古本屋で二冊本を買った。一冊は『李陵・山月記』、他に「名人伝」と「弟子」が収録されている。新潮文庫。価格は 246 円だった。
「山月記」については何回か触れたように、高校時代の旺文社模試で問題文として出題された文章を見て、放課後書店に行って購入した。
「隴西の李徴は博学才頴、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、」という書き出しの文章からまず引き込まれた。
最近腰を痛めてから寝る間際に朗読を聞くことにしているのだが、何度も聞いたのは『山月記』である。江守徹氏の朗読はすばらしいのだが、同時に出てくる文章の変換が無茶苦茶で、興の削がれること著しい。明石からの引っ越しに際して多数の本を置いてきてそのまま処分してもらったのだが、『山月記』まで処分するという結果となった。短時間のうちに選ばねばならないという事情が幸い (?)
して、一々選んでいたら収拾がつかなくなっていたところだった。
もう一冊は、『蕪村俳句集』尾形仂校注 岩波文庫 価格は 473 円。
俳句と言えば芭蕉だろうし、私もそう思う。特に『奥の細道』は角川文庫で何度も繰り返し読んだ。
ただ、私の中の蕪村は、「愁ひつつ岡にのぼれば花いばら」とともにある。五・七・五の定型の中に、なんと多くの事が詠み込まれていることか。
そして歴史を教えるに際して蕪村の句を何度か使わせてもらったこともある。
「鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉」
「易水にねぶか流るる寒かな」
この二冊、ぼちぼち読んでいきたい。
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