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今日も初夏らしい陽気の良く晴れた1日でした。最高気温は26℃。夏日ではありましたが木陰に入ると涼しいですので、私は今日も図書館へ本を借りに行きました。今回借りたのは、江戸川乱歩原作の「堀越捜査一課長殿」。元小説家の銀行員が銀行強盗を計画しますが、警察の目を欺くトリックが凄いです。もう1つは、これも江戸川乱歩原作の「ふしぎな人」。少年探偵団シリーズの番外編のような内容です。近頃は学校図書館に置かれている少年探偵団シリーズ以外の話が読めるようになって興味深いです。
2024.05.25
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横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回は横溝正史の作品の感想を書きたいと思います。どちらかというと推理物というよりは冒険活劇っぽい内容が多く、どの話も手に汗握る展開で面白かったです。まぼろしの怪人神出鬼没で変装名人。まるで怪人二十面相を思わせる怪盗・まぼろしの怪人が現れます。この怪盗に立ち向かうのは、三津木俊助記者と探偵小僧・御子柴進くんですが、このまぼろしの怪人、とにかく人を食った奴でして、逃走するのにサンタクロースの服を奪ったり(寒い時に服を奪われたサンドイッチマンさんが可哀そう)、橋住小澄という御子柴進の字を並べ替えたような仮名を使ったり(これには御子柴くん、激怒します)、三津木記者の勤め先の新聞社を誹謗中傷するような文章を他の新聞社に送ったり、ホント癪に障る奴です。今回は、御子柴くんのうっかりが目立ちます。まぼろしの怪人の手下に騙されて、朗読の催眠で刑務所の看守を操る事に加担させられ、一度は逮捕したまぼろしの怪人を逃がしてしまいます。朗読の催眠は「白蠟仮面」の時に体験済みでしょうに・・・・・・(汗)。それとも、この話は全然別世界の事なのでしょうか?またまたイスラム系の殿下が来日したり、謎の美少年が出てきたり、思い込みによる復讐劇があったり色々な事が起きますが、さすがのまぼろしの怪人も最後には御用となります。(でも、本当に安心して良いのでしょうか?また替え玉だったりして)迷宮の扉三浦半島に建つ「竜神館」という2つのお屋敷。その屋敷の主人というのは、中学生ぐらいの双子の兄弟。2人のうちのどちらが父の莫大な遺産を相続するかを巡り親族の間で醜い争いが始まり、ついには殺人事件にまで発展してしまいます。事件の引き金は、双子の兄弟の父である当主の最愛の部下が殺された事から始まります。これから起きるであろう遺産相続を巡る殺人の序章とでも言わんばかりに彼が殺された事で、犯人をあぶりだす為に双子のうちのどちらかが死んだ時は生き残った方を相続人にする内容の遺言状を書きます(当主は自分が死んだ事にして身を隠していて、実は生きていました)。その結果、双子の兄弟はどちらも殺されてしまいますが、なぜ双子の父はこのような非情な遺言状を書いたかというと、2人の行く末が哀れと思ったからとの事。双子は誕生時は体がくっついた状態で生まれてきたので手術で切り離し、おまけに2人とも体はひ弱で知的障害もあるようです。普通の親なら例えどのような子が生まれてきても愛情をもって育てるでしょうが、この父親は職業軍人。お国の為に役立つ事ができない身の上は哀れというような考え方があるのかもしれません。そういう子だからこそ愛情を注いで育てるのが生き甲斐という親もいますけど、どちらが正しいのでしょうか・・・・・・。犯人は親族の者でしたが、莫大な財産というものは骨肉の争いの元。悲しいです。片耳の男運送船・北極星が嵐で沈没する際に逃げ延びた2人の船員。積んであった砂金を取り合いしていたが、生き残った1人は良心の呵責から、砂金の元の持ち主である北極星の船長の遺児である兄妹に金品を貢いでいました。更には自分の死期が近いので兄妹に砂金を譲ろうとしました。そこへ生きていたもう1人(片耳の男)が兄妹に魔手を伸ばしてきますが、主人公の文武両道の医学生により阻止されます。庭の7つの女神像を北斗七星に置き換えて北極星のある位置に砂金が埋めてあったというのが面白いです。(「迷宮の扉」収録)動かぬ時計母を知らない主人公の貧しい少女。その少女に毎年のように色々な贈り物が届くようになりますが、贈り主が誰なのかは不明(少女の父は何やら知っているようです)。ある年には、少女に高価な金時計が贈られます。少女はその高価な時計を大切にしていましたが、ある日突然、時計は動かなくなってしまいます。少女は故障を直そうと時計の裏蓋を外しますが、そこには見知らぬ女性の写真が入っていました。どうも彼女が少女に贈り物をしてくれている人のようなのですが、新聞の記事でその女性が交通事故で死亡した事が報じられていました。その日は時計が止まったのと同じ日でした・・・・・・。私が思うに、その女性は少女の母親だったのではないでしょうか。貧しい夫と別れて金持ちに嫁ぎ、毎年のように娘に贈り物をしていたのだと思います。(「迷宮の扉」収録)黄金の指紋「怪獣男爵」「大迷宮」に続く怪獣男爵登場の第3弾。今回は、怪獣男爵の子飼いの部下である小男さんの出番が多いです。莫大な財宝を狙う悪の一味の隠れ家に侵入して、そこに攫われていた財宝の受取人である少女を横取りして怪獣男爵に捧げます。少女が財宝の受取人である事を記す、少女の指紋が焼き付けられた黄金の燭台。この燭台をある青年から託された主人公の少年と金田一耕助が、怪獣男爵一味と財宝を狙う一味と三つ巴の戦いを繰り広げます。手に汗握る展開は面白いのですが、この財宝狙いの悪の一味、黄金の燭台もろとも青年の命を奪う為、灯台守を殺害して青年の乗る客船を座礁させるというテロ行為を働いたのが恐ろしです(殺された灯台守は、主人公の少年が慕っていた男性)。この為に数十人の犠牲者が出ましたが、こんな事に巻き込まれたのでは被害者も遺族も浮かばれませんよ。絶対に許せません!!(怒)最終的には悪の一味は滅び、財宝である少女の父の残した大量の宝石は黄金の燭台の中に隠されていました。少女はこの宝石を恵まれない人達の為に使う事を誓います。怪獣男爵と小男は例によって行方不明。どこかで生きているとは思うのですが、怪獣男爵のシリーズはここまでという事になります。迷路の花嫁この物語は推理小説というよりも、怪しげな心霊術師によって食い物にされた女性達を救う若き小説家の物語で、金田一さんは殆ど脇役です(というか目立たない)。この悪徳心霊術師、祈祷と称して女性の純潔を奪い、それを弱みとして女性達から大金を脅し取り、言うがままに支配していました。女性の尊厳を踏みにじり、彼女達の周りの人々まで巻き込み苦しめる極悪非道の大罪人。絶対に許せません!!(怒)主人公の小説家さん、心霊術師に苦しめられている女性の為に愛する人と縁結びしてあげたり、落ち着く先を用意してあげたり、最終的には女性達にけしからぬ振る舞いをしている写真のフィルムを処分して、すべての女性達を弱みから解放してあげます。女性達を恐喝する材料を全て無くした心霊術師、怒りのあまり小説家を襲撃して重傷を負わせますが、その報復に小説家を愛する女性から劇薬の洗礼を受けます(彼女は、その後自殺)。小説家は、彼を慕う多くの人達に看取られながら息を引き取ります。私としては彼を助けて欲しかったです。花の通り魔横溝先生の時代劇小説。歌舞伎役者くずれの遊び人・お役者文七というキャラクターが主人公です。人形佐七が岡っ引(警察官)なのに対して、お役者文七は遊び人(一般市民)の探偵なので、その分、自由がきいて親しみが持てます。お役者文七が夜釣りをしている時、古いつづらを引き上げてしまいますが、中に入っていたのは何と!!若い女性の無残な死体!!被害者の女性は、人気浮世絵師が描いた3人娘の1人。残りの2人も襲われますが、1人は殺され1人は助かります。最初の被害者の帯から偽小判が見つかった事で、事件は贋金作りに繋がっている事が判明し、お役者文七の活躍で贋金作りの一味は捕らえられます。茶店の少女が文七さんに協力してくれたのが微笑ましいです。今回は、ここまで。
2024.05.20
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日曜日は雨!!それでも返す本があったので私は図書館に向かい、また新しく本を借りました。今回借りたのは、寝屋川市立中央図書館で見つけた「聖女の首」。横溝正史の短編集で、あまり知られていない未読の作品が収録されています。大阪の色々な場所の図書館で面白そうな横溝・乱歩の本を見つけましたが、まだ後もう少し探すと思います。どの話も味わい深く、心に残る話が多いです。
2024.05.19
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夏日の中、私は図書館へ向かいました。今回借りたのは、池田市立図書館で見つけた「鬼火」。横溝正史の初期の作品集です。次は、泉南市立図書館で見つけた「刺青された男」。これも横溝正史の初期の作品集です。最後は、枚方市立蹉跎(さだ)図書館で見つけた「蜘蛛男」。表紙絵は違いますが、こちらの方には乱歩先生のもう1つの長編「盲獣」が収録されています。最高気温は27℃でしたが、木陰に入ると涼しい風が吹いてきました。図書館帰り、私は公園に立ち寄ってスズメ達にパン屑を献上しました。子育ての時期なので、スズメもムクドリもパン屑を咥えて巣に運んで行きました。雛達が元気に巣立って欲しいです。
2024.05.18
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江戸川乱歩の短編ドラマの動画を見つけました。NHKで放映されたドラマの数々ですが、これまで読んだ乱歩作品が映像になると新鮮に映ります(まだ未読の作品が1本収録されていますが、良しとします)。どうぞ、お楽しみ下さい。江戸川乱歩短編集1江戸川乱歩短編集2江戸川乱歩短編集3江戸川乱歩短編集(明智編1)江戸川乱歩短編集(明智編2)江戸川乱歩短編集(明智編3)
2024.05.17
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横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回も江戸川乱歩の感想を書きたいと思います。今回の作品群は、なかなか面白かったです。影男乱歩先生の作品の中でも一風変わった犯罪者・影男の物語です。頭脳明晰、スポーツ万能な彼は、遊び人、小説家、地主、若社長など、幾つもの顔と名前を持っていて、それらを全部使いこなしているから大したもの。天才なんでしょうね。地位の高い人々の弱みを握り大金を強請るような事をする反面、恵まれない少女の為に「あしながおじさん」になってあげたりもする憎めない一面も持っています。そんな影男に、殺人請負会社や秘密のパノラマ館(乱歩先生のパノラマ空間の中で最も女性の露出度が高い)の創設者が絡んできて、騙し騙され事態はややこしくなっていきます。後の方になってから明智探偵が登場し、パノラマ館で影男、殺人請負会社社長、パノラマ館創設者の3悪を一網打尽にしますが、その時の描写が私には頭がクラクラ。何と言っても、裸の女性が多数いるパノラマ館の中で、犯罪者も明智さんも警部さんも警官隊も全身真っ黒タイツ姿で駆けずり回るのですから・・・・・・(苦笑)。世間で正体がバレないように暗躍していた影男ですが、裏の世界で動くとなると、どうしても裏から裏へ話が伝わって深みに嵌っていく事になるのですよね。出所した暁には、真っ当な人生を歩んで欲しいです。覆面の舞踏者癖字で泣きを見る話。遊び人の友人に誘われて興味本位で秘密クラブに参加した主人公の男性。その秘密クラブで仮面舞踏会が催される事になりましたが、そこでとんでもない事態が起きてしまいます。秘密クラブの会長さん、ダンスの際のパートナーは各会員の奥さんが当たるように番号札を書いていたのですが、癖字の酷い人だった為「11」と「17」が紛らわしくなり、本来なら自分の奥さんが当たる筈だったのが友人の奥さんと当たってしまい(友人も番号札を読み間違えたらしく)、泥酔した勢いで何やら酷い事をしてしまったようです(これは友人も同様のようで)。乱歩先生も癖字で泣きを見た経験があるのでしょうか。ともかく、癖字は大きな間違いの元になりますから気を付けないといけませんね。自分も他人も。(「人でなしの恋」収録)モノグラム主人公の男性が、若い頃に思いを抱いていた女性の弟と知り合います。何やら、姉の形見の懐中鏡に主人公の男性の写真が入っていたらしく、彼はその女性も自分に思いを寄せていたものと思い喜ぶのですが、後にその懐中鏡は男性の現在の妻が修学旅行の際に盗まれた物と分かります。懐中鏡の中の男性の写真は妻が入れた物であり、男性が思いを寄せていた女性は盗癖のある泥坊娘だったというオチ。主人公の男性も美しい夢が壊れて失意を感じたと思いますが、その分、自分を本当に愛してくれている奥さんを愛してあげて欲しいです。(「人でなしの恋」収録)一人二役退屈していた主人公の男性が、別人に変装して妻の気を引こうとします。そうしたら、妻は本当にその相手(変装した夫)を愛し始めましたので、男性は自分の仮の姿に嫉妬心を抱くようにます。お終いには、男性は妻と離婚。変装した姿で妻と同棲するようになります。結局のところ、妻は夫の変装に気付いていて、男性は騙すつもりが反対に妻に騙されていたようです。面白い夫婦間の愛の確かめ合いでした。(「人でなしの恋」収録)(この話は、摂津市民図書館で見つけた「江戸川乱歩傑作選 獣」の中にも収録されています)偉大なる夢乱歩先生には珍しい軍事小説ですが、それでいて推理小説の要素もあります。戦時中に書かれた話だけあって、アメリカが徹底的に悪役になっています。それでも、アメリカでは日本に対して警戒する者がある中でも、上層部は日本を侮っているのは現実の世界のまま(この為に、アメリカは真珠湾攻撃で痛い目を見ます)。主人公はアメリカ人の血を引く青年で、明治維新から4代に渡るアメリカ側のスパイとして育ちますが、アメリカの無差別攻撃により母を亡くした事(アメリカ軍は日本国にいる同志まで殺害)、自分を愛する女性の献身的な思いによりアメリカを裏切り、仲間達を全滅させます。裏切った以上は、死あるのみ。青年は服毒し、愛する女性と日本での上司に看取られながら息を引き取ります。日本軍では妨害に遭いながらも新発明の超高速爆撃機を完成させ、日本の勝利は間違い無いという事で物語は終わりますが、戦時中から音速で飛ぶ飛行機を考えていたなんて乱歩先生は凄いです。実際に第二次大戦で日本が勝利していたら、どんな世界になっていたでしょうか?(「江戸川乱歩作品集Ⅲ」収録)防空壕戦時中、空襲見物を楽しむ主人公の男性が我が身が危うくなり、飛び込んだ防空壕の中で1人の若い美しい女性と出会います。命の危険が迫る中、男性は妻がいる身でありながらその女性と抱き合い、体を奪ってしまいます。朝には空襲は収まり、男性が目を覚ますと女性はいなくなっていました。女性の事が忘れられず、何とか手掛かりを掴もうとしましたが、結局女性は見つかりませんでした。防空壕の女性の正体は、何と防空壕近くに建っていたお屋敷で雇われていた婆やさん!灯の明るさが不鮮明であると、皺隠しのフィルターの役割を果たしてくれるようですが、この婆やさんも若い時には結構な美人だったものと思われます。でも、男性に自分の正体を明かさず、美しい夢を永遠のものにしてくれた婆やさんは優しい人だと思います。男性は美女の幻影を抱いたまま、どこまで行くのやら・・・・・・。(「江戸川乱歩作品集Ⅲ」収録)化人幻戯大実業家の若く美しい人妻に思いを寄せる男性が次々に殺害されていきますが、被害者には必ず白い羽根が送られます。この大胆不敵な犯人に、明智探偵が挑みます。推理物としては本格的で、マネキン人形やテープレコーダーの使用、時計の細工といったアリバイ工作などを見ても犯人の頭脳の高さが伺えますが、その動機が明智探偵にも最後まで分かりませんでした(犯人の自白を聞いても理解不明)。よく漫画などでテーマにされている「サイコパス」という人種のようですが、乱歩先生がこのような人種を作品に書かれていたというのは驚きです。まさに後の時代の先駆者。この犯人の恐ろしさは、殺人動機が「恨み」や「欲望」といった人間的な感情では無く、愛情が高まると相手を殺すという、まるでカマキリに似た性質を持っている事。殺人に対する罪悪感どころか、自分自身の死の恐怖すら感じていないようで、これから警察に逮捕されて下手をすれば死刑判決が下されるかもしれないというのに、しれっとしているのが薄ら寒いです。今回は、ここまで。
2024.05.16
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横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回は江戸川乱歩・少年探偵団シリーズの番外編的な作品を集めた「江戸川乱歩からの挑戦状Ⅰ」の感想を書きたいと思います。少年誌に掲載された短編の数々のようですが、執筆は乱歩先生以外の人で、乱歩先生は監修といった感じでしょうか。なので、乱歩先生とはちょっと違った明智探偵や少年探偵団が楽しめます。本物の宇宙人や改造人間が出てきます。吸血鬼の島世にも珍しい明智探偵と二十面相の共闘が描かれます。イースター島の外れにある孤島の宝を狙った二十面相が古代ムー帝国の女王である女吸血鬼に襲われ、無線で明智探偵に助けを乞います(部下達は、みな血を吸われて吸血鬼に・・・・・・)。イースター島へ飛んだ明智&小林コンビ(+ポケット小僧)は二十面相を救出し、日光の力で吸血女王を撃退。古代ムー帝国には吸血病という病気が流行したらしいです。きえた宇宙少年宇宙から来た少年と仲良くなる小林・ポケット・マユミさん。少年は大量のダイヤを普通に持ち歩いています。それを知った二十面相は、少年を誘拐して人質にして親から大量のダイヤをせしめようとしますが、小林くんの機転で宇宙少年を数多くの地球の少年達の中に紛れ込ませ、二十面相に分からないようにして無事に彼を故郷の星に帰します。海底人ブンゴのなぞ豊後水道で海底人が発見されました。二十面相は海底人のせいにして盗みを働こうとするも失敗。いつもの如く二十面相が化けているのかと思いきや、そうでは無かったようで、海底人の正体は最後まで分からず仕舞い。一体、何者だったのでしょうか?最後に小林くんとポケットくんは、明智探偵にアケチ式予言機で海底人が支配する世界を見せられますが、あれは明智探偵の催眠術っぽいです。それにしても、1950年代から地球温暖化の事は言われていたのですね。のろいのミイラ放射能により博物館のミイラが次々に復活します。全ては二十面相の狂言でしたが、彼としてはこの事件によって人々に核兵器の恐ろしさに目を向けて欲しかったようです。二十面相の人間らしい一面が見られる話ですが、最後にミイラに化けた二十面相が博物館の警戒が厳重過ぎて逃げられなくなり、明智探偵に助けを乞うのは笑えます(笑)。魚人第一号!二十面相が悪の科学者と結託して、ある教授を特殊な薬で怪力を持つ怪人にしてしまい、更に催眠術で操り人々を誘拐する悪事を働かせます。最終的には、誘拐した人々を半魚人に改造しようと企みます。まるでショッカーです・・・・・・(汗)。でも、二十面相はマヌケな事に教授が発明した体から電波が出る薬をビタミン剤と思って飲んでしまい、明智探偵に居場所を突き止められてしまいます。最後に催眠が解けた教授さん、まだ薬の作用が残っていて、怪力で二十面相をブンブン振り回してくれます(笑)。死人の馬車明智探偵が登場しない外国が舞台の話。大きなお屋敷を悪人一味が襲撃し、住人のご夫婦を殺害しますが、屋敷の元の主人だった男性が屋敷を買い戻しに来たところ夫婦の死体を目撃。悪人一味は死人の夫婦に化け、馬車で男性を拉致しようとしますが、危ういところで男性は逃走します。男性の息子である少年は友達と共に悪人一味に拉致されるも、知恵を絞って脱出。駆け付けた警察により、悪人一味は御用となります。でも、逃亡の為とはいえ、扉に電気を流すのは、ちと危ない気が・・・・・・(汗)。生きていた幽霊強欲な極悪人が自分と瓜二つの大金持ちを殺害して彼に成りすまして財産を奪い、その息子である少年まで手に掛けようとしますが、少年は危ういところで小林くんに助けられます。小林くんと少年は幽霊に成りすまして悪人を脅かし、罪を自白させます。二十面相が相手の時とは違い、殺人が行われるのが怖いところです。魔法探偵術少年探偵団の井上くんとノロちゃんがハックルベリーの話を真似て墓地へ向かいますが、そこで怪しげな寺男が墓の中に何かを埋めているのを目撃。寺男の顔を見たノロちゃんの記憶を呼び覚ますべく、明智探偵は心理学博士にノロちゃんを催眠状態にしてもらいます(その時のノロちゃんの描写が笑えます)。寺男の正体は宝石強盗と分かり逮捕されます。悪魔の命令悪の催眠術師によってポケットくんが悪の手先にされてしまいます。お正月のお雑煮を食べた少年探偵団員の食中毒事件(ポケットくんも被害者)から始まり、小林くんの交通事故、更に大変な事に明智探偵が射殺される事態に発展してしまいます。実は、明智探偵には既に事件のカラクリがバレていて、ポケットくんが撃ったのは空のピストルでした。明智&小林のコンビの活躍により、悪の催眠術師は逮捕されます。雑煮の件は、ポケットくんが誤って多くの毒をこぼしてしまったので食中毒ぐらいで済みましたが、もし全ての毒が入っていたら少年探偵団は全滅していたとの事。恐ろしい事件でした。指乱歩先生の同名小説「指」とは別の作品。中国の料理人が知人を殺害して金を奪うも、金庫をこじ開ける際に右手の指の爪を剥がしてしまい、それを隠す為に指を切断(!!)。料理の中に指を混ぜて調理し、お客に出して食べさせたので証拠が無くなり事件は迷宮入りします(この辺のグロさは乱歩的ですね)。犯人は逮捕は免れましたが、警察の手が回ったので証拠隠滅の為にせっかく奪った金を焼き捨て、自分の指を切り落とすという痛い目を見る破目に。悪い事はできませんね。幽霊塔の謎?松林の多い漁村に建つ高い塔に隠された国宝級の仏像。二十面相(四十面相かな?)は風船を使ったトリックで塔の中の仏像を盗み出そうとします(風向きを調べる為に飛ばした風船の為に村では人魂騒ぎが起きたりします)。松林に引っ掛かるように風船を飛ばしたので、風向きの変わる時間や塔を見張っていた時間が決め手となって使用人に化けた二十面相の正体が暴かれます。ノロちゃんと吸血鬼ドラキュラ少年探偵団のノロちゃんが映画に出る事に!?それも吸血鬼と対決するという、ノロちゃんにはおおよそ似つかわしくない役柄。ノロちゃんのご両親の留守中の間、留守番役を務めている人のお勧めでオーディションを受けたら見事合格したらしいのですが、その凸凹プロダクションという嘘臭い名前の映画会社は既に潰れてしまったとの事。インチキだったのでしょうか?その留守番役、実は銀行強盗の1人。ノロちゃん宅の地下に銀行へ直結するトンネルを掘っていましたが、工事が終わるまで、冬休みに入ったノロちゃんを外へ追い出す為に映画出演の話を持ち掛けました。銀行強盗一味は捕まったようですが、留守番役はもっと信頼できる人に任せるべきですね。心霊術の謎短編というよりはクイズ。心霊術のドサクサで家の宝を盗もうとする犯人を明智探偵が探り当てます。犯人を割り出す決め手は「体重」でした。荒野の強盗団にせインディアン明智探偵の登場しない西部劇物。これも短編というよりはクイズ。利き腕による強盗団の頭の割り出しや、インディアンに化けたトリックを解き明かします。黄金の大黒さま天狗の足あと明智探偵の登場しない捕物帖。こちらも短編というよりはクイズ。サルを使った盗みのトリックや、赤ちゃん誘拐犯人を探り当てるのが面白かったです。これらの短編には、どれも最後にクイズがあって、正解者の読者には懸賞としてBDバッジなどの7つ道具の他に、伝書鳩やシェパードも送られたそうです。1950~60年当時は大らかな時代だったのですね(懸賞の鳩ポッポやワンコは、どのような一生を過ごしたのでしょうか)。今回は、ここまで。
