もたっぷりだ。 ドイツ文学者である上杉誠也教授の還暦祝賀パーティーには、上杉教授が我が子のように可愛がっている姪(亡き妻の妹の娘で、両親亡き後上杉家で暮らしている)の宮本音禰や、音禰の叔父である佐竹建彦らに混じって探偵・岩下三五郎も出席していた。会場にいる岩下探偵に同業の金田一耕助から電話が入る。今日中に事務所の家賃を支払わないと追い出されてしまうという援助の依頼であったが、岩下探偵は快諾。何でも二人の依頼者から同一人物の調査を頼まれており、今日お金が入るとのことで早速金田一探偵も会場に駆け付ける。会場では建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスが披露されていたが、目のやり場に困り会場を出て地下を歩いていた音禰は怪しい濃い男と出会い、動揺して髪飾りを落として立ち去る。その頃、エロダンサー姉妹の妹・笠原操が何者かに毒殺された。 事件の調査を担当するのは警視庁捜査一課の日和警部。前作「本陣殺人事件」では岡山県警勤務だったが栄転したとのこと。久々の再会を喜ぶ金田一探偵と日和警部であったが、地下でも男の毒殺死体が発見される。死体のそばに音禰の髪飾りが落ちていたことから警察は音禰を疑うも、腕に彫られたおとねとしゅんさくの相合傘を見た建彦が男は高頭俊作だといい、高頭俊作であるならば音禰が犯人であるばずがないと言う。何故なら俊作と音禰は結婚することを条件に、音禰の曾祖父にあたる人の弟である佐竹玄蔵の10億円の遺産を相続することになっていた。ただ建彦も上杉教授も高頭俊作については名前だけしか知らなかったため各々岩下探偵に俊作の捜索を依頼していたのだが、その岩下探偵も地下で死体となって発見される。一方その頃、ショックで横になっていた音禰の元に謎の濃い男が再び現れ、音禰と無理やり関係を持つ。そして濃い男は俊作の従兄弟の高頭五郎だと名乗り、こう告げる。「お前は俺と二人きりの秘密を持った。もう俺から逃れられない。俺はお前を離さない。俺はいつでもお前のそばにいる、影みたいにな」 後日、米国から玄蔵が遺言状を公開するよう言ってきたため、関係のある人々が一同に集まった。関係者の調査に尽力した金田一探偵と調査員の堀井敬三も同席するが、音禰は堀井を一目見て驚く。殺人事件のあった日に抱かれた高頭五郎だったのだ。しかし堀井こと五郎は素知らぬ顔であった。 遺言状の第1の条項は、佐竹玄蔵の遺産280万ドル(1ドル360円として10億円)を全て宮本音禰に送る。但し高頭俊作と結婚することが条件だが、高頭俊作は先日死亡した。第2の条項として、第1の条項が不可能な場合、10億円は血縁の7人に等分に分ける。玄蔵が亡くなるまでにその人数が減ったら、残った人数で等分に分ける。一人でも減ると分配される遺産は多くなる――というものであった。 その7人は宮本音禰、ヤミ屋の佐竹建彦、エロダンサー姉妹の姉・笠原薫と妹・笠原操(操は先日死亡)。バーのマダム・島原明美、金粉ショーダンサー(?)姉妹の根岸蝶子と根岸花子、SMダンサー(?)の佐竹由香利という、音禰以外は揃いも揃って怪しい連中ばかり。世間知らずの箱入り娘である音禰に彼女たちの本性を見せるべく五郎が音禰を連れ出して彼女たちが働くいかがわしい店に出入りするうち、音禰の回りで次々と相続に関わる人達が殺されていく。 この連続殺人は三つ首塔に起因していた。70年前、玄蔵は武内大弐という男を殺し、玄蔵の殺人の罪を着せられて打ち首になったのが高頭俊作の祖父・高頭省三だった。三つ首塔は玄蔵、大弐、省三の3人の首像を祀った塔であった。 何やかんやあり、殺された島原明美のツバメだった古坂史郎が持っていた三つ首塔の古写真裏には播州邑鹿郡と記されていた。音禰と五郎は早速兵庫県にある三つ首塔へ向かうも、意外な人物が待ち受けていた。そして上杉教授(と後を付けていた金田一探偵)も三つ首塔へと向かった――。 前作「本陣殺人事件」の最後で日和警部が金田一探偵に瀬戸内でとれた美味しいイイダコを手渡していたが、今作で再会した際に金田一探偵が開口一番「あん時土産にいただいたイイダコ、美味かったぁ」と御礼を言うシーンにほっこり。舞台が東京に移ろうとも相変わらず日和警部の岡山弁が聞けて嬉しい。 清楚で可憐な箱入り娘・音禰を演じている真野響子さんは置いといて、他のキャストは濃ゆいメンツがズラリ。 謎の濃い男・高頭五郎(実は…)役は黒沢年雄さん。顔も胸毛も濃すぎる。佐竹建彦役を飄々と演じている米倉斉加年さんや、根岸蝶子と花子の愛人にして支配人の志賀雷蔵を演じた小松方正さんのクセのある演技が素晴らしい。でもって蝶子と花子の金粉ショーも時代を感じさせてくれる。同様に建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスがこれまた昭和の香りがプンプン。エロダンサー姉妹の姉・笠原薫役の丘ナオミさん(当時の芸名は岡尚美さん)はそれまで日活ロマンポルノに数多く出演されていたようだ。 更に佐竹由香利の養父でありながら由香利とデキている鬼頭庄七役には小池朝雄さん。小池さんといえば何といっても「刑事コロンボ(Columbo)」でコロンボ役を演じたピーター・フォーク(Peter Falk)の吹替でお馴染み。その小池さんにSMショーで生乳を揉まれる由香利役の大関優子さんとは、佳那晃子さんの旧芸名だ。昭和56年(1981年)公開の「魔界転生」で佳那さんが演じた細川ガラシャ夫人はエロかったなぁ。 …と、ここまでのキャストが濃ゆすぎて古坂史郎役を演じたピーターさんの影が薄い。結構重要な役どころなんだけどね。
2025.06.17
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横溝正史シリーズ 第2作『本陣殺人事件』 放送日:昭和52年(1977年)5月7日~5月21日(全3回) 横溝先生の戦後最初の長編推理作品であり、日本家屋には不向きとされていた密室殺人を初めて描いた作品として知られる。また、探偵・金田一耕助の初登場作品でもある。 本陣とは江戸時代以降、街道の宿場町におかれた大名や公家、幕府役人の宿泊や休憩の場として利用された建物のこと。 昭和23年初春。舞台は岡山県。 備中高瀬駅で下車した怪しげな3本指の男が駅前の店で水を飲み、一柳賢蔵を乗せた車とすれ違う所からドラマが始まる。 薩摩の島津家や長州の毛利家も宿泊したという旧本陣の末裔にして由緒ある一柳家の屋敷で、長男・賢蔵と久保克子の婚礼が内輪のみでしめやかに執り行われていた。一柳家からは賢蔵の母・糸子、弟・三郎、妹・鈴子、叔父・伊兵衛が、久保家からは両親を亡くした克子を父親代わりに育てた叔父の銀造と、その銀造が金を出して大学にやり、克子は妹みたいな存在だという金田一探偵が出席。酒に酔った伊兵衛が「ここは一柳家じゃ。13代続いた本陣にお前ら小作人の姪っ子が嫁にくるなんてとんでもない!」と銀造に絡む一幕もあったが、何とか滞りなく式は終了。一同お開きとなり、降りしきる雪の中、新郎新婦は離れ家に移動した。 一柳家の一室で眠る銀造の横で読書に耽っていた金田一探偵が眠気に襲われて懐中時計を見ると、午前4時15分を指していた。次の瞬間、離れの方から琴やら何やら妙な音が聞こえてきた。妙な音を不審に感じた一同が離れに向かうも、門や雨戸は中からかぎが掛かっており、庭には日本刀が地面に刺さっていた。雨戸を壊して中に入ってみると、賢蔵と克子は布団の上で血まみれになって折り重なるように死んでいた。金田一探偵はすぐさま離れをくまなく確認したが犯人の痕跡等は玄関の靴跡と金屏風に血で付けられた3本の線ぐらいで、離れは完全なる密室であるうえ、降り積もった雪の上には犯人の逃走した形跡も見られなかった――。 横溝先生は太平洋戦争末期の昭和20年(1945年)春から約3年半の間、岡山県吉備郡岡田村(現・倉敷市真備町岡田)で疎開生活を送っており、本作はその疎開宅で執筆されたそうな。疎開宅の近くには一柳家のモデルとなった家もあったそうで、その屋敷は元々川辺村で本陣を構えていたが明治になって川辺村を引き払い、その子孫の一家が岡田村に移り住んでいたのだとか。 ドラマでは3本指の男が備中高瀬駅で下車していたり、高瀬警察署が登場したりするが実際には高瀬という地名はなく、原作で金田一探偵が初登場の際に降り立ったという「清―駅」は岡山県総社市の清音駅だ。原作には他にも「高—川」「川—村」「岡—村」といった伏字の地名が出てくるようで、いずれも「高梁川」「川辺村」「岡田村」というように疎開宅付近に実在する地名である。 この事件を担当した岡山県警の日和(ひより)警部を演じているのは倉敷市出身の長門 勇さん。なので台詞の岡山弁に全く違和感がない。だが日和警部は原作には登場しない、ドラマだけのオリジナルキャラだそうな。 でもって県警本部長役はまさかの “スガカン” こと菅貫太郎さん。時代劇好きにはお馴染みの非常にクセのある役者さんで、今作でも登場シーンは少ないながらもやけに印象に残っている。 本部長と金田一探偵とは以前から面識があるらしく、本部長が前年までいた大阪で迷宮入りした難事件を次々と解決して自分たち警察の者を大いに啓発してくれたということで、今回の事件も協力を仰いだようだ。 第1回の終盤、警察の会議の席で金田一探偵は3本指の男の実在に疑問を投げかける。そこへ新たに3本指の男がまた現れたとの知らせが入り、驚いて顔を見合わせる金田一探偵とスガカン本部長。 ちなみに本部長は京大出身とのこと。殺された一柳賢蔵の弟・三郎が京大大学院に在学中で、賢蔵も大阪の大学で週に1回哲学の講義をしているというインテリ兄弟である。このインテリ兄弟を演じているのが佐藤 慶さんと荻島真一さん。本当にいいキャスティングだなぁ。あと、どうでもいいけど久保銀造と金田一探偵が「耕さん」「おじさん」と呼び合うのもちょっとほっこり。 日和警部と同じくドラマだけのオリジナルキャラといえば、金田一探偵事務所に勤めているおばちゃん・かねさん。第1作から登場している。今作でも金田一探偵のお供で来たものの、一晩だけ一柳家に泊まって翌朝早く帰京した。その野村昭子さん演じるかねさんが金田一探偵を知らない地元連中(一柳家の元小作人)に言い放つ。「岡山なんか田舎なんですね!金田一先生、御存知ないんだから。東京じゃ有名なんですよ、あの先生は。新聞にも載るしラジオにもお出になるし。尤も皆さん、ラジオをお持ちかどうか知りませんけど。あははは…」 おっしゃるとおり、岡山なんか田舎です。なので岡山が舞台の作品が多いというだけで横溝正史シリーズが大好きなのです。あと古谷さんの魅力とね。
