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2024.01.19
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今朝は雨上がりの肌寒い朝でした。
それでも、昼頃には少し暖かくなりました。この後、翌日にはまた天気が崩れるようです。
今回は江戸川乱歩作品の感想を書かせて頂きます。どれも、なかなか読み応えのある作品でした。

幽霊塔
ジブリの宮崎駿監督が影響を受けたという作品。元判事の甥が主人公で、彼は叔父が買い取った時計塔を下見に来た時、謎の美女と宿命的な出会いをします。
彼女は不幸な宿命を持つ女性で、養母が死に際に苦し紛れに噛みついた傷跡が左手首に残っていた事から、遺産相続のトラブルで養母を殺害した犯人として終身刑の判決を受けました。当然彼女は犯行を否認しますが、状況証拠だけ見れば彼女は大いに不利・・・・・・。
養母にはもう1人養子がいたのですが、養母が死んでも利益が無いとの事で容疑者から外されます。当時の捜査関係者は養母の遺産相続の事ばかりに目が行っていたようですが、養女が犯行を否認する以上はもっと突き詰めて捜査していれば、時計塔に隠された財宝の事に行きついたと思われるのですが・・・・・・。

でも、神様は彼女を見捨てませんでした。協力者として弁護士、整形外科医、看護師の女性が現れ、彼女を薬品で病死に見せ掛け監獄から脱出させます。その後、彼女は成形手術を施され、ここに絶世の美女が誕生します。
そして彼女は協力者と共に真犯人探しに乗り出しますが、また次なる障害ができます。主人公の婚約者(と叔父が決めた。むしろ主人公は嫌っている)の従姉妹の女性が、美女に嫉妬するあまり、そこまでやるか!?と思うぐらいの罠を仕掛けてきて美女を困らせます。
主人公の従姉妹は真犯人に利用されていたのですが、最終的には改心して主人公や美女に好意的に尽くすようになってくれます。
真犯人は当然、養母のもう1人の養子。彼は時計塔に隠された財宝を探すうちに、迷い込んでいた元看護師の女性の飼い猿と遭遇し、大格闘の末に同士討ちとなります(彼には持病があった)。
その後、時計塔の財宝は発見され、美女の無罪も証明されます。主人公と美女は結婚し、ハッピーエンドへ向かいます。

宮崎駿監督の「ルパン三世 カリオストロの城」は、この小説の影響を受けていたのですね。確かに、過酷な運命に翻弄されるヒロイン(クラリス)が主人公(ルパン三世)と出会う事により運命を切り開いて行く過程がよく似ています(でも、クラリスはルパンとは結ばれませんけど・・・・・・)。
最後に可哀そうなのは、協力者の弁護士。彼はヒロインにとって協力者であるのと同時に恐喝者。探し当てた無実の証拠を発表する条件として自分と結婚しろ。さもないと証拠を握り潰すと彼女を脅していましたが、真犯人が見つかった以上、彼の集めた証拠は無意味になってしまいました。
何にせよ、ヒロインが救われたのは弁護士その他のお陰なので十分なお礼はされたと思うのですが、整形手術の技術を秘密にする為、協力者御一同は主人公とヒロインの前から姿を消していまいます。
この物語は、財宝探しの面白さと同時に冤罪の恐ろしさも考えさせられます。もう二度と消えない手首の傷跡。でも、心の傷は時と共に癒されていく。どうか、主人公とヒロインには幸せになって欲しいです。

私が小学生の頃に読んだ「幽霊塔」を児童向けに書き直した話。主人公の年齢が少年になり、大学時代の明智小五郎が登場しているのを除くと内容は同じで、本文も読み易くなっています。最終的に主人公とヒロインは同居する事になりますが結婚はしません。

主人公の小学校教師が、友人の新聞記者に連れられて出向いた劇場で「百面相役者」の演技を見せられます。男女や年齢、身分を問わず、全ての登場人物を1人で変装して演じ切る芸達者な役者ですが、新聞記者は彼に「首泥棒」の疑念を抱いていました。
墓場をあばいて遺体から首を切り取り持ち去るという猟奇的な犯人ですが、新聞記者が言うには、例の劇場の百面相役者は首から肉面を剥ぎ取って変装に使っているのではないかとの事。主人公はその話をワクワクしながら聞き入っていました。
後日、主人公は新聞記者に百面相役者の調査は進んでいるか聞きに行くと、新聞記者は笑いながら、あれは退屈していた自分の空想に過ぎないと言います。首泥棒はすでに捕まったとの事。その後、百面相役者の噂は聞かれなくなりました。
後の乱歩作品に登場する怪人二十面相の原形のようなキャラクターですね。(「乱歩の猟奇」収録)

地獄風景
江戸川乱歩作品の中でも、相当内容がぶっ飛んでいるというか、ブチ切れているというか、とにかく警察の眼前で成すすべも無く大量殺人が公然と行われます。
主人公の名は、治良右衛門(じろえもん)と言うどこか漫画チックな響きのあるユーモラスな名前ですが、彼は両親から全財産を受け継いだ若き百万長者。金に物を言わせて「ジロ娯楽園」なる猟奇的なパノラマ遊園地を設営して、猟奇的な悪友達と共に遊び暮らし、退廃的な生活に明け暮れていました。
そんな猟奇的な遊園地の中で、じろえもんの悪友が次々に殺害されていきます。遊園地内で殺人事件が起きているというのに、じろえもんは更に100人余りの悪友達を招いて猟奇的なカーニバルを開催。警察が止めるのも聞かずに決行します。
殺人事件の犯人は当然じろえもんで、カーニバルの中でも長距離走のゴールのテープに見せかけた真剣や射的ゲームの砲弾を実弾にしたり、公然と招待客を殺害していきます。
じろえもんは警察に追いつめられますが、最後には遊園地内に仕掛けた爆薬で遊園地を爆破して崩壊させます。当然、招待客は全滅・・・・・・。成すすべの無い警察を尻目に、じろえもんは最後に残った愛人と共に気球で飛び去って行きました。

金に物を言わせて遊び暮らす退廃的な男が、同類の退廃的な悪友達を快楽を得る為に殺しまくるだけの話ですが、これではあまりにも道徳的に良く無いと考えたのか、作者は後付けの結末を用意してくれました。
何と、全ては妻殺しの罪で終身刑を受けたじろえもんが監獄内で見た夢だった――!!
物語の最初から最後までがじろえもんの夢だったのか?それとも、彼の監獄行きは大量殺人を犯した後の事か?(逃亡の後で某国の船舶に救助されるなりして、その国で暮らしているうちに愛人とトラブルを起こしたとか)
どちらにせよ、じろえもんのような男に良い結末は望みません。これでいいのだ!!(「乱歩の猟奇」収録)

今回は、ここまで。





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最終更新日  2024.05.15 01:04:38
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