2024.05.15
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横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回は江戸川乱歩・少年探偵団シリーズの感想を書きたいと思います。相変わらず二十面相氏の作戦は奇想天外で笑えます(笑)。黄金の怪獣全身黒タイツのお爺さんスーパーマンが登場!!マントをつけて空を飛び回ります。非常に悪趣味です(笑)。正体は勿論、二十の顔を持つあの人ですけど。この物語は、以前紹介した「猟奇の果」を少年探偵団物に書き直したような内容です。怪人二十面相が怪しげな博士と結託して、日本中の宝石を手に入れる為に宝石店一家の人々の偽物を作り出します。明智探偵は勿論の事、ここでは小林少年の偽物まで登場します。小林くんのガラが悪くなった感じで、ちょっと嫌かも・・・・・・(汗)。ここでも「慈善病患者」の困ったお嬢さんが出てきます。本当に貧しい人の事を思うなら、物を恵む前に職探しをしてあげなさい!彼女もまた、面白半分に服を取り替えっこして酷い目に遭います。明智探偵に救い出されはしますが、人間不信にならなきゃ良いけど。(ちなみに「黄金の怪獣」とは、全身を金ピカに塗られた虎の事です)大暗室以前紹介した「大暗室」を少年探偵団物に書き直した物。良家の財宝を狙う悪人の為に、その家の娘さんが酷い目に遭います。1つ目の家のお嬢さんは明智探偵と小林少年の活躍で救助されますが、2つ目の家のお嬢さんは巧みな手段により連れ去られてしまいます。ここに出て来る悪党は物語の途中から怪人二十面相を名乗り始めますが、二十面相にしては殺人を辞さないし、二十面相の素性は「サーカスの怪人」で明らかになっていますから、これは二十面相の名を騙っている別人と考えた方が良さそうです。最後には明智探偵や少年探偵団の活躍で悪党は捕まり、拉致された少女は救出されます。小林くんの裏をかいて逃げ果せたり、拉致した少女を刃の振り子で責め立てる描写とか、細かい部分はオリジナルの「大暗室」から拝借していますが、これは全然別物の少年探偵団の物語と見た方が良いです。ここに出て来る「大暗室」も、パノラマ空間では無く盗んだ宝石の美術館の事ですし。この話も面白かったですが、私はオリジナルの悲しい兄弟の戦いを描いた「大暗室」の方が断然良いですね。奇面城の秘密少年探偵団のポケット小僧くんが大活躍します。高価な絵画を狙う怪人二十面相(ここでは四十面相)がアジトとする奇面城。その奇面城へ我らがポケットくんは黒覆面と黒装束で潜入し、番犬代わりのつがいの虎を手懐け、奇面城のある場所を探り出し、更には台所でビフテキを盗み食い・・・・・・(どういう活躍だ!!)。最終的には明智探偵や少年探偵団の活躍で二十、いや四十面相は捕まります。意外なところでは、四十面相には恋人らしい女性がいて、奇面城の庭園を一緒に散歩したりしていました。彼女も四十面相の一味の者として捕まったんでしょうか。気になります。夜光人間闇夜に光る怪人が、肝試し中の少年探偵団を驚かしてくれます(正体は例によって二十の顔の人)。今回の夜光人間は「推古仏」や「白玉の仏像」「ヒスイの三重の塔」とかいう骨董的価値のある宝を狙ってきますが、明智探偵や少年探偵団に阻止されます。久々に探偵少女・花崎マユミさんが二十面相と対決してくれますが、二十面相を探偵事務所に缶詰めにしたまでは良かったのですが、まんまと裏をかかれて脱走されてしまいます。その他、小林少年とポケットくんが泥責めに遭い生き埋めにされかけるという恐怖体験をしますが、二十面相もこの2人には煮え湯を飲まされ続けているだけに少年探偵団の中でも一番憎らしいのでしょうね。大人気無い・・・・・・(汗)。でも、結局は明智探偵の敵では無く、小林くん達は二十面相の逮捕に万々歳なのでした。空飛ぶ二十面相「電人M」「宇宙怪人」に続く二十面相宇宙人説第3弾(笑)。今回は、R彗星から飛来したカニ型の宇宙人が地球の宝を狙ってきます(正体は当然、二十の顔の人)。今回は着ぐるみだけで無く催眠術という反則のような手段を使いましたので、よりリアルに少年探偵団の諸君に恐怖体験を味合わせる事ができました。トリックと分かっていても、怒涛のように押し寄せてくる小ガニの大群や怪獣のような大ガニ、カニ型の円盤に捕まれて空高く舞い上げられる少年探偵団の描写は、なかなか迫力がありました。タイトルのように、後半は明智探偵と二十面相の大空中戦が繰り広げられ、こちらの描写も迫力がありました(飛行のトリックは、毎度の事ながら背負い式のプロペラですが)。結果は当然、明智探偵の勝利でした。天空の魔人ここでは明智探偵は登場せず、小林少年と2人の少年探偵団員で物語が進んでいきます。小林くん達3人は旅行先で子供や犬、貨物列車の貨車が巨人の腕に掴み上げられるという事件に遭遇しますが、小林くんは優れた推理力で真相を解き明かします。事件は二十面相では無く、貨物列車の貴重品を狙った窃盗団の仕業でした。ロープを貨車に結び付けて走る列車から貨車を切り離すトリックは、まさに離れ業で凄いと思いました。少年探偵団の話の中で、キングコングやゴジラが引き合いに出されたのは笑えました(笑)。(「空飛ぶ二十面相」収録)仮面の恐怖王以前紹介した「恐怖王」とは違って、こちらは二十面相が扮した怪人です。毎度の事ながら他人の家の宝を狙ってきますが、依頼を受けた先に向かう明智探偵が恐怖王の部下に拉致されるという一大事が起きます。その拉致された時の描写が「魔術師」の時と同じ!かつての文代さんを思わせる美少女も登場します(彼女は二十面相の何なのか?)。「魔術師」の時は脱走の際に文代さんが手助けしてくれましたが、今回は明智探偵が自力で脱出しました。都合の良い事に服の下に恐怖王と同じ真っ黒タイツを着ていたので、恐怖王に化けて逃亡しました(後で恐怖王に叱責された部下が可哀そう・・・・・・)。その後、明智探偵と二十面相の木登り対決があったり(笑)、洞窟に迷い込んだ小林くんとポケットくんが小判の山を見つけたり色々ありますが、洞窟内でゴリラに化けて2人を襲ってきた二十面相が落盤で生き埋めになり、助けを乞うのが何ともオマヌケ(笑)。こうして、また少年探偵団の資金が増えたのでありました。二十面相の呪い初っ端から気味の悪い古代研究所のエジプトミイラが保管されている部屋が舞台。人間蒸発事件から始まり、部屋に置かれている古代エジプトの巻物が盗まれそうになりますが、ミイラのコスプレをした明智探偵が二十面相と大格闘!!無事、巻物を守り抜きます。次の獲物は、真珠の粒で作られた象の置き物。二十面相は使用人に化けて侵入していましたが、お手伝いに扮した女装の小林くんに見破られ逃走するも、自動車に忍び込んだポケットくんが明智探偵にアジトの場所を教えた為に御用となります。黄金の虎二十面相が扮した「魔法博士」では無く、明智探偵の知人の魔法博士が少年探偵団に知恵比べを申し込んできます。内容は、2ヶ月以内に純金の虎の置き物を魔法博士から奪われないように守り抜く事ができるかとの事(虎の置き物は元々魔法博士の物なんですけど)。博士のスパイに虎の置き物を奪われたり、洞窟内で虎(博士の変装)に襲われたり、小林くんが拉致監禁されたりと色々冒険をしますが、最後はネズミを手懐けて団員に虎の置き物の所在を知らせた小林くんの勝利となります。負けを認めた魔法博士は、純金の虎の置き物を少年探偵団に譲ってくれました。(「二十面相の呪い」収録)今回は、ここまで。
2024.05.14
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横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回は横溝正史の作品の感想を書きたいと思います。最初の2作は由利&三津木コンビが活躍する話。4番目の「毒の矢」以降は全て金田一耕助活躍の作品です。憑かれた女日独ハーフの不良少女が主人公。由利鱗太郎先生&三津木俊助記者は、後半の謎解きの時に出て来る程度の活躍。若い身で酒に溺れ、バラバラ死体の幻覚に悩まされるようになった主人公の少女。そんな彼女をある部屋(撮影所)に連れ込み、バラバラ死体の幻影(映像)を見せて楽しむ異常性癖の男性。精神的に追い詰められた彼女は、とうとう殺人に手を染めてしまいます。最終的に異常性癖の男性は発狂して、不良少女は彼氏と共に心中してしまいますが、ちゃんとした家庭に育っていればこのような事にならなかったのではと思うと、彼女がとても可哀そうに思えます。どのような生い立ちだったのでしょうか。首吊り船悪徳高官に恋人と左腕を奪われ、殺されかけた男性の復讐の物語。この男性の妹と彼女の幼馴染の彼氏も活躍してくれますが、三津木俊助に助けを乞う方法が彼の拉致(殴り倒して気絶させる)という乱暴なやり方だったので、事件の容疑者にされてしまいます(笑)。結局のところ復讐は果たされますが、男性も恋人も命を落としてしまいます。でも、この事件の本当の悪の根源は、事業の失敗で借金を作ってしまった恋人の父親ですね。悪徳高官に借金の肩代わりをしてもらう為に、何の相談も無く娘を売り飛ばすというのはどうかと・・・・・・。親であれば、我が身を犠牲にしてでも娘の幸せを願うものですからね。(「憑かれた女」収録)幽霊騎手横溝先生には珍しい愉快痛快な冒険活劇。世間を騒がす謎の怪盗・幽霊騎手。金の余った富豪ばかりを狙う颯爽としたマントと洋装の紳士で、怪盗ながら一般庶民には人気が高いという有様(被害者の中には、彼に盗みに入られたのを自慢するご婦人も)。そんな幽霊騎手が殺人を犯すという事態が!!当然、真犯人は別にいるはず。その謎を解明する為に立ち上がったのは、主人公の舞台俳優(彼は舞台で幽霊騎手を演じている)とその弟子(柄が小さい)、幽霊騎手の事件を追う新聞記者(この3人は学生時代からの親友)。彼らは事件に入り込むごとに危険な目に遭いますが、事件は主人公の恋人の家の隠された財宝に関わる事だという事が分かってきます。最終的に真犯人は捕まり、幽霊騎手の潔白は証明されます。私としては、幽霊騎手の物語をシリーズ化して欲しかったです。3人組のキャラクターが、とても魅力的。でも、横溝先生が本当に書きたかったのは、こういう分野の作品ではなかったようですね・・・・・・(しんみり)。(「憑かれた女」収録)毒の矢高級住宅街に住むアメリカ帰りの金持ちの女性。そんな彼女の寂しい心に付け込んで関係を結び、金品を奪う悪辣な夫婦が出てきます。その下心が女性にバレて、他の住民の前で暴露されそうになった為、夫婦で共謀して彼女を殺害します。でも、アリバイ工作の巧みなトリックは、殺害された女性の足の不自由な養女の鋭い観察眼により暴かれます。養母が殺害され、足の不自由な少女は独りぼっちになってしまいますが、住宅街に住む少女の友達の両親である親切なご夫婦に引き取られる事になります。アメリカ帰りの女性、友人となるべき相手を誤ったのが悲劇の元ですが、彼女に莫大な財産が無ければトラブルに巻き込まれる事は無かったかも・・・・・・。何にしてもお金では幸せは買えませんね。黒い翼人気女優の不可解な自殺。彼女の死に疑問を持った誰かが「不幸の手紙」を関係者に出しまくり、その反応から女優を自殺に追いやった者を割り出し復讐しようと毒入りグラスを用意しますが、そのグラスを飲んだのは標的以外の人物でした。実際のところ、女優を自殺に追いやった犯人として狙った相手は復讐者の勘違いであり、誤って毒入りグラスを飲んだ者こそ女優を自殺に追いやった犯人でした(女優の隠し子の事で彼女を強請っていた)。不幸の手紙のネタは「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」にも出てきましたが、悪事を犯した者を割り出す方法として使うのは考えつきませんでした。(「毒の矢」収録)志那扇の女質の悪い悪戯で精神的に追い詰められた者の復讐の物語。仕掛人達は贋作の肖像画により、その相手を過去の毒殺事件の犯人の子孫と思い込ませますが(悪意とかでは無く、相手の怯える様子に性欲をそそられる感じらしいです)、悪戯と知ったその相手の怒りを大いに買う事になり、凄惨な復讐を受ける事になります。復讐者の怒りは尤もなのですが、当事者に直接危害を加えるのでは無く、何の関係も無い2人の女性を殺害してその罪を擦り付けるというやり方が、何とも理不尽な・・・・・・(汗)。この2人に対しても何らかの恨みがあったのかもしれませんが、何の恨みも無かったとしたら異常な精神としか言いようがありません。犠牲になったお2人が気の毒です。女の決闘こちらも犯行の動機が異常な事件。自分が一方的にその才能に惚れ込んでいた相手が、実はその才能は他者に頼ってできた偽物だった事に気付き復讐を企てます。私も周囲の人や著名人などの意外な一面を知った時には幻滅を覚えて落ち込む事がありますが、そんな理由で殺人を犯すというのが理解できません。(「志那扇の女」収録)壺中美人登場する大人達がドス黒い話です。SMプレイに興じる資産家夫婦(夫には陶器蒐集とホモの気有り)と中国人曲芸師が、曲芸用の壺を通じて落ちる所まで落ちていきます。結果的に資産家の妻と曲芸師が共謀して、資産家である夫を殺害しますが、その時に散々利用され、挙句の果てに罪を着せられ殺害された曲芸師の養子が可哀そうです。こんな養父に拾われさえしなければ、この子の人生は違っていたかもしれません。もう1人可哀そうなのは、夫亡き後の妻の再婚相手。最後まで妻を弱い哀れな女性と信じて愛していましたが、彼女の正体を知ったらどう思うか・・・・・・(汗)。廃園の鬼高名な大学教授とその悪戯好きな妻との間に起きた事件。妻が殺害された事件の関係者全員が犯人をかばい、金田一さんも真相を伏せてしまったので、事件は迷宮入りになってしまいます。悪戯好きが高じて犯人をブチ切れさせたのが殺人の動機と思われますが、みんなで犯人をかばうところを見ると、それだけ犯人の研究は偉大な物だったのでしょうか。(「壺中美人」収録)今回は、ここまで。
2024.05.13
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今日も良く晴れた初夏の陽気の1日でした。最高気温は25℃の夏日でしたが、日陰に入ると涼しくて心地良い感じでした。私は今日も本の返却と同時に新たな本を借りに出掛けました。今回借りたのは、江戸川乱歩の「空飛ぶ二十面相」。地球に近づいたR彗星から飛来したカニ型の怪星人に少年探偵団が挑みます。怪人二十面相と明智小五郎探偵が、激しい空中戦を繰り広げます。もう1つは「仮面の恐怖王」。以前ご紹介の「恐怖王」とは別人です。明智探偵拉致事件、国宝の仏像の争奪戦、洞窟内のゴリラ襲撃事件の3つの話で構成されています。最後は「二十面相の呪い」。古代研究所の大学生行方不明事件から始まり、古代エジプトのミイラが甦り襲ってきたりして大騒ぎになります。図書館へ向かう道中には、きれいな初夏の花々が咲いていました。少年探偵団シリーズも後少しで読破。頑張ります。
2024.05.11
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ゴールデンウイーク休日の最終日。天気予報によると今日は午後から雨との事でしたので、私は早いうちに図書館に向かいました。返却する本がありましたし、また新しく借りたい本もありましたので。今回借りたのは、島本町立図書館で見つけた「迷宮の扉」。双子の兄弟の莫大な遺産を巡って起きた殺人事件の謎を金田一耕助が解き明かしていきます。次は、貝塚市民図書館で見つけた「黄金の指紋」。主人公の少年が謎の青年から黄金の燭台を託されます。この燭台には大きな秘密が隠されていました。次は、豊中市立岡町図書館で見つけた「迷路の花嫁」。女霊媒師が殺害される事件から始まり、数多くの殺人事件が発生します。表紙絵の長毛の三毛猫さんが写真のようにきれい♪小さく描かれた和風の三毛さんもオッドアイなのがお洒落です。最後は、TRC和泉図書館で見つけた「化人幻戯」。表紙は異なりますが、内容は同じです。美しい人妻の周辺で男性が次々に殺害される事件に明智探偵が挑みます。 その後は、公園でスズメにパン屑を献上して楽しみました。花々がきれいでした。でも、4時頃から小雨が降り始めたので急いで帰宅しました。明日からは10日振りに会社が始まりますが、その初日が雨降りになりそうなのが鬱・・・・・・(汗)。どうか夜のうちに降りつくして欲しいです。
2024.05.06
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ゴールデンウイーク休日の6日目。今日は私の在住地と相互貸し出しを行っている大阪府堺市の図書館に本を返しに行きました。まだ読み残している本もありますし、本当なら本を返した後はそのまま帰るつもりだったのですが、江戸川乱歩の本に興味を惹かれて、ついつい借りてしまいました。今回借りたのは、江戸川乱歩作品集。「Ⅰ」と「Ⅱ」は借りたので、今回は最終巻の「Ⅲ」を借りました。大半は既に読み終えた話ばかりですが「偉大なる夢」と「防空壕」という話は未読なので読んでみたいです。関係無いですが、図書館では可愛いウサギと亀に出会いました。 きれいな花も植えられていました。これは、お手洗いのバラ(笑)。江戸川乱歩の作品は、長編も短編も後少しで読破できます。私の知らなかった横溝正史の作品も同様。次は森村誠一か、松本清張か、悩んでいます(笑)。
2024.05.02
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ゴールデンウイーク休日の2日目。今日は朝から良い天気でしたが、最高気温は27℃!!まだ4月の下旬だというのに夏の初めのような気温になりました。今年は3月下旬まで寒さが続きましたが、4月に入るといきなり気温が上がり、天気予報には熱中症情報の表示が出るようになりました。一体、今年の春はどうなっているのでしょうね?今日も私は図書館へ行きました。今回借りたのは、泉佐野市立佐野公民館図書室で見つけた「奇面城の秘密」と、忠岡町図書館で見つけた「夜光人間」。1つの本にまとまったものがありました。どちらも例の二十(四十?)の顔を持つあの人が、明智探偵や少年探偵団に悪さを仕掛けます。もう1つは、阪南市立図書館で見つけた「人でなしの恋」。江戸川乱歩の短編集で殆ど読んでしまったものばかりでしたが、まだ未読のものが数編ありました。街中では遅くに咲いた満開のツツジと、早咲きの終わったツツジが同時に見られました。ツツジ以外の花々も、きれいに咲いていました。明日は天気が崩れそうですが、どうか小雨ぐらいで済んで欲しいです。
2024.04.28
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今日からゴールデンウイークの休日が始まりました。今年は10連休なので、5月の6日まで10日間の休日を楽しむ事ができます。でも、初日は朝から曇りで時折小雨が降っていました。それでも最高気温は23℃で快適でしたので、私は東大阪市と大阪市東成区の図書館へ本を借りに行きました。まず最初に借りたのは、高槻市立中央図書館で見つけた「影男」。表紙絵は違いますが、中身は同じです。複数の顔を持つ犯罪者・影男の闇の暗躍を描きます。次は、能勢町生涯学習センター図書室で見つけた「花の通り魔」。横溝正史原作の時代推理小説で、歌舞伎役者くずれの遊び人探偵・お役者文七が活躍します。もう1つは「花の通り魔」を借りたのと同じ図書館で見つけたのですが、少年探偵団シリーズに未収録だった作品が載っているという事で一緒に借りました。図書館の前は、白いツツジが満開でした。今年はツツジの開花がまばらで、早咲きのツツジは早くも終わりを迎えています。この辺は、開花が遅咲きだったようですね。その他の花々も、きれいに咲いていました。東大阪市と東成区の境目ぐらいの場所にある深江稲荷の入り口の前を通りました。 このキャラクターが可愛いです。私の服の袖にテントウムシさんがとまってきました。途中まで一緒に自転車で走って、花の植え込みに放してあげました。途中から小雨もやみ、曇り空から晴れ間が見え始めました。明日の天気は晴れで最高気温もぐっと上がるようですので、早くも熱中症対策が必要かもしれません。
2024.04.27
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今日も良いお出掛け日和の天気になりました。最高気温は23℃で、夏日よりは低い気温でした。やや雲がありましたが雨は無く、良いお出掛け日和になりましたので、私は今日も図書館へ本を借りに行きました。今回借りたのは、箕面市立中央図書館で見つけた「まぼろしの怪人」。表紙絵は違いますが、中身は同じです。謎の怪盗・まぼろしの怪人に、三津木俊助記者と御子柴進少年が立ち向かいます。次は、岬町立淡輪(たんのわ)公民館図書室で見つけた「毒の矢」。高級住宅街で起きた殺人事件に金田一耕助探偵が挑みます。次は、岸和田市立図書館で見つけた「志那扇の女」。ある住宅で起きた一家惨殺事件と過去に起きた毒殺事件の絡みを金田一探偵はどう解き明かすか?最後は、太子町立図書館で見つけた「壺中美人」。陶器蒐集家の画家がアトリエで殺害された事件のトリックを金田一探偵が解き明かします。どれも面白そうな内容の本ばかり。当分、本の虫になりそうです(笑)。
2024.04.20