2025.06.09
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横溝正史シリーズ 第1作『犬神家の一族』 放送日:昭和52年(1977年)4月2日~4月30日(全5回) 古谷一行さんが初めて金田一耕助を演じた記念すべき作品。のっけから金田一耕助探偵事務所が入っているビルの屋上で逆立ち歩きする、当時30代前半だった古谷さんが若々しくて格好いい! 昭和22年。舞台は信州・那須。 「信州財閥の巨頭・犬神佐兵衛が波乱にとんだ81年の生涯を終えるところから犬神家の恐ろしい運命が幕を開ける。犬神佐兵衛は17歳の時にこの地に流れ着き、裸一貫から数十億の犬神財閥を築き上げたが、何故か生涯正式に妻を娶らず、ここに集まった一族も3人の妾の娘たちとその婿や孫たちである」 というおどろおどろしいナレーションとともに映し出されるのは、死に瀕している犬神佐兵衛の枕元を囲む、3人の妾が各々産んだ娘である未亡人の長女・松子、次女・竹子と婿の寅之助並びに息子の佐武(すけたけ)と娘の小夜子、三女・梅子と婿の幸吉並びに息子の佐智(すけとも)の姿で、彼らは皆佐兵衛の口から発せられる遺言を待っているのであった。遺言状を預かっていると告げる古舘弁護士に早く発表するよう娘たちが促すも、佐兵衛の意思により松子の一人息子・佐清(すけきよ)が復員してから開封・発表されるとのこと。同じく佐兵衛の意思により犬神家の財産目録をこの場で発表するよう仰せ付かった古舘弁護士が長々と財産目録を読み上げる中、佐兵衛は恩人の孫ながら若くして両親を亡くして犬神家に引き取られた野々宮珠世を呼び寄せる。「斧(よき)、琴、菊…」との呟きを最後に佐兵衛は息を引き取る。 古舘弁護士の助手であり、佐兵衛の遺言を公開前に知り得た若林さんから「近くこの犬神家の一族に容易ならざる事態が、佐兵衛翁の遺言を巡って一族の血みどろの争いが起こるやもしれず…」との手紙を受け取って那須にやって来た金田一探偵であったが、依頼者である若林さんは金田一探偵の宿泊先のホテルで毒殺された。同日、佐清復員の知らせを犬神家から受けていた古舘弁護士は改めて金田一探偵に依頼し、遺言状発表の場に同席するよう求めた。 そして遺言状の発表当日、松子と共に現れた頭巾姿の佐清に対して息を呑む一同。本人確認のため頭巾を取るよう要求された佐清の、能面のような異様な白仮面顔にも驚愕。更に仮面の下の戦争で焼け爛れた素顔には誰もが慄きを隠せなかった。 一同の前で古舘弁護士が読み上げた佐兵衛の遺言はというと「一、犬神家の全財産並びに全事業の相続権を意味する犬神家の三種の家宝 “斧、琴、菊” は次の条件の下に野々宮珠世に譲られるものとす。 一、野々宮珠世はその配偶者を犬神佐兵衛の3人の孫、佐清、佐武、佐智の中より選ばざるべからず。その選択は野々宮珠世の自由なるも、もし珠世にして3人のうち何人とも結婚することを希望せず、他に配偶者を選ぶ場合は珠世は “斧、琴、菊” の相続権を喪失するものとす。 一、野々宮珠世はこの遺言状が公表されたる日から数えて3ヶ月以内に配偶者を選ぶこと。もし相手が結婚を拒否する場合には、その者は犬神家の相続に関するあらゆる権利を放棄せしものと認む。したがって3人が3人とも珠世との結婚を希望せざる場合、或いは3人が3人共死亡せる場合においては、珠世は第3項の義務より開放され、何人と結婚するとも自由とす。 一、もし野々宮珠世が相続権を失うか、或いはまたこの遺言状を公表以前に死亡せる場合には、犬神家の全事業は佐清によって相続され、犬神家の全財産は公平に5等分され、その1/5ずつを佐清、佐武、佐智に与え、残りの2/5を青沼菊乃の遺子・青沼静馬に与えるものとす。但し、その際分与を受けたる者は各自の分与額の2割ずつを犬神ほうこう(奉公?)会に寄付すること」 相続権が他人の珠世に渡ること、そして佐兵衛の愛人だった青沼菊乃の息子・静馬にも相続が及ぶと知った3姉妹の憎悪と怒りは頂点に達する。そんな中、佐武が惨殺されて生首を菊人形として晒され、絞殺された佐智の首には琴糸が巻き付けられていた。そして後日湖から二本足をにょきっと出した姿で発見された佐清らしき遺体にはスケキヨ(ヨキケス)との文字が書かれていた――。 この放送の半年前に公開されて大ヒットした映画版「犬神家の一族」は市川 崑さんが監督と脚本を務め、金田一耕助役の石坂浩二さんや松子役の高峰三枝子さん、佐兵衛役の三國連太郎さん等の豪華出演者に加え、原作者の横溝正史さんも特別出演していたりと、とにかく豪勢な作品だったが、ドラマ版も決して負けてはいない。 古谷さんの温かみのある演技が抜群なのは言うに及ばず、松子役の京マチ子さんの凛とした佇まいや、古舘弁護士役の西村晃さんのどこか飄々とした感じだとか、見応え十分である。 横溝さんも原作に忠実で構成もしっかりして映画に劣らぬ豪華キャストのドラマ版にすっかり満足されたという。約2時間半の映画に比べてドラマは1時間×5回分と長い時間を取っている分、丹念に描かれていると思われる。原作未読なので詳しくは知らないけど。 この事件を担当する那須警察署の橘署長を演じているのはハナ肇さん。ハナさんが出演した「横溝正史シリーズ」は今作だけだが、昭和58年(1983年)から放送された「名探偵・金田一耕助シリーズ」では再び古谷さん演じる金田一探偵の良き相棒としてハナさんが亡くなった平成5年(1993年)まで出演している。 個人的には佐智を演じた松橋 登さんの出演が嬉しい。元々TVドラマにもちょくちょく出演されているのだが、松橋さんといえば昭和57年(1982年)10月から約1年半NHKで放送された人形劇「三国志」で孫権や孫策、趙雲などの声を担当したり、「ラストエンペラー(The Last Emperor)」で清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀役を演じたジョン・ローン(John Lone)や、「愛人/ラマン(L' Amant)」「楽園の瑕(東邪西毒)」などでのレオン・カーフェイ(梁家輝)の吹替でお馴染み。 この「犬神家の一族」での松橋さん…いや佐智は従妹の小夜子とデキていながら珠世を薬で眠らせて手篭めにしようとするも謎の復員兵が現れて失敗、挙句の果てに何者かに殺されて “斧、琴、菊” の見立て殺人の “琴” に絡めて琴糸を首に巻き付けられた状態で発見されるという気の毒な青年である。佐武が菊畑に晒された生首となって発見された際にはほんの数秒映ったぐらいであったが、佐智の死体は松橋さん自身が演じてらっしゃるので結構長く映っており、結構美形な方なので半裸死体も美しい。金に目の眩んだ底意地の悪い女である梅子役を好演している小山明子さんの美しさも相まってついついうっとりと見てしまう。 横溝正史シリーズで忘れられないのが、茶木みやこさんの主題歌「まぼろしの人」だ。曲も歌声も何だか地味っぽくてドラマと合っている気はしないのだが、妙に記憶に残る歌なのである。あの人は幻だったのでしょうか~♪ まぼろしの人 - 茶木みやこ(タイトルclickでYouTubeへGo!) 「犬神家の一族」は横溝作品としては最も映像化回数が多い作品らしい。何といっても佐清マスクと湖から突き出た足のインパクトが強すぎる!とはいえ斧で頭を割られて湖に頭から突っ込まれて無残で滑稽な死体を晒される羽目になったのは、物語の全容を知れば何度見ても溜飲が下がる。 でもって横溝作品といえば犯人の切なくも美しい最期なのだが、この作品の犯人もそれはそれは悲しく美しいのである。金田一探偵に謎を解き明かされた犯人は「あなたが心の優しい探偵さんなので本当に助かりました。お礼を言います」と最後に告げ、橘署長に支度をしてまいりますと言って自室に籠るや紅を引き、着物に香を焚きこめ、毒入り煙草を燻らせて人生の幕を引いた。
2025.06.07
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前回「横溝正史シリーズ」と題して古谷一行さんが名探偵・金田一耕助を演じたTVドラマについて書いたが、より詳しく取り上げたいと思い直し、前回の記事を「古谷一行さんの横溝正史シリーズ」と改題し、新たに「古谷一行さん(横溝正史シリーズ)」というカテゴリーを設けた次第。 岡山県民としては美しくも陰惨な連続殺人事件であったとしても地元が舞台の話はやはり嬉しいものであり、劇中で行き交う岡山弁には心が和んだりもする。 横溝作品は映画のおどろおどろしさもいいが、やはりTVシリーズの方が格段に好きだ。TVシリーズ最大の魅力は人間味溢れる金田一耕助役を演じた古谷一行さんによるもので、古谷さんが演じた金田一耕助があまりにも素晴らしすぎて、他のどの役者が金田一役を演じても違和感を覚えてしまう。 そんな魅力的な古谷さんも3年前に他界されてしまった。奇しくも古谷さんの命日である8月23日は悲しいかな私の誕生日でもあるため、一つ年齢を重ねる度に古谷さんを偲んでいる。 さて、古谷さんが金田一探偵を演じたのは昭和52年(1977年)4月~10月に放送されたTVドラマ「横溝正史シリーズ(6作品)」、昭和53年(1978年)4月~10月放送の「横溝正史シリーズII(9作品)」、そして昭和58年(1983年)2月~平成17年(2005年)7月に放送された「名探偵・金田一耕助シリーズ(32作品)」の47作品と、昭和54年(1979年)公開の角川映画「金田一耕助の冒険」の計48作品。 「横溝正史シリーズ」の15作品は当時30代前半だった古谷さんが溌溂と演じた金田一探偵が大好きで、再放送を何度も見た。有難いことにアマプラ(Amazon Prime Video)でシリーズ全15話が視聴できるので(一部は有料のKADOKAWAチャンネル)、復習もバッチリだ。次回からはこの15作品を順に取り上げていきたい。
2025.05.31
