教会の典礼音楽では歌の助けとして楽器が使われる。
楽器は楽器の独自性を生かすのではなく、あくまでも歌の旋律をなぞる生かす伴奏となる。
歌は、その昔は女性の声を使わず、女声音域を変声期前の男子の声でおぎなった。聖堂で神の声を表現、神への賛美にはアカペラであるべきが基本だと。女声と楽器の音色は感受性が強く官能的でもあるので、そのために選ばれたのがオルガンで声部密集伴奏となる。人間の声に近く人声に溶け込むオルガンだけが選ばれた。管弦や打楽器ではあり得ない。けっしてオルガンのキャラクターを展開させる演奏はされなかった(歴史はオルガンに楽器のキャラクターを求めるようになったが)。
そのオルガンが電子オルガンに代わったのは、おそらく楽器メーカーの営業と演奏者の選択でしょう。演奏する人は、現実的にはオルガン専攻のオルガニストではなく、ピアノや声楽などのピアノ経験者が中心となる。オルガンとピアノとでは奏法が違うが、ピアノ感覚で弾ける電子オルガンを選ぶのはごく自然の流れとなったのが想像できる。
真摯な態度で音を求めると言う意識ではなく、とにかく弾きやすいようにゴマカシやすいように、自分の弾きやすい楽器を選ぶことになる。それに音色も素人耳にはオルガンの音色に聞こえるから。
オルガンと電子オルガンとでは表現力が違う。そして音源の志向性。これはとても大事なことなのですが。
これは神への賛美ではなく、自分の演奏の場であり自己満足の領域となる。
オルガニスト用ではないオルガン伴奏譜が出ると良いのですが。
PR
Freepage List
Calendar