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December 5, 2022
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カテゴリ: 音楽

BUOYANCY [ キリンジ ]


大学生の頃からファーストアルバムを聴き続けてきた20年来のキリンジフリークです。

元々堀込兄弟二人のユニットだったのですが、10年前の解散し、兄の堀江高樹氏が景初する形で、「KIRINJI」として5人組バンドで再編成。

結構長く活動し、名作もありましたが、メンバーのコトリンゴさん脱退後程なくして、そのバンドも解散。

現在は堀込兄単体の別名義として活動を続けています。

単体でもそこはやっぱり、あの元祖キリンジを創造したお兄ちゃん。

今もキリンジ色は健在で、YouTubeに新曲がアップされるや否や、すぐに視聴してしまいます。

そんなキリンジでも一時期聞かなくなった時があります。

キリンジとの因縁は以下の通りです。




は、最初にして既に完成されたアルバムでした。



むしろ1st以降は、完成されたキリンジをいかに進化させるか、あるいは、あえてキリンジ色をどこまで抜いて名曲をつくるかの戦いではなかったでしょうか。

キリンジの歴史は、現状維持ではなく、引いたり足したり掛けたり割ったり、こねくり回しの末に、よりキリンジ色の強度を高めていく、その作曲の遍歴だった気がします。

続く2ndアルパム「4745」は、その改造キリンジ第一号で、前作よりその変態性がアップ。

キャッチーさよりもキリンジの音楽性をより追求した実験作、習作にも思え、ファンを選びます。

そうした徹底的自己鍛錬を経て、サードアルバム「3」が発表されます。

一皮剥いた、新生キリンジの誕生です。

表向き1stのキリンジと変わりませんが、中身の奥行きや幅、つまり作曲編曲技術が段違いで、まだまだ良作を生産できる、そのほんの始まりにすぎないことを予感させます。

収録曲「エイリアンズ」はキリンジの代表曲であると同時に、キリンジの高度な能力を証明しました。

どこか荒井由美から松任谷由実へとオーバーブリッジしていく過程を想起させます。

こうして歴史的名盤となった「3」を経て、キリンジの能力爆発の大傑作、4枚目アルバム「fine」が発表。

ただし続く5枚目アルバム「for beautiful human life」は少し暗めで、今までの勢いが減速した印象です。

模索の時期に入ったのでしょうか。

以降しばらく、
単体活動や他のアーティストへの作曲提供、ミニアルバム発売などが続きます。



2年後、こうして発表されたアルバムは、キリンジでなく、堀込高樹氏個人名義「ホームグラウンド」でした。

個人名義作品ですが、これまで培った技術を最高点にまで応用した、キリンジのもうひとつの到達点と言えます。

はっぴいえんどの大瀧詠一的活躍イメージです。

堀込弟のヤスも「馬の骨」名義でカントリー調のアルバムを発表。

兄弟それぞれの趣向がより明確になり、普通は分解していきそうなところ、そうはならないのがキリンジ。



結果、「3」以降の全部の能力を見事に結実した、画期的名盤です。




ちなみにですが、キリンジが発表する曲は、毎回ファンの想像の斜め上を行きます。

なんとなくキリンジっぽさはわかるのですが、うまく特徴を説明ができない、他のアーティストに例えたり、ジャンルで説明するのも憚れる、聴いてもらうしかない、そんな鵺のような曲ばかりです。

にもかかわらず、聞けばやっぱりキリンジらしい、キリンジにしかできないとファンはその唯一無二性に感嘆し、ベビロテ。

近作「killer tune killer me」と「時間がない」は,何度聴いたか。

そして誰かこんな名曲思いつくの。

毎回味わうこのアップデート感が、今でも絶えないキリンジの中毒性かもしれません。


話を戻します。


待望の「ドデカゴン」は、このように紆余曲折を経て発表された傑作でした。

当然次回作もアップデートを楽しみに待つことになります。



ところがです。



約2年後に発表されたと7枚目アルバム「7」ですが、これがどうもしっくり来ない。

このキリンジは新しいのか、進化したのか、良い曲なのか、私が気づいてないのか、正直評価が難しかったです。

このピンとこない時点で、キリンジの中毒性が萎えてしまい、他のアーティストへの関心が移行していく変遷もあり、以降 キリンジへの関心自体薄れていきます。

「7」のキリンジは、何かが物足りないのです。

実は同じような感覚は、5枚目アルバムの時にも感じていました。

収録曲単体には名曲があるんですが、アルバムとしてとこがちぐはぐで、せっかくの名曲のつい力が、他の曲に相殺されてしまい、アルバム全体の力を失っている、そんな感じです。