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横溝正史さんの小説に登場する名探偵・金田一耕助役は今まで数々の役者さんが演じてきたが、断トツで古谷一行さんの演じる金田一探偵がイメージにピッタリで大好きだ。横溝先生もやはり古谷さんを気に入っていたという。 古谷さんが金田一探偵を演じたのは昭和52年(1977年)4月~10月に放送されたTVドラマ「横溝正史シリーズ(6作品)」、昭和53年(1978年)4月~10月放送の「横溝正史シリーズII(9作品)」、そして昭和58年(1983年)2月~平成17年(2005年)7月に放送された「名探偵・金田一耕助シリーズ(32作品)」。中でも「横溝正史シリーズ」は昔から再放送される度に見ていたし、大人になってからも時折ネットで視聴するくらい大好きなのである。 「横溝正史シリーズ」第1作は「犬神家の一族」。 古谷さんが初めて金田一探偵を演じた作品で、初放映時の最高視聴率は40.2%だったそうな。 那須湖畔を舞台に、莫大な遺産相続をめぐって家宝の「斧(よき)、琴(こと)、菊(きく)」による見立て殺人が起こる。 第2作は「本陣殺人事件」。 横溝先生の戦後最初の長編推理作品で、金田一耕助シリーズの第1作目でもある。 岡山県の旧本陣の末裔・一柳家の屋敷で起こった密室殺人事件で、日本家屋での密室殺人を描いた初めての作品といわれる。 「横溝正史シリーズ」のラスト第6作が「悪魔の手毬唄」。 岡山と兵庫の県境にある鬼首村で、“桝ではかって漏斗で飲んで~♪” という手毬唄の歌詞に沿って起こる殺人事件。 鬼首村の地形上のモデルは、横溝先生が3年間疎開していた岡山県吉備郡岡田村の桜集落であるらしい。 「横溝正史シリーズII」の第1作は「八つ墓村」。 数奇な運命に生まれた青年が400年に亘る怨念が息づく生地・八つ墓村を訪れ、続発する血腥い殺人事件にまきこまれる。 冒頭の「村人32人殺し」は昭和13年(1938年)に岡山県で起こった「津山三十人殺し」を元にしている。 第2作は「真珠郎」。 真珠郎はどこにいる。 目もあやに飛び交う無数の蛍火に包まれた絶世の美青年、真珠郎。その真珠郎が女のような真っ白な手を血に染めて恐るべき惨劇を繰り返す。(アマプラより) 原作に金田一探偵は登場しない。真珠郎がとにかく印象的。 第4作が「不死蝶」。 「本陣殺人事件」や「八つ墓村」、この「不死蝶」の画像で古谷さんの金田一探偵と一緒に写っているのは長門勇さん演じる日和(ひより)警部。ドラマのオリジナルキャラで、岡山以外で起こった事件でも何故か登場する。 07年12月の「横溝正史」という駄記事で、“「病院坂の首縊りの家」は何となくタイトルがこおおて(怖くて)映画を見たことも原作を読んだこともねえ” と書いたが、金田一耕助最後の事件であり、単に古谷さん見たさもあって「名探偵・金田一耕助シリーズ」第16作を恐る恐る見てみたら…意外とというかやっぱりというか怖くなかった。 横溝作品の映画はちょっとおどろおどろしいけど、ドラマだとどんなにグロテスクな殺人事件でも不思議と怖さはないのよね。古谷さんの魅力が怖さを中和してくれるのかしらん。
2025.05.24
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『ギター殺人者の凱旋』 ジェフ・ベック 「Blow by Blow」 Jeff Beck (75) ☆唸る。泣く。炸裂する。三たびベック・イズ・バック! BBA解散する事早や2年。ピッキング、フィンガリング スライディングにビブラート。ジェフのギターが唸りをあげる ロックギター史上燦然と輝く最高傑作完成!!A面 1. 分かってくれるかい - You Know What I Mean 2. シーズ・ア・ウーマン - She's A Woman 3. コンスティペイテッド・ダック - Constipated Duck 4. エアー・ブロワー - Air Blower 5. スキャッターブレイン - ScatterbrainB面 1. 哀しみの恋人達 - Cause We've Ended as Lovers 2. セロニアス - Thelonius 3. フリーウェイ・ジャム - Freeway Jam 4. ダイヤモンド・ダスト - Diamond Dust 23年にRolling Stone誌が発表した「The 250 Greatest Guitarists of All Time」で5位に選ばれた英国のギタリスト、ジェフ・ベック(Jeff Beck)。彼が75年にリリースした初めてのソロアルバムの邦題が「ギター殺人者の凱旋(Blow by Blow)」である。…ん?ギター殺人者? ギター殺人といえばAC/DCの「ギター殺人事件 AC/DC流血ライブ(If You Want Blood You've Got It)」が思い浮かぶが、も…もしかしてアンガス(Angus Young)の土手っ腹にギターで風穴を開けたのはジェフ・ベックだったりして!? 殺人事件はさておき、「ギター殺人者の凱旋」は原題にも曲名にも一切それらしい言葉はなく、謎に満ちた邦題で強烈なインパクトを与えてくれたのだが既に邦題は闇に消え去り、今は原題どおり「ブロウ・バイ・ブロウ」となっている。この邦題はどうやら宣伝用ポスターだかに書かれていた「The Return of Axe Murderer」を直訳したものらしい。axeはスラングでギターの意味もあるのだとか。 ジェフは65年に知己であるジミー・ペイジ(Jimmy Page)の紹介でエリック・クラプトン(Eric Clapton)の後任としてヤードバーズ(The Yardbirds)に加入。翌66年にはジミーも加入してツイン・リード編成となるも12月にジェフが脱退。 67年にジェフ・ベック・グループ(The Jeff Beck Group)を結成し、69年に一度解散するも70年に再結成。しかし72年に再び解散して今度はベック・ボガート & アピス (Beck, Bogert & Appice。BBA)を結成。スタジオアルバムとライヴアルバムを1枚ずつ出したものの、2枚目のスタジオアルバム完成前の74年に解散してしまった。 そして75年にリリースされたジェフの初ソロアルバム「ギター殺人者の凱旋」は全てインスト(インストゥルメンタル)ながら、米国のBillboardチャートで4位を記録する大ヒットとなった。 このアルバムをプロデュースしたのはビートルズ(The Beatles)のプロデューサーとしてよく知られるジョージ・マーティン(Sir George Martin)。A-2に収録されている “シーズ・ア・ウーマン(She's A Woman)” はビートルズが64年にリリースしたシングル “アイ・フィール・ファイン(I Feel Fine)” のB面曲で、B面ながらBillboardチャートで4位になったのだとか。 “哀しみの恋人達(Cause We've Ended as Lovers)” と “セロニアス(Thelonius)” の2曲を提供しているのはスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)で、“セロニアス” ではノンクレジットながらクラビネットを演奏しているそうな。 既に葬られた邦題ながら、邦題界では未だ語り継がれる「ギター殺人者の凱旋」。一応全曲聴いてはみたが、個人的にインスト曲はあまり好みではないので特に可もなく不可もなくといったところ。勿論ギターの腕は一級で素晴らしいアルバムなのだけど、もうちょっと賑やかな音楽の方が好みかな。 そんなジェフ・ベックに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ シーズ・ア・ウーマン 哀しみの恋人達 セロニアス
2025.05.03
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重野なおきさんの新刊漫画「真田魂」5巻と「軍師 黒田官兵衛伝」7巻が4月28日に同時発売された。どちらもKindle版で全巻購入している。 3ヶ月前に「雑兵めし物語」3巻と「殺っちゃえ!! 宇喜多さん」2巻、「信長の忍び」22巻が同時発売された時にも書いたが、今回の「真田魂」「軍師 黒田官兵衛伝」、そして「殺っちゃえ!! 宇喜多さん」や大好きな「明智光秀放浪記」など、重野さんの作品はどれも「信長の忍び」の延長線上にある作品群なのである。 ということを知ってはいたが、実は「信長の忍び」だけ未読で、ちょっぴり興味はそそられるものの今から22巻読むのは金銭的にもキツい――。 と思っていたら、403話(1~21巻全話+22巻の1話目まで)を無料で公開していた。知ったのが4月29日で、公開は5月1日11:59までとのこと。4月30日も5月1日も仕事なので、29日のうちに何とか無料公開403話を読むことができた。 嗚呼、やっぱり重野作品の根幹をなしている「信長の忍び」は面白い。アニメ化も納得。とはいえ正直、主人公の忍びの女の子はどうでもいい。架空のキャラクターはいらない。…あ、でも最も好きな作品である「雑兵めし物語」の主人公・作兵衛も架空のキャラだわ… 重野さんの作品に登場するキャラクターの、個人的お気に入りTOP3はというと1位 滝川一益 織田四天王の一人で、関東管領に任じられた(かどうかは定かではない)有能な武将。「進むも退くも滝川」と言われるほど戦においても有能。「真田魂」とかではそこそこよく描かれているが、「信長の忍び」では “忍びアレルギー” を発症して見せ場は少なかった。2位 明智光秀 これまた織田四天王の一人で有能な武将なのだが、何といっても本能寺で主君・織田信長を討ち、長男・信忠をも自刃に追いやったことで知られる。「信長の忍び」では主にツッコミ担当だが、「明智光秀放浪記」の光秀は優しくてまっすぐで、ちょっとおとぼけでもあって本当に愛おしい。ねこぢるさんを彷彿させるクリクリお目目も不気味でかわいい。3位 竹中半兵衛 美濃の斎藤義龍・龍興に仕えていたが、のちに羽柴秀吉の参謀として活躍。体が弱く、“その容貌、婦人の如し” との記録がある。「軍師 黒田官兵衛伝」や「信長の忍び」でもいつも血を吐いていたり、ちょっとのことですぐ骨折したりする。何かで見たアニメ「信長の忍び」の人気投票では2回連続で首位だった。納得。 他にも鉄砲傭兵集団である雑賀衆の雑賀孫市(若干絵柄が滝川さんに似てる)や、光秀の友人で歌道の古今伝授を受けた当代随一の教養人・細川藤孝(口調が全て歌になっている)などもキャラクター的にはお気に入り。ストーリーとしては「真田魂」で描かれている小田原北条氏5代目・北条氏直や武田氏第17代当主・武田勝頼の切ない最期が印象に残っている。 重野さんの作品はキャラクターがみんな可愛くて楽しいうえで、物語の本筋はきちんと史実に沿っているから歴史好きには本当に嬉しい。どのキャラクターにも作者の愛情が感じられて、嫌なヤツもいないし。 403話も無料公開してくれて本当に有難かったが、そこまで読んだら当然続きも読みたくなるわけで。というか、やっぱり全巻購入していつでも読みたくなってしまうわけで。