ロボトミーは、脳の前頭前野と深部をつなぐ神経線維を切断することで、精神症状を和らげようとした治療法でした。1930〜50年代、まだ抗精神病薬が存在しなかった時代には、重い統合失調症やうつ病に苦しむ患者を前に、医療者たちは「何とか助けたい」という思いでこの手術に希望を託しました。
考案者であるポルトガルの神経科医エガス・モニスは、1949年にノーベル賞を受賞します。当時は“奇跡の手術”と呼ばれ、欧米を中心に急速に広まりました。しかし、後になって明らかになったのは、深刻な代償でした。手術を受けた多くの患者が、感情の平板化、判断力の低下、社会性の喪失といった重い後遺症に苦しむことになったのです。
症状が「落ち着いたように見えた」のは、人格そのものが損なわれてしまった結果でした。日本でも一時期行われましたが、1970年代以降は倫理的問題が強く指摘され、精神外科は事実上姿を消しました。現在、ロボトミーは 非人道的な治療として完全に否定されており、現代医学では行われていません。
薬物療法、心理社会的支援、ECT(電気けいれん療法)など、精神医療は大きく進歩しました。ロボトミーの歴史は、医療が患者の尊厳を守りながら進歩していくために、決して忘れてはならない教訓を私たちに残しています。
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