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今日も最高気温23℃の、ちょっと汗ばむ1日になりました。長く間が空いてしまいましたが、1ヶ月振りに、横溝・乱歩の作品の感想を書きたいと思います(やっとスイッチが入りました:笑)。今回は、横溝正史作品の感想です。髑髏検校時代物の怪奇小説。島原の乱の中心人物である天草四郎が吸血鬼となり現世に復活し、髑髏検校を名乗りキリシタンを弾圧した江戸幕府に復讐を企てます。天草四郎の復讐の物語と言えば、映画にもなった山田風太郎原作の「魔界転生」を思い出しますが、あちらは吸血鬼では無く悪霊で、配下が多く妖術も派手な印象がありました。こちらは蘭学者父子が主人公ですが、吸血鬼への対処も魔除けとかで大きな太刀打ちも無く、最後には天草四郎の棺を火葬にする事で髑髏検校を倒します。全体的に地味な印象です。でも、作品全体に横溝先生独特のおどろおどろしさがあり、なかなか楽しめました。神変稲妻車こちらも時代物の冒険小説で、少年向けの絵物語りとして少年誌に連載されていたそうです。主人公である美少年の若侍が、悪大名の為に没落し滅びようとしている君主のお家を再建する為に3本の名笛に秘められた財宝のありかを探し出そうとします。主人公は自分の双子の妹や旅先で出会った仲間達と共に旅を続けるのですが、主人公が仕える君主に恨みを持つ敵に襲撃されたり、成り行きで参加した人が乗る大凧合戦で凧ごと吹き飛ばされたり、旅の途中で熱病に罹り伝染病の感染源として村人から投石されたりと、かなり苦難に満ちた旅となります。事態が目まぐるしく展開していき、登場人物も増えていきますので、物語に引き込まれていきます。文章だけ読んでいても面白いですので、絵物語りとなれば更に面白いでしょう。連載当時の子供達も楽しく読んだ事と思います。最終的に敵の悪あがきの為に財宝はパアになってしまい、主人公が責任を取る為に腹を切ろうとしているところへ君主が直々吉報を伝えに来ます。何でも、憎らしい悪大名は何者かによって暗殺されたという事でした。主人公は君主や仲間達と共にエイエイオーと勝利の鬨の声を上げて、ハッピーエンドで物語は終了します。(「髑髏検校」収録)夜光怪人探偵小僧・御子柴進くんが中学時代の話。蛍のように全身を光らせる怪盗・夜光怪人が海賊の宝が隠された大宝庫の秘密を握る少女を狙います。夜光怪人の狙いはあくまで海賊の大宝庫であり、その他の怪盗行為は少女を脅す目的でした。これ以上被害を出されたくなければ大宝庫の場所を教えろという事です。被害を受ける人達にしてみれば、何とも迷惑な・・・・・・(汗)。途中で金田一耕助探偵も加わり、大宝庫のある島へ向かう途中、かの有名な獄門島にも立ち寄ります。夜光怪人の正体は何となく見当がついていたのですが、最後には意外などんでん返しが待っていました。最終的に夜光怪人は滅び、少女は父の遺志通り、大宝庫の財宝を貧しい人達の為に役立てる事を誓います。謎の五十銭銀貨主人公の少年の叔父である小説家が悪者の勘違いにより、中に暗号文を入れた五十銭銀貨を手に入れる事になります。その為に、その暗号文を狙う悪者と対決する事になるのですが、暗号文に記されていたのは、主人公の少年が懇意にしているお嬢さんの母から奪ったダイヤのブローチの隠し場所。ダイヤのブローチはお嬢さんのピアノの足の部分に隠されていましたが、小説家の叔父さんは一早く暗号を解いていて、悪者の目を逸らす為に偽の暗号文入りの偽の五十銭銀貨を用意していました。間抜けな悪者は警察に逮捕されました。生活苦の為、危うくピアノを売るところだったお嬢さんでしたが、無事ダイヤのブローチが見つかったお陰で生活苦から救われました。(「夜光怪人」収録)花びらの秘密防衛庁の設計技師が設計したロケットの設計図を狙う2人の賊。1人は女装して家庭教師に扮し、1人は探偵に成りすましました。でも、設計技師の姪である主人公の少女の機転により、真鍮の花びらに刻まれた暗号からロケットの設計図の在りかが分かり、2人の賊も逮捕されました。それにしても、この女の子、賊の指紋の小さな傷を見極めるなんて、凄い視力ですね(汗)。(「夜光怪人」収録)びっくり箱殺人事件横溝先生には珍しい全編コメディータッチの推理小説。東京の小劇場が舞台で、舞台に置かれた「パンドーラの匣」を開いた途端、中からびっくり箱のように短刀が飛び出し、俳優が刺殺されるという事件が発生します。ここまでなら、ただの推理小説ですが、とにかく登場人物の名前が面白いです。まず、主人公の作家先生が深山幽谷(しんざんゆうこく。人外魔境の事)。葦原小群(将軍)。古川万十(饅頭)。半紙晩鐘(半死半生)。柴田楽亭(シバラク)。灰屋銅堂(はいや!どう!どう!)。顎十郎(文字通り顎が長い)・・・・・・(笑)。殺人事件が起きているのにノリが軽く、セリフも「短刀が見つかった」「どこに?」「万十さんの胸に」「ショーグン暁に死す!」等々(笑)。結局のところ、劇場のスター女優に対する歪んだ愛情が犯罪の引き金になっていたのですが、手違いや秘密を知った為に殺された人達は迷惑も良いところ!(汗)スター女優は悲恋に終わりましたが、それ以外に2組のカップルが誕生しそうなので、どうか幸せになって欲しいです。蜃気楼島の情熱金田一耕助とパトロンの人が登場する短編。金田一とパトロンが訪れた島で、パトロンの友人の妻が何者かに殺害される事件が発生します。犯人やトリックは読んでいるうちに大体見当がついたのですが、犯行動機は財産狙いで、しかも一家総出による犯行というのが凄まじいです(汗)。あくまでも妻殺しを夫の犯行に見せかけようとして、自分達の身内の死まで利用して・・・・・・。妻を殺されたパトロンの友人が気の毒ですが、必ずしも莫大な財産があるからといって幸せになれるとは限らないようですね。(「びっくり箱殺人事件」収録)今回は、ここまで。
2024.04.17
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図書館巡りからの帰り、早速私の在住地と相互貸し出しをしている図書館で本を借りてきました。まず最初は、熊取図書館で見つけた「憑かれた女」。幻覚に悩まされるハーフの不良少女が殺人事件に巻き込まれる話です。次は、豊能町立図書館で見つけた「黄金の怪獣」。全身黒タイツのお爺さんスーパーマンが空を飛びます。何とも、悪趣味です(笑)。最後は、千早赤阪村くすのきホールで見つけた「大暗室」。これは元々大人向けに書かれた小説ですが、少年向けに書き直してあります。善悪に分かれた兄弟の対決が、明智&小林と怪人二十面相の対決に変えられています。また当分、本の虫になりそうです(笑)。
2024.04.15
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今日も初夏のような陽気の1日になりました。最高気温は24℃で昨日より1℃低くなりましたが、それでも歩いていると服の下が汗ばむ陽気でした。汗ばむ陽気の中、私は大阪府の最後の1つの図書館巡りに行きました。最後に訪れたのは、熊取図書館。蔵書が多く訪れる人も多い大阪府熊取町の図書館で、大阪都市景観建築賞を受賞したそうです。熊取町のキャラクター・ジャンプくんとメジーナちゃんがいました。 庭にはきれいな花々が植えられて、きれいにしてありました。全体的に景観が良く、賞を貰うのが分かる気がします。ここでも、ツツジの開花が始まっていました。こちらは、道中の小花。図書館内で見つけた本。表紙の女性がカッコ良いです。大阪の多くの桜は葉桜になってきていますが、ここではまだ満開の桜が残っていました。これで一応、大阪府の市町村の図書館巡りが終わりました。図書館巡りの総合的な感想は後ほど書かせてもらいますので、今回はここまでにしておきます。
2024.04.14
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今日は早めの初夏が来たような陽気でした。最高気温は25℃と、文字通りの夏日になりました。この分だと、もう上着は必要無いと思います。歩いていたら、服の下がじっとり汗ばみましたから。初夏のような陽気の中、私は今日も図書館巡りに行きました。今回訪れたのは、箕面市立中央図書館巡。8年前にも来た事がある蔵書の多い図書館で、生涯学習センターになっているメイプルホールという施設内にあります。今回は反対側から入館しました。箕面のキャラクター・滝ノ道ゆずるくんと、箕面東コミュニティスポーツクラブのキャラクター・コミざるくんがいました。 こちらは、図書館の隣りの箕面警察署の掲示板に貼られていたポスターの一部。人(?)の良さそうな亀さんをウサギが詐欺にかけています。これがホントの「ウ詐欺」(笑)。 芦谷公園の芦谷池の噴水も久々に見ました。鴨さん達が水面を泳いでいるのどかな風景ですが、桜は少なくなっていました。公園内には、きれいな花が植えられていました。ここでは、早くもツツジの開花が始まっていました。次に訪れたのは、摂津市民図書館。摂津市民の憩いの場です。こちらは、摂津のキャラクター・セッピィくん。 図書館への道中には、きれいな花が植えられていました。今回も、それぞれの図書館で面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけました。摂津市民図書館で見つけた江戸川乱歩の本は既に読み終えたものばかりで、未読なのは「江戸川乱歩傑作選」の中の短編「一人二役」だけでした。 大阪府で巡る図書館は後1つ。どのような本があるか楽しみです。
2024.04.13
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今日は昨日より、やや雲が多い1日でした。最高気温は24℃で昨日よりも2℃も高いです。もうコートを羽織る必要は全然無いですね。私は今日も大阪府の図書館巡りに出掛けました。今回訪れたのは、貝塚市民図書館。蔵書が多い他、市民の生涯学習・教養の向上に役立つ資料や情報が数多く提供されています。こちらは貝塚のキャラクター・つげさん。もう1つのは貝塚市にある京都大学主催のそろばん塾のキャラクター・Kyotoくん。 きれいな花も植えられていました。次に訪れたのは、岸和田市立図書館。岸和田城を思わせるお城に似た建物なのが面白いです。岸和田のキャラクター・ちきりくん他、可愛いキャラクターがいました。可愛いウサギさん達もいました。道中で小さな可愛い花を見つけました。何という花でしょうね?最後に訪れたのは、忠岡町図書館。忠岡町文化会館の中にあります。図書館の他に公民館や働く婦人の家も一緒になっています。忠岡町のキャラクター・ただお課長がいました。岸和田のちきりくんに似ていますが、お城では無くお神輿を被っています。椿が植えられていましたが、もう終わりかけのようですね。今回も、それぞれの図書館で面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけました。 貝塚・岸和田・忠岡でも桜が満開でしたが、今日は曇り空のせいで少々見栄えが良くないです。次の土日に桜が残っているかは分かりませんが、どうか僅かで良いから残っていて欲しいです。
2024.04.07
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今日も上天気のお出掛け日和になりました。最高気温は22℃で、歩いていればコートなんか必要無いです。こういうお出掛け日和ですので、私は今日も大阪府の図書館巡りに出掛けました。今回訪れたのは、能勢町生涯学習センター図書室。世代を問わず学び、集い、交流し合える生涯学習活動の支援や地域活動の場・能勢町生涯学習センター内にあります。実は、ここには2年程前に訪れた事があり、その時に出会ったトラさんが今回も出迎えてくれました。館内には、トトロのマスコットと可愛い芋虫さんがいました。きれいな花も植えられていました。次に訪れたのは、豊能町立図書館。豊能町の地域文化の交流・振興の拠点であるユーベルホールの隣りにあります。豊能のキャラクター・とよのんちゃんや可愛いウサギさん、カエルさんがいました。 図書館へ行く道中には、きれいなスミレが咲いていました。次に訪れたのは、池田市立図書館。商業施設・サンシティ池田の中にあります。こちらは池田のキャラクター・ウォンバットのふくまるくん。 最後に訪れたのは、豊中市立岡町図書館。豊中市の岡町という所にあります。豊中のキャラクター・マチカネくんと可愛いウサギさん達がいました。 きれいな花も植えられていました。それぞれの図書館で、面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけました。 大阪府の北の果て、能勢町と豊能町の桜は満開で目の保養になりました。明日も満開の桜が咲く場所へ行きたいです。
2024.04.06
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今日も夏日の陽気の1日になりました。最高気温は23℃で、昨日よりも2℃高めになりました。お陰で今日も良い汗をかく事になりました(笑)。私は今日も図書館巡りに行きました。今回訪れたのは、泉南市立図書館。演奏会、コンサート、講演会など色々なイベントを行う泉南市立文化ホールと同じ場所にあります。泉南のキャラクター・泉南熊寺郎くんと、図書館キャラクター・とこしょくんがいました。 道中の池には、たくさんの亀さん達が泳いだり日向ぼっこをしていました。きれいな花も咲いていました。次に訪れたのは、TRC和泉図書館。和泉市の商業施設・フチュール和泉の中にあります。図書館キャラクター・キツネのブックンと、可愛いウサギさんがいました。 今回も、それぞれの図書館で面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけました。 昨日訪れた南河内でも、今日訪れた泉州地区でも、南の国からツバメが渡って来て子育てを始めていました。明日から新年度。気持ちを切り替えて頑張りたいと思います。
2024.03.31
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今日は、いきなり夏日になりました。最高気温は21℃。昨日より一気に7℃も上昇しましたので、コートを着ていると汗がにじみ出ました。このところ雨続きで遠出もままなりませんでしたが、私はこの絶好のお出掛け日和に、また図書館巡りに出掛けました。今回は、楠木正成の生誕の地で大阪府ただ1つの村・千早赤阪村へ行きました。健康・福祉・子育て・教育・町づくりを支援する施設・くすのきホールの中に図書館があります。石板に刻まれた楠木正成公の絵が飾られていました。郷土資料館の前には千早赤阪村のキャラクター・まさしげくんもいます。 道中には、春の花々が咲いていました。次に訪れたのは、河南町立中央公民館図書館。教育や健康を支援する施設・やまなみホールの中にあります。河南町のキャラクター・カナちゃんがいました。可愛いウサギさんと熊さんもいます。 やまなみホールの前には、きれいなユキヤナギが咲いていました。道中には、日日草、ピンクのモクレン、チューリップも咲いていました。 街中には、見事に満開の桜の木もありました。私の在住地では、まだちらほら咲き始めたぐらいです。最後に訪れたのは、太子町立図書館。教育や健康を支援する太子町役場の中にあります。太子町のキャラクター・たいしくんと可愛いウサギさんがいました。 きれいな花も植えられています。それぞれの図書館で、面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけました。 河南町立中央公民館図書館で見つけた「明智小五郎」ですが、収録されている「屋根裏の散歩者」「心理試験」は、既に読んでいる作品でした。でも、挿絵の絵柄が面白いので画像だけ撮らせてもらいました(笑)。 久々に遠出して、山沿いのきれいな春の自然を楽しむ事ができました。また明日も良い所へ行きたいです。
2024.03.30
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土曜日だというのに生憎の雨模様になりました。まだ梅雨入りでも無いというのに、一体どういう気候なんでしょうね?なので、今回も江戸川乱歩の朗読を載せたいと思います。今回は短編が多めです。このぐらいの方が、聴きやすいかもしれませんね。【小説朗読まとめ】【ミステリー】 江戸川乱歩 「陰獣」【全編朗読】【小説朗読】 江戸川乱歩 「黒手組」【明智小五郎】【ミステリー】【朗読】江戸川乱歩『踊る一寸法師』語り:西村俊彦【朗読】江戸川乱歩『人間椅子』語り:西村俊彦【朗読】江戸川乱歩『押絵と旅する男』
2024.03.23
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今日は春分の日。1年の中で昼と夜の長さが同じになる日ですが、冬至からもう3ヶ月も経つのですね。夜の長さがピークに達してから徐々に昼の時間が長くなり、会社帰りが明るくなってきて夕方のきれいな夕日に気持ちが落ち着いてきました。もうこれからは、夏至を迎えるまで昼の時間が長くなっていくのですね。それでも、今年の春分の日は生憎の雨!雨降りだけでも大変なのに、今日はとんでもない強風が吹き荒れて、まるで台風が来たようでした。昨年もお盆の前に台風が幾つも発生しましたが、これも1つの異常気象なのでしょうか。せっかくの祝日ですが、私はまた自室で動画の朗読を聴いていました。今回は、江戸川乱歩の長編を幾つか載せたいと思います。【朗読】江戸川乱歩『悪魔の紋章 全編朗読』【小説朗読まとめ】江戸川乱歩「黒蜥蜴」【ミステリー】【朗読】『暗黒星』江戸川乱歩朗読:江戸川乱歩「幽鬼の塔」【プロ声優朗読】江戸川乱歩『恐怖王』男性の朗読も女性の朗読も、皆さんそれぞれ乱歩の世界の雰囲気を出して下さりお上手だと思います。一度読んだ話も、改めて朗読で聴いてみるとラジオドラマのように新鮮です。
2024.03.20
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久々になりますが、横溝・乱歩作品の感想を書かせて頂きます。今回は江戸川乱歩の長編5作の感想を書きたいと思います。どの作品も読み応えがあり面白かったです。緑衣の鬼小説家と新聞記者が主人公。後に明智さんのような探偵役の人も登場します。緑色コレクターの緑衣の男が、婚約者である自分を袖にして他の男性と結婚した人妻とその夫である童話作家を付け狙います。緑衣の男は、手始めに童話作家を殺し、自分の実父を殺し、人妻を何度もかどわかして恐怖させ、最後には自分の伯父まで殺そうとしますが、事件の真相は意外なものでした。ここに出て来る探偵さん、行動が怪しげなせいで主人公からは犯人ではないかと疑われてしまいます。犯人の気持ちを知る為とはいえ、犯人と同じ扮装をするというのは如何なものかと・・・・・・(苦笑)。真犯人の真の目的は財産狙いだったようですが、育ての親に対してとんでもない恩知らずな行為と思います。まあ、育ての親もかなり押しつけがましいところがありますので、犯人の性格が歪んで育ってしまったのも頷けますけど・・・・・・。幽鬼の塔降霊術の才能を持つ少女の下に集った6人の学生。彼らの聖母ともいうべき少女が同級の不良学生に冒され自ら命を絶った事から事件は起きます。6人の学生は復讐の為、1人で1回ずつ(少女の分も1回含めて)不良学生をナイフで刺して息の根を止め、その死体を五重塔に吊り下げ首吊り状態にします。6人の中の1人の学生が全ての罪をかぶり自殺したので他の5人はお咎め無しとなりますが、5人のうち4人が政治家、作家、社長、画家とそれぞれ成功を収めていく中、学校一の秀才で将来を有望されていた1人が家が落ちぶれた為に貧困に喘ぐ事になりました。落ちぶれた1人は成功した4人を妬むあまり、事件に関係ある品々(不良学生を吊り上げる際に使用した麻縄、滑車、画家志望の学生の血の付いた上着)を所持する事で4人を恐喝して大金を脅し取っていました。そんな時に事情を知らない主人公の青年探偵が、恐喝者の挙動不審な様子から犯罪者に違いないと確信し、彼の所持する品々の入った鞄を偽物とすり替えてしまいます。その結果、恐喝者は五重塔で首吊り自殺。残った4人(特に社長と画家)は、青年探偵から所持品を奪い返す為に必死になりますが、事情を知った青年探偵は所持品を処分して事件の事は忘れると言って彼らの前から去って行きます。青年探偵の介入が無ければ、5人の中の誰か(特に小心者の社長)が大きな事件を起こしていたかもしれませんので、結果的にはこれで良かったと思います。恐怖王文字通り人々を恐怖に叩き込む謎の怪人・恐怖王と獣のようなゴリラ男が出てきます。恐怖王という怪人、病死した令嬢の遺体に花嫁衣装を着せ、ゴリラ男との結婚写真を撮って令嬢の両親や婚約者に送りつけたり、婚約者を殺害して令嬢と情死したように見せたり、かなり遣り口が猟奇的です。更に、主人公の小説家の恋人まで殺害して、花嫁衣装を着せてマネキンのようにショーウインドーの中に飾るという事までやってくれます。この恐怖王、遣り口は残忍ですが、性格的に非常に無邪気。主人公の恋人に恐怖王と書き込んだ米粒を送りつけたり、飛行機の煙幕で空にKyofuoと書いたり・・・・・・。犯罪自体も自分の思い通りにならない者達に対する制裁のつもりのようで、通常の道徳観念を全く持ち合わせていないのが怖いです。そんな恐怖王ですが、最後は用済みとして始末しようとしたゴリラ男の逆襲を受け、無残な最期を遂げます。結局、悪は滅びるのですね。(「幽鬼の塔」収録)暗黒星名探偵・明智小五郎が登場します。大きな西洋風屋敷に住む一家。その一家の中の家族が次々に殺害されていく事件が起きます。一家の主人の妻(後妻)が殺され、次女が殺され、長男も手傷を負わされました。そして、事件が起きる度に黒ずくめのコウモリ男が目撃されます。次々と事件が起きる中、長女が何者かに合図を送ったり、色々と怪しげな行動を取りますので容疑が掛かってしまいますが、犯人は全然違う人物でした。親が受けた恨みを子が晴らすという復讐の犯罪は「悪魔の紋章」「魔術師」がありますが、この作品もその系統です。前の2作の犯人の動機は「親の恨み」よりも「幸せな家庭への妬み」が強い感じがするのですが、こちらの犯人の動機はちょっと難解。洗脳されているのではないでしょうか?大暗室善悪に分かれ宿命の対決をする異父兄弟の物語です。大悪党が男爵を殺害した後、その妻と結婚します。男爵との間の子は生まれていて、妻はその後に悪党との間に子を儲けます。男爵の従者が悪党の罪を暴いた後、悪党は男爵邸に火を放ち、自分の子を連れて逃走します。火災の為に妻は死亡。男爵の従者は大火傷を負いながらも、男爵の子を連れて屋敷を脱出します。異父兄弟は成長して再会し、悪党の子である弟は地上で悪の限りを尽くす事を誓い、男爵の子である善の兄は必ずそれを阻止する事を誓います。弟が根城にしているのは「大暗室」という東京の地下に造られた巨大パノラマ空間。兄の父である男爵や兄の恋人の一族の財産を元手に造り上げたもので、地上から集めてきた美女達に天使や人魚、その他のコスプレをさせて侍らせています。弟は大量の爆薬を用いて東京を爆発炎上、火の海にする事を企みますが、兄や男爵の従者により大暗室の場所を突き止められて爆薬を水浸しにされます。観念した弟は殉死を望んだ6人の美女達と共に命を絶ちますが、この兄弟も親達の影響さえ無かったら仲の良い兄弟として暮らしていけたのではないでしょうか。死闘を繰り広げる中でも、時折兄弟として見つめ合う2人の姿が印象的でした。今回は、ここまで。
2024.03.15
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今日はやや雲の多い天気でした。私は今日も大阪府内のまだ行った事の無い図書館を巡りに行きましたが、今日は久々にちょっと遠出をしたくなりました。何と言っても、もう春ですからね(笑)。今回訪れたのは、岬町立淡輪(たんのわ)公民館図書室。岬町の淡輪という所の公民館の中にあります。町民の憩いの場になっています。岬町のキャラクター・ミサッキーくん他、色々なキャラクターがいました。 次に訪れたのは、阪南市立図書館。文化センターになっているサラダホールという施設内にあります。色々なイベントが行われ、訪れる人も多いです。こちらは、阪南のキャラクター・はなてぃちゃん、図書館キャラクター・ロンくんとリアンちゃんです。 大きな可愛い雛人形が飾られていました。次に訪れたのは、田尻町立公民館図書室。田尻町の公民館の中にあります。こちらは、田尻のキャラクター・たじりっちちゃん。 最後に訪れたのは、泉佐野市立佐野公民館図書室。洋風のお屋敷みたいなお洒落な建物の公民館の中にあります。こちらは、泉佐野のキャラクター・イヌナキン。かの「キン肉マン」のゆでたまご先生が生みの親です。 それぞれの図書館で、また面白そうな横溝・乱歩の小説をたくさん見つけました。 田尻町立公民館図書室で見つけた「大阪ラビリンス」という本は、色々な作家の大阪を舞台にした短編小説を集めたもの。中に横溝正史の作品も1編ありました。ほかのどの本も、相互貸し出し可能な図書館で借りたいです。 今日は天気予報では曇りという事でしたが、出掛けている途中でたくさんの小雪が降り、途中でにわか雨が降り出しました。雨具を持参していたのが幸いでしたが、降ったり止んだり、日が差したりと、忙しい天気でした。これからは雪が降る事は無いものと思って過ごしていきたいですが、どうなるでしょうね?