つまり足りないものとは、パワーです。

生命力、いや、気持ちよさと言ってもいいでしょうか、感覚的ですが重要な要素です。

キリンジからいつも元気をもらっていた私としては、勝手ながら、そのパワーダウンの様子に敏感です。

どこか小慣れたテクニックに走り過ぎた感も否めず、正直好きな曲も減っていました。

他のアーティストもそうですが、新曲が「何か違う」と思ったとたんしばらく距離を置く癖があります。

おそらく期待はずれの代償だったり、もっと良いものを求めたい消費者的心理なのでしょう。

それとも悲しいかな、浮気症なんでしょうか。

こうしてキリンジから距離を置き、気づけばキリンジは解散し、私の知らないKIRINJIへと再編成されていました。



時は一気に流れます。



再編成されたKIRINJ Iの曲を初めて聴いたのは、何とYouTubeでした。

昔のキリンジ曲はまだ聴いていたので、おすすめにアップされるわけです。

そこまで興味なかったのですが、聴くと止まりません。

あれ⁈いいじゃん!

ジーッと聞き入っていました。

曲名は「進水式」。

久しぶりに聴くKIRINJ Iの新曲、かつ、私の好きな元気の出る、あのキリンジの曲です。

「進水式」は新しいKIRINJ Iの船出を祝う祝福の歌と思いきや、出たら戻れないある種死を覚悟したキリンジらしい一曲なのでした。

なるほど、パワーがあります。

おー!キリンジらしさ健在‼︎

こうして私の中で徐々に第二次キリンジブームが,高まっていきました。

最近まで発表された曲を辿ると、まさにキリンジらしい、というより、「3」や「ドデカゴン」の系譜といえる技量で積み上げられた高度な曲ばかりです。

弟のヤスは不在ですが、兄の継承により、あの独特な超絶変態的パワーがあります。

「恋の気配」、「the great journey」、「明日こそは」、「時間がない」、「almond eye」、「killer tune killer me」、「再会」などなどベビロテ曲大量生産です。

こうなるともう一度、解散前のまだ未聴のキリンジ曲も聴いてみたくなります。


そうして購入したアルバムが、「7」の後発表された8枚目である本アルバム、「BUOYANCY」です。



結論、ハズレなしの傑作揃いでベビロテ名盤でした。

私的にいえば、「3」、「ドデカゴン」に続く正統な系譜に位置付けられる、まさに、ザ・キリンジの作品です。

時期的には「7」から2年後に発表されています。

この2年間に何があったのかわかりません。 

失われたパワーを再構築したのかもです。

私の好きなキリンジは一度復活していたのでした。


しかしながら、9作目、10作目では明らかにキリンジらしさよりも、個別の趣向が全面に出て、キリンジとしてフルパワーがないのは明らかです。

「3」や「fine」の煌びやかさや狂ったようにぶつけてき超絶技巧よりも、個々が素直にやりたいことをやったアルバムとなっています。

ゆえに、私にとって「BUOYANCY」は、キリンジ最後の作品の位置付けです。

個別の趣向で離れつつあったキリンジを一瞬まとめ上げ、光り輝いて散った、奇跡のような作品に思えます。

ところで今年上がった動画に、弟ヤス「エイリアンズ」弾き語りがありました。

ソロ活動中おかしかった喉が、見事復活し、超絶ファルセットで堂々と歌い上げていました。

再結成しないですかね〜。

今度は一生ついて行きますんで。😄





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Last updated  December 5, 2022 09:00:09 AM
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