まず驚かされるのは、発掘された頭蓋骨の多くに、不自然な破損が見られることです。かつては「仲間の脳を食べる食人儀式の痕跡ではないか」と考えられていました。
しかし現在では、当時この地域に生息していた巨大ハイエナ・パキクロクタが、脳を食べるために頭蓋骨を噛み砕いた可能性が高いとされています。化石には肉食獣の歯痕も残っており、50万年前の世界がいかに過酷なサバイバルだったかを物語っています。
もう一つの謎は、さらに現代史に近いところで起こりました。1920年代から発掘され、世界を熱狂させた北京原人の化石は、1941年の太平洋戦争開戦直前に忽然と姿を消します。アメリカへ避難させるため、二つの白いトランクに詰められて北京を出発したのが最後の記録です。その三日後、真珠湾攻撃が起こり、世界は戦争へ突入しました。混乱の中で荷物は没収されましたが、化石のトランクだけがどこにも見つからなかったのです。
戦後、日米中が総力を挙げて捜索しましたが、今日に至るまで本物の化石は一片たりとも発見されていません。沈没船に積まれて海底に沈んだ説、研究者が敵に渡すまいと地中に埋めた説、あるいは闇市場で粉にされ再び薬として消費されたという説まであります。どれも決定的な証拠はなく、謎は深まるばかりです。その行方は誰にも分かりません。
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