米大リーグの試合でいいなあと思うのが、セブンス・イニング・ストレッチ(the Seventh-inning stretch) というやつです。 いよいよ地元チームのラッキーセブンの攻撃というところで、背筋を伸ばし肩をほぐすというのは、興奮したり疲れている観客の気分もほぐしてくれて、なかなかな名案だが、そこで敵味方関係なく観客全員によって歌われるあの "Take Me Out to the Ball Game" が、時にジーンと胸を打つ。この、ほのぼのしたメロディーの野球ファンのためのワルツは、全く攻撃的でない歌詞と相俟って、野球に興味のない人にも親しめる名曲です。 老いも若きも一緒になって、しかも野球場で、あんな風に歌える歌が存在するということがうらやましいです。
昨日の試合で "Take Me Out to the Ball Game" のあと、チャビー・チェッカーの "The Twist(ツイストNo.1)" がかかっていましたよ。 スタンドのファンは、この曲にあわせて一体になって踊っている……なんていうことはまったくなくて、中には踊っている人もいましたが、みんな思い思いのやり方で、文字通りセブンス・イニング・ストレッチをしていました。 "The Twist(ツイストNo.1)" は見事に BGM になっていましたね。
チャビー・チェッカーの歌う "The Twist(ツイストNo.1)" が、いわゆるツイストブームに火を付けたといわれています。1960年と62年の2度、全米 No.1 になっている曲ですから、知っている人も多いだろうし、60年代初期を代表するダンスナンバーとも言えるでしょう。 2度流行っているのは、つまり62年にはツイストブームがピークを迎えたということからでしょう。この時期、日本でも藤木孝の『ツイストNo.1』をはじめ、『ペパーミント・ツイスト』『サンライト・ツイスト』などのカヴァーものが各社競演で出たり、スリー・ファンキーズの『でさのよツイスト』みたいな「和製ツイストもの」も続々出されましたっけ。
で、この "The Twist" ですが、すでに1958年に R&B の大御所ハンク・バラード(Hank Ballard)がオリジナルを発表しているんです。作曲したハンク・バラードが、自らのバンド the Midnighters とやっている音源(アルバム・タイトル Singin' and Swingin')がうちにありますが、かっこいいですよ。 ハンク・バラードについては、このことも含めて以前落語版『サマータイム』で書きましたので、お暇な人はそちらを参照願います。
"The Twist(ツイストNo.1)" をはじめ、次々とツイスト・ナンバーをヒットさせたチャビー・チェッカー(Chubby Checker)ですが、どの写真を見ても全然「ぽっちゃり型(chubby)」でもないんですけど、どうしてこのニック・ネームが付いたんでしょうね。 ・・・と思って、「ポップス黄金時代 1955-1964」をぺらぺらめくっていたら、なんと1962年のところに出ていましたよ。 簡単に説明しますと、声もルックスもファッツ・ドミノそっくりだから彼にちなんで付けたということだそうです。つまり、次のようなことですね。