うーん、敵もさる者引っ掻くものよのぉ。うきーッ! ま、しばらくはネットに転がっているアニメ版「信長の忍び」でも見ていよう。一益さん役は諏訪部順一さん、声が予想以上に格好いい♪ 声がいいといえば、孫市さん役はまさかの津田健次郎さんだ。他にもエロじじい・松永久秀役の井上和彦さんだとか、“攻めの三左” こと森 可成役に関 智一さんだとか無駄に豪華だったりして。更に、塚原卜伝に剣や兵法を学んだ剣豪にして伊勢国司北畠家の第8代当主・北畠具教のおデブな息子・具房役は落合福嗣くん。福嗣くんは具房以外にも今川義元の嫡男のアホぼん・氏真役やら三好三人衆の一人である三好政康役、美濃三人衆の一人・安藤守就役など様々なキャラの声を担当していてビックリ! …いや、福嗣くんのことは置いといて、とにかく重野さんの一連の戦国ギャグ漫画にすっかり夢中の今日この頃だったりする。まさか今頃になって滝川一益について調べまくる日が来るとは思わなかった。一益さんの生誕は大永5年(1525年)だそうで、今年は奇しくも生誕500年の記念すべき年だったりする。 一益さんの三男だか五男だかの辰政は始め織田信包に仕えたが、その後浅野長政、石田三成、小早川秀秋に仕えて最終的には姫路藩主・池田輝政に仕えたそうだが、岡山藩池田家の番頭を代々務めた備前滝川家の初代でもあるらしい。どういういきさつかは分からないけど。まぁ一益さん自身とは縁も所縁もないが、一益さんの血が岡山でも脈々と流れていたというのはちょっぴり嬉しい。 現在連載中の「信長の忍び」、今は本能寺の変あたりらしい。あのお茶目な光秀がどうなっているのかめっちゃ気になる…。ちなみに信長亡き後、織田家の後継者問題を決める清須会議に出席できなかった一益さんは、ここから一気に坂道を転げ落ちるかの如く悲惨な晩年を送ることになるのであった。
2025.05.01
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『偏頭痛のための11のダンス療法』 アクサク・マブール 「Onze Danses Pour Combattre la Migraine」 Aksak Maboul (77) マーク・オランデル率いるベルギーのチェンバー・ロック・バンド、アクサク・マブールの1977年発表のデビュー作。エリック・サティやZNR等に通じる、アコースティック楽器とエレクトロニクスが不思議に融合する摩訶不思議な空間。今、チェンバー界の古典として歴史に残る名盤。紙ジャケット、SHM-CD、最新リマスター、ボーナス・トラック3曲収録の決定版的内容!CD01. 水曜日の朝 - Mercredi Matin02. キュウリでジャングルからおびき出されるの巻 - (Mit 1) Saure Gurke (Aus 1 Urwald Gelockt)03. 包帯を巻かれた動物たち - Animaux Velpeau04. ミラノでの場合 - Milano per Caso05. ファウスト・コッピ 到着! - Fausto Coppi Arrive!06. 歌は健康に良し - Chanter est Sain07. あほの息子 - Son of l'Idiot08. ダブル・バインド・ベイビー - DBB (Double Bind Baby)09. クイーク・ステップ - Cuic Steppe10. 外にあるものはなんでも - Tout les Trucs qu'il y a là dehors11. 羊飼い - Ciobane12. ザ・ムーチ - The Mooche13. ヴァポナ、接着剤じゃないよ - Vapona, Not Glue14. 一瞥 - Glympz15. 3つの癲癇的フォーク・ダンス - Three Epileptic Folk Dances16. キメて最高! - キメて1年後(ライヴ) - Mastoul Alakefak - Mastoul, One Year Later (Live)17. 我々が言ったように - Comme on a ditBonus Track18. 宇宙の親指ピアノ (カリンバ) - Likembes In Space19. 牧神パンもどき - Quasi Bou Jeloud20. キメて最高!即興 - Mastoul Alakefak Improv 「偏頭痛のための11のダンス療法(Onze Danses Pour Combattre la Migraine)」は1977年にマーク・オランデル(Marc Hollander)とヴィンセント・ケニス(Vincent Kenis)によって結成されたベルギーのアヴァン・ロック・バンド、アクサク・マブール(Aksak Maboul)が同年リリースしたデビューアルバムで、結構インパクトのある邦題はほぼ原題直訳だったりする。 アヴァン・ロック(Avant-rock)はエクスペリメンタル・ロック(Experimental rock)ともいうロックのサブジャンルで、一般的な作曲と演奏のテクニックの限界を押し広げたり、ジャンルの基本的な要素を元に実験を行ったりするものなのだとか。一方で帯にはチェンバー・ロック・バンドと書かれており、チェンバー・ロック(Chamber rock)というのはロック以外のジャンルと結びつきが強いプログレッシブ・ロック(Progressive rock)のなかでも、とりわけ室内楽(チェンバー・ミュージック)的なアプローチを大きく打ち出した音楽ジャンルらしい。ロックのジャンルは細分化しすぎてもう何が何だか…。とりあえずはクラシックっぽいが実験的で、技巧派のバンドということなのだろう、知らんけど 今まで当駄BLOGの懐かし邦題アルバムでは帯文句や曲目はなるべくオリジナル盤を紹介してきたのだが、今回は曲邦題に惹かれて19年に発売されたリイシュー盤を取り上げてみた。 このアルバムは元々77年にベルギーのインディーズレーベルであるカミカゼ・レコード(Kamikaze Records)からリリースされ、81年にはマーク自身のレーベルであるCrammed Discsから再販。その際、“キメて1年後(Mastoul, One Year Later (Live))” が追加トラックとして収録され、ジャケットも右写真のものに変更された。03年にはCDでリリースされ、15年にはジャケットを元に戻してライナーノーツを改訂、トラックリストもちょこっと変更したうえ3曲のボーナストラックを加えた新エディションがビニールLPでリリースされたらしい。日本では19年にリイシュー盤CDがリリースされたとのこと。 ベルギーのチェンバー・ロック・バンドといえば、以前ジュルヴェルヌ(Julverne)の「伝書鳩飼育家(Coulonneux)」を取り上げたことがあったけど、Wikiさんを見てみると他にもユニヴェル・ゼロ(Univers Zero)やプレザン(Present)、アラニス(Aranis)といったバンドがいるようで、調べてみたらこれまた素敵なアルバム邦題を発見!英語圏以外の国のアルバムは邦題が付いてないとさっぱり分からないからね。まぁ邦題が付いていても「偏頭痛のための11のダンス療法」ってやっぱり意味が分からないけど。 アクサク・マブールは今回取り上げるにあたって初めて聴いてみたが、何というか、確かにチェンバーでアヴァンなプログレというか…一言で言い表すのが難しい。とにかく多彩で、マーク・オランデルの多才さに圧倒される。かといって決して難解な音楽という感じでもなく、意外とすんなり聴けてなかなか興味深いアルバムだった。 そういえば “ヴァポナ、接着剤じゃないよ(Vapona, Not Glue)” という邦題の曲があるが(これも原題直訳)、バポナといえば強い殺虫剤で購入するのに印鑑が必要だったような記憶がある。買ったことはないけど。でもってバポナといえば、何故かふとナボナを思い出してしまった。「ナボナはお菓子のホームラン王です」とかいうCMは中国地方では流れてなかったので、馴染みは全くないし、おそらく食べたこともないのだが、何となく響きが似ているのでついでに思い出した次第。どうでもええわな。あ、一応確認したところ今はバポナ購入に印鑑はいらないらしい。平成24年(2012年)に劇薬指定が解除されたことにより、署名・捺印は不要になったとのこと。 何だかアクサク・マブールには全く関係のない話で終わってしまった。 まぁそんなアクサク・マブールに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ キュウリでジャングルからおびき出されるの巻 あほの息子 ヴァポナ、接着剤じゃないよ
2025.04.19
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先週末、ふらりと島根に行ってきた。一泊二日の弾丸御朱印巡り旅だったにもかかわらず、島根の魅力にどっぷりハマってしまった。島根は今までに何度か訪れたことはあったのだが、今回初めて幾つか寺社を巡って歴史に触れ、改めて島根の素晴らしさに深く感じ入った次第である。松江に移住したいとすら思ったぐらいに。行程はざっと以下のとおりだ。・岡山→出雲市駅(JR特急やくも)…隣接する電鉄出雲市駅(一畑電車)へ・電鉄出雲市駅→出雲大社前駅(一畑電車)出雲大社参拝・出雲大社前駅→電鉄出雲市駅(一畑電車)・駅からタクシー往復で神門寺参拝【中国観音霊場第23番札所】・電鉄出雲市駅→雲州平田駅(一畑電車)・雲州平田駅→鰐淵寺駐車場(平田生活バス鰐淵線)往復で鰐淵寺参拝【同第25番札所】・雲州平田駅→松江しんじ湖温泉駅(一畑電車)・松江しんじ湖温泉駅→松江駅(市営バス) 松江で一泊・松江駅→国宝松江城県庁前(市営バス)松江城、松江神社へ・県民会館前→八重垣神社(市営バス)八重垣神社参拝・八重垣神社→松江駅(市営バス)→安来駅(JR山陰本線)・駅からタクシーで雲樹寺参拝【中国観音霊場第27番札所】・更にタクシーで清水寺参拝【中国観音霊場第28番札所】→タクシーで安来駅に戻る・安来駅→松江駅(JR山陰本線)・松江駅→松江しんじ湖温泉駅(市営バス)・松江しんじ湖温泉駅→一畑口駅(一畑電車)・駅からタクシー往復で一畑寺(一畑薬師)参拝【中国観音霊場第26番札所】・一畑口駅→電鉄出雲市駅(一畑電車)・隣接する出雲市駅→岡山(JR特急やくも) 島根滞在中はずっと一畑電車(ばたでん)の時刻表ばかり見ていたような気がする。乗車中、車窓から見える宍道湖の眺めは本当に素晴らしかったし、何ともノスタルジックな風景でもあった。 10年に公開された「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」という映画は、東京の大手家電メーカーの経営企画室長だった49歳の主人公が故郷・島根に暮らす母親の病を機に帰郷し、子供の頃の夢だった「ばたでん(一畑電車)の運転士になる」ことを実現すべく一畑電車に転職するというストーリー。一畑電車や一畑電気鉄道、京王電鉄(当時の一畑電車の運転士養成の委託先)の全面的な協力、そして島根県、松江市、出雲市など沿線の自治体・団体の支援を得てロケが実施されたとのこと。 映画に出てくる雲州平田駅や一畑口駅を見るだけで楽しかった島根旅が思い出され、再訪したくなった。 島根県は日本で唯一人口が大正時代を下回ったそうだが、確かに若者にとっては退屈な町かもしれない。私も今まで何度か島根を訪れたことがあるが、若いうちは楽しいとは思わなかった。それが55歳の今になって、島根の魅力に気付かされたのである。歴史といえば奈良・京都だと思い込んでいたが、島根の歴史は厚みというか重みが違った。まぁどちらも素晴らしいのだけども。 参拝したい寺社はまだまだたくさんあるので、またいつか必ず島根を再訪しようっと。 風情ある出雲市駅 出雲大社拝殿 鰐淵寺 八重垣神社 松江城
