漫望のなんでもかんでも

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まろ0301

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2005.05.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 北条というところに、「富久錦酒造」というところがあり、そこが経営している酒店・ギャラリー・お食事処が、「富久蔵」。

 駐車場の向こうに鯉幟が翻っている。車に積んでいるジョー・スタッフォードのCDの「煙が目にしみる」を聞きながら鯉幟を眺めると、なぜかフィットする。不思議だ。
 いろんな花が咲いている。ほとんど名前が分からない。

 ここ半年間、晴れた日の散歩を日課にして以来、花の名前はだいぶ憶えたと思うが、季節は春から初夏に向いつつあり、この時期の花の名前はまだインプットされていない。

 ある詩人が、「路傍の名もない花も・・」と歌ったところ、「名のない花はない」とたしなめた人がいた、牧野富太郎という植物学者で、『原色牧野植物大図鑑』の著者。それはそうだ。

 「名前はあるけれど私がまだ知らない多くの花」を横目で見つつ、店内に入る。連休三日目、沢山の人で盛況を呈している。二階のお店は満員ということで、しばらくギャラリーを散策。

 陶器展をやっている。どうしても、抹茶茶碗に目がいく。
 いいなと思うものはあるが、「女房を質においても・・」とまで思うものはない。こういう場合は買わないようにしている。質においたらすぐに流れそうだし・・。
 結局、湯のみ茶碗を買った。


 座布団に座って、机に向かい待っていると、お茶が来て、注文。季節のものを注文する。全員酒が飲めないのでほうじ茶を何回もお代わりする。

 「まず何もつけないで召上ってください」と言われた豆腐が甘くて美味しい。結局、醤油をたらさずにそのまま食べる。蕎麦でも、ツユをつけずに食べると、良い店のものはそれだけで食べられる。

 タケノコと山菜の掻き揚げ、和風ローストビーフ、豆腐御膳、季節の御膳。みんなニコニコしながら食べる。

 人間は、美味しいものを食べなければならない。そのために働いているんじゃないか。季節のもの、旬のものを味わって、作ってくれた人の工夫を感じ、楽しみ、本当に「いただきました、ありがとうございました」と、手を合わせる。

 私は神も仏も信じた事のない罰当たりだが、美味しいものと、それをさらに美味しくしてくれる人への感謝はかかさない。


 少し離れたところにある、「加西フラワーセンター」に行く。

 花、花、花・・。

 広い敷地に様々な花が咲き誇っている。花を観て、「ああ、こういう名前か」と思うのだが、二三歩歩いたらすでに記憶から飛んでいる。その時には、次の「ああ、こういう名前か」が待っているのだから。



 牡丹がある、芍薬がある。

 まてよ・・。そういえば。「立てば芍薬、座れば牡丹、あるく姿は百合の花」というのがあったな。
 ついでに、「立てばビヤ樽、座れば火鉢、歩く姿はドラム缶」というのもあったな。パロディのほうにインパクトがある。

 広い敷地の真ん中にある池に沿って花を観て歩く。八重桜も散り、その花びらの上を歩くという贅沢。

 チューリップは、花の季節が終わったものと、これからのものとが混在している。それにしても、なんと多くの種類があることか!

 オランダを中心にしてチューリップの交配が進み、新種の球根には莫大な値がついた時代があった。<チューリップ・バブル>という奴か。

 「山野草のコーナー」にあった「チューリップの原種」なるものは、小振りなひっそりとした黄色い花を咲かせていた。それが、今では・・。「人間の努力と工夫」が眼に見えるかたちで咲いている。

 小振りの可愛い花を観ていると、ここにお姫様がいてもおかしくはない。

 ☆姫様は今日もお出かけ花の揺れ

 温室の中には、珍しい花が一杯。食虫植物に始まって、まるで花とは思えないような蘭のコーナーまで。


 黒羽清隆という優れた日本史の教師、研究者の本を読んでいたら、以下のようなエピソードがあったことを思い出す。

 黒羽さんは、秀吉が利休の茶室を訪ねるところを授業で扱った。

 秀吉が歩んだ道の両脇に咲いていた色とりどりの朝顔はすべて切られていた。なんという事をするのか・・と怒りを含んで利休の茶室に足を踏み入れた秀吉を迎えたのは、花入れの中に一輪だけいけられた朝顔の花だった。 
 名場面だ。

 授業が終わったとき、一人の女生徒がやってきて言った。「先生のおっしゃった事には間違いがあります。」
 黒羽さんはドキッとしながら訊ねた。「それはどこですか?」

 女生徒は答えた。
 「私は朝顔が好きで、いろんな本を読んでいますが、日本に輸入された時の朝顔は、青一色だったそうです。だから、先生のおっしゃった『色とりどりの朝顔』というのは間違いだと思うのです。」

 このエピソードを記す黒羽さんの筆致は、軽く、嬉しそうだ。教師冥利に尽きる話だ。

 朝顔の交配と新種の創造が爆発的に進行するのは、江戸時代だ。江戸という時代の不幸は、この体制を打倒した明治という時代によって、クソミソに罵られたことにある。
 現在、江戸時代についての見直しが進んでいるのは誠に喜ばしい事だ。

 二百数十年間戦争もせず、朝顔の交配に憂き身をやつしていたような事も、江戸時代の一つの面だ。






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Last updated  2005.05.06 00:14:11
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まろ0301 @ Re[1]:騙す、騙される(11/21) 象さん123さんへ まことにおっしゃる…
象さん123 @ Re:騙す、騙される(11/21) 斎藤知事の件では私も驚きました。 民主主…
まろ0301@ ウクライナの運命 当初は、ロシアとの共生を模索していたゼ…
まろ0301 @ Re:立花孝志という男(11/07) 尼崎の前市長が優勢のようですが,斎藤元…
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