ドクターイワタの認知症ブログ~東海エリア最高の治療実績~

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Oct 27, 2017
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト​

糖質制限経過報告6



ドクターイワタの認知症ブログ2017年10月22日

症例報告

20171022@7057@1066
知り合いからの紹介である。既往歴:内科 1.リピドール 2.プロプレス 3.フェロミアなど。他院採血:Hb8.8,MCV101、Plt4.1以外異常なし。物忘れ、アパシー、昼間傾眠、甘い物好き、生真面目、語義失語、金銭浪費を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.右>左前頭葉萎縮軽度、3.右>左側頭葉萎縮軽度、4.右>左海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域脳梗塞、6.その他 右>左ピック切痕、右>左脳室拡大。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:5、前頭側頭葉変性症(意味性認知症,SD)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7/9、改訂長谷川式:12/30、近時記憶0/6と中等度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR2Capを勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:12/30(+-)、近時記憶1/6(+1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。大球性貧血にフォリアミンおよびメチコバール開始した。ビタミンB1欠乏症疑いにアリナミンF開始した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(+7)、近時記憶5/6(+4)と高度改善、上記周辺症状はすべて消失した。血液検査はビタミンB1 (ng/mL)↓18 、ビタミンB12 (Pg/mL)350、 葉酸 (ng/mL)↓ 3.2であり、フォリアミンおよびアリナミンFを継続とした。5か月後、中核症状は改訂長谷川式:21/30(+2)、近時記憶6/6(+1)と更に軽度改善した。抗認知症薬による薬物治療は食事指導およびビタミンB低下症の治療をしてから行うべきである。

20171022@7105@1067
保健師からの紹介である。物忘れ、幻聴、金銭管理、甘い物好き、生真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:2、MIXを呈するDTNC類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:18/30、近時記憶0/6と軽度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:17.5/30(-0.5)、近時記憶2/6(+2)と軽度改善した。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:17/30(-0.5)、近時記憶2/6(+-)と不変だった。易興奮にビタミンB1、B12、葉酸血中濃度測定と同時にビタノイリン50mgを開始した。3か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(+2)、近時記憶2/6(+-)と軽度改善、易興奮も消失した。VitB1=18,VitB12=251,葉酸=6.0。

20171022@7207@1068
施設からの紹介である。既往歴:内科 1.アムロジピン2.5mg 2.バップフォーなど。物忘れ、意識消失発作、易転倒、歯車様固縮、生真面目、語義失語、甘い物好き、収集癖を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:3.5、ピックスコア:5、レビー・ピック複合(LPC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶2/6と中等度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:13/30(-3)、近時記憶1/6(-1)と軽度悪化した。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgからリバスタッチパッチ4.5mgへ変更した。脳梗塞にサアミオン10mgを開始した。BP106/63。他院からのアムロジピン2.5mgから1.25mgへ減量。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:17/30(+4)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて改善した。BP160/80。

20171022@7220@1069
親戚からの紹介である。既往歴:精神科 1.ファモチジン20mg 2.メマリー5mg 3.クエチアピン50mg夕など。物忘れ、幻視、悪夢、夜間大声、暴言、暴力、易興奮、物とられ妄想、嫉妬妄想、昼間傾眠、夜間せん妄、振戦、歯車様固縮、右への傾きを呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮中等度、3.側頭葉萎縮中等度、4.海馬萎縮軽度、5.両側ラクナ梗塞数カ所、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:7、ピックスコア:4、レビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:21/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。前頭葉症状にクエチアピン50mg夕からクエチアピン朝12.5mg夕25mgをに減量、フェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR2Capを勧めた。夜間せん妄にロゼレム8mg/抑肝散2.5gを開始した。BP146/95。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(-2)、近時記憶1/6(-1)と軽度低下、上記周辺症状はすべて改善した。BP128/83。

20171022@7221@1070
開業医からの紹介である。既往歴:内科 1.ミカルディス20mg 2.ダイアート60mg 3.クレストール5mg 4.アリセプト3mg 5.メマリー20mg。物忘れ、幻聴、妄想、暴言、感情失禁、尿便失禁、火の不始末、甘い物好き、うつ状態、生真面目、振戦、るい痩を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:20/30、近時記憶2/6と軽度低下していた。認知機能低下にアリセプト3mgから2.5mgへ減量、メマリー20mgから10mgへ減量、フェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血流低下にも関わらずBP100/58、ミカルディス20mg中止、ダイアート60mgから30mgへ減量した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度測定と同時にビタノイリン50mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+2)、近時記憶5/6(+3)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。BP147/68。VitB1=31,VitB12=240,葉酸=4.0。