2025.04.08
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平成27年(2015年)4月に京都の東寺(教王護国寺)で初めて御朱印帖を購入し、緊張しながら御朱印をいただいたのを昨日のことのように覚えているが、あれから早くも10年の歳月が流れた。 当初はこのBLOGでもちょくちょく御朱印記事を書いていたものの、御朱印巡り備忘録BLOGを別に立ち上げたこともあって徐々に書かなくなってしまった。それでも細々と御朱印巡りは続けていたのだが、外転神経麻痺で車の運転を控えるようになったことに加え、コロナ禍でしばらく不要不急の外出を控えているうちに御朱印熱がしゅうぅぅ…と萎んでしまった。 当BLOGの御朱印記事に貼っていた画像がいつの間にか見にくくなっていることにも気付いてはいたが、放置しっぱなしの有様であった。 しかし本日、やっと画像を修復しようと思い立って先程作業を終えたのだが、同時に御朱印熱も蘇ってきた。 今までいただいた200枚ほど(10年やってる割には少ない)の御朱印全てに思い出が詰まっており、眺めるだけで幸せな気分になれる。嗚呼、この嬉し楽しさを何故忘れていたのだろう。 10年前、兵庫県西部(播磨)・岡山県(備前・備中)・広島県(備後)の観音菩薩を祀る寺院三十三箇所を巡る霊場巡拝、瀬戸内三十三観音霊場を巡り始めた時には、頑張れば何とか回れるような気がする――なんて軽々しく書いたが、10年経って参拝した寺院は33箇所中16箇所と半分も満たしていないという… 10周年を迎える4月26日までにはせめて県内の寺院は全て回っておきたい。これを当面の目標にしよう。残り6箇所、車がないと厳しい所ばかりだけど、何とか頑張るべ。 ホント、御朱印巡りって田舎モンは車の運転ができないと結構厳しいのだ。バスがあっても土日運休で1日3本しか便がないだとか、最寄りのバス停から徒歩30分だとか。事前にしっかり計画を立てておかないといけないというのが、行き当たりばったり主義のものぐさオバハンには辛い。 その点、歴史の中心・京都なんかだと公共交通機関を利用すれば大概の寺社に辿り着けるので、御朱印巡りも非常に楽しい。但し今は外国人観光客の増加で大変らしいけど。JTBによると2025年の訪日外国人旅行者数は4,020万人に達する見込みなのだとか。インバウンドが落ち着いたらまた京都で御朱印巡りしたいなぁ…なんて思っているけど、当分無理そう。暫くは近場を巡ろうかな。 御朱印(令和になっていただいたものの一部) 厳島神社…令和になって初めていただいた御朱印。 海蔵寺…桑名市にある宝暦治水に関する寺院。 大垣城…初めていただいた御城印。いつの間にか御城印も一般的に。 嫁いらず観音院…一昨年秋、瀬戸内三十三観音霊場では約6年ぶりに、岡山県内の寺院では約7年ぶりにいただいた御朱印。サボりすぎにもほどがある!
2025.03.23
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文久3年(1863年)から元治元年(1864年)にかけて27歳にして遣欧使節団(横浜鎖港談判使節団)の正使を務め、スフィンクスの前で記念撮影したイケメン侍として知られる池田可軒(長發)さん。 少年時代は昌平黌に学び、成績は抜群に優秀だった――とWikiさんでも紹介されているが、可軒さんは「人間は萬巻の書を讀まなければならない」と他人に勧めているほど大変な読書家であった。 そんな可軒さんが渡欧中に購入した書物は以下のとおりである。 ・日本鹿兒島測量圖 (1864年巴里出版 一葉) ・日本下田鹿兒島測量圖 (1860年巴里出版 一葉) ・日本江戸測量圖 (1861年巴里出版 一葉) ・日本箱舘測量圖 (1860年巴里出版 一葉) ・日本長崎測量圖 (1860年巴里出版 一葉) ・佛國度量衡圖説 (一册) ・動植物アルバム (二十九葉) ・支那探檢地圖 (1860年巴里出版 一册) ・アッシュデュホール氏近古世界圖 (1865年巴里出版 一册) ・オーヅー博士解剖生理學初歩 (一册) ・ローパン・ジュウェー氏冒檢譚 (一册) ・醸造論 (1862年巴里出版 一册) ・工藝概説 (1850年巴里出版 一册) ・ドンケルクルチウス氏日本文法論 (1861年巴里出版 一册) ・プウエーケルチェー氏紡績事業 (1863年巴里出版 一册) ・佛譯四書 (道光27年出版 一册) ・政治的軍事的方面より見たる那翁の生涯 (一册) まずは鹿児島、下田鹿児島、江戸、函館、長崎の各1枚ものの測量図。測量図といえば文政4年(1821年)に伊能忠敬が中心となって作製した「大日本沿󠄀海󠄀輿地全󠄁圖」(伊能図)が完成していたが幕府が秘蔵したため、慶応3年(1867年)になって「大日本国沿海略図」(幕府から伊能図(の小図で縮尺1/432,000)の写しを入手した英国が、その写しを元に1863年に「日本と朝鮮近傍の沿海図」として刊行し、それが日本に逆輸入されて勝海舟が木版刊行したもの)や、幕府開成所が同じく伊能小図を元にした「官板実測日本地図」を出版したことにより、ようやく一般の目に供されるようになったぐらいなので当時地図はとても貴重だったと思われる。しかし日本人のごく一部しか知らなかった測量図が外国で簡単に入手できたのもおかしな話である。 続いては仏国の度量衡図説。江戸時代の日本は尺貫法が使われていたので、この本に興味を惹かれたのも分かる気がする。ちなみにメートル法は18世紀末の仏国において、世界で共通に使える統一された単位制度の確立を目指して制定されたものらしい。1799年に仏国でメートル法が公布された際のスローガンは「全ての時代に、全ての人々に(À tous les temps, à tous les peuples.)」だったそうな。日本がメートル条約に加盟したのは明治18年(1885年)のことだった。 探検地図や冒険譚など少年っぽさを感じさせる本もあるにはあるが、解剖生理学、工芸概論、醸造論といった専門書っぽいタイトルが並んでいる。醸造ってことはワイン作りでも始めたかったのかしらん。他には外国人の日本文法論だとか紡績事業の本だとか、那翁(ナポレオン)の伝記本だとか。ナポレオン3世(Napoléon III)に謁見して感じるところがあったのかも。 「佛譯四書」は道光27年出版ということは中国の本なのね。上海で購入したのかな。そういえば可軒さんの蔵書には四書(「論語」「大学」「中庸」「孟子」)に関する書物が多かった気がする。岡山大学付属図書館所蔵の池田家文庫中に所在する可軒さんの蔵書目録のうち、昭和43年発行「書誌学(11-13)」に載っている岡田祐子著「池田可軒の舊藏書(1-3)」に列記されている「池田可軒蔵書目録」と「歳寒書屋珍収蔵書目録」所載の漢籍、準漢籍の合計は400点、4,400冊余という膨大な量であった。その内四書(特に中庸)関連は約100点(冊数は書かれていない)。昌平黌で抜群の成績だったというのも頷ける。 「人間は萬巻の書を讀まなければならない」――可軒さんはまさに有言実行の人であった。 参考文献・小林久麿雄『幕末外交使節池田筑後守』(恒心社)昭和9年・岸 加四郎『鶴遺老:池田筑後守長発伝』(井原市教育委員会)昭和44年・日本書誌学会 [編]『書誌学』11-13(日本書誌学会)昭和43年 岡田裕子『池田可軒の舊藏書(1-3)』
2025.03.21
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『天井桟敷の吟遊詩人』 ジェスロ・タル 「Minstrel in the Gallery」 Jethro Tull (75) イアン・アンダーソンの愉快なミュージック・レトリック ――あるいは、その優雅で、まじめで、奇妙で、悪意にみちた、淫らがましい、婉曲なおかしさとメタファーの攪乱術について――A面 1. 天井桟敷の吟遊詩人 - Minstrel in the Gallery 2. ヴァルハラへの冷たい風 - Cold Wind to Valhalla 3. 黒衣の踊り子 - Black Satin Dancer 4. レクイエム - RequiemB面 1. 一羽の白アヒル/0¹º=無 - One White Duck / 0¹º = Nothing At All 2. ベイカー・ストリートの女神 - Baker St. Muse インクルーディング - including ピッグ・ミー・アンド・ザ・ホー - Pig-Me and the Whore ナイス・リトル・チューン - Nice Little Tune クラッシュ・バリアー・ワルツ - Crash-Barrier Waltzer マザー・イングランドの幻想 - Mother England Reverie 3. グレース - Grace ジェスロ・タル(Jethro Tull)は67年に英国で結成されたプログレッシヴ・ロック・バンドで、ロックにフルートを持ち込んだバンドとして名を残しているそうだが、まぁそんなモノを持ち込もうと考えるヤツもそうそういないだろう。 68年にリリースしたデビューアルバム「日曜日の印象(This Was)」が全英10位となり、69年リリースの2ndアルバム「スタンド・アップ(Stand Up)」で見事全英1位に輝いた。