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智則と紀香という貧乏な夫婦がいた。
夜中に亭主の智則が、女房の紀香を誘うと、紀香は、
「あんたっていう人は、明日食べるお米もないっていうのに、よくもまあそんな気になれるわね」
と詰( なじ )った。
途端に、智則のそれがしょんぼりしてしまうと、紀香は慌てて、「そうは言っても、米櫃( びつ )の中をかき集めたら、あした食べる分ぐらいはあると思うわ。しっかりしてよ」
( 一旦萎えてしまったら、そう簡単には戻りません。)