2024.03.09
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今日は暖かい晴れた1日になりました。最高気温は11℃。昨日より4℃気温が上がっただけで、日陰を歩いていても暖かく感じました。体感気温って摩訶不思議ですね(笑)。私は今日も、大阪府内の未踏の図書館を巡りに行きました。今回訪れたのは、寝屋川市立中央図書館。3年前、寝屋川にあるイズミヤ「アドバンスねやがわ」の1号館にオープンした歴史の新しい図書館です。こちらは、近畿財務局のキャラクター・Kinki CATs(キンキ・キャッツ)。 寝屋川のキャラクター・鉢かつぎ姫もいました。寝屋川のイズミヤの前には、きれいな花々が植えられていました。次に訪れたのは、枚方市立蹉跎(さだ)図書館。蹉跎生涯学習市民センターという施設の中にあります。こちらは、枚方のキャラクター・ひこぼしくん。交野市のおりひめちゃんとはカップルです。 ここでも、きれいな花が植えられていました。それぞれの図書館で面白そうな横溝・乱歩の小説を見つけましたので、相互貸し出し可能な図書館で借りたいです。 今日は雛祭りという事で、我が家では夕食にお寿司を食べました。これからは、梅と同時に桃の花も見られるようになりますね。
2024.03.03
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今日はいきなり冷え込みました。天気は晴れですが、最高気温は7℃。外では牡丹雪がチラつきました。3月と言っても上旬ですから、まだ冬の延長のような時期。本当に暖かくなるのは、もう少し先かもしれません。それでも私は、もう暦の上では春だと自分に言い聞かせ、前から計画していた事を実行しました。それは、大阪府内のまだ行った事の無い図書館を巡る事でした。今回訪れたのは、高槻市立中央図書館。市役所や生涯学習センターがある高槻市総合センターという施設内にあります。本当はもう少し高さがあるのですが、画像に収まり切りませんでした。こちらは、高槻のキャラクター・はにたんくん。 菜の花の一種と思われる、きれいな花が植えられていました。次に訪れたのは、島本町立図書館。町の暮らしや子育ての支援、福祉、数々のイベントが行われる島本町ふれあいセンターという施設内にあります。こちらは、島本町のキャラクター・みづまろくん。 周辺には、きれいな梅の花が咲いていました。面白そうな江戸川乱歩と横溝正史の小説を見つけましたので、画像を保存しておきます。また、貸し出し可能な図書館で借りたいと思います。 帰りは雪が雨に変わりましたので、急いで家路に向かいました。明日も色々な図書館を巡りたいです。
2024.03.02
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2月の2回目の3連休最終日。その最終日は、生憎の雨天(汗)。今年の冬は最強寒波の日も何日かありましたが、全体的に見て暖冬のようですね。上空に溜まった雲が、本来なら雪雲のところを暖かい空気の為に雨雲に変わってしまうのだと思います。確かに暖かい方が良いのですけど、これなら小雪がチラつくぐらいの気温の方がマシです。今回は1ヶ月振りに、横溝・乱歩の作品の感想を書きたいと思います。「真珠郎」に掲載された名探偵・由利鱗太郎&新聞記者・三津木俊助が活躍する話です。真珠郎テレビドラマにもなった事があるので、ご存知の方々も多いかもしれません。でも、ドラマの方は由利先生では無く金田一耕助が探偵役にされています。社会からの糾弾を逆恨みした医者が、復讐の為の刺客として真珠郎という美青年を誕生させ殺人鬼として養育します。その真珠郎に自分が逆襲され、首を切り落とされて殺害されるのですが、この事件の裏には更に奥深い真実が隠されていました。実は真珠郎、可哀そうな被害者なんですよね。彼だけで無く、第2の真珠郎にされそうになった子も、その共犯になった子も。本当の極悪人は、真珠郎を生み出した医者とその財産を奪う為に真珠郎を利用した大学講師。でも、一番可哀そうなのは、主要な登場人物が死に絶えて(愛した人も)ただ1人残されてしまう主人公だと思います。獣人若かりし日の由利先生が活躍します。女性のバラバラ殺人事件が起きる中、ヤングゆりりんは鋼鉄製の針付きの鎧で武装したゴリラののような怪物と遭遇します。狂気の科学者が発明した薬品を注射すると、その人間はゴリラの怪物に変身するという殆どSFのような内容!!武装したゴリラの怪物なんて「怪物くん」か「ドラゴンボール」にでも出てきそうなキャラクターですよ(笑)。推理物というよりもアクション活劇の本編。ホント横溝先生は何でもござれですね(笑)。白蝋変化収録作品の中で一番読み応えがありました。妻殺しの冤罪で投獄された愛する男性(大店の店主)を救う為、女性歌手が懇意の船員とその仲間達に地下トンネルを掘ってもらい囚人を脱獄させるも、手違いで大悪党・白蝋三郎を脱獄させてしまいます。この白蝋三郎、犯した罪は詐欺・恐喝・強盗・誘拐・凌辱というとんでもない大悪党!!でも、決して殺人だけはしないという怪人二十面相のような人。オマケに義理堅く、脱獄させてくれた女性歌手の危機を何度も救ってくれます。大悪党でも憎めません。それよりも、脇を固める登場人物達の方が悪どいです。大店の店主の妻に夫を罠に掛け妻殺しの罪を着せる事を持ち掛ける医学博士(大店の店主とは女性歌手を巡る恋敵)。夫を罠に掛ける為、自分は死んだものと周囲に思わせ、美青年に扮して身を隠していた店主の妻(彼女が一番危ないです。医学博士を含めて邪魔者を殺戮しまくります)。その他、医学博士の愛人や小悪党達など、悪人のオンパレードです。でも、冤罪で投獄された大店の店主も大概ですね。大店の跡取りだろうと女性歌手の方が好きなら駆け落ちでもすれば良いものを、それができないものだから妻の殺害を企てようとします(実際は怖くなって止めたのですが、薬局で毒薬を購入したのを突き止められて言い逃れできなくなりました)。大店の財産が捨て難いのでしょうね。最終的には無実と分かって釈放されるのですが、女性歌手が白蝋三郎に体を奪われたと思い込み、女性歌手との挙式の時に自殺してしまいます。こんな男性を愛した女性歌手が可哀そうですが、その後、彼女は協力者である船員さんと結婚します。どうぞ、お幸せに。石膏美人仲が良かった2人の博士。そのうちの1人の博士の「息子が欲しいので女の子が生まれたら殺す」という冗談を真に受けたその博士宅の女中さん。女の子が生まれてしまったので、同時期に生まれた友人の博士の息子と取り換えてしまいます。その時から、2人の博士の仲に亀裂が生じます。子を取り換えられた博士は、自分の息子に友人の教授と同じ痣があるのを見つけ、妻が友人と不倫してできた子と思い込み息子を殺害してしまいます。その結果、もう1人の息子(この子は本当の子)まで殺害する事になってしまい、女中から真実を聞かされた博士は自ら命を絶ってしまいます。口は禍の元。冗談にしても、あまり恐ろしい事を言わない方が身の為ですね。蜘蛛と百合三津木俊助が妖婦の色香に惑わされそうになる話。恐ろしい女殺人鬼が自分の秘密を知った者を次々と殺戮していきます。三津木記者の2人の友人達も犠牲になります。彼女の秘密というのは、体に彫られた大きな蜘蛛の入れ墨!!その入れ墨を彫らせたのは、蜘蛛の如き不細工な容貌の男。彼は彼女の恋人を殺して無理やり契りを結んだのですが、次第に2人は離れられない仲になっていったようです。男女が1つの場所で一緒にいると情が移っていくものなのでしょうか。猫と蠟人形三津木俊助の妹が登場します。彼女には恋人がいるのですが、悪徳医者との政略結婚で引き離されそうになっています。そんな時、悪徳医者が何者かに殺害され、三津木記者の妹の恋人に嫌疑が掛かります。結局、悪徳医者が三津木記者の妹の恋人に罪を着せる為の自殺という事が分かり、事件は一件落着しますが、この事件にはまだ隠された真相がありました。三津木記者はその人にお礼を言いましたが、法で裁けない相手にはそういうやり方で対処するのもありなのでしょうか。今回は、ここまで。
2024.02.25
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今日も良いお出掛けの天気に日和になりました。最高気温は18℃で、コートを着ていると汗ばむような陽気でした。私は今日も街中の色々な所を巡り、図書館にも立ち寄ってみました。今回借りたのは「少年探偵団大研究」上・下。明智探偵や小林少年、少年探偵団員の紹介、二十面相が化けた怪人のすべてなど、見どころ満載です。今週から暖かくなるのですが、そのせいか天気が崩れて雨続きになりそうです。どうか、次の3連休には雨が降らないで欲しいです。
2024.02.18
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横溝正史が生み出した探偵・由利鱗太郎のドラマの動画を見つけました。ここ数年DVDや動画が主になり、あまり地上波の番組を見なくなっているので由利先生の登場作品がドラマになっているなんて知りませんでした。由利先生を演じているのは吉川晃司さん。元アイドルだった吉川さんが、渋くてダンディな白髪の紳士を演じる年齢になられたのですね。ドラマの時代は昭和初期から現代に変えられていますが、都会が舞台なので現代でも通用する内容です。どうぞ、お楽しみ下さい。探偵・由利麟太郎 - ENG SUB - E1探偵・由利麟太郎 - ENG SUB - E2探偵・由利麟太郎 - ENG SUB - E3探偵・由利麟太郎 - ENG SUB - E4探偵・由利麟太郎 - ENG SUB - E5
2024.02.04
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今日は朝から雲が多い1日でした。最高気温は10℃と昨日よりは上がりましたが、昼過ぎからは雨が降り始めたので外出はやめて、私は今日は部屋の整理と動画を観ながらの1日を過ごしました。そうしているうちに、また昔に購入した横溝正史の本が出てきました。まず最初は「夜光怪人」。探偵小僧・御子柴進くん初登場の物語で、名探偵・金田一耕助や新聞記者・三津木俊助と共に体が青白い燐光に包まれ蛍火のように光る怪盗・夜光怪人に立ち向かいます。後半はまたもや財宝探しになりますが、お目当ての島へ渡る際に皆さんご存知の「獄門島」を通ります。金田一さんを容疑者扱いしたオッチョコチョイの巡査さんも出てきます。もう1つは「びっくり箱殺人事件」。東京の小劇場の舞台で殺人事件が発生し、元俳優の小説家先生やトンチンカンな新聞記者が事件解決に乗り出します。横溝先生には珍しいコメディー色の濃い作品で、表紙絵のナイフを持ったびっくり箱のピエロ人形が不気味ながらもお茶目(笑)。登場する劇団員も愉快な人々で、ここでも横溝先生の意外な一面が楽しめます。懐かしいですが、改めて読んでみるとまた当時と違う新鮮さを感じます。
2024.02.03
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毎日のように最強寒波が続きますね(汗)。今週は全国的に気温が低く、最高気温はどこも1ケタ台。大阪も最高気温は6℃で、北の方は雪が降っています(私の在住地でも雪が降りました)。そんな時には、読書や動画で気分を紛らわしたいですね。で、今回も横溝・乱歩の作品の感想を書かせて頂きます。今回は、横溝正史作品の感想です。蝙蝠(こうもり)と蛞蝓(なめくじ)理不尽な理由で金田一さんを毛嫌いする、とんでもない男が主人公。同じアパートの住民である金田一さんをコウモリ男と称し、ただ鬱陶しいというだけで嫌っています。こ奴が嫌っているのはもう1人いて、それはアパートの裏手に住んでいるジメジメした陰湿な女性。彼女の事はナメクジ女と称しています。主人公は憂さ晴らしに、自分がナメクジ女を殺害して、その罪をコウモリ男に被せるという内容の小説を書きますが、アパートの裏手の女性は本当に何者かに殺害されてしまい、殺人現場には主人公のナイフと指紋が残されていました。そんな絶体絶命の主人公を救ってくれたのは、我らが金田一耕助。真犯人は、何と主人公の憧れの人であるアパート経営者の姪!!彼女は主人公の小説を盗み読みし、その方法をマネて裏手の女性を殺害しました。そして、暗がりを利用して女性宅の金魚鉢を主人公に触らせ指紋を残しました。衝撃の事実に、主人公は「なんちゅうことじゃ!!」(笑)金田一さんに救われた主人公、それからはコウモリが好きになったとか。なんちゅう現金な奴か!!いくら改心しても、こういう理不尽な理由でいじめや嫌がらせをするタイプの人間は大っ嫌い!!(興奮して済みません:笑)夢の中の女パチンコ屋の看板娘(通称:夢見る夢子さん)が、歌手だった姉の形見のドレスを着た状態で何者かに殺害されました。新聞の切り抜きを貼り付けた手紙が発見され、内容は姉さんを殺した犯人が見つかったので、心理的に犯人を追い詰める為、形見のドレスを着て来るようにとの事。何と、差出人は金田一耕助!!(当然、偽手紙です)看板娘を殺したのは姉殺しの犯人という事で捜査は進められましたが、真相は別の所にありました。真犯人は、偽札造りの一味。パチンコ屋の看板娘に偽札に気付かれた為、彼女を殺して姉殺しの犯人の仕業に見せ掛けたらしいです。短編ではありますが、夢見る夢子さんの姉のパトロンなど怪しげな人物が色々出てくるので、最後まで読まなければ真相が掴めないので、なかなか読み応えがあります。仮面城人造ダイヤの秘密を狙う怪人・銀仮面に戦いを挑む金田一耕助と少年少女達の大冒険の物語です。人造ダイヤの製造法というのは「殺人暦」でもありましたが、こちらは悪者一味と警官隊との攻防が迫力満点。映画の中に犯罪者の秘密が偶然に映ってしまうというのは「あ・てる・てえる・ふいるむ」と同様の流れです。主人公の少年の出生の秘密というのが如何にも少年好みの設定ですが、金田一探偵に救い出された靴磨きの少年の活躍が殆ど小林少年(笑)。人造ダイヤの製造者である科学者兄弟や主人公の少年の義理の母を人質に取るなど銀仮面はかなり悪辣ですが、最後には金田一探偵や警官隊の前に敗れます。主人公の少年は実父と親子の対面を果たし、めでたしめでたし。悪魔の画像ある邸宅から世界的な大画家の絵を盗み出し、自分が描いた贋作の絵とすり替えた天才画家。その絵の上に特殊な赤い絵の具で悪魔の絵を描いて、赤い眼鏡を通してでなければ元の絵画を鑑賞できないという設定は、なかなか斬新です。その天才画家の死後、事情を知らない画家の遺族がその悪魔の絵を古道具屋に売ってしまい、絵が主人公の少年の手に渡った事から騒動が起きますが、最後に絵は元の持ち主に戻されハッピーエンドで終わります。(「仮面城」収録)ビーナスの星大学時代の三津木俊助が登場します。三津木青年は強盗・石狩のトラに狙われる少女と出会いますが、彼女の面倒を見ていた叔母は亡くなる前に彼女に遺産を残したとの事。石狩のトラはその秘密を嗅ぎつけ、少女を狙っているらしいです。遺産の秘密は叔母が少女に贈ったフランス人形の中にあると思われましたが、実は秘密はフランス人形と共に贈られたマフラーにありました。マフラーに付いている丸い房をほぐすと、中から大粒のダイヤが出てきました。石狩のトラは警察に捕まり、少女は無事に遺産を受け継ぎ幸せになりました。(「仮面城」収録)怪盗どくろ指紋名探偵・由利鱗太郎と新聞記者・三津木俊助が登場。物語は「夜光虫」を単純化したような内容。主人公の少年は、3つの渦巻がどくろのように見える奇妙な指紋の持ち主(悪魔の紋章!!)。真の犯人は、少年の指紋を採取し「怪盗どくろ指紋」と名乗り悪事を働きますが、ゆりりん&三津木コンビの活躍により御用となります。主人公の少年は結ばれるべき運命の人と出会い、亡父の財産を受け継ぎハッピーエンドになりました。(「仮面城」収録)白蝋仮面 横溝正史版「怪人二十面相」白蝋仮面が登場します。でもこの白蝋仮面、二十面相とは違い平然と殺人を行います。たとえ相手が少年少女であっても情け容赦がありません。探偵小僧・御子柴進くんが謎の人物にさせられるマイクの前での催眠朗読の流れは「紫の道化師」と一緒。ただし、御子柴くんのは絶命には至りませんでしたが。宝石王のダイヤを巡る争奪戦、スリリングな古城の探検を経て、今度はイスラム王族の殿下と双子の少年歌手を巻き込んでのアラーの像の青ダイヤの争奪戦と、白蝋仮面との対決は息もつかせません。でも、そんな白蝋仮面でも部下の小男には愛情があるようで、小男が警察に捕まった時には御子柴くんと人質交換で助けようとしたり、なかなか微笑ましいです(「怪獣男爵」も部下の小男を我が子のように可愛がっている感じですが)。結局、白蝋仮面は小男共々行方不明になりますが、後にまた復活します。バラの怪盗世を騒がしている謎の怪盗・バラの怪盗を模した芝居を演じている際に、ヒロインを演じている少女が本物のバラの怪盗にさらわれてしまいます。バラの怪盗は少女の父に身代金を要求してきますが、少女の書いた暗号によりバラの怪盗のアジトが分かり、従兄の少年の活躍によりバラの怪盗は御用となります。バラの怪盗、盗みを働いた後にバラの花を残して行ったりと、やる事はかなりキザなのですが、後の展開が小物感まる出しで、ちょっと興ざめでした。(「白蝋仮面」収録)『蛍の光』事件恐ろしい殺人光線を発明した博士が殺され、その秘密を記した書類の要の部分が盗まれました。長い間行方不明になっていた博士の息子が容疑者となりましたが、彼はスパイの一味に救われ無理やり仲間にされていました。そこで、危険を冒して妹に父が危ない事を伝えようとしていたのでした。博士を殺した真犯人は、博士の助手。彼こそ真のスパイで、秘密書類を『蛍の光』で時報を知らせるオルゴール時計に隠していました。スパイ一味は全員逮捕され、兄妹は今度こそ感動の再会を果たしたのでした。(「白蝋仮面」収録)青髪鬼青い髪の怪人・青髪鬼が人造ダイヤを製造する機械を狙ってきます。この物語は、先程の「仮面城」以上に「殺人暦」に近いです。人造ダイヤに関わる人々の死亡広告が出される事や、死亡広告を出された人々の中に真犯人がいたり・・・・・・。またもや先程の白蝋仮面が割り込んで来て、青髪鬼や謎の「影の人」と人造ダイヤの秘密を巡って激しいバトルを展開します。「殺人暦」ほど残酷な場面はありませんが、探偵小僧・御子柴進くんに迫って来る青髪鬼や白蝋仮面の鬼気迫る描写はなかなか怖いです。結局のところ、青髪鬼と目されていた人物は善良な人で、記憶喪失になって洞窟内を彷徨っていました。彼のかつての仲間が、彼の名を騙り悪事を働いていました。かくして青髪鬼は滅び、白蝋仮面は再び行方不明。悲しいかな、白蝋仮面の活躍はこれっきりとなりました。廃屋の少女父親から莫大な財産を残された主人公の少女。その少女の叔父は、姪の財産を奪う為に誘拐団・黒手組と手を組んで彼女を誘拐しました。黒手組のアジトには同じ年頃の少女がいましたが、彼女は以前に主人公の少女宅に盗みに入った青年の妹。病気の妹の医療費欲しさの犯行だったらしく、少女は青年に手持ちのお金と指輪を差し出します。お陰で妹の病気は治りましたが、その後、兄が病死したとか。兄の死後、妹は黒手組にかどわかされ働かされていたらしく、少女に恩のある妹は決死の献身により少女をアジトから脱出させます。その後、少女の通報で駆け付けた警察隊により黒手組+少女の叔父は御用となりますが、青年の妹はつらい目に遭った分、幸せになって欲しいです。(ここに出てくる黒手組って、乱歩先生の「黒手組」に出てきたのと同じ集団でしょうか?)(「青髪鬼」収録)バラの呪い贈り物のバラの花束に仕込まれた丹毒の細菌の為に無残な死を遂げた美少女。彼女を慕っていた異母妹は、異母姉を死に追いやった者を探し出し復讐しようとしていました。主人公の少女は誰が異母姉に花束を贈ったのかを知っていましたが、それは異母妹には言えない人物でした。主人公の少女の不審な態度から、異母妹は彼女を犯人と思い込んでしまいます。少女に丹毒の細菌を仕込んだバラの花束を差し出す異母妹ですが、それを止めたのは異母妹の母でした。全ては実子よりも美しい義理の娘に対する母の妬みによる犯行。その後、異母妹は主人公の少女と姉妹のようなお付き合いを始めているそうですが、ちょっと悲しいですね。(「青髪鬼」収録)真夜中の口笛両親を亡くして昆虫学者の叔父に引き取られた姉妹。いつしか真夜中に不思議な口笛が聞こえてくるようになり、姉は病死し、妹も病弱になっていきました。妹と懇意にしている主人公の少年が突き止めた真相。何と、犯人は姉妹の叔父!姉妹の父が残した財産を奪う為に毒蜘蛛を口笛で操り、姉を病死させ、妹も弱らせていたようです。叔父は自分の毒蜘蛛に噛まれて自滅。妹は主人公の少年と共に東京へ旅立っていきました。(「青髪鬼」収録)今回は、ここまで。
2024.01.25