その後も70年代には毎年アルバムをリリースしてヒットを続け、72年の5th「ジェラルドの汚れなき世界(Thick as a Brick)」と73年の6th「パッション・プレイ(A Passion Play)」は全米でも1位を獲得するなど当時の人気の高さが伺えるのだが、日本では売上と知名度が今ひとつ比例していない…。 とはいえバンドの知名度は低かろうが、この「天井桟敷の吟遊詩人(Minstrel in the Gallery)」という小洒落たアルバム邦題に見覚え(或いは聞き覚え)がある方はそこそこいるのではないだろうか。ほぼ直訳しただけなのに、妙にオシャレ感が漂っている素敵な邦題だ。ちょっと難解な帯文句はどうかと思うけど。 このアルバムはジェスロ・タルの8thスタジオアルバムで、当時のメンバーはというと、voとフルート、アコギ担当で全ての曲を作っているイアン・アンダーソン(Ian Anderson)、gのマーティン・バー(Martin Barre)、bのジェフリー・ハモンド(Jeffrey Hammond)、dsのバリモア・バーロウ(Barriemore Barlow)とピアノ、オルガンのジョン・エヴァン(John Evan)の5人。 創設メンバーはこの時点で既にイアン一人であり、17年に再結成した今も残っているのはイアンのみである。 80年代の洋楽好きがジェスロ・タルを知るきっかけとなったのは、89年のグラミー賞で最優秀ハードロック/メタルパフォーマンス部門(Grammy Award for Best Hard Rock/Metal Performance Vocal or Instrumental)が新設され、何故かジェスロ・タルが栄えある第1回目の受賞者になったことだろう。メタリカ(Metallica)の「メタル・ジャスティス(...And Justice for All)」を始めAC/DCやイギー・ポップ(Iggy Pop)などがノミネートされており、誰もがメタリカが受賞すると思っていたものの、まさかのHRでもHMでもないジェスロ・タルの「クレスト・オブ・ア・ネイヴ(Crest of a Knave)」が選ばれたことに批判が殺到。翌90年にはジャンルを分離してハードロックとメタルのカテゴリーをそれぞれ新たに設定したのだった。 あ、どうでもいいけど90年のグラミー賞といえば、最優秀新人賞を受賞したミリ・ヴァニリ(Milli Vanilli)が実は口パクだったことが後に発覚し、賞を剥奪された――なんてことがあったっけ。 「天井桟敷の吟遊詩人」という邦題に負けず劣らずアルバムのジャケットもかなり好みだ。天井桟敷にいる5人の吟遊詩人…メンバー(の中でvoのイアン)を吟遊詩人に見立てているそうな。タイトルとジャケットアートと楽曲が妙に合っていて、トータルでこのアルバムの魅力を感じてほしい。 80年代から洋楽を聴き始めたものだからか、70年代のアルバムって逆に洗練されているように感じる。大人の鑑賞に十分耐え得るものが多いというか。いや、駄作は淘汰されて良作だけが残っているせいかもしれないけど。それでもやっぱり70年代のアルバムは素晴らしい!ジェスロ・タル、一聴の価値あり。 そんなジェスロ・タルに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 天井桟敷の吟遊詩人 黒衣の踊り子 一羽の白アヒル/0¹º=無このジャケットアートのちょっぴり可愛いながらも不気味な感じが実に良い。
2025.03.15
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『白い暴動』 ザ・クラッシュ 「The Clash」 The Clash (77) ロンドンは燃えている!遂に姿を現わしたバイオレス・パンクの王者、ザ・クラッシュ。ロンドン・スラムの怒れる若者たちがひたすらアナーキーにロックンロール、ロックンロール、ロックンロール……ギ、ギ、ギャオーッ!A面 1. ジェニー・ジョーンズ - Janie Jones 2. リモート・コントロール - Remote Control 3. 反アメリカ - I'm So Bored with the USA 4. 白い暴動 - White Riot 5. 憎悪・戦争 - Hate and War 6. ワッツ・マイ・ネイム - What's My Name? 7. 否定 - Deny 8. ロンドンは燃えている! - London's BurningB面 1. 出世のチャンス - Career Opportunities 2. ペテン - Cheat 3. 反逆ブルー - Protex Blue 4. ポリスとコソ泥 - Police and Thieves 5. 48時間 - 48 Hours 6. ガレージランド - Garageland 1月にセックス・ピストルズ(Sex Pistols)の「勝手にしやがれ!!(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)」、2月にはダムド(The Damned)の「地獄に堕ちた野郎ども(Damned Damned Damned)」を紹介したので、今月はロンドン・パンクにおける三大パンク・バンドの残り一組となったザ・クラッシュ(The Clash)が77年にリリースしたデビューアルバム「白い暴動(The Clash)」を取り上げたい。 以前ブロンディ(Blondie)が76年にリリースしたデビューアルバム「妖女ブロンディ(Blondie)」を取り上げた際に少し書いたが、クラッシュの「白い暴動」は元々セルフタイトルアルバムなのに、アルバムリリースの3週間前に発売されたデビューシングル “白い暴動(White Riot)” の邦題をそのままアルバム邦題にしている。まぁ1枚目はこういう付け方の邦題が多いよね。 クラッシュの結成は76年。ミック・ジョーンズ(Mick Jones)は元々LONDON SSのギタリストだったが76年初頭にバンドが解散。同年2月にセックス・ピストルズの初公演を見て衝撃を受けたミックは、LONDON SS時代からのマネージャーであるバーニー・ローズ(Bernard Rhodes)と共に新たなバンド結成に動き出す。バーニーの勧めでポール・シムノン(Paul Simonon)に声を掛けたもののポールは楽器が弾けず、当初ミックはギターを教えようとしたものの難しいと判断されてベースを教わることに。ミック、ポール、gのキース・レヴィン(Keith Levene。セックス・ピストルズのvoだったジョニー・ロットン(Johnny Rotten)ことジョン・ライドン(John Lydon)がピストルズ解散後に結成したパブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd。PIL)のメンバーとして知られる)、dsのテリー・チャイムズ(Terry Chimes。テリーの前のdsは省略)、voにはThe 101ersのジョー・ストラマー(Joe Strummer)を迎え入れてザ・クラッシュが誕生した。 77年1月にCBSレコードと契約するもキースは76年9月に脱退しており、4月にリリースされたデビューアルバム「白い暴動」のA-6 “ワッツ・マイ・ネイム(What's My Name?)” に共同作曲者としてクレジットに名を残しているのみである。また、dsのテリーも既に脱退していたがレコーディングのために呼び戻されている。79年にリリースされた米国盤では収録曲が何曲か差替えられており、追加トラックでドラムを叩いているのはテリーの後任として加入したトッパー・ヒードン(Topper Headon)。ジャケットに3人しか写っていないのは、テリーが撮影時には既に脱退を決意していたからなのだとか。 このアルバムは曲名にも直訳とはいえそこそこ邦題が付いていて好ましく思うものの、B-3の “反逆ブルー(Protex Blue)” に関してはWikiさん曰く「"Protex Blue" は、1970年代のコンドームのブランドである」とのこと。何だかちょっぴり微笑ましい邦題だ。 クラッシュといえば歌詞に溢れるラジカルなメッセージについて語られることも多いが、音楽の評価基準がノリとルックスという私はそちら方面に疎いため、純粋にノリだけで評価させてもらうとしても良いアルバムである。とはいえやっぱりパンクは…、いやパンクに限らず音楽というものはその時代の空気と密接に関わっているため、当時小学生だった私にはクラッシュの真の魅力を理解することは不可能なのだ、残念ながら。パンク音楽のノリは大好きなんだけどね。 それにしても77年は音楽界革新年間といってもいいくらい凄い年である。2月にダムドが英国パンク・ロック・シーンにおける初のアルバムをリリース。次いで4月にはクラッシュ、10月にはセックス・ピストルズが満を持して1stアルバムをリリース。米国ではトーキング・ヘッズ(Talking Heads)の1stアルバム「サイコ・キラー'77(Talking Heads: 77)」がリリースされている。ちなみにこの「サイコ・キラー'77」という不思議な邦題も「白い暴動」と同じくシングル曲 “サイコ・キラー(Psycho Killer)” から付けられている。 79年にリリースされた3rdアルバム「ロンドン・コーリング(London Calling)」で大成功を収めたクラッシュだったが、何やかんやで85年に解散。02年11月にはめでたくロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame, RRHOF)入りが発表され、授賞式での再結成が検討されていた矢先の12月にジョーが未診断の先天性心疾患による心臓発作で亡くなってしまう。まだ50歳という若さで、亡くなる前の晩にはクラッシュの殿堂入りに合わせて発売されたベスト・アルバム「エッセンシャル・クラッシュ(The Essential Clash)」の収録用選曲作業をしていたという。ジョー自身もまさかこのタイミングで世を去るとは微塵も思っていなかったに違いない。翌03年3月に行われた授賞式にはミック、ポール、テリーが出席したとのこと。 そんなクラッシュに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 白い暴動 反逆ブルー ロンドンは燃えている!
