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2010.10.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
これ迄本ブログでも何度かご紹介したお茶の水女子大学名誉教授藤原正彦氏が、読売新聞の人生相談欄を担当された怪答(?)が「人生に関する72章」という本に纏められました。氏一流の自信に満ちた偏見による回答を読者も氏ご自身も楽しまれた節があります。

一々はご紹介できませんので、後書きに載せられていた氏の夫人からの質問に対する遣り取りをもって全体をご想像下さい。


 質 問 夫の手癖

 夫には変な癖があります。手が落ち着かないのです。そう申すとなんだか妙な人の部類に入れられそうですが、社会的な問題を起こすというのではありません。先日、雰囲気のよい高級レストランに二人で招かれたときも、人と談笑しながらセットしてあるナイフを裏返したりテーブルクロスを行ったり来たりなで続けていたので、ハラハラさせられました。家では書き物をしながら鼻毛を抜いては丁寧に上下揃( そろ )えて並べたりしています。もう抜くべき鼻毛も尽きたと言います。手が何かに触れていないと落ち着かないということは小さい子がお母さんのスカートの裾( すそ )を握っているのと同じで、心の拠( よ )り所を求めているということなのでしょうか。いい大人なのに心配です。

 回 答

 私に似ているご主人なのでびっくりしました。私も大学で授業中、右手のチョークだけでは落ち着かないので左手にも黒板消しを持っていたりします。研究室では、消しゴムをひっくり返し続けていたり、気がつくとズボンのジッパーを上げ下げしていたりします。アメリカの大学で教えていた時、ストリーキングをしましたが、手を入れるポケットも手でつかむものもなく不安でした。

 そう言えば私が小学校に上がる前の頃、母の書いた「流れる星は生きている」の映画ロケーションを見に行って女優久我美子さんのスカートをひっぱって離さなかったそうです。証拠写真もあります。終戦直後、一年余りをかけて母は幼い三人の子供を連れて満州から命からがら引き揚げてきました。三十八度線を強