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今回も江戸川乱歩作品の感想を書かせて頂きます。全体的に短編集が中心です。日記帳20歳の弟を病気(おそらく不治の病)で亡くした兄が、弟の書斎にあった日記帳を開いて読んでみます。弟は極度な内気で、暗号のはがきを出す事により恋した相手に思いを伝えていたらしいのです(暗号は「I LOVE YOU」と読めました)。相方が弟の気持ちを受け取ったかどうかは謎ですが、内気で恋も知らずに死んだと思われていた弟が恋していたのは、実は実は自分の婚約者(弟の死の2ヶ月前に婚約)だった事を知った兄はその事で悩み苦しむ事になります。結局、婚約者が愛していたのは兄なのでしょうか?それとも弟なのでしょうか?(「江戸川乱歩作品集Ⅰ」収録)接吻とんでもなくヤキモチ焼きな会社員が主人公。勤め先の上司の親戚にあたる美女を紹介され結婚した主人公ですが、ある日その美人妻が誰かの写真に接吻し、その写真を物置のタンスの引き出しにしまうのを障子の穴から目撃します。真夜中にタンスの引き出しを探ってみると、出てきたのは上司の写真!!怒り爆発の主人公、上司に辞表を出して妻を責め立てると、妻が接吻していたのは主人公の写真との事。どうも、障子の穴から見えた全ては鏡に映っていた事で、主人公が上司の写真を取り出したタンスは妻が写真をしまったのとは別のタンスでした。全ては主人公の誤解だったのか、妻の上手い口実だったのか、真相は藪の中。まあ、疑うよりは信じる事の方が幸せですけどね(後の再就職が大変そう・・・・・・)。(「江戸川乱歩作品集Ⅰ」収録)蟲(むし)人嫌いで引きこもり症の主人公が、恋する相手を殺害し屍姦行為に走ります。衝動的に殺人を犯し、自分に絶対逆らわない恋人を得ますが、屍の宿命として徐々に腐敗が始まっていきます。主人公は恋人の肉体を保つ為に涙ぐましい努力をしますが、結局どの方法も叶わず、最終的には面相の付かなくなった無残な腐乱死体に顔を埋め悶死します。題名の「蟲」というのは、昆虫の事では無く腐敗した死体を冒す細菌の事のようで、乱歩作品の中でもグロテスクな類の物語です。(「江戸川乱歩作品集Ⅰ」収録)D坂の殺人事件名探偵・明智小五郎の記念すべきデビュー作品。主人公は古本屋で煙草屋の下宿人・明智小五郎と知り合いますが、憧れの古本屋の美人妻が座敷で密室状態で殺害されているのを発見します。通りがかりの2人の大学生の話によると、座敷で怪しい人物を目撃するも、その人物の着ていた物を1人は黒、もう1人は白と答え食い違います。主人公は明智を犯人と疑いますが、明智はキッパリ否認。明智はここで名推理を披露します。真犯人は古本屋の隣りの蕎麦屋の店主で、古本屋へは裏口から出入りできたのです。犯人が外部へ逃げたという思い込みが、事件を密室殺人と思わせてしまったようです。実は、蕎麦屋の店主はサドで古本屋の妻はマゾ!!2人は古本屋の夫には内緒でSMプレイを楽しんでいたようですが、それが高じて殺人を犯してしまったようです。大学生の目撃証言も勘違いだったようで、蕎麦屋の店主の自主により事件は幕を閉じます。初登場時は貧乏書生だった明智探偵ですが、この後に名声を高め、高級デパートに探偵事務所を経営する身分になるんですよね。(「明智小五郎全集」収録)心理試験身勝手な大学生が犯した身勝手な殺人事件。守銭奴な金貸し婆さんが隠した大金の噂を親友から聞いた苦学生は、金貸し婆さんを殺害して大金を奪う計画を立てます。お婆さんを殺した後、植木鉢に隠された大金の半分を奪い、警察に落とし物として届けます。こうすれば、1年後には金は自分の物になるという計算でした。その後、苦学生の親友が殺人現場を目撃するも、出来心で植木鉢の大金を盗んだ事で容疑者となります。苦学生にも嫌疑が掛かり、担当判事は2人に心理試験を試します。苦学生は心理試験を難無くパスし、親友の容疑はますます深まりますが、明智探偵は苦学生が答えた「屏風」という言葉に不自然なものを感じ、殺人現場の屏風の傷について訊ねたところ、苦学生は屏風の傷は事件前からついていたと証言。それが仇となり、犯行がバレてしまいます。屏風は事件の前日に持ち込まれた物でした。自分は未来有望な人材と思っているようでも、他人を殺して金を奪って良いという法は無いんだよ!いい加減にしろっっ!!(「明智小五郎全集」収録)黒手組会社重役の令嬢が世間を騒がす怪盗団・黒手組に誘拐されるという事件が発生。明智探偵が事件解決に乗り出します。身代金は怪しげな大男に奪われますが、誘拐された令嬢は明智探偵が救い出しました。実は、事件の真相は黒手組とは全く関係の無い事でした。令嬢には恋人がいたのですが、信仰宗教の違いから父親に反対されたので黒手組を利用して駆け落ちしたのでした。事件前、令嬢の友人から届いたはがきは、実は恋人が出したもの。待ち合わせ場所と時間を記す暗号になっていました。協力者は小男の書生。彼はマントと竹馬で大男に化け、身代金を受け取っていました。後の明智探偵の計らいで令嬢と恋人は結ばれ、小男の書生も好きな人と結ばれました。何はともあれ、ハッピーエンドな話で良かったです。この物語は、舞台用の脚本も書かれていました。細かい部分は端折られて分かり易かったです。(「明智小五郎全集」収録)月と手袋悪徳な金貸しの妻と不倫を楽しむシナリオライターが主人公。金貸しが気付いているのを知りながら妻と不倫を続ける主人公は、かなりの面の皮。金貸しの妻も夫の財産が目当ての結婚。そんな3人が入り乱れて、ついに主人公は金貸しを殺害します。残った2人は事態を強盗殺人に見せかけ、金貸しの財産でゴージャスな生活を送りますが、そんな生活の中、明智探偵の知り合いの警部さんと懇意になっていきます。警部さん、主人公と不倫妻に友好な態度を取ってくれますが、色々と突っ込みを入れて2人を精神的に追い詰めて行きます。実は警部さん、明智探偵のアドバイスで行動していて、最終的には犯行を喋りまくった2人の会話をしっかり録音して観念させます。行動するのは警部さんで、明智探偵はアドバイザーという珍しい形式。明智さんからすれば、3人の人物関係を見ただけで犯行はバレバレなんでしょうね。(「明智小五郎全集」収録)今回は、ここまで。
2024.01.20
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今朝は雨上がりの肌寒い朝でした。それでも、昼頃には少し暖かくなりました。この後、翌日にはまた天気が崩れるようです。今回は江戸川乱歩作品の感想を書かせて頂きます。どれも、なかなか読み応えのある作品でした。幽霊塔ジブリの宮崎駿監督が影響を受けたという作品。元判事の甥が主人公で、彼は叔父が買い取った時計塔を下見に来た時、謎の美女と宿命的な出会いをします。彼女は不幸な宿命を持つ女性で、養母が死に際に苦し紛れに噛みついた傷跡が左手首に残っていた事から、遺産相続のトラブルで養母を殺害した犯人として終身刑の判決を受けました。当然彼女は犯行を否認しますが、状況証拠だけ見れば彼女は大いに不利・・・・・・。養母にはもう1人養子がいたのですが、養母が死んでも利益が無いとの事で容疑者から外されます。当時の捜査関係者は養母の遺産相続の事ばかりに目が行っていたようですが、養女が犯行を否認する以上はもっと突き詰めて捜査していれば、時計塔に隠された財宝の事に行きついたと思われるのですが・・・・・・。でも、神様は彼女を見捨てませんでした。協力者として弁護士、整形外科医、看護師の女性が現れ、彼女を薬品で病死に見せ掛け監獄から脱出させます。その後、彼女は成形手術を施され、ここに絶世の美女が誕生します。そして彼女は協力者と共に真犯人探しに乗り出しますが、また次なる障害ができます。主人公の婚約者(と叔父が決めた。むしろ主人公は嫌っている)の従姉妹の女性が、美女に嫉妬するあまり、そこまでやるか!?と思うぐらいの罠を仕掛けてきて美女を困らせます。主人公の従姉妹は真犯人に利用されていたのですが、最終的には改心して主人公や美女に好意的に尽くすようになってくれます。真犯人は当然、養母のもう1人の養子。彼は時計塔に隠された財宝を探すうちに、迷い込んでいた元看護師の女性の飼い猿と遭遇し、大格闘の末に同士討ちとなります(彼には持病があった)。その後、時計塔の財宝は発見され、美女の無罪も証明されます。主人公と美女は結婚し、ハッピーエンドへ向かいます。宮崎駿監督の「ルパン三世 カリオストロの城」は、この小説の影響を受けていたのですね。確かに、過酷な運命に翻弄されるヒロイン(クラリス)が主人公(ルパン三世)と出会う事により運命を切り開いて行く過程がよく似ています(でも、クラリスはルパンとは結ばれませんけど・・・・・・)。最後に可哀そうなのは、協力者の弁護士。彼はヒロインにとって協力者であるのと同時に恐喝者。探し当てた無実の証拠を発表する条件として自分と結婚しろ。さもないと証拠を握り潰すと彼女を脅していましたが、真犯人が見つかった以上、彼の集めた証拠は無意味になってしまいました。何にせよ、ヒロインが救われたのは弁護士その他のお陰なので十分なお礼はされたと思うのですが、整形手術の技術を秘密にする為、協力者御一同は主人公とヒロインの前から姿を消していまいます。この物語は、財宝探しの面白さと同時に冤罪の恐ろしさも考えさせられます。もう二度と消えない手首の傷跡。でも、心の傷は時と共に癒されていく。どうか、主人公とヒロインには幸せになって欲しいです。時計塔の秘密私が小学生の頃に読んだ「幽霊塔」を児童向けに書き直した話。主人公の年齢が少年になり、大学時代の明智小五郎が登場しているのを除くと内容は同じで、本文も読み易くなっています。最終的に主人公とヒロインは同居する事になりますが結婚はしません。百面相役者主人公の小学校教師が、友人の新聞記者に連れられて出向いた劇場で「百面相役者」の演技を見せられます。男女や年齢、身分を問わず、全ての登場人物を1人で変装して演じ切る芸達者な役者ですが、新聞記者は彼に「首泥棒」の疑念を抱いていました。墓場をあばいて遺体から首を切り取り持ち去るという猟奇的な犯人ですが、新聞記者が言うには、例の劇場の百面相役者は首から肉面を剥ぎ取って変装に使っているのではないかとの事。主人公はその話をワクワクしながら聞き入っていました。後日、主人公は新聞記者に百面相役者の調査は進んでいるか聞きに行くと、新聞記者は笑いながら、あれは退屈していた自分の空想に過ぎないと言います。首泥棒はすでに捕まったとの事。その後、百面相役者の噂は聞かれなくなりました。後の乱歩作品に登場する怪人二十面相の原形のようなキャラクターですね。(「乱歩の猟奇」収録)地獄風景江戸川乱歩作品の中でも、相当内容がぶっ飛んでいるというか、ブチ切れているというか、とにかく警察の眼前で成すすべも無く大量殺人が公然と行われます。主人公の名は、治良右衛門(じろえもん)と言うどこか漫画チックな響きのあるユーモラスな名前ですが、彼は両親から全財産を受け継いだ若き百万長者。金に物を言わせて「ジロ娯楽園」なる猟奇的なパノラマ遊園地を設営して、猟奇的な悪友達と共に遊び暮らし、退廃的な生活に明け暮れていました。そんな猟奇的な遊園地の中で、じろえもんの悪友が次々に殺害されていきます。遊園地内で殺人事件が起きているというのに、じろえもんは更に100人余りの悪友達を招いて猟奇的なカーニバルを開催。警察が止めるのも聞かずに決行します。殺人事件の犯人は当然じろえもんで、カーニバルの中でも長距離走のゴールのテープに見せかけた真剣や射的ゲームの砲弾を実弾にしたり、公然と招待客を殺害していきます。じろえもんは警察に追いつめられますが、最後には遊園地内に仕掛けた爆薬で遊園地を爆破して崩壊させます。当然、招待客は全滅・・・・・・。成すすべの無い警察を尻目に、じろえもんは最後に残った愛人と共に気球で飛び去って行きました。金に物を言わせて遊び暮らす退廃的な男が、同類の退廃的な悪友達を快楽を得る為に殺しまくるだけの話ですが、これではあまりにも道徳的に良く無いと考えたのか、作者は後付けの結末を用意してくれました。何と、全ては妻殺しの罪で終身刑を受けたじろえもんが監獄内で見た夢だった――!!物語の最初から最後までがじろえもんの夢だったのか?それとも、彼の監獄行きは大量殺人を犯した後の事か?(逃亡の後で某国の船舶に救助されるなりして、その国で暮らしているうちに愛人とトラブルを起こしたとか)どちらにせよ、じろえもんのような男に良い結末は望みません。これでいいのだ!!(「乱歩の猟奇」収録)今回は、ここまで。
2024.01.19
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今日は穏やかな良い天気になりました。最高気温は10℃と昨日よりやや低めですが、昨日からの強風も治まり良いお出掛け日和になりました。私は今日も図書館に本を借りに出掛けました。今回借りたのは、江戸川乱歩原作の「暗黒星」。東京に佇む大きな西洋風の屋敷で、次々と謎の殺人事件が発生します。正体不明の黒ずくめの犯人相手に明智探偵はどう戦うか!?次に借りたのは、同じく江戸川乱歩原作の「大暗室」。同じ母から生まれながら善と悪に分かれて戦う異父兄弟の宿命の対決。スケールの大きい戦いが繰り広げられます。今回私が訪れたのは、東大阪市立永和図書館。商工業の支援を目的とする施設・商工会議所内にある図書館です。こちらは、可愛い図書館キャラクター。 次に訪れたのは、東大阪市立花園図書館。花園ラグビー場の側にある図書館ですが、現在は改装工事中でした。花園のキャラクター・トライくん他、可愛い切り絵のウサギさんがいました。 周辺の花々もきれいです。今週は明日から天気が崩れていきそうですので、雨具が手放せなくなりそうです。
2024.01.14
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今日は朝から雨も降らず、良い気候でした。最高気温も12℃と本当なら良いお出掛け日和なのですが、大阪は風速2メートルという強風に見舞われ長時間の外出は無理と見て、今日は自室で動画を観て過ごしました。今回は横溝正史短編集「恐ろしき四月馬鹿(エイプリルフール)」の感想を書かせて頂きます。どれも横溝先生が10代・20代の頃の作品で、初々しさが迸るのと同時に横溝先生の才能に驚かされます。恐ろしき四月馬鹿横溝先生のデビュー作で、18歳の時に描かれた作品。4月1日に寄宿舎で仕組まれた中学生(今の16~17歳ぐらい)の殺人事件を装った茶番劇・・・・・・の筈だったのが、死体役の少年が何故か井戸の中から死体で発見されたとの事で、仕掛け人の少年に殺人の嫌疑が掛かります。実は少年達の茶番はバレバレで、他の寄宿生達に逆にハメられていたのでした(死体役の少年もハメられて、その場から姿を消していました)。短編ながらも読んでいて、果たして彼の運命は!?と思い冷や冷やしましたが、無事に事が済んでホッとしました。四月馬鹿でも、あまり悪質なのは事件に巻き込まれる元なので程々にという教訓ですね。深紅の秘密主人公の屋敷から競売で購入した高名なドイツ人化学者の書籍が盗まれるという事件が発生します。こんな事をするのは、どこのどいつだ!!と言いたくなりますが、犯人は文字通りドイツ人でした(笑)。何でも、書籍の持ち主だった化学者は人類を滅亡に追い込むレベルのとんでもない爆発物を発明したらしく、悪の手に渡らないよう化学式を背表紙の色が紫・黄・緑の3冊の書籍に隠したとか。若かりし頃の横溝先生、こんなスケールの大きな作品を書いてらしたのですね。生首や湖の逆立ち死体より怖いじゃなーい!!(汗)でも、おバカな事にドイツ人の悪党、色覚異常なせいで緑と赤を間違えて盗んで帰国してしまい、こうなったら2枚の化学式だけで爆発物を作ろうとしたら自爆してしまいました(天誅!!)。2枚の化学式もパアになり、人類は滅亡の危機から救われました。(日本で色覚異常をネタにした小説を書いたのは、横溝先生が最初だったそうです。凄いですね)画室(アトリエ)の犯罪若い天才画家が自宅のアトリエで殺害される事件が起きます。画家の恋人が容疑者として逮捕されますが、主人公の推理によりアトリエの血は大半が鶏の血で画家の遺書も発見され、事件の真相は画家が他殺に見せ掛けて自殺したものと判明します。その後、バーで知り合った医者が患者(空き巣)から聞いた話によると、画家がアトリエ内で自殺を他殺に見せ掛ける為に小細工した事を恋人に打ち明けたところ気が変わって自殺はやめたと言い出しますが、遺書まで書いたなら完全犯罪だと言うばかりに恋人が画家を刺し殺すのを目撃したとか――!!果たして、医者が言う事は噓か真か!?丘の三軒家この話は「赤い水泳着」に掲載されていた「死屍を喰う虫」と同じ内容で、題名と文章がやや違うだけでした。キャン・シャック酒場(バー)癇癪持ちの主人公が紹介された、癇癪を起して気が治まるまで好きなだけ物を壊しても良いという「キャン・シャック(癇癪)酒場」。ただし、壊した物の料金は自費で払うとか。こんなバー、開店しても流行らないと思う・・・・・・(笑)。広告人形主人公の不細工男の画工。人目を避けたいのに人混みに入りたいという変な性格。そこで副業に着ぐるみを着てチラシを配る「広告人形」のバイトを始めます。不細工男の主人公、着ぐるみの暑さを紛らわす為の悪戯に見た相手の図星を指すような内容のチラシを挟み込んで配っていましたが、同僚の着ぐるみ男性から悪戯の反響があったとの知らせを受けます。悪戯のチラシを見て動揺したのは、有名な歌劇女優。彼女は「俺が犯人だ」という映画のチラシに動揺したから、何か事件を起こしたに違いないと2人で尾行する事に・・・・・・。実はこの同僚、歌劇女優の焼きもち焼きのパトロンで、彼女が不倫しないか見張る為に主人公を利用したようです。途中で女優に正体がバレてしまい、主人公までグルと思われて女優にボコボコにされます(全治3週間・・・・・・汗)。変な悪戯は程々にしましょう。裏切る時計不況で勤め先が倒産してからは詐欺に手を染めるようになった主人公。妻が自分の悪事の新聞記事の切り抜きを持っていた為、自分の罪がバレたと思い彼女を殺めてしまいます。主人公は外部犯に見せかける為に犯行時刻に時計が止まったように細工しますが、時計のねじを巻き忘れていた為に時計が自然に止まってしまい、その為に時計がアリバイの証拠として成り立たなくなり御用となります。結局、妻が記事の切り抜きを持っていた理由は、主人公の悪事についてでは無く、その裏の不妊症についての記事が必要だったからのようです。誤解は怖いです。災難全編が主人公の大阪弁で語られます(笑)。主人公の奉公人、複雑な理由で分かれてしまった幼馴染の恋人から駅で待っているとの知らせを受け、大喜びの一目散で彼女に会いに行きます。駅にいた美しい女性を幼馴染と思い声を掛けると、彼女はそうであると答えました。それから2人で大阪の街を巡り歩き、宿で一泊しようという話になりますが、彼女が手洗いに入ったきり戻って来なくなりました。主人公は不思議に思いつつ1人で一泊しますが、後日、自分の事が新聞記事に載っているのに驚きます。記事の内容は、誘拐犯に連れ去られそうになった女記者の危機一髪とか。どうも彼女は主人公が勘違いしているのを良い事に、記事のネタにする為に幼馴染と偽って行動を共にしていたようです。何という悪質な女記者でしょう!!結局、幼馴染は待ち合わせの日にちを間違えていたようで、2人はめでたく再開します。偽の幼馴染ほどの器量では無いとの事ですが、人間は顔じゃないよ、心だよ!!(笑)赤屋敷の記録正妻との息子では無く妾との息子を溺愛する「赤屋敷」の主人。異母兄弟は1人の女性を巡って対立しますが、弟(妾の子)が行方不明になり、女性は兄(正妻の子)と結婚します。ある日、異母弟の愛人と名乗る女性が彼との間にできた息子を連れてきます。祖父である赤屋敷の主人は大喜びで孫を引き取り、全財産の半分を彼に与えるという遺言を残し亡くなります。当然、家族同士の葛藤が生じます。異母兄の妻と娘は異母弟は主人(父)が殺害したのではという疑念を抱いていますが、異母兄は2人の疑念を晴らすべく密かに1室で面倒を見ていた異母弟を見せます。彼はレプラという皮膚が腐っていく病気に侵されていました。異母弟の息子は自分も父と同じ病気を引き継いでいると思い込み、赤屋敷に放火して家族全てを焼き殺し、自らも命を絶ってしまいます。結局、異母弟の息子と思われていた青年は、赤屋敷の家族とは何の血の繋がりも無く、貧しかった彼の両親が裕福な家庭に引き取らせれば息子が幸せになれると思い込み、彼を異母弟の息子と偽って赤屋敷に引き取らせた事が判明します。人間にとって、一体何が幸せなのか考えさせられますね。飾り窓の中の恋人主人公はある日、友人から飾り窓(ショーウインドー)の中の人形に恋をしたと告げられます。その後、友人は飾り窓から人形を盗もうとして御用となりますが、その事件の影響で似たような内容の「飾り窓の中の恋人」という小説の売れ行きが上がります。実はこの友人、著名人に因んだ騒ぎを起こす事で人々の関心を高め売り出す事に一役買うといった職業をしていて、結構儲かるとの事。他にも3件請け負っているとか。詐欺っぽいやり口ですが、物事に影響されやすい世の中を皮肉っているのでしょうか。執念溜め込んだ遺産を死んでも誰にも渡したがらない強欲な村の老婆。その老婆の死後、遺産の在りかを巡って浅ましく争う養子夫婦。とうとう殺人にまで事態は発展しますが、当の遺産の紙幣は意外な場所――夫婦が毎日使っていた蝋燭の芯の中に!!死んだ後も自分の遺産を誰にも使わせたくない強欲な心理って理解できないです(汗)。断髪流行主人公とその友人の質の悪い悪戯合戦。大学生の主人公は、仕送りしてくれている兄に内緒で仮名を使ってアパートで恋人と同棲しています。友人は刑事に化けて恋人から兄の住所を聞き出し、兄と連絡を取るような素振りを見せ主人公達の同棲生活を脅かそうとします。主人公はその仕返しに自分の恋人の断髪を友人に送りつけ、友人の恋人が不倫相手に送って突き返された断髪と思い込ませます。お陰で友人の恋人は潔白を証明する為に、自分が若白髪である事をバラしてしまいます。悪戯合戦の結果、何の関係も無い友人の恋人が傷つく事になりました。悪戯は程々にですね。今回は、ここまで。