興奮している場合はまずはビタミンB1欠乏症の治療を行うべき~ウインタミンなどの抑制系薬剤はその後で~

10月8日発表の当ブログにて認知症患者4人に1人はビタミンB1欠乏症、10人に1人はビタミンB12欠乏症、5人に1人は葉酸欠乏症を合併すること、典型的な症状を伴わず認知症のみが主訴であるビタミンB欠乏症が存在することを報告しました。1ヶ月経過した患者が再診されており、その後の経過について報告します。

ビタミンB1欠乏症は、24-66ng/mLが正常値とされていますが、28ng/mLでもウェルニッケ脳症発症の報告があり、ビタミンB欠乏症を否定するには28ng/mL以上であることが必要です。そこで、筆者は24-35以下を低下傾向、23以下を欠乏症と分類しました。認知症患者226名でビタミンB1精密検査(正常値24-66)を施行したところ、驚いたことにビタミンB1欠乏症(23以下)は55名(24%)、低下傾向(24-35以下)は108名(48%)、欠乏と低下傾向を合わせると163名(72%)に達したことを10月8日発表の当ブログで報告しました。

高齢者のビタミンB1欠乏症は、教科書的にはアルコール多飲、胃切除の既往、糖尿病の合併、多剤併用などが原因に挙げられます。しかし、筆者は一番多いのはビタミンB1を含む食事(豚肉、胚芽、ウナギなど)をしていないという偏食にあると考えています。実際、外来では「年をとったから肉は食べない」と口にする高齢者が多く見られます。高齢者に玄米は消化吸収の問題があり勧められませんが、胚芽米であれば白米と同じように食することが出来ます。デイサービスや施設では、高齢者にもっと豚肉を食べて貰う必要があります。



ビタミンB1欠乏症は、ピック病のような症状(不安、不穏、徘徊など)を引き起こすということは余り知られていません。実際、筆者が不穏にウインタミンを出していた患者の多くが、ビタミンB1欠乏症を合併しており、ビタミンB1製剤を投与すると穏やかになり、ウインタミンを中止出来ています。ピック化=ピックセット(ウインタミン朝4mg夕6mgおよびフェルガード100M粒4錠)という今までの治療を見直す必要があります。ピック症状を呈する患者は、まずはビタミンB1欠乏症を疑い、ビタミンB1血中濃度測定(B12および葉酸も同時に測定)と同時にビタメジン(B1,B6,B12複合ビタミン)などの複合ビタミンB製剤を投与すべきなのです。

筆者の印象ではビタミンB1欠乏症は表情が険しく不安が強い状態を呈しています。ビタミンB1欠乏症を放置すると、ピック病になってしますのではないかという仮説を考えています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きを持っており、身体のセンサーが糖質不足と感じて甘い物好きになるのではないかと考えれば自然だからです。最近、乳児期に育児放棄され栄養障害を契機に発達障害を呈している40台の患者さんが受診されました。臨床所見が前頭側頭葉変性症(SD,意味性認知症)を呈すること、頭部CTもSDと同じ所見を呈していること、若い割にビタミンB1が下限であったという事実は、ビタミンB1欠乏症を含む栄養障害が前頭側頭葉変性症を引き起こすのではないかという仮説を支持するのです。

ビタミンB1欠乏症は興奮状態を呈しており、ビタミンB1を補充することで興奮状態を改善できることがわかりました。従って、初診時に興奮している場合、または再診時に興奮が始まった場合、ウインタミン/セロクエル/グラマリールなどの抑制系薬剤を投与する前に、ビタミンB1血中濃度測定(B12および葉酸も同時に測定)と同時にビタメジン(B1,B6,B12複合ビタミン)などの複合ビタミンB製剤を投与します。ビタメジンであれば朝50mg夕50mgとします。興奮した場合は朝25mg夕25mgに減量します。興奮の程度が軽い場合はフェルガード100M粒4錠、興奮が強い場合はフェルガードF2包を併用します。具体的には、ウインタミン朝4mg夕6mgは念のために処方しておき、フェルガード100M粒4錠と朝50mg夕50mgから開始するように指示をして、1週間経過しても不穏が続くのであればウインタミンを開始するように指示すれば安全です。

認知症治療は日々の診療で患者さんから学ぶことで進歩しています。今回の報告が認知症患者さんの正しい治療に繋がることを望んで止みません。





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Last updated  Jun 18, 2023 04:25:41 PM
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