ローマ帝国では、甘いワインを求めるあまり鉛入りのシロップが使われ、皇帝たちが慢性的な鉛中毒に陥り、狂気と少子化を招いたという説もあります。
中世になると、ワインは修道院の手に渡り、祈りと商売が混ざり合った独特の文化が生まれます。土を舐めて terroir を研究し、神聖さをまとわせながら高値で売る――そんな「信仰とビジネスの融合」が、現代の高級ワイン文化の基礎になりました。
そして現代。安全な水が手に入るにもかかわらず、ワインは、いま投資商品として人々を魅了し、狂わせています。古代の人々が鉛に酔い、ローマ皇帝が甘い毒に溺れたように、現代人はブランドと価格に酔っているのかもしれません。
ワインの歴史をたどることは、人間の「生きたい」「欲しい」「満たされたい」という終わりなき欲望の歴史をのぞき込むことです。
*テロワール(terroir)とは、フランス語で「土地」を意味するterre(テール)から派生した言葉で、ワイン、コーヒー、茶などの農作物の品質や味わいに影響を与える「生育地の環境要因」のことです。単なる「産地」ではなく、土壌、気候、地形、標高など、その土地特有の自然環境全体を指し、近年では人の技術的要素も含めて使われます。
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