2025.03.09
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08年11月の駄記事『「ガキの使い」と「内P」』で恥ずかしながらもカミングアウトしたように、私は山崎邦正さん(13年に改名して現在は月亭方正さんなのだが、今回は慣れ親しんだ “山ちゃん” と呼ばせていただく)のファンである。 昨日2月15日は山ちゃんの誕生日であった。そこで誕生日を祝し、山ちゃんの代表作(?)の一つともいえる「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」での伝説の企画「山崎VSモリマン」について長々と詳細を記しておきたい。 「ガキ使」に興味のない方には何のことだか全く分からないとは思うけど、この駄Blogは “今更誰も興味がないことをダラダラ綴る” がモットーでして…「今日は怒っとんねん。気合入っとんねん。芸能界っていうとこはほんまに怖いとこ。もう下剋上があり、ケツ取ったり取られたりやから。結局上に行くにはソイツのケツを見なアカンのですよ。ソイツのケツを見たらボクは勝てますから」 ということで96年11月に『第1回 山崎邦正ケツ公開スパーリング!!』(パンツの取り合い)を行ったものの、アメフト軍団、5人のおばさんに負け、続いてチャンピオンのモリマン(のホルスタイン・モリ夫さん)との対戦でも2戦とも惨敗してしまった。 96年12月には山ちゃん達ての希望で「第2回 山崎邦正ケツリベンジ KETSU-1グランプリ!!」が行われ、またも惨敗に終わった。 でもって98年6月には「第3回 芸能界因縁のリベンジマッチ! 山崎VSモリマン エンドレスバトル!!」が行われ、完敗続きの山ちゃんに有利なものがあるかもしれないということで30種類の対決方法が用意された。その中から顔面パンスト脱がし対決、スリッパしばき合い対決、ローキック対決、熱々あんかけ対決、水タオルしばき合い対決が行われたが、いずれも山ちゃんの惨敗。ちなみに入場曲(山ちゃんは “ヤマザキ一番”、モリマンは “We Will Rock You”)が流れたり、山ちゃんのセコンドにココリコ&モリ夫さんのセコンドに相方の種馬マンさんが付くようになったり、試合前に遠藤さんによる “ほほほい”が始まったのもこの回からである。 4回目からは格闘技の聖地・後楽園ホールにて観客の前で対決を行うようになり、対決前の様子(山ちゃん専属トレーナーによる声掛け)や今井良晴さん(全日本女子プロレスリングアナウンサー)によるリングアナウンス、近しい人からの花束贈呈、遠藤斉唱(パンイチでほほほい)等のお約束が生まれた。ダウンタウンはコミッショナーという立場だ(K-1対決では浜田さんがレフェリーになったりもする)。④ 98年8月「炎のファイナルリベンジマッチ IN 後楽園ホール!!」 無敵のチャンピオン VS 永遠の挑戦者 西宮が生んだ世紀末ファイター トレーナーからの声掛け:「いいぞ天才芸人」 花束贈呈:小学校からの親友・長位さん、昔の芸人仲間・藤田さん、森下さん 対決:フランスパンしばき合い対決、熱々あんかけ対決、ビンタ対決、K-1対決、水タオルしばき合い対決 /18 対決前の記者会見で意気込みを聞かれた山ちゃんは「古の昔から女が家を守り、男が狩りをする。それが僕の信念ですから!」と熱く語ったが、結果は全て山ちゃんの惨敗であった。⑤ 98年12月「嵐のラストファイナルリベンジマッチ IN 後楽園ホール!!」 完全無欠のチャンピオン 殺人エンジェル VS 永遠の挑戦者 西宮が生んだ落ちこぼれ世紀末ファイター トレーナーからの声掛け:「いいぞ天才芸人」「モリマン怖いよ」 花束贈呈:以前の相方・藤田さん、NSC時代の同期・森下さん 対決:パンスト脱がし合い対決、ビール瓶割り合い対決、ゴボウしばき合い対決、熱々の八宝菜対決、チーズフォンデュ対決、ハチミツ入りバケツ頭突っ込み対決、K-1対決 /18 この回で初めてゴボウでしばき合った山ちゃんは「木やコレ!」とゴボウの硬さに驚愕し、「アバラが折れた」と逃走した。山ちゃんが突き指のため試合不能ということで惨敗に終わる。⑥ 00年7月「今世紀最後のスーパーファイナルリベンジマッチ in 後楽園ホール!!」 過去5戦連勝 霊長類最強のチャンピオン VS 過去5戦連敗 永遠の挑戦者 西宮が生んだ落ちこぼれとっつぁん坊や トレーナーからの声掛け:「山崎勝てるよ」「モリマン怖いよ」 花束贈呈:実家の近所の幼馴染・長位さん 対決:カラーバットしばき合い対決、洗濯機ホースしばき合い対決、ケチャップとマスタード対決、Tシャツ小籠包対決、アメフト頭突き対決、小玉スイカ対決、納豆かけ合い対決、熱々あんかけ対決 /18 これまた全て山ちゃんの惨敗で、最後に菅プロデューサーが登場して山ちゃんが泣いている旨を伝えて終了。以降、最後に菅Pが出てくるのもお約束に。⑦ 02年2月「今世紀初! ラストファイナルリベンジマッチ in 後楽園ホール!!」 北海のつぶし屋 雪国が生んだビューティープリンセス VS 永遠のベビーフェイス 西宮が生んだお笑い音痴 トレーナーからの声掛け:「モリマン怖いよ」「アヤちゃんかわいいね」 花束贈呈:元マネージャー・一二三さん 対決:ゴルフクラブしばき合い対決、豆板醤ぬり合い対決、シャンパンケツキャッチ対決、もう着ない服対決、何が出るかな?対決、ママチャリ対決 /18 対決前に「今まで何度も対決しましたけどね、今までの対決は僕一人で戦ってたんですよ。でも今日の対決はね、嫁とジュニアがいるということで僕に背負うもんが出来てね、すごく3対1で戦えるっていう…」と語っていた山ちゃんだが、モリ夫さんから「新婚の分際でヘルス3日連続行ってんじゃねぇ!」とリング上でバラされた。今回は3本撮の長丁場になる予定だったものの、ママチャリ対決で山ちゃんが腰を痛めて(ヘタレからくるぎっくり腰)途中退場し、今回も全戦惨敗で対決終了。モリマンにアフリカ中央テレビの密着取材があったり、山ちゃんのお父さん(秋男さん)からの電話があったりもした。⑧ 03年6月「因縁のファイナルリベンジドリームマッチ in 後楽園ホール!!」 北海のリーサルウェポン 道産子ビューティー VS 永遠のとっつぁん坊や 西宮が生んだお笑い落第生 トレーナーからの声掛け:「モリマン強いよ」「邦正スベる気しないよ」 花束贈呈:東京に出てきて初めて住んだ共同のアパートの大家・田口さん 対決:恒例ゴボウしばき合い対決、寝袋対決、永ちゃんタオルしばき合い対決、ブタ脂肪ぬり合い対決、ガチンコ大喜利対決、口くわえバレーボール対決、宙づりしばき合い対決、熱々あんかけ対決 /18 対決前、「この一年でね、僕には背負うものがたくさん出来たんですよ。あや、そして娘の百桃(もも)、そして今あやのお腹にいる赤ちゃん。男はね、背負っているものがあればあるほど強くなれるんですよ」と熱く意気込みを語った山ちゃん。最も苦手とする恒例ゴボウしばき合い対決では「ゴボウはただの木なんですよ」という名言を生んだものの、結果は山ちゃんの惨敗に終わった。今回もモリマンにはアフリカ中央テレビの密着取材が付いていた。⑨ 05年2月「魂のスーパーファイナルリベンジマッチ in ディファ有明」 北海のつぶし屋 道産子クイーン VS お笑い視力0.01 西宮が生んだポンコツ芸人 トレーナーからの声掛け:「ララちゃん生まれたよ」「カリスマ出てるよ」 花束贈呈:準ミス有明(おばちゃん3号) 対決:サスペンダー引っ張り合い対決、顔面ビンタマシーン対決、熱々蒸しタオル対決、全身梱包対決、万国旗出されたら負けよ対決、小豆ふくんでビンタ対決、熱々あんかけ対決 /18 熱々蒸しタオル対決で敗れた山ちゃんがリングから逃走した後の場繋ぎで、ココリコ・田中さんによる “Rizière Centre”(山ちゃんプロデュース第1弾より)の歌唱やダイナマイト四国VSエスカルゴマンのリベンジマッチが行われた。結果は相変わらず山ちゃんの完敗。しかし菅P的には尺が稼げたのでOKとのこと。⑩ 06年8月「伝説のスーパーファイナルリベンジマッチ in 後楽園ホール!!」 北海が生んだリアルブタゴリラ VS 笑いの翼が折れたエンジェル トレーナーからの声掛け:「3人目早く作りなよ」「いいぞ天才芸人」 花束贈呈:山ちゃんが月に2度はお世話になっている五反田駅西口の現役風俗嬢・マリさん、カナダから来た入れ歯万引きGメン(ピカデリー梅田さん) 対決:ハチミツ対決、キャビンアテンダント対決、巨大風船対決、夏の風物詩対決、エア獅子舞対決、シャンプーハット対決、熱々あんかけ対決、ゴボウしばき合い対決 /18 山ちゃんの回復を待つ間、ダウンタウン・松本さん&ココリコ・田中さんのデュエット曲 “Those days”(山ちゃんプロデュース第2弾より)の歌唱やダイナマイト四国VSタコス兄弟の緊急スペシャルマッチが行われた。結果はまたしても山ちゃんの惨敗に終わる。⑪ 07年10月「奇跡のスーパーファイナル引退リベンジマッチ in 後楽園ホール!!」 ヒグマも道を空ける 北海が生んだ肉ダルマ VS 笑いのアンテナが折れた壊れかけのRadio トレーナーからの声掛け:「あやちゃんスゴイよ」「あやちゃん…」 花束贈呈:山ちゃんの奥さんであるあやさんに好意を寄せている、あやさん行きつけのパチンコホールGAIA目黒店の店長さん、カナダから来日した入れ歯霊媒師(ピカデリー梅田さん) 対決:高速回転ぐるぐるしばき合い対決、こんぺい糖ばら撒き対決、イビキ対決、空中浮遊イリュージョン対決、みたらし団子タレ対決 /18 山ちゃんが一週間禁酒して挑んだというこの回では、イビキ対決において初のドローとなったものの他は山ちゃんの惨敗。みたらし団子タレ対決終了後、山ちゃんが2回戦を拒絶したため、ダイナマイト四国VSコロナ3兄弟の緊急スペシャルマッチが行われ、更に緊急スペシャル歌謡ショーとしてダウンタウン・浜田さん&八代亜紀さんのデュエット “恋の沈丁花” と、松本さん、田中さん&由紀さおりさんによる “宇宙(そら)の子守唄”(どちらも山ちゃんプロデュース第3弾より)が披露されたが、チャンピオンのモリ夫さんに古傷の痛みが出たためそのまま試合終了。山ちゃんが逃げ出して終わらなかった唯一の回となった。⑫ 08年12月31日「大メイン クライマックス2008 炎のファイナルリベンジマッチ」 北海生まれの殺人炙りサーモン VS 笑いの翼の折れたエンジェル 花束贈呈:小池栄子さん 対決: スリッパしばき合い対決、恐怖ボイス対決、エレクトリカルファンタジー対決、エマニエルイス取り対決、水タオルしばき合い対決、熱々あんかけ対決、誰が出るかな?助っ人対決、フォークダンス対決、タルタルソース対決、胴体切断イリュージョン対決、ハチミツ対決、キングサイズベッド対決、小玉スイカ対決、ゴボウしばき合い対決 /24 最後の対決となったこの回はガキ使の大晦日年越しスペシャル 第一部として放送されたこともあって、色々と変更された。第4回からずっとリングアナウンスを務めていた今井良晴さんが村上ショージさんに代わり、遠藤斉唱がなくなって水木一郎さんによる替え歌応援歌斉唱に。山ちゃん専属トレーナーだった黒人さん二人もおらず、芸人さん達による応援軍団に変わった。花束贈呈も当初は山ちゃんに近しい素人さんだったのだが、やはり大晦日の放送なので華が必要だったのかな。他にも菅総統によるスガッスル(ハッスルのパロディ)も行われ、ダイナマイト四国が窮地に陥ったところにキューティー元四国(遠藤さんの元嫁・千秋さん)が現れ、危機を救う場面も。勝敗がつかなかった恐怖ボイス対決以外で山ちゃんは惨敗し、最後は山ちゃんが会場の外に逃げて12年にも及んだ山ちゃんとモリマンによる男と女の真剣勝負は幕を閉じたのであった。(ここに挙げた以外にもゴボウしばきあい対決はちょいちょい行われているが割愛) 個人的に好きな対決TOP3を選ぶとすれば1位 キングサイズベッド対決(ベッドでピロートークをして、ゴングが鳴ったらパンツを取り合う。山ちゃんのピロートークが魅力炸裂で最高)2位 フォークダンス対決(フォークダンスを踊り、曲が止まったと同時に戦う。ダンス中の笑顔がやたら可愛い)3位 空中浮遊イリュージョン対決(空中浮遊しながら戦う。ただただイリュージョンが可笑しい)かな。次点で巨大風船対決、万国旗出されたら負けよ対決あたり。痛そうだったり苦しそうだったりする対決はバラエティとはいえ胸が痛む。 文春オンラインでのモリ夫さんのインタビュー記事(20年11月15日)によると、対戦後に山ちゃんへ挨拶しに行くと腫れた顔で「ありがとうな」と言ってくれたそうで、モリ夫さんは辛くて目を合わせられなかったのだとか。山ちゃんのことは本当に尊敬していて、大好きな先輩だと語っていた。二人とも優しい人なのだろう。 ④~⑨までの対戦は「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」DVD6巻に、⑩~⑫は14巻に収録されており、どんなに辛い時でもこのDVDを見れば元気が出る。ありがとう、山ちゃん。 4月には山ちゃん…もとい月亭方正さんの独演会と、林家たい平さんとの二人会のチケットを取っているので今から楽しみ♪ どうか健康に留意して、いつまでも私たちを楽しませてくださいまし。