2024.01.13
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お正月休みに入りました。大阪は最高気温13℃と年末とは思えない春の初めのような陽気でした。これまで横溝正史作品の感想が続きましたので、今回は久々に江戸川乱歩作品の少年探偵団シリーズの感想を書かせて頂きます。灰色の巨人謎の怪人・灰色の巨人が「真珠の宝塔」や「にじの宝冠」という宝を狙ってきます。「真珠の宝塔」はかつて「黄金仮面」が盗み出そうとした物で、殺人とは縁の無い少年探偵団シリーズも陰惨な大人向け作品と世界観が繋がっていると思うと闇を感じます。本作では、灰色の巨人の配下としてサーカス団が暗躍します。サーカス団員の一寸法師や大男(彼こそが灰色の巨人ではないかと疑われていました)、騎馬隊の少女が主に活動します。この騎馬隊の少女が「にじの宝冠」争奪戦で、少年探偵団や警察を大いに手こずらせてくれます。序盤の宝石店の万引き少女や宝石店主宅の女中に扮したのも彼女と思われますが、空中ブランコやサーカス象に乗っての逃走劇は手に汗握るハラハラ物です。結局のところ、灰色の巨人というのは賊がアジトにしている巨大観音の事で、賊の正体は例によってあの人でした。何回、同じ事を繰り返すのやら・・・・・・(笑)怪奇四十面相二十面相が変名を宣言しました。その名も怪人四十面相!!っていうか、ただ倍に増えただけなのでは・・・・・・(笑)。二十面相、もとい四十面相が狙うのは、4つの黄金髑髏に隠された財宝の隠し場所。この黄金髑髏を受け継いだ人達も、会合を開いて黄金髑髏に刻まれた文字の謎を解こうとしていましたが、何も髑髏面を着けてコスプレしなくても・・・・・・。見るからに怪しいから、四十面相以外にも怪人が現れたと思いましたよ(笑)。洞窟内で見つけた財宝は、金の板を張り合わせて作られた黄金の巨大髑髏。財宝というだけでは無く、欲に駆られて入ってきた者達を驚して追っ払う役目も果たしていたのです。結局、四十面相は明智探偵や小林少年の活躍により御用となります。名前を倍に変名しても、相変わらずですね・・・・・・(笑)。宇宙怪人本作では、明智探偵と少年探偵団が宇宙からの侵略者と戦います。ここまできたら殆どSFじゃないの!?と思いますが、それも実は例の人が世界中の同志諸君と結託しての大トリックでした。ここで明智探偵に協力してくれる博士が登場するのですが、その博士も助手の少年も変なコスプレをしているのが笑えます(博士は全身黒タイツ。少年はオスカルの如き白い軍服)。小林少年は博士の小型潜航艇に同乗して宇宙怪人と水中戦を繰り広げる事になりますが、相手は水陸空と活動できる万能型の宇宙人。なかなか迫力がありました。世間を騒がす宇宙怪人、実は例によって例の人の変装で、水中戦では素潜り名人を雇って宇宙怪人の着ぐるみを着せて演じさせました。目撃者には金を掴ませ噓の証言をさせました。日本だけで無く世界中の同志にも協力してもらい、各国で鳩に丸く切り抜いた紙を着けて飛ばせ、色々な国で空飛ぶ円盤の目撃情報を作りました。例の人は自分よりも戦争を起こす連中の方が悪者だと言い、戦争から目を逸らす為に宇宙人騒ぎを起こしたと言いますが、そんな理由で犯罪行為が正当化できる訳も無く、例によって御用となります。悲しいのは、そういう口車に乗って宇宙人騒ぎに協力してしまった青年がいた事。当然、彼も罪に問われるのでしょうね。サーカスの怪人二十面相の過去が判明します。二十面相はグランド・サーカスというサーカス団の元団員だったそうです。それでやたらサーカス団にコネがあるのかも・・・・・・。二十面相はグランド・サーカスの現団長と団長の座を争い敗れ、サーカス団を去ったらしいです。本作の二十面相の目的は、盗みでは無くグランド・サーカス現団長への復讐!!骸骨男に扮して少年探偵団その他を驚かせるだけで無く、現団長を監禁して1年間ほど現団長に成りすましていたらしく、現団長の子供達まで拉致して酷い目に遭わせます。本作の二十面相は、かなり凶悪。逃走劇も飛び技を駆使て、象や馬に乗って疾走しますが、明智探偵の見事な投げ縄により御用。いつも通りの結末でした(苦笑)。(「乱歩の猟奇」収録)鉄人Q人間そっくりのロボット・鉄人Qが登場します。鉄人Qは生みの親の博士から逃走し、宝石泥棒や少女誘拐などの犯罪行為を犯します(誘拐された少女ですが、最初の子はともかくとして、2人目の子は敵アジト内で大胆不敵というか何も考えていないというか(笑)。後々小林少年達と協力してくれます)。本作では2人の少年探偵団員が拉致されますが、団長・小林少年の助けにより、悪の手下が運んできた食事をぶちまける大乱闘を開始します。何て勿体無い事をするんだ!!(汗)後はオバケ屋敷の中をさまよったり色々ありますが、何とか脱出して警察と共に鉄人Qを追い駆けますが逃げられます。鉄人Qの正体は例によっての人ですが、少年探偵団員も無線電話やタケコプターを先取りしたプロペラを装備して見事御用にします。何でもござれで良いですね(笑)。海底の魔術師沈没船の中の大金塊を狙う鉄の人魚が出現します。金塊の情報源は、ある船長の息子(50代ぐらい)。その船長というがとんでもな奴で、嵐の海で船を沈没させ、多くの船客や乗組員を見捨てて逃げたコスタ・コンコルディアの船長を彷彿とさせる無責任船長。それだけで無く、沈没した船の中の金塊を手に入れようとする欲の深さ!でもこの強欲船長、金塊の引き上げをする為に保険会社から船の権利を買い取ったり、サルベージ会社に頼んだりの準備中、大病を患い死亡します(天誅!!)。船長の息子から秘密を託された少年は、明智探偵に金塊の引き上げを要請します。本作でも小型潜航艇が登場しますが、ここでもなかなかの迫力で手に汗握ります。何と言っても、鉄の人魚の造形がカッコ良いのであります。マジンガーZの機械獣を先取りしていたのかと思うようなデザイン。まさに悪に相応しい造形です。結局、鉄人魚の正体は例の人で、明智探偵に協力する13人の「はだかの勇士」の活躍により御用となります(アクアラングとパンイチの船員や水夫さん達なのですが、もっとマシなネーミングは無かったのでしょうか?笑)。今回は、ここまで。
2023.12.29
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「空蝉処女」の感想の続きを書かせて頂きます。後半の作品は、割と感想を書くのが楽でした。でも、やはり中身が凝っていて面白かったです。最後の作品は、横溝先生が一番最後に執筆された作品です。マスコット綺譚持ち主に幸運をもたらすと言われている縞メノウのマスコット。そのマスコットの所持者である売れっ子女優が楽屋にマスコットを置き忘れているのを見つけた後輩の大部屋女優、先輩宅までマスコットを届けに行くも彼女が自室で殺害されているのに遭遇します。そのままマスコットを譲り受けた大部屋女優は、先輩の代わりに脚光を浴び始め売れっ子女優となり、パトロンまで付く事になります。でも、パトロンになった男性の真の目的はマスコットを取り戻す事。先輩女優を殺害した犯人は彼で、マスコットの中には関係を持っていた時代の先輩女優と彼が写った写真が入っていました。マスコットが幸運をもたらしたというのも、実際のところは偶然だったのかもしれません。彼女はマスコットに頼らず、貧しくとも愛してくれる男性(元の彼氏)と共に生きていく事を誓います。恋慕猿羽子板蒐集家の女性が自室で殺害されます。容疑者は女性と関係のあった猿芝居の青年。彼に恋するカフェーの女給は、青年が飼っていた猿が大事そうに抱えていた殺害された女性のコレクション・敦盛の羽子板から何かの書類を発見します。羽子板蒐集家女性を殺害した犯人は、女性に弱みを握られている元市会議員夫婦。女性のコレクションの羽子板からは、元市会議員にとって都合の悪い内容の書類が何枚も出てきました。夫婦は青年に罪を着せる為に、青年の飼い猿を殺人現場に残したのでした。実は、お猿の名前は「直実」。猿芝居で敦盛を演じていた妻の雌猿が病死してから、直実は敦盛が描かれた物とかには敏感になっていたようです。直実の妻に対する愛、そして女給さんの青年に対する愛が真犯人を見つけ、青年を救ってくれたのですね。X夫人の肖像主人公の女性は、劇団女優時代の友人そっくりの肖像画を新聞で見つけます。その友人は主人公の伯父と年齢差の結婚をしていましたが、5年前、劇団員時代の悪い男に弱みを握られ、共に家出するといった内容の手紙を主人公に出していました。謎の肖像画を描いた画家さんですが、実は5年前、彼が住んでいた借家の側で殺人事件が起きていました。刺されていた2人のうちの男性はすでに死亡しており、女性は今際の際に主人公と自分の夫に手紙を書き、画家に投函を頼み事切れます。2人の遺体を埋めたのも画家さんでした。友人の夫である主人公の伯父は、盗み出したX夫人の肖像画を部屋に飾り服毒自殺していました。側には女性の白骨死体発見の新聞記事の切り抜きが・・・・・・。伯父は5年前、2人の仲を誤解して犯行に及んだようです。思いが伝わらない、誤解を呼ぶというのは悲しいです。玩具店の殺人ある玩具店の中で若い女性が首を吊っているのが発見されますが、気持ちの悪い事にその片目はくり抜かれていました。女性は玩具店の従業員の1人の元カノで、彼が招集された後は軍需会社の社長の妾になっていました。彼女は、こんな事になったのはある男に酔い潰されたせいで、その男は玩具店の従業員の中にいると言いました。その男の名は自分の体に隠してある事も・・・・・・。犯人は仲間内で嫌われている男で、女性の義眼の中に自分の名前が隠してあると思い、彼女を殺して義眼を抜き取った後、代わりの義眼を入れておきました。でも、その義眼を玩具店に忍び込んだ戦災孤児の少年がくり抜いてしまったのと、犯人のズボンに玩具店の看板猫の毛が付いていた事で犯行がバレました(犯人の名は女性の足の裏に書かれていました)。戦災孤児の少年は憧れの玩具店で働く事になり、まずはめでたしで良かったです。頸飾り綺譚仲買人の主人公は大儲けの仕事の資金の調達の為、妻の超高価な頸飾りを無断で質に入れてしまいます。代わりに本物そっくりの偽の安物の頸飾りを戻しておきました。そんなある日、妻が頸飾りを紛失してしまい、頸飾りを届けてくれた人には頸飾りの値段の1割の礼金を支払うという公告を新聞に出す事になります。1割と言っても、かなりの額。主人公は泣く泣く、偽の安物の頸飾りを届けてくれた運転手に高額の礼金を支払います。実は主人公の妻、頸飾りが偽物である事には気付いていて、運転手と結託して主人公から大金を巻き上げたのでした。どっちもどっちですね(苦笑)。劉(りゅう)夫人の腕環中国を訪れていた主人公。芝居一座の美人座長・劉夫人が左手首に装着している大きな腕輪が気になりますが、実は腕輪だけでは無く彼女の左手自体に秘密がありました。劉夫人の正体は、富豪を殺して宝石を奪った女賊。富豪の反撃で左手首を切り落とされたので、腕輪付きの義手を嵌めていました(その義手の中には宝石がぎっしりと!!)。最後は主人公の友人の父親に悪戯されそうになり、両者ノックダウン!!(笑)そこで義手が外れ、正体がバレます。悪い事はできませんね。路傍の人当てども無い散歩を趣味とする主人公。そんな彼の行く先々で出会う不思議な男性(主人公は「路傍の人」と名付けます)。次第に主人公は男性と意気投合していきますが、彼は常人の及ばない鋭い推理力を持っていました。デパート内を体調不良の様子でウロつく女性を万引きの常習犯と見破ったり、怪しげな露店街に住み着く頭のおかしな女性を正常な人と見破ったり・・・・・・。(彼女の正体は子爵令嬢。彼女は3回も離婚して世の中が嫌になっていたところ、職工に囃し立てられる頭のおかしな女性を見て羨望の気持ちが湧きます。そこで令嬢は頭のおかしな女性に金を与えて、彼女の身代わりをして職工相手に楽しんでいました。でも、令嬢が与えたお金の為に強盗に入られ、頭のおかしな女性は殺されてしまいます)路傍の人は、これは推理力では無く好奇心によるものだと言います。自分と同じように常人とは違う思考を持つ者を直感で嗅ぎ付け、追い詰める事で自身の正常を保っているとの事。物語に登場する直感型の探偵は、誰もが多かれ少なかれ反社会的な思想を持っているという事でしょうか?帰れるお類「夫婦書簡文」では小説として書いた事を、こちらでは実行しちゃったという感じですね。こちらの夫婦も作家で共働きですが、あちらの夫婦ほど達筆ではありません。すなわち、それほど裕福ではありません。主人公の女性作家は売れっ子作家に駆け落ちを持ち掛けられ、つい魔が差して駆け落ちに応じてしまいます。夫に原稿用紙に書き置きを残して家を出ますが、駅で売れっ子作家からの手紙を受け取ります。駆け落ちの話は酒に酔った勢いによるものだった、と書かれていました。女性作家が家に帰ると、書き置きを読んだ夫がオロオロしていました。彼女は夫から家出したのでは?と聞かれると、書き置きのようなのは小説の文章で、自分はただ買い物に出ただけと取り繕いました。売れない作家であっても、夫の事が好きなんですね。最後、妻が切符を落として家出していた事に気付いても、あえて気付かぬ振りをしてやる夫も良いです(切符、払い戻しできないのかしら?)。いたずらな恋俳優に間違われるほどイケメーンな主人公。中年成金と結婚した美人の若妻から大変な頼み事をされます。若妻の元カレからの手紙が常連の男の手に入り、彼から強請られているとの事。夫にバレないうちに、常連男の部屋から手紙を盗み出して欲しいそうです。主人公は若妻の頼みを喜んで引き受けますが、常連男に見つかった上に警官まで来て大変な事になります。警官は主人公が盗み出そうとした封筒の中を改めて、どういう訳か、これは主人公の物だと言い立ち去っても良いと言います。後で封筒の中身を見てみると、入っていたのは主人公の写真!若妻の字で「My Lave」と書かれていました。大喜びの主人公でしたが、実は若妻は好意を持った男性には皆にこのような悪戯を仕掛けるらしく、引っ掛かったのは1人や2人では無いとか。常連男も警官(実は若妻の夫)もグルでした。警官のコスプレをしてまで、このような妻の悪戯に協力して許す夫。妻との年齢差を感じているせいかもしれませんね(しんみり)。上海氏の蒐集品(コレクション)横溝正史先生の最後の作品。戦争で記憶を失い、上海で保護された為「上海氏」と呼ばれている男性。画家をして暮らしていますが、人嫌い。それでも、父が兵隊にとられて行方不明になっている少女とは仲良くしています。少女の家は貧しく、大学への進学は諦めなければいけないと思われていましたが、団地造成の為に土地が買い取られ、少女と母は大金を握る事になります。その日から母は守銭奴になり、大金の在りかを娘に隠して自分だけの物にして若い愛人と暮らす事を考えました。酷い母親です。でも娘は大金の在りかには気付いていて、関係を結んでいた団地の工事現場の監督に母と愛人を殺させます。遺体の処理をしているところを上海氏に見つかり、あの娘に利用されてはいけないという上海氏の言葉を聞き入れず、現場監督は遺体の処理をしようとします。上海氏は現場監督と揉み合ううちに足場から足を踏み外し、落下して絶命します。少女の母と愛人殺しは、少女の幸せを願った上海氏の仕業という事になってしまい、その後、現場監督も足場から落ちて死亡します(誰の仕業かは明白ですね。口封じの為か、上海氏の仇を討ったのか・・・・・・)。上海氏のコレクションだった絵馬。この絵馬に押されている手型の指紋と書かれている名前から、上海氏は少女の父親である事が読者にだけ明かされます。物悲しい作品ですが、気に入っている作品でもあります。今回は、ここまで。
2023.12.24
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12月最初の最強寒波の翌日は暖かな1日でした。今回は横溝正史短編集「空蝉処女」の感想を書かせて頂きます。横溝先生の初期短編集で、数が多いので2つに分けて感想を書きたいです。全体的にミステリーと家庭小説が半々ぐらいに載せられていますが、前半の作品は短編とはいえどれも中身が濃くて読み応えがあります。クリスマスの酒場クリスマスの夜、失恋してフランスへ渡航する際に友人と酒場でお別れ会をしている主人公。そこへ5年前、主人公に暴漢から救われたという女性が現れ、お礼と恨みを言いに来ました。主人公は暴漢から彼女を救った後、自分の着ていた上着を着せてやったのですが、そのポケットには盗品のハンドバッグが入っていて、お陰で彼女の父が盗みの罪で投獄され獄死してしまったとか!ハンドバッグの中に入っていたロケットが落ちているのを拾った彼女は、主人公に恨みを言う為に肌身離さず持ち歩いていたようです。そこへ割り込んで来たのは、酒場の片隅に座っていたポパイの面を被った中年男性。そのロケットは妻の物だと言います。ハンドバッグが盗られた後、妻は何者かに殺害されます。死に際の妻の言葉では、ロケットの中に犯人の写真が入っているらしく、ハンドバッグを盗んだスリを探し出し締め上げると、刑事の目を避ける為に側にいた男性(主人公)のポケットにハンドバッグを入れたとの事。必死の捜索で、やっと主人公を見つけたらしいです・・・・・・。実はこれらの話は、主人公の恋人が彼とよりを戻す為に、主人公の友人、女性、ポパイ男性と打ち合わせて、彼が船に乗り込むのをギリギリまで引き延ばす為にしてもらった作り話でした。主人公は最初から嘘話に気付いていたようで、何故なら5年前に暴漢から救ったのは彼の恋人だったからです。主人公と恋人は共にフランスへ渡り、メリークリスマスのハッピーエンドとなりますが、現実問題として、自分の気付かないうちにポケットに妙な物を入れられたら、不幸の連鎖を引き起こし兼ねませんから要注意ですね(汗)。花嫁富籤不況からリストラされた主人公のダンサーの女性。胃癌で余命1ヶ月という中年男性から花嫁衣装と大金が当たるという富籤を貰います。運の良い事に、彼女が貰った番号の富籤は当たりくじでした(はノ八八八八番。ハのハハハハハ!!笑)当たりくじに目がくらんだダンサー女性は、大喜びで富籤を商品に引き換えに行きます(話があると呼び掛けてきた友人男性にすげない態度を取って)。でも、彼女の持っている富籤は半分だけ。もう半分の富籤が無ければ商品と引き換えられないとの事。何でも、胃癌男性は縁結びのような軽い気持ちで不況に喘いでいそうな男女に富籤を半分ずつ分け与えたそうなのですが、どういう訳か当たりくじの半分を持っている筈の男性が名乗り出てくれません。一体どうなってるの!?そうしているうちに、有名人女性の体を奪おうとするならず者に襲われそうになり大ピンチ!!そこへ彼女がすげなくした友人男性が駆けつけ、必殺のライダーキーック!!でならず者を倒します。実は、当たりくじの半分は彼が持っていました。見知らぬ男性から貰った富籤が当たっていたので彼女に話そうとしたら、当たりくじに目がくらんだ状態の彼女にすげなくされたので、不貞腐れて焦らしていたそうです。その時、彼の話を聞いてやれば良かったのに・・・・・・。人間、目先の欲に目がくらむと周囲の事が目に入らなくなるのですね(汗)。でも、大金が手に入ったら彼と2人で一緒に暮らす事も考えてましたから、それはそれで良いかも。ちなみに、中年男性の胃癌というのは医師の誤診だったようで、彼は2人のパトロンになってくれました。富籤を売り出した会社も今回の事で注目を浴びて不況から立ち直り、全ては万事OKのハッピーエンドで終わりました。