マスP文庫
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1
尾張の国の大うつけと鼻つまみの若者が、深呼吸をしたとき吸い込んだ苦いような熱いような空気を吸い込んだ途端、彼の目つきが急に険しくなったそのころ、 げ~っぷげ~っぷげ~っぷ とデブリンバトの能天気を吸い取ることによって、自らの体に宿る怒りや悪意を中和していたタンキ―は、今やカナイドを飛び出しデブリンバトの能天気を得ることが出来ず、体に充満したその気を立て続けに吐き続けていた。 げっぷは空を漂い、今度は今の静岡県辺りにやって来た。 「そーれっ、それそれ、ほいほいほーい!!あーっ、愉快じゃ愉快じゃ。」武士でありながら、和歌や蹴鞠に興ずる貴族趣味の男は、どっかと屋敷の縁に腰を下ろして、眩しい太陽を見上げて大きく息を吸い込んだ。 「うんっ?」その途彼は顔をしかめた。 その途端急に彼はわめき始めた。「予は京へ行くぞ。上洛して天子様にお目通りして天下を我が手におさめるのじゃ。兵を集めよ、戦の支度じゃあ!!」 「この馬鹿者が!!折角手に入れた城をやすやす返してしまうとは。」富士の麓に領国を持ち清和源氏の流れを持つ当主の男は先ほどから長男を怒鳴りつけていた。その息子、何をしたかというと、 城攻めにてこずった挙句、兵を一旦引いたのだが、この息子だけが数人の手下とともに引き返して、安心して敵兵たちが我が家に引き上げた後の城を乗っ取ってしまったのだ。しかし、彼は自分の考えが正しかった満足して早々と城を捨てて父の父のもとへと駆け戻ったのだ。父の剣幕に首を垂れながら、畳に額を押し付けニヤニヤ笑っていた。その時、「うんっ?」その時吸い込んだ苦い空気がもとでやがて彼は、父を同盟国に追放してしまい自ら当主となり、当時最強と言われた軍隊を率いることになった。 「うんっ?」「うんっ?」「うんっ?」 新潟の毘沙門天の化身と言われた若き領主も、急に京を目指して世を治めると言い始めた。 その京でも将軍に従うある国の大名が、突如将軍を暗殺してしまった。 タンキ―のげっぷはさらに遠く西国までやって来た。そこである大大名が三人の息子に一人ずつ一本の矢をそれぞれ折らせた。息子たちはいともたやすく折ったが、三本の矢ともなると四苦八苦し始めた。 「うんっ?」 その老齢の父親は顔をしかめながら息子たちに告げた。「三本の矢は一人では折ることが出来ないが、そなたたちが力を合わせれば折ることもできる。力を合わせて九州を一統し、畿内を攻め、坂東を落とし、奥州へ兵を進め日ノ本を手中に収めるのじゃ!」
2023.02.19
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