2025.02.16
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『ヘビの頭をくねらせろ』 フェルト 「Let the Snakes Crinkle Their Heads to Death」 Felt (86)A面 1. ウイリアム・S・ハーベイの歌 - Song for William S. Harvey 2. ぼくは古代の街に住んでいた - Ancient City Where I Lived 3. 17世紀 - The Seventeenth Century 4. 宮殿 - The Palace 5. インド教典 - Indian ScripturesB面 1. ナスカ平原 - The Nazca Plain 2. 宝石の夜空 - Jewel Sky 3. バイキング装束 - Viking Dress 4. 光への航海 - Voyage to Illumination 5. サファイヤ御殿 - Sapphire Mansions 今年は巳年ということで新年一発目にこのアルバム邦題を取り上げるべきだったが、このアルバムはおろか演奏しているバンドすら先日偶然ネットで知ったばかりで、急遽取り上げてみた次第。 英国のジャングル・ポップだかオルタナだかのバンドであるフェルト(Felt)が86年にリリースした5thアルバム「ヘビの頭をくねらせろ(Let the Snakes Crinkle Their Heads to Death)」は全曲インストでトータルで20分にも満たないという、サクサクっと聴けるアルバムだ。 残念ながらこのアルバムタイトルは既に消滅しており、18年にリマスター&リイシューした際に当初予定されていたタイトル「セヴンティース・センチュリー(The Seventeenth Century)」に改題したのだそうな。改題に伴い当然邦題も消滅してしまった。せめて曲名の邦題だけは生き残っていてほしいが…どうなっているのだろう? 「ヘビの頭をくねらせろ」リリース時のメンバーはvo&gのローレンス(Lawrence)、keyのマーティン・ダフィ(Martin Duffy)、bのマルコ・トーマス(Marco Thomas)、dsのゲイリー・エンジ(Gary Ainge)。…すみません、全く知らなくて。 フェルトは79年に結成し、89年に解散。バンドのソングライターでフロントマンのローレンスは10年間で10枚のシングルと10枚のアルバムをリリースすることがずっと自分の意図だったと宣言し、それを達成した上でフェルトの解散を発表したとのこと。 Wikiさんを見てみると、フェルトのアルバムは「ヘビの頭をくねらせろ」以外にも何作か邦題が消えているようで、86年リリースの6th「微睡みの果てに(Forever Breathes the Lonely Word)」が「フォーエヴァー・ブリーズ・ザ・ロンリー・ワード」に、続く87年リリースの7th「川の詩(Poem of the River)」が「ポエム・オブ・ザ・リヴァー」、88年リリースの9th「街を越えて列車は走る(Train Above the City)」が「トレイン・アバヴ・ザ・シティ」になっているらしい。ええっ、何でなん!? どれもいい邦題なのに勿体ない。 前述のとおり、このアルバムの収録曲は全て短いインスト曲で、最も長い曲が “バイキング装束(Viking Dress)” で2分50秒、最短曲の “宝石の夜空(Jewel Sky)” は1分ほどしかない。まぁ良くも悪くも飽きずに聴ける、というか短すぎてながら聴きには若干不向きかな。気付いたらアルバムを聴き終えているので、集中力が必要かも。 インストアルバムは苦手な方だが、このアルバムは割と聴きやすかった。マーティン・ダフィのオルガンが耳に心地よく、フェルトの他のアルバムも聴いてみたくなった。 そんなフェルトに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 全曲サクサクっと聴いてみてくだされ。 ヘビの頭をくねらせろ(Full Album)
2025.02.08
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『地獄に堕ちた野郎ども』 ダムド 「Damned Damned Damned」 The Damned (77) ~セックス・ピストルズなにするものぞ!“悪(ワル)” の権化ダムド遂に日本上陸!!(スティッフ・レコード第1弾)「現在最もホットなグループ」~メロディー・メイカー誌A面 1. ニート・ニート・ニート - Neat Neat Neat 2. ファン・クラブ - Fan Club 3. アイ・フォール - I Fall 4. ボーン・トゥ・キル - Born to Kill 5. スタッブ・ユア・バック - Stab Yor Back 6. フィール・ザ・ペイン - Feel the PainB面 1. ニュー・ローズ - New Rose 2. フィッシュ - Fish 3. シー・ハー・トゥナイト - See Her Tonite 4. ワン・オブ・ザ・ツー - 1 of the 2 5. ソー・メスト・アップ - So Messed Up 6. アイ・フィール・オールライト - I Feel Alright 先日セックス・ピストルズ(Sex Pistols)の「勝手にしやがれ!!(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)」を取り上げたからには、このアルバムも出さないわけにはいかないだろう。セックス・ピストルズと並ぶロンドン・パンクの雄といわれたダムド(The Damned)が77年にリリースしたデビューアルバム「地獄に堕ちた野郎ども(Damned Damned Damned)」だ。 こんなに素晴らしいアルバム邦題なのに何故今までスルーしていたのかというと、曲名が全てカタカナタイトルで一つも邦題が付いていないからで、日本で今一つ馴染みが薄い(と思っているのは私だけ?)のも、やはり親しみやすい邦題曲がなかったからかもしれない。 ダムドのデビューシングル “ニュー・ローズ(New Rose)” はピストルズ1stシングル “アナーキー・イン・ザ・U.K.(Anarchy in the U.K.)” より5週間早い76年10月に発売されたため英国初のパンク・バンドによるシングルリリースとなり、この「地獄に堕ちた野郎ども」も「勝手にしやがれ!!」より8ヶ月早い77年2月(※)発売ということで英国初のパンク・バンドによるスタジオアルバムとなった。レコーディング期間はたったの10日間だったとか。(※訂正 3/9にザ・クラッシュ(The Clash)の記事を書くにあたり何気なく見返していて間違い発見!ダムドの1stアルバムは78年2月ではなく、77年2月18日のリリースです。すみません) あ、2ndシングル “ニート・ニート・ニート(Neat Neat Neat)” は何故か “嵐のロックン・ロール” という邦題付きでリリースされたんだっけ。 ダムドのオリジナルメンバーは、voのデイヴ・ヴァニアン(Dave Vanian)、gのブライアン・ジェイムス(Brian James)、bのキャプテン・センシブル(Captain Sensible)にdsのラット・スキャビーズ(Rat Scabies)の4人。 ブライアンを除く3人はMasters of the Backsideというバンドのメンバーだったが、このバンドを結成したのは後にセックス・ピストルズのマネージャーとなったマルコム・マクラーレン(Malcolm McLaren)で、当初のギタリストは後にプリテンダーズ( The Pretenders)を結成して成功を収めるクリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)であった。クリッシーはマルコムとヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)が経営するブティック「SEX」に勤めていたそうな。 London SSのドラマーオーディションに落ちたラットはメンバーだったブライアンと知り合い、新たなバンドを結成することに。その際に行われたヴォーカルオーディションには後にセックス・ピストルズに加入するシド・ヴィシャス(Sid Vicious)とデイヴ・ヴァニアンを招待したものの、シドが現れなかったためデイヴが加入したとのこと。 ダムドは76年のデビュー以来現在に至る息の長いバンドである。メンバーは流動的であるが唯一デイヴだけは結成以来ずっと在籍しており、オリジナルメンバーの残り3人は出たり入ったりしながらもブライアンを除く2人は現在も在籍中のようだ。カルチャー・クラブ(Culture Club)の元dsであるジョン・モス(Jon Moss)も一時メンバーであった。 15年にはウェス・オーショスキー(Wes Orshoski)監督よるバンドのドキュメンタリー映画「地獄に堕ちた野郎ども(The Damned: Don't You Wish That We Were Dead)」が公開された。 さて、アルバム邦題に話を戻すが「地獄に堕ちた野郎ども」という邦題はダムド繋がりということで、69年公開の伊・西独・瑞(スイス)合作映画「地獄に堕ちた勇者ども(The Damned (Götterdämmerung))」に由来しているのだとか。 いつぞやグランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad)の「ハード・ロック野郎(世界の女は御用心)(All the Girls in the World Beware!!!)」やTattooの「刺青 ~神秘のロック野郎~(Tattoo)」を取り上げた時にも書いたが、“野郎” という言葉にはどことなく昭和の香りがして好きだ。 肝心の音楽にしても粗削りで攻撃的、圧倒的なスピード感が結構好みのアルバムである。全英チャートでは34位止まりだったけど、個人的にはこの頃のロンドン・パンク・バンドの中では一押しだ。このアルバムには収録されていないが、1stシングル “ニュー・ローズ” のB面はビートルズ(The Beatles)の “Help” のカヴァーで、これまたダムドっぽい荒々しさが好ましい。 そんなダムドに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ニュー・ローズ ニート・ニート・ニート シー・ハー・トゥナイト
2025.02.02
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