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アズ
「お嬢様、旦那様からの確認が取れました。
どうやら旦那様と田所さん (フロゥの父の秘書)
がニューヨークに出張している事もあって、雅璃沙 (ありさ)
様が西園寺家に訪問されるスケジュールの伝達ミスがあちらであったようです。」
フロゥ
「・・・という事は、貴方が今説明してくれた話の通りって訳なのね?
それにしても、つい先日お母様が火事で亡くなって、財産分与の整理の折に貴方が産まれる前に亡くなったお父様が西園寺家の分家の者だという可能性が出て来たのでその事実確認をする間、他に身寄りの無い貴方をこの家に住まわせる事になっただなんて・・・・まるでこの前までやっていたTVドラマみたいね。」
アズ
「お嬢様!」
フロゥ
「 !
・・・・ごめんなさい」
雅璃沙
「あ、いいの、気にしてないから。
ハッキリ言ってあの人 (母)
は母親として良くない人だったから・・・・・
小さな頃からお酒の臭いをいつもさせていて、新しい彼氏が出来る度にほんの少しの食費だけを置いて私の事を何日も放りっぱなしで家に帰って来ないなんて当たり前だったし、その事で児童相談所から訪問員が訪ねて来るのはしょっちゅうだったしね。
それが原因でずっと施設に預けられたり家に戻ったりの繰り返しだったから・・・・だから自分でもおかしいと思うんだけれども、殆ど一緒に居た覚えが無かったからあまり悲しいとかそういう感情が湧いてこないのよね。
それよりも、そんな自分がいきなり西園寺家の人間かもしれないって事でこんな夢みたいな所でお世話になれるなんてそっちの方の驚きが大きいわ。
こんな大きなお屋敷の中に大きな温室を構えて、おまけに本物の執事さんも居るお屋敷が現実にあるだなんて・・・・まるで『レイちゃんの執事さん』みたい!
・・・・ねぇねぇ、小川を渡る時はやっぱり執事さんがお嬢様をお姫様抱っこして渡るの?」
フロゥ
「そんな事する訳ないじゃない
・・・・って、貴方もあのマンガからのドラマ化学園ドラマを見ていたの?
お父様が私に一言も貴方の事を言ってくれなかったのはまだ釈然としないけれども、でも、とにかく貴方がそういう経緯でここに来た事は理解出来たわ。
それよりも、今1番気になるのは貴方がさっきから『アズ』って言っている男の人の事よ!その人はいったい誰なの?お兄さん?」
雅璃沙
「ううん。
・・・・アズは私と同じ様に施設に預けられていた男の子で、施設に出たり入ったりしている私を小さい頃から可愛がってくれていた幼馴染というか・・・・
あ、本当は『一輝』って言うんだけど、小さい時に私が一輝って発音出来なくって『あずあず』って言っていたからその慣れでアズって呼んでいるんだけど
アズは私が小さい頃からずっと私の事を本当の妹の様に可愛がってくれたの。
けど、ついこの間私に黙ったまま施設を出て行ってしまって行方が分からなくなってしまって・・・・・」
フロゥ
「フ~ン、それで顔がソックリなこの『あずみ (アズ)
』に抱きついてしまったと・・・・?
でも、本当にそんなに本気で見間違える程似てる人間って現実に居るのかな~?」
雅璃沙
「や・・・・!だ・・・だからそれは・・・・!
・・・・・・・・・本当にソックリだったから嬉しくって・・・・・つい・・・・・
ウソなんて言ってないもん!」
フロゥ
「でもねぇ・・・・・本気で人を間違える程似ている人間が居るだなんて、そんなマンガみたいな事って・・・・・・・しかも呼び名まで一緒なんでしょ?いくらなんでも・・・・・
ね!写真は?写真は無いの?」
アズ
口が裂けても言えない
雅璃沙
「う・・・ウソじゃないわよ!
写真は~・・・火事で全部燃えてしまったから・・・・・・」
フロゥ
「 !
あ・・・・・・そうだったわよね、ごめんなさい」
雅璃沙
「で・・・でもね!本当にこの人に似ているのよ?
・・・・本当に・・・・こうして改めて見ていても、見れば見る程ソックリ・・・・・で・・・・・・・」
アズ ! ドキ・・・・・
雅璃沙
「ねぇ?・・・・貴方・・・・本当に一輝じゃないの?本当は何か事情があって私に黙ってるとかじゃないの?
・・・・だって、こんなに似ている人間がそうそう世の中に居る訳ないもの・・・・・やっぱり本人なんじゃ・・・・?」
アズ
「え!?」
ジ~~~~
フロゥ
「ってちょっと!貴方アズの事を変な目で見ないでちょうだい!
アズは間違いなくこの屋敷に長年住んでいる『あずみ』って別の人間なの!
見間違える程ソックリな人間の例はここにリアルにあるじゃない!貴方だって私を見てビックリしてたでしょ?
さっきからおかしな事ばかり言わないでくれる!?」
アズ
(お嬢様、言っている事がついさっき言っていた事とマ逆です)
貴方と私!
雅璃沙
「 それは確かに・・・・・でも・・・」
フロゥ 「・・・・それに、貴方の事は本当にお気の毒だとは思うし、力になれれば良いとは思うけれども、さっきから貴方の話を聞いているけれどもあずみに顔がソックリだとか、呼び名が同じとか、話が出来過ぎというかなんと言うか・・・・・」
雅璃沙
「 !
そんな・・・・・・! 私、ウソなんて!」
ウル・・・
フロゥ
ビクッ
(う!)
アズ 「お嬢様、今の言い方は少しキツ過ぎますよ。」
フロゥ
「 !
・・・アズ・・・・そんな・・・・私は・・・・」
アズ
「そもそも、雅璃沙様は旦那様がきちんと調査なさった上でこの屋敷にお呼びした方ですよ?たった一人のお母様を亡くされ住む場所を失い、生活環境の違う場所で生活する事を余儀なくされたのですから雅璃沙様の不安なお気持ちを察して考えてあげて下さい。
いつもは穏やかでお優しいお嬢様なのに、今日はいったいどうなさったのですか?」
フロゥ
「・・・・アズ・・・・・・」
フロゥ
「~~~~~~~・・・・・・・・」