越中屋*四十五右衛門*商店
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きょう、夏立ちぬ。 とういうことで、「秋立ちぬ」をここ2週間集中研究しております。 前の日記を書いてから、さらにロケーションに注意して観返してます。 そうしてその裏テーマらしきものが見えてきました。 「新しい東京」「失われゆく東京」 子供たちの未来と、若者たちのための「新しい季節」です。 再度築地川のロケをこの時期に決意したのは、数年後に埋め立てられ川面が消えることが決まっていたからでしょう。水面に向かって「大人なんて大嫌い」と子供たちに言わせます。 それから、首都高に先駆けて出来たハイウェイ「東京高速」を深夜に走り、海に向かって東へ広がる「新しい土地」であるところの埋立地を、晴海~豊洲~東雲~有明と、新しいほう、新しいほうへ歩かせます。 ここは、東京の大人でさえも目新しい未開の場所、「夢の島」でした。 (一般的な地名としてのいわゆる夢の島は現在の新木場駅周辺だけのようですが) 成瀬はまた「やがてここにビルやアパートは建つのよ」と順子ちゃんに言わせます。 この映画を観た何人が、ここに何万人が通勤する副都心ができることを想像したでしょう。 そして成瀬は、背景に東京タワーを配します。 銀座では見せることができないタワーのてっぺんから足元までを、主人公の背景にシンボリックに見せられるのは、ここだけだったんですね。 「新しい東京」を、観光ガイドや絵はがき的にではなく見事に描いてます。 同年の小津の「秋日和」にも東京タワーが映ってます。 前年の「お早よう」ではテレビ誕生を映してます。全国区となった、興行成績でも国民的映画監督なら、こうした時事ネタも広く東京以外の観衆にも見せていかなければいけませんね。 ステレオタイプの東京の風景。 成瀬作品は、ほとんど観てませんが、東京人にしか分からない「東京ローカル」の"東京シネマ"の職人だったのかな、と気づきました。 小津の「東京物語」も、実際は尾道から東京観光に出て来た夫婦の物語ですし、その他の作品にも東京都外の場面が重要シーンとして織り込まれています。 「秋立ちぬ」は、いちばん離れて多摩川です。たぶん川崎側には出てないような気がします。じつに東京ローカルの映画なんです。地方の人にはぼんやり分かりゃいい。 これまで、東京物語的、東京を描いた映画を多く取り上げてきましたが、東京人のための「東京映画」。これから成瀬を重点的に観て行きたいですね。
2010年05月06日
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