仮面舞踏会祖母や母から失踪した祖父の事を聞かされて育った主人公の青年。その真相を探る為、将軍家の令嬢に近付きます。屋敷では毎年身内だけで仮面舞踏会が行われ、主人公も参加する事になりますが、令嬢の曾祖父の老将軍は正装した主人公を見て、彼が自分が遠い昔に妻(令嬢の曾祖母)と共に殺害した男性に瓜二つなのを見て驚きます。将軍は妻とその男性(主人公の祖父)との仲を誤解して2人を殺害したのですが、妻だけが彼を初恋の人として恋慕していただけで、その男性には既に妻と娘がありました。全ては誤解と知った将軍は罪の意識で頭がおかしくなっていましたが、主人公と令嬢が妻と初恋の男性になり切って、2人は生きていた、いや生き返ったとして全ては悪い夢だったと将軍を安心させます。将軍は主人公に妻を譲ると言い残し、息を引き取ります。老将軍は永眠し、若い2人は結ばれ一応はハッピーエンドですが、一番気の毒なのは主人公の祖父・祖母・母ではないでしょうか。祖父が愛していたのは、あくまでも自分の妻子だった筈ですから、将軍の妻の愛人に勘違いされて、とばっちりも良いところです。祖母と母も愛する夫や父を失いました。将軍の妻も罪な人です。佝僂(せむし)の樹裕福な官吏の家に生まれながら、身障者の書生と母親代わりの家政婦から異常な愛情を受ける令嬢。その令嬢の元婚約者(自動車事故で死亡)から託された桜の花簪を令嬢に届けた事から事件に巻き込まれていく主人公。犯人は異常な愛情で令嬢を繋ぎとめておく為に邪魔者を次々と排除し、ついには身内以外の者にまで魔の手を伸ばします。主人公にも、主人公の知人のダンサーにも(令嬢の元婚約者は犯人の襲撃により令嬢との結婚を諦め、ダンサーと交際していました)。意を決した令嬢は犯人を自分の手で斃し、自らも命を絶ってしまいます。婚約者の後を追ったのか、事件の原因は自分と思ってけじめを付けたのか・・・・・・。悲しい運命の女性です。飾窓の中の姫君デパートの飾窓(ショーウインドー)で商品の服の紹介をするのを職業とする主人公の女性。仕事中に自分と瓜二つの男爵令嬢(家出中)と間違われます(彼女とすれば、令嬢よりも女優に似ている方が嬉しいとか:笑)。そんなある日、その男爵令嬢が主人公の家にお忍びで訪ねてきて、望まない相手と結婚させられそうなので、しばらく自分と入れ替わって欲しいとお願いします。こうして主人公はしばらくの間、田舎へ里帰りする事になり、男爵令嬢は主人公の代わりにデパート勤めをする事になります。令嬢は初めての庶民の生活が新鮮で、デパートの仕事が楽しくて仕方が無い感じ。そんな時、ある映画会社の常務が主人公(に成りすましている令嬢)を気に入って女優になる事を進めます。その常務こそ、令嬢が結婚させられそうになっていた相手!もっと年配だと思っていた常務が若き好男子だった事を知り、令嬢は大喜び!!(笑)面白くないのは主人公の彼氏。すっかり浮かれている令嬢が映画会社常務と結婚すると言い出しますので、オレはどうなるんだ!?という事になりますが、あなたは彼女(主人公)と結婚するんだから安心して、と支離滅裂・・・・・・(笑)。もし主人公が田舎から帰ってきたら、自分はいきなり女優になっているわ、彼氏からは人格分裂症と思われているわ、思い切り面食らうでしょうね(笑)。でも、2組のカップルがそれなりに収まりそうですので、まずはハッピーエンドですね。覗機械倫敦綺譚(のぞきからくりろんどんきたん)珍しくもイギリスが舞台の物語で、登場人物もイギリス人です。主人公の元令嬢は若くして両親を亡くし、悪人に財産を奪われ、無実の罪で投獄され前科者のレッテルを貼られて出獄するという不運の塊のようなヒロイン。ロンドンへ向かう汽車の中で、自分と同じ年頃の身なりの良い女性に出会います。彼女は家の財産の管理者である父の従兄弟に会いに行く途中でしたが、心臓発作で亡くなってしまいます(彼女の両親も心臓発作で亡くなったとか)。女性は死に際、主人公に自分の全ての物を託してくれましたので、主人公は彼女に成り代わって財産管理者宅に向かいます。そこからが主人公の災難の始まり。成り代わった女性の財産を狙う財産管理者夫婦からは命を狙われ、監獄で一緒だった元女囚からは金を強請られ、成り代わった女性の婚約者は結婚詐欺師で、主人公が偽の彼女と知りながら財産を自分達の物にしようと持ち掛けたりと、周りは野獣だらけ!!勘弁してよ!!(それでも、財産管理者夫婦の息子は良い子です)でも結婚詐欺師、根っからのワルでは無く、主人公の清らかさに改心し、財産管理者にガスで殺されそうになっている彼女を助け出します。そして2人で新しい生活をする為にアメリカへ旅立ちます。一方、財産管理オヤジは泥酔状態で主人公の部屋に行き(既に彼女は逃げた後)、ガスを出している事を忘れてタバコを吸う為にマッチを擦って自爆!!(天誅!!)主人公は行方不明、オヤジは自爆という事になると、財産は自動的に息子の物になるのでしょうね。何はともあれ幸せになって欲しいです。花火から出た話父親である高名な博士が「娘から猫眼石の指輪を取り上げた者に娘と結婚させる」というトチ狂った遺言を残した事が発端で事件に巻き込まれる主人公の船乗り。花火と共に打ち出された花束に入った猫眼石の指輪を手に入れた為に、博士の令嬢の3人の求婚者(博士の秘書・令嬢の従兄弟・医者)から付け狙われる羽目に陥ります。しつこい求婚者達に指輪を渡さない為に、令嬢は指輪を花束に入れて花火と共に打ち出したのを主人公が手に入れたのでした。主人公は令嬢と仲良くなっていきますが、ちょっとした誤解から険悪なムードになってしまいます。でも、誤解を解いた後は手に入れた指輪を差し出して令嬢とハッピーエンドへ向かいます。主人公の船乗りの正体は、かつては天才と謳われた男性歌手。若気の過ちで無茶な生活をしていた為に喉を壊し、心身を改善する為に船乗り修行をしていたそうです。これを機に、もう無茶はやめて欲しいですね。物言わぬ鸚鵡(おうむ)の話妻を囮にして引き寄せた男性を殺害して金品を奪う生活を続けていた悪人の夫。でも、中には妻が本心から愛した男性もいて、妻が彼の名を口にする度にペットのオウムまで彼の名を言うようになった為、夫はオウムの舌を切ってペットショップに売り飛ばしてしまいます。オウムは主人公の友人が購入し、恋仲の主人公の妹にプレゼントするのですが、彼女は熱病で発声器官を壊していて、物言わぬオウムに自分を重ねて非常に悲しみます。この事が切欠で主人公がオウムの出所を調べ始めたので、今までの犯罪に感づかれたと思ったのか、妻は夫を殺害してしまいます。もしオウムが主人公の妹に渡っていなければ、夫婦は罪を重ね続けたのでしょうか。空蝉処女(うつせみおとめ)空襲により傷つき、記憶を失くした美女。彼女は主人公宅に保護されて、戦地から復員してきた主人公は彼女に恋心を抱きます。ただ、彼女の雰囲気はどう見ても未婚の女性に見えるのに、時折発作的に坊やの名を叫び泣き出すのです。彼女と結婚を考えている主人公は不安になりますが、彼女の素性を知る落ち目歌手から彼女が赤ん坊を連れていたという情報を得て愕然となります。でも、真相は違っていました。彼女が連れていた赤ん坊は、実は彼女の亡くなった姉の子。甥っ子でした。彼女は空襲のドサクサで坊やと離れ離れになりますが(坊やは無事保護され彼女の親元へ)、その後記憶を失い、僅かに残った記憶から坊やの名を叫んでいたようです。主人公は後々彼女にプロポーズしそうな雰囲気ですが、どうか幸せになって欲しいです。今回は、ここまで。
2023.12.23
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今回は横溝正史作品集「消すな蝋燭」の感想を書かせて頂きます。どれも戦後すぐに書かれた作品ばかりで、戦時中に溜めていた横溝先生のエネルギーが噴き出したせいか、短編ながら中身が濃厚で作りが凝っています。後半の2作品には金田一耕助探偵が登場します。消すな蝋燭主人公(横溝さんっぽい人)が疎開した田舎の村で聞いた昔の話。その村には愛し合う若い男女がいましたが、意地悪な老尼の中傷で2人の仲は険悪な事に・・・・・・。その夜、恋人の男性が老尼の家に近付くのを目撃する女性。心配になり老尼の家の中へ入ると、そこには男性の手拭いで絞殺された老尼の死体!!彼女は慌てて手拭いを隠し証拠を隠滅した後、危なっかしい位置に立つ蝋燭を不用心な事をすると思い吹き消しました。後日、証拠を隠したにも拘らず男性は容疑者として逮捕されます。村の知恵者の和尚さんの知恵を借りて真犯人は見つかりますが、男性は釈放された後、警察の拷問まがいの取り調べの後遺症で病死してしまいます。何故、恋人の男性が容疑者と見なされたか。それは、老尼宅の蝋燭に男性の指紋が付いていたからでした。その蝋燭は女性が老尼に貸した物で、男性はそれに触っていました。真犯人は蝋燭を発火装置にして全てを焼き尽くすつもりでしたが、それを知らずに女性が消してしまったので男性の指紋付きの蝋燭が残るという最悪の事態になってしまい、それを知った女性は罪の意識で後追い自殺してしまいました。題名の「消すな蝋燭」というのは以上の理由から来ているのですが、そういう問題では無いと思います。大体、普通の人が何かあったからといって恋人が人殺しをし兼ねないなんて思いますか?それ自体で、この男女前途は既に終わってますよ。神楽太夫従兄弟同士でありながら、1人の女性を巡っていがみ合う2人の若い神楽太夫。そのうちの1人が顔の潰れた死体で発見され、1人が行方不明になりました。地元の警部補は、神楽太夫のどちらかが相手を殺して自分が殺されたように見せ掛けようとしたものと断定して捜査を進めますが、何と後になってもう1人の死体も発見されます。真犯人は、2人の神楽太夫が争っている女性に横恋慕する第3の男。彼は2人が争うのを見つけて2人とも殺害した後、どちらかが相手を殺してトンズラしたように見せ掛けたのです。面目を失った警部補は警察を辞めて、コレクションにしていた探偵小説を焚火にして主人公の探偵小説家(横溝さんっぽい人)と焼き芋を食べました(何もそこまでしなくても・・・・・・:笑)。靨(えくぼ)昔栄えていた湯治場に泊めてもらった主人公の画家は、その家の娘(既婚者)と親しくなり、彼女の為に肖像画を描きます。その肖像画の彼女の顔には夫にさえ見せた事の無い、心からの喜びの靨が・・・・・・。嫉妬に狂った彼女の夫の婿養子は、画家の殺害を計画。何者かが自分と間違えて画家を殺害したように見せ掛けようとします。その加害者に選ばれたのは、夫の元カノの兄。夫は湯治場の婿養子になる為に付き合っていた女性を袖にして、お腹にいる子を薬で殺せという冷酷な手紙を送りつけていました。それが原因で女性は自殺。それが理由で女性の兄が自分を恨んでいるのを良い事に、彼を殺人者に仕立てる為に事前に彼を殺害して埋めてしまいました。何という男でしょう!!夫に誘き出され襲撃を受ける画家でしたが、必死に反撃して凶器を奪い返り討ちにしました。このままでは自分が殺人犯にされてしまうので、画家は夫に成りすまし逃走。何とか難を逃れました。夫の死体発見後に容疑者である夫の元カノの兄の死体が見つかりますが、夫より先に死んでいた事が判明。事件は謎のまま終わりました。戦地から復員して面変わりした画家は小説家を名乗り再び湯治場に来ますが、家の娘の叔母は彼の正体を見抜き、全てを察しながら周囲には黙っていました。そうですね。あんな奴の為に殺人犯にされる謂れは無いです。娘は夫の死による気苦労で病床に臥していましたが、画家を見るとその顔には再び心からの喜びの靨が・・・・・・。どうか、2人とも幸せに暮らして欲しいです。蠟の首村はずれの一軒家が火事になり、焼け跡からはその家の夫婦のものと思われるボロボロに焼け崩れた白骨死体が発見されます。割合に残っていた頭蓋骨の部分を復元して蝋で肉付けしていくと、1つは妻の顔、もう1つは夫では無い別の男性の顔が出来上がりました。その男性は夫の友人で、妻は元々その男性と許婚者の関係でした。でも、どういう訳か妻は夫の方になびいて行き、それを嘆いた男性は海に身を投げて自殺してしまい、死体は白骨化して打ち上げられました。妻が夫になびいた原因は夫に力づくで体を奪われたせいで、それでも心の底から自分の物にならない妻を夫は殺害。研究所から盗み出した白骨死体を自分の身代わりにして、夫婦とも火災で死亡したように見せ掛ける為、自宅もろ共焼き払いました。何という男でしょう!!皮肉にも身代わりに使った白骨死体は妻が愛した男性のものだった訳で、逮捕された夫は因縁めいた事実に恐れをなして犯行を自供しました。友人になる相手を誤った為に起きた何とも不幸な事件ですが、愛し合っていた2人は死ぬ事により、やっと結ばれたのですね。悲しいです。泣虫小僧戦争で両親を亡くし、自分の力で生き抜いている戦災孤児の少年。彼はいつも1人で物思いにふけってはポロポロと涙を流すセンチなところがありました。誤解されるようですが、彼は「泣虫」であっても決して「弱虫」では無いです。持ち前の勇気とバイタリティで困難に立ち向かうところがあります。ある夜、少年は民家の庭に野菜を拝借しに入りますが、どういう訳か家中の戸が開きっ放し。不思議に思って入ってみると、女性が死んでいてビックリ!!そして、奥の部屋で人影を見ます。そのまま逃げれば良いのですが、止せば良いのに女性の死体の側に落ちていた財布を拝借してしまいます。その後、女子高生風の少女が父が落とした財布を探していました。少年が殺人現場で拾った財布は少女の父の物でした。でも、それが元で少女が殺人事件の容疑者として逮捕されてしまいます。その危機を救ったのが戦災孤児の少年でした。殺人者は少女でも少女の父でもありません。少年が目撃した事を証言したお陰で真犯人は捕まり、少女は釈放されました。少年は少女の家に引き取られる事になり、泣虫癖が治ります。少年少女が活躍するせいか、少年向け横溝作品の雰囲気がするお話でした。鴉(からす)お彦様(鴉を使いとする神)を守り神とする湯治場に訪れる金田一さん。その湯治場の当主の孫娘の夫(婿養子)が3年前、神社の神殿の中へ入ったきり行方不明になっていました。後には3年後に帰るという鴉の羽と血で書かれた手記が残されていて、おこもり堂には何故か鴉の死体がぶら下がっていました。この失踪事件、実は当主の孫娘と婿養子が仕組んだ事。孫娘は自分が子供を産めない体である事を、曾孫(後継)を楽しみにしている祖父を落胆させてはいけないと思い隠していました。そして、祖父の健康状態から存命期間を3年ぐらいと見積もって、婿養子である夫に3年間、姿を隠してもらう事にしました。その機に乗じて、当主の後妻の甥がおこもり堂で婿養子を殺害。婿養子が帰らなければ、自分が孫娘と結婚できるからです。その後、婿養子の扮装をして神殿に入り、彼を夫と思っている妻の孫娘の手引きで周囲にバレないように外へ出て逃走後、変装を解きました。おこもり堂の鴉の死体は、婿養子の血の跡を鴉の血で誤魔化す為でした。当主の後妻の甥は散々利用した孫娘の従妹の少女を口封じに崖から突き落とそうとしますが、それをかわされ自分が崖から落ちて自滅しました(天誅!!)。何にしても、これは血筋の存続を重視する家風が招いた悲劇ですね。首300年前、殺された名主の首が滝から突き出した獄門岩に乗せられていたという言い伝えがある村の湯治場に訪れる金田一さん。1年前、その湯治場の婿養子が殺害され、首が獄門岩に乗せられるという事件が起きていて、今回もまた湯治場に訪れていた映画のロケ隊の中の監督が殺害され、首が獄門岩に乗せられるという事件が起きました。不思議な事に2つの事件は、手口は同じでもまるで接点がありません。全ては湯治場の娘(婿養子の妻)の遺書から分かります。最初の事件は、仲間と狩猟に出掛けていた婿養子が睡眠薬で仲間を眠らせた後、湯治場に戻って来て妻を殺そうとしました。そして妻と揉み合っているうちに誤って自分をナイフで刺して死んでしまいます。妻の叔母は姪を庇う為に婿養子の死体の首を切り落とし、体だけ川に流した翌日、狩猟仲間に弁当を届けに行った際に獄門岩に首を乗せました。その為、犯行は狩猟場付近で行われたものと判断されます。そして2度目の事件は、湯治場の壁の穴に隠してあった妻の遺書を見つけた映画のロケ隊の助監督が、自分の恋人の体を奪い死に追いやった悪辣な監督に復讐する為に遺書に書かれていた方法を使います。撮影の為、屋外で野宿していた監督を女優を口説くという口実で呼び戻し、殺害して首を切り落とし、体を川に流して首だけを獄門岩に乗せました。復讐を果たした助監督は、最初の事件の妻と叔母の事を伏せたまま自殺してしまいますが、金田一さんには全てが分かっていました。それでも、金田一さんも哀れな妻と叔母の為に事実は伏せておきました。何から何まで事実を暴くのが正義ではありませんからね。今回は、ここまで。
2023.12.20
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今日は12月に入ってから最高の冷え込みになりました。先週は12月とは思えないような陽気の毎日が続き、昨日の雨が上がった後は放射冷却のせいか10℃近く冷え込み、大阪の最高気温は9℃と1ケタ台になりました。それでも私は厚着をして、今日も図書館巡りに出掛けました。今日で一応、私の在住地と相互貸し出しの契約をしている図書館のカード全てが揃いますので。今回借りたのは、江戸川乱歩原作の「幽鬼の塔」。素人探偵の主人公が五重の塔での首吊り自殺に遭遇してから連続して首吊り事件に巻き込まれていきます。次に借りたのは、同じく江戸川乱歩原作の「時計塔の秘密」。以前借りた「幽霊塔」を少年向けに書き直したもので、私が小学生時分に読んだのがこの本でした。宮崎駿さんも思い入れが深い作品。表紙絵の女性が「カリオストロの城」のクラリスを思わせます。私が今回訪れたのは、大東市立中央図書館。大東市の総合文化センター・サーティホールの中にあります。大東のキャラクター・ダイトンくん他、図書館キャラクター・河童の語朗(かたろう)くんなどのキャラクターがいました。 これらは、周辺の花々。次に訪れたのは、旭図書館。芸術創造館もある旭区民センター内にあります。私が小学校まで住んでいた所の図書館で懐かしいです。旭区のキャラクター・しょうぶちゃん他、可愛い動物キャラクターがいました。 この図書館は川沿いに建ち、敷地内には噴水もあります。でも、周辺の花は少な目ですね。これで相互貸し出しの契約をしている図書館のカード全てが揃いましたので、これからは相互貸し出しをしていない遠方の図書館も巡ってみたいです。
2023.12.17
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懐かしの江戸川乱歩の動画の数々をまた見つけました。江戸川乱歩の「美女シリーズ」以前も動画を載せていたのですが、削除されていたので再び載せる事にします。「美女シリーズ」は、昭和初期に江戸川乱歩が書いた原作を現代に舞台を置き換えていますが、全然違和感が無いのは乱歩作品がそれだけ時代を超越した魅力を持っているという事ですね。浴室の美女(魔術師)氷柱の美女(吸血鬼)宝石の美女(白髪鬼)悪魔のような美女(黒蜥蜴)白い人魚の美女(緑衣の鬼)
2023.12.16
