如安

如安

2012年09月11日
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夕ぐれが近ずくと、ひととき、この静かな天地を雀等の騒めきが包んだ。
病床の一日もこうして終え、萌しくる熱に堪えながら、過ぎ去った一日をふりかえるとき、私は言い知れぬ淋しさに包まれる。

この日が無駄であったとは考えられない。そしてこのような生活も、過ごしようによっては、どんなに尊いものかを、私は知っている。
しかし、すでに塒へ入った雀達の、あの幽かな含み声すらまったく消え、静寂が夜と昼とをかっきりと区別するひととき。

あぁ、このひと時は、私にはあまりにも淋しすぎる。
けれどもまた、このひと時は私に、この短い人生と、それにつながる永遠とを考えさせる時でもある。

そのとき、萎えた私の心にも、ぼっちりと明るくひとつの灯が点るのだ。
とこしえの生命を信ずる者のみが持つことのできるひとつの灯。
考えれば考えるほど尊い灯。
その小さな灯をかたく抱きしめ、何とかして消さぬように、消さぬようにと、努力している私ではあるが・・・。
=ENDE=
(朗読と音楽によるハンセン病レーゼドラマの上演をご希望の方には台本と音楽を提供します。ハンセン病は多くのことを語ると思います。)





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Last updated  2012年09月11日 18時31分53秒 コメントを書く


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