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「ピクシス司令。総統を失った今、我々を束ね統率することができるのは、あなただけです。何か今後の展望はございますか?」
「うむ。これはもう、わしらの負けじゃ。エレンに降参しよう。兵団内部に敵を抱えといてはどうにもならんが、仮に徹底して敵をあぶり出すにしても、どれだけの血が流れることか。そんな愚行に費やす時間はどこにもない。多くの兵に兵団を見限る決断をさせた...我々の敗因はこれに尽きる」
「そんな。総統らを殺した連中に頭を下げるおつもりですか?」
「ザックレーとの付き合いは長い。革命に生き革命に敗れるなら、やつも本望じゃろう。何より、4名の死者はその弔いの代償にエルディア国の崩壊を望んではいないだろう」
「それではイェーガー兄弟に服従するおつもりですか?」
「服従ではない。イェーガー派にジークの居場所を教えることを条件に交渉を図る。我々は従来通り地鳴らしの実験を見守り、これにエルディアの存続を委ねる」
「但し、我々の親玉を殺された件を、ここに不問とする。これで数百人、数千人の同志が殺し合わずに済むのなら...安かろう」
「それでは各員、取り掛かれ」
「了解」
「指令殿」
「たいへん見苦しいものをお見せしましたのう」
「いいえ。どの国も通った道です」
「あなた方の安全も絶対とは言えませんな。どうか事態の収拾まで港でお過ごしくだされ」
「はい。私どももエルディア国の勝利を心より願っております」
「ミカサ様。何かありましたら、すぐに私どもの船までお逃げください」
「キヨミ様のお心遣い感謝いたします。しかしながら私はエルディア人ですので生まれ育ったこの島の行く末を見守りたいと思います。どうか私のことはお気になさらずに」
「何をおっしゃいますか。私どもがここに来たのは、あなた様のために...」
「地下資源がなくてもですか? この国の主導権を握るのが誰であろうと地鳴らしさえ成功すれば、というお立場ですよね」
「ええ。地鳴らしの力が本物でなければヒィズル本国からははしごを外されることでしょう。これまでの交渉は水泡と帰しアズマビト家は最後を迎えましょう」
「でしたら、なおさら頼るわけにはいきません」
「激動の時代の中でアズマビト家は変じてきました。今や金勘定にあさましい女狐の汚名がとどろく始末と成り果てました。ただ、ミカサ様の母君が残された一族の誇りまで失ったわけではございません。この国がどうなろうと、あなた様だけはお守りいたします」
「まさか総統を殺したエレンに協力するなんてな」
「まだエレンがやったと決まったわけじゃない」
「声が大きいぞミカサ。俺たちはイェーガー派じゃねえのかって疑われてんだぞ」
「実際どうなんだよミカサ。おまえは?」
「私とアルミンはあの爆発に巻き込まれるところだったと言った。これでもわからないのか」
「はあ?」
「やめるんだ...」
「ピクシス司令の言う通り兵団内での争いは自滅でしかない」
「ではすべてはエレンとジークに委ねることに問題はないとお考えですか?」
「いいや。それはよくない。この状況を踏まえた上でジークやイェレナによって仕掛けられた保険が効果を発揮してきている。そして保険は他にもまだあると考えるべきだ。私たちはこれ以上無様に翻弄される前にジークの思惑を明らかにしよう。もちろん私の早とちりならそれでいいんだけど」
「何かあてがあるんですか?」
「彼女が守ったマーレ人捕虜の労働環境が怪しい...」
「例えば、レストランとか...」
「すごい建物」
「こんなとこ初めてだ...」
「よかったなあ、お前たち」
「今日は、うんと食うときなさいよ」
「チッ。兵団のやつら騒々しいな」
★次回 「森の子ら」
猿の惑星/キングダム 2024.05.22
ゴーストバスターズ フローズン・サマー 2024.04.09
デューン 砂の惑星 PART2 2024.03.27