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今回も横溝作品の感想を書きます。長編で中身が濃い作品2点。今回は、ちょっと長くなります。雪割草横溝先生が書かれた最初で最後の家庭小説です。まあ、短編の中にも家庭小説っぽい話はいくつかあって、横溝先生の意外性に驚かされてはいますが、この「雪割草」は本格的な長編小説で、雰囲気とすれば波乱に富んだ朝ドラ。原作者の名前を伏せたら横溝作品とは分からないと思います。主人公の女性は婚礼が決まり幸せの絶頂にいましたが、嫁ぐ直前に私生児である事を理由に婚礼が破断になってしまいます。初っ端から不幸の始まりです。養父の死後は実の父を探す為に上京するも、騙されて売られそうになり、逃走したら車に轢かれ、銀行印を盗まれて路頭に迷うという不幸の連続攻撃。勘弁してくれよ!と言いたくなる展開です(苦笑)。そんな中でも助けてくれる人達もいて、主人公の持ち前の強さもあって、様々な苦難を乗り越えていきます。そこで出会ったのが宿世の夫となる、ヨレヨレの袴とお釜帽のもじゃもじゃ頭の男性。名探偵のあの人に似ていますが、彼は探偵では無く日本画家です。この男性、画家としての才能はありますが、お脳が子供っぽい為、妻になった主人公は苦労させられます。その苦労の日々の中、夫が病気にかかり生活は貧困状態に・・・・・・!!そんな中、主人公の実父が夫の師匠の大物日本画家と判明し、父娘の感動の再会となるところなのですが、実父の妻(主人公の母では無い)が血の繋がりの無い主人公をこれでもか!とばかりにイビリ倒します。トホホ・・・・・・(汗)。それでも、父親違いの妹が助けてくれて義理母とも和解。夫の病気も治り、物語はハッピーエンドへと向かいます。私はこういう逆境に耐えて乗り越えていく女主人公(シンデレラ、小公女、おしん、キャンディ・キャンディ等)の物語が大好きで、人生のお手本にしてきました(私自身がいじめられっ子でしたので)。この物語が執筆されたのは、第二次大戦の開始される前後ぐらいで、日本人同士の殺人が描かれる探偵小説を書くなど御法度の時代。人によってはこの作品の事を、当時の上層部の要求に従い流されるままに書かれた人畜無害で優等生的な中身の無い作品のように思っているようですが、私はそうは思いません。当時のようなご時世だったからこそ、人々に困難に立ち向かう勇気と希望を与える作品が必要だったと思います。この作品は、ちゃんと横溝先生の意思によって書かれています。このような未知の初期作品を読んで、今まで知らなかった横溝ワールドが更に広がりました。これからも横溝先生の未読作品、読み続けたいです。夜光虫昭和初期の名探偵・由利鱗太郎と新聞記者・三津木俊助が活躍します。主人公は肩に人の顔のような腫瘍・人面瘡をもつ美青年。そして、彼の宿世の妻となるべく美少女。2人の親達は愛し合いながらも、周囲の事情から別の相手と結婚しなければいけませんでした。そのような事情で、自分達が結ばれないならせめて自分達の子供を添い遂げさせようと約束し合い、男性の側の夫婦から生まれたのが美青年。女性の側の夫婦から生まれたのが美少女でした。更に、美青年の父は事業で儲けた莫大な財産をある場所に隠し、その隠し場所を記す暗号の鍵を本人達には秘密で美青年と美少女に託していました。そんな両者の幸せを引き裂いたのは、美青年の叔父に当たる極悪非道な父の弟。彼は兄の愛した女性に横恋慕し、恋が叶わないとなると彼女を殺害してその罪を兄に着せます。その結果、それぞれ親を亡くす2人――美少女は声を失い、美青年は美少女と引き裂かれサーカスで育てられる事になりました。それでも飽き足らず、美青年の叔父は兄が隠した財産の在りかを探る為、隠し場所の暗号の鍵を握る美青年と美少女を狙ってきます。最終的には、財産の隠し場所である時計塔(乱歩先生の「幽霊塔」に似てます)で離れ離れになっていた2人は再会を果たし、悪叔父は滅び、愛し合う2人は莫大な財産を受け継ぎハッピーエンドへ向かいます。ゆりりん&三津木の他に、美青年を匿い助けてくれる美貌の女性歌手も登場します。その為、彼女自身も危ない目に遭いますが、それでも最後まで美青年の手助けをしてくれます。でも、最後の方の女性歌手に対する美少女の態度が険悪だったのが、良い雰囲気をぶち壊しましたね。皆が助けに来てくれた安心感と疲れから美青年が昏睡してしまった際、彼を介抱しようとする女性歌手に「この人は私のものよ!!」と怒りの形相を向け、乳母に彼女を押し退けろと命令します(乳母さんも、しっかり実行してくれます。自分をお嬢様の所へ連れて来てくれたのは彼女だというのに)。女性歌手さんが心配して医者を連れて来ようとしてくれた時も「あなたじゃ嫌っ!!」と、乳母に医者を連れに行かせたり。気持ちは分かるけど、勿体無くも彼女はアンタの愛する人の恩人だよ!?人に対するお付き合いの仕方を知らんのか!?いい加減にしろ!!まあ、この美少女も閉鎖空間で生きてきたような人だから無理も無い事かも。描写は無いけど、彼女は美青年に叱られて女性歌手さんに謝罪した筈だから良しとしておきましょう。今回は、ここまで。
2023.12.15
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先週の土曜日から秋のような陽気が続いています。そのせいで天気も不安定ですので、雨具は手放せませんね。今回も江戸川乱歩作品の感想を書かせて頂きます。中には乱歩先生のデビュー作と最終作があります。陰獣美貌の人妻を脅迫する謎の猟奇探偵作家。果たして、彼は本当に存在したのか?SM趣味から妻が苦しむ姿に快感を感じる実業家の夫が彼の名を騙って及んだ事か?それとも、全ては夫を殺害する為に妻が仕組んだ事か・・・・・・?主人公の健全な探偵作家は美しい人妻に魅かれながらも、彼女に疑惑の念を抱きます。人妻は夫の財産を奪う為に架空の猟奇作家を作り出し(執筆は自分が担当)、夫が猟奇作家に変装して自分を驚かそうとしたところ、誤って事故死したという筋書きで夫を殺害したのではないかという推理を人妻に突きつけます。その結果、人妻は自殺してしまいますが、それは彼女が犯行を認めたという事なのか?それとも、愛した探偵作家に見放されたせいか?最後まで謎が謎を呼ぶ物語ですが、結局のところ作者が言いたいのは、人は誰でも心に闇を持っているという事では無いでしょうか?主人公の探偵作家にしても、序盤は健全な態度を取りながら徐々に人妻の色香に酔っていき、後半では人妻と共に変態プレーに興じていく様にはドン引きしました。結果的に人妻を自殺に追いやってしまった探偵作家。これからも、自分が仕出かした事に悩み続けていくのでしょうか・・・・・・。(「江戸川乱歩作品集」収録)一枚の切符乱歩先生のデビュー作。列車に轢かれて死亡したと思われた博士の妻が、解剖の結果、毒による死亡と判明。自殺では無く他殺として捜査された結果、犯人は夫である博士と断定されます。雨降りの現場には重い物を運んだような博士の靴跡が発見されましたが、妻の足跡は発見されませんでした。その理由で、博士が妻の死体を線路まで運んだものと判断されました。事件を知った主人公の書生は、現場で事件発生の前日の日付印がある切符(列車から誰かが捨てた物)を発見します。そして、その切符の上にあった大きな石が博士邸の裏にある石と似ている事、犯人の足跡が片道分しか無い事、更に妻の愛犬の足跡が犯人の足跡に並行して残っていた事から、犯人は殺されたと思われていた博士の妻自身であると結論付けます。妻は夫の靴を履いて大きな石を運び、夫が自分の死体を運んだように見せ掛けようとしたのですが、皮肉にも自分が可愛がっていたワンコの為に犯行がバレてしまったのでした。全ては、愛人を作った夫への憎悪の為。いつの時代も、夫婦間の愛憎は怖いです。(「江戸川乱歩作品集」収録)断崖男女の会話という面白い方式で話が進んでいきます。親から莫大な遺産を受け継いだ妻と結婚した夫。その夫が愛人を作り、妻から財産を奪う為、別人に変装して妻を殺そうとするも、先手を打っていた妻に正当防衛で射殺されてしまう。実は事をそうなるように仕向けたのは、夫婦の家の居候だった現在の夫。それを妻に指摘された為、元居候は断崖から妻を突き落とそうとするもかわされ、自分が崖から落ちてしまう。財産にしがみつく妻は、これからも正当防衛で夫になった男性を殺め続けて行くかもしれないとの事。お金に執着するって怖いです。(「江戸川乱歩作品集」収録)芋虫人間の性(さが)の恐ろしさを感じるのと同時に、悲しい物語だと思います。「踊る一寸法師」と並ぶぐらいラストが悲しいです。戦争で負傷して両手足と耳を失ってしまった軍人の夫。そんな夫へ亭主関白により押さえつけられていた反動か虐待を繰り返す妻(表向きは夫の介護に献身的な妻)。軍人である故か周囲にも高飛車だったようで、妻の他には誰も彼を助ける者がいない有様。やはり、日頃の行いの結果は返ってくるのだなと思いつつも気の毒に思います。妻は夫の視線を恐れるあまりに両手で夫の目を押さえつけ、力余って失明させてしまいます。その時の夫の苦痛に悶える様子、妻が何度も「ユルシテ」と夫の胸に書き続けて泣いて謝る様子、読んでいて胸が痛いです。最終的に夫は柱に「ユルス」と書き残し、庭の古井戸まで這って行き身を投げてしまいます。これが、今まで苦労をかけてきた妻に対する夫のせめてもの謝罪の気持ちだったのでしょうか。指何者かの襲撃で右手首を切り落とされるという重傷を負ったピアニストの男性。彼は友人の医師が経営する病院で治療を受けながらも、右手首を失くした事に気づいていない様子。それどころか、自分の作曲した曲を練習しているつもりになっているようで、医師が気になって手術室に保存してある彼の右手首を見に行くと、アルコール漬けになった右手首の指が動いていた・・・・・・。ここまでだったら単なるホラーで終わりそうですが、この後で医師が友人に右手首を移植する為の緊急手術を行ったとしたら、どうなるでしょうか。右手首が完全に死んでいたら朽ちていくしかないですが、もし元通りになるとしたら・・・・・・。何にしても、理不尽な暴力の前には屈しない人間の気力をこの物語から感じます。(ちなみに、この作品は乱歩先生の最後の作品です)(「芋虫」収録)火星の運河薄暗いどんよりとした物の怪が出そうな不気味な森の中を主人公が歩いているところから始まります。不気味な森を歩くうちに沼のある場所に着き、ふと見ると主人公の体は自分の恋人そっくりの女体に変わっていました。沼で泳ぎ、踊り狂いながら、この森には紅色が足りない事に気づき、主人公は自分の体を搔きむしり血だらけになりながら、くるくる回って踊り続けました・・・・・・。そこまでのところで、主人公は恋人に起こされ夢から覚めます。題名の「火星の運河」というのは、主人公の体から流れる血の事のようです。SF的な想像をした人(私も)には興ざめでしょうね(笑)。怖いようで幻想的な、不思議な物語です。(「芋虫」収録)白昼夢群集の見ている中、不倫妻を殺害した事を堂々と演説している薬屋の主人。それを見ていた主人公は、薬屋の中の人体模型の女性の蝋人形が明らかに人間の死体である事に気づいて、思わずその場から逃げ出してしまいます。それでも群衆は(お巡りさんでさえ)本気にせずに、薬屋の主人を変わり者だと思って笑っている始末。自分の犯した罪を自分から告白する者などいない、という先入観で判断する人々を皮肉っているのでしょうね。(「芋虫」収録)今回は、ここまで。
2023.12.13
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今日も秋が戻ってきたような暖かい陽気の1日でした。本当に冬物のコートが要らない暖かさで、今回の土日は12月とは思えない陽気でした。お陰で下着が、じっとり汗ばみました。こんなに汗かいたのは久々です(笑)。今回借りたのは、江戸川乱歩原作の「海底の魔術師」。沈没船の中の大金塊を狙って鋼鉄製の半魚人のような怪物が出現します。敵潜航艇との戦いやアクアラングの水中戦など、今回のは見所が満載です。次に借りたのは、昨日茨木市立図書館おにクルぶっくぱーくで見つけてキープしていた横溝正史原作の「髑髏検校」。横溝先生が得意とする時代劇物で、吸血鬼が出てくるホラー物。確か、2時間物のテレビドラマにもなった事があります。私が今回訪れたのは、淀川図書館。今年で開館40周年を迎える図書館です。こちらは、淀川のキャラクター・夢ちゃん。 周辺の花々は、ちょっと少な目でした。次に訪れたのは、西淀川図書館。西淀川区役所内にある、別名・こうのとり図書館と呼ばれる図書館です。西淀川のキャラクター・に~よんくん他、可愛いキャラクター達がいました。 大きな花壇があって、周辺の花々がきれいでした。今回の冬とは思えない陽気のせいで天気が崩れそうですので、雨具の用意はしておきたいです。
2023.12.10
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今日は秋が戻ってきたような暖かな1日でした。最高気温は19℃と例年の11月の半ばぐらいの気温で、冬のコートを着ていると汗ばむような陽気でした。その陽気の中、私は汗をかきながら図書館巡りをしました。今回借りたのは、明智小五郎全集。乱歩作品の中で明智探偵が活躍するものを選んでいます。既に読んだ作品もありますが、未読の作品もありましたので借りました。もう1つは、これも江戸川乱歩原作の「緑衣の鬼」。小学生の時、図書室で少年向けに書き直されたものを読んだ記憶があります。緑色の服を着た殺人鬼がある夫婦を狙ってきます。 私が今回訪れたのは、東淀川図書館。屋外プールやトレーニングルームもある東淀川区民会館内にあります。東淀川のキャラクター・こぶしのみのりちゃん他、可愛いキャラクターに出会いました。 周辺には、きれいな花々がたくさん植えられていました。次に訪れたのは、吹田市立さんくす図書館。ショッピングモールや病院、イベント会場もある賃貸店舗事務所・吹田さんくす3番館の中にあります。吹田のキャラクター・すいたん、図書館キャラクター・すいぽん他、可愛いウサギの親子などのキャラクターがいました。 周辺の花は、少な目でした。最後に訪れたのは、茨木市立図書館おにクルぶっくぱーく。今年の11月26日に開館したばかりの複合施設・おにクルの中にあります。5階と6階が図書館になっています。茨木市立図書館の中条図書館が度重なる地震の為、建物に限界が来たのでここに移されたようです。施設内には、イベント会場や遊び場、プラネタリウムもあるそうで、開館してから2週間ほどなのに、早くも親子連れや若い人達で賑わっています。施設手前の道路には、きれいな花壇が作られています。 茨木の図書館キャラクター・としょかんたろうくん他、可愛いキャラクターがいました。 残念な事に、茨木市は私の在住地とは相互貸し出しの契約をしていないので、本を借りる事はできませんでした。横溝正史作品で面白そうな本がありましたので、他の図書館で見つけたら借りてみたいです。秋の陽気の冬の街中で、久々に良い汗をかきました(笑)。明日も図書館で面白そうな本を借りたいです。
2023.12.09
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今回も江戸川乱歩作品の感想を書かせて頂きます。乱歩先生の作品の中でも人気と知名度が高い作品が集まった感じで、楽しい感想になりました。黒蜥蜴出ました、黒いトカゲの美女!これぞ乱歩先生の代表作というか、超人気作品です。美貌の女賊・黒蜥蜴は、過去に何度も映画やドラマ、舞台で演じられていますね。過去にも、京マチ子さん、小川真由美さん、島田陽子さんなど数多くの女優さん達が黒蜥蜴を演じてこられましたが、黒蜥蜴が当たり役と言えば、やはり美輪明宏さん!(でしょうか?)黒蜥蜴は、素性も経歴も一切不明の謎の女賊。それでいて、数多くの部下を従えているところを見ると、かなりの財力を持っているようです。美貌と知性、そしてカリスマ性も部下を惹きつける要因でしょうか。見所は、明智探偵と黒蜥蜴が対決していくうちに恋に落ちていくところでしょう。それでも、美しい男女を殺して剥製にして飾るような残酷な心を持つ女賊の恋に明智は応える訳にはいかず、最終的には黒蜥蜴を打ち倒します。毒を飲んで自害した彼女の額への明智探偵の口付けは、愛を知らずに生きてきた彼女に対するせめてもの手向けだったのでしょうか。白髪鬼明智探偵の登場しない作品。妻とその愛人の策略により殺害された富豪が墓場で甦り、生き埋めの恐怖から白髪になってしまいます。恐怖で頭髪が白髪になってしまう展開は「孤島の鬼」と共通ですが、空腹から墓場の死体に手を付けようとする展開は「闇に蠢く」と同じです(こちらは墓場の死体が骸骨になっていたので叶いませんでしたが)。甦った富豪は白髪となった事で別人に成りすまし、妻と愛人に復讐を開始します。墓場に隠してあった海賊の宝を利用して金持ちを装い、妻に近付く事で興味を惹き、ついには結婚の約束をします。富豪は最終的には妻の愛人を殺人兵器で圧殺し、妻を墓場に閉じ込め恐怖で発狂させますが、法に寄らない制裁が許されるはずも無く、彼は刑務所送りになってしまいます。復讐に燃えている間は気持ちが暴走していても、果たし終えて熱が冷めてしまうと罪悪感と虚しさが押し寄せるだけ。悲しいです。魔術師明智探偵の宿命の妻・文代さん初登場の物語。彼女は実の親から引き離され、殺人者の娘として育てられた不幸な生い立ちを持っています。殺人者の魔術師。被害者の生首を小舟に乗せて川へ流したり、魔術ショーの舞台上で堂々と人体を切り刻んだり、被害者一家を散々危ない目に遭わせます。全ては魔術師の親が被害者一家の主の父から受けた仕打ちに対する復讐というのが「悪魔の紋章」の犯人達と共通していますが、親の仇とは直接関係の無い子や孫まで根絶やしにしようとする心境がどうしても理解できません。これは復讐心というよりも、幸せな家族に対する妬みと見た方が良さそうですね。明智探偵の活躍のお陰で魔術師は滅び、文代さんはめでたく真の親元へ返されます。その後、文代さんは明智探偵の助手として次の話で大活躍します。吸血鬼文代さん大活躍の話。うら若き金持ちの未亡人とその幼い息子を狙う殺人鬼。その殺人鬼から2人を守る為、明智探偵が犯人探しに乗り出してきます。殺人鬼は明智探偵を阻止すべく彼の助手である文代さんを拉致しようとしますが、彼女は義理の父親である魔術師から色々手解きを受けた身。一筋縄ではいきません。犯人の懐から麻酔のガーゼをすり取って水で濡らしたハンカチと取り替えたり、モールス信号でSOSを送ったり、気絶した振りをして相手を油断させ、自分を人形とすり替えて変装して脱出したり、大活躍してくれました(結局、この時は犯人に逃げられましたが)。犯人の目的は自分の兄を袖にして自殺に追いやった未亡人に復讐する事ですが、犯人自身も美しい未亡人に恋焦がれていたような感じ。この未亡人は、生まれながらに魔性を持っていたようです。事件解決後、明智探偵と文代さんはめでたくご結婚。文代さんは明智夫人になってからも、地底の魔術王や人間豹といった敵と対決します。猟奇の果この物語は、前編後編の2部形式になっています。前編の主人公は資産家の息子で、金と暇に任せて退屈しのぎに淫猥で反社会的な趣向で楽しむデタラメな生活を送っていました。そんなある日、彼は友人の科学雑誌社長がスリを働く現場を目撃してしまいます。雑誌社長に問いただせば、そんな事はしていないとの事。どうも雑誌社長の偽物がいるらしいという事で2人で調べていると、偽社長が女性相手にかなり淫猥な事をしているのを目撃します。本物の雑誌社長は茫然自失気味・・・・・・(笑)。主人公は偽社長に散々惑わされ、ついには愛する妻を奪われそうになり、怒りのあまり偽社長のピストルを奪い彼を射殺してしまいます(本当はピストルは偽物。偽社長は殺された振りをして主人公を罠にかけた)。自暴自棄になった主人公は、愛妻共々謎の集団に引き入れられていきますが・・・・・・。物語の後編に入ると、日本の上層部の人々を偽物と入れ替え日本を征服しようと企む悪の集団(偽社長が中心人物)の暗躍が始まり、主人公は明智探偵に変わります。前編の主人公と妻はどうなったかというと・・・・・・見事に悪の下僕に成り下がっていました。明智探偵と総理の令嬢に顔面改造され、それぞれに成り替わろうとします。いかに世の中に退屈しきっているからと言って・・・・・・(汗)。最後には、明智探偵の活躍により悪の集団は一網打尽となります。主人公夫妻は利用されただけで誰かを手に掛けた訳では無いから何年かで刑務所を出てくるとは思いますが、もう普通の生活はできないでしょうね。これが、猟奇の果・・・・・・。この物語にはもう1人困った人が出てきますが、それはやたら他人に物を恵むのが趣味の総理大臣令嬢。貧しい身なりの前編主人公の妻を助けますが、面白半分に服を取り替えて皆を驚かそうとした為に、自分が貧民に身を落とす羽目になります。通常、働く意味を知る人であれば、貧しい人に物を恵む前に職探しに協力する筈なんですが・・・・・・。ましてや、そういう身の上の人と服を取り替えて面白がるなど以ての外。この令嬢は親切なようで、実際は金持ちの娯楽を楽しんでいるのですね。作者からは「慈善病患者」と揶揄されるほどですから。明智探偵に救い出されはしますが、このまま人間不信になるかもしれませんね(苦笑)。今回は、ここまで。
2023.12.06
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今日は風はありましたが良い天気でした。最高気温は15℃なので日向に入れば暖かかったですが、日陰に入れば冷たい風が吹きつけて肌寒かったです。それでも、私は今日も図書館巡りに出掛けました。今回借りたのは、交野市立青年の家図書館でキープしていた「真珠郎」。昭和初期の名探偵・由利鱗太郎が登場します(テレビドラマでは、金田一耕助)。横溝正史作品には妖しげな魅力を持つ美少年が数多く登場しますが、中でも真珠郎は強烈なインパクトを持っていますね。今回私が訪れたのは、八尾市立八尾図書館。作家・今東光の資料館のある八尾市立青少年センター内にあります。可愛いウサギさん達に出会いました。 周辺には、きれいな花々も咲いていました。冬の寒さの中でも元気な花達です。花達に元気をもらって、明日からまた頑張りたいと思います。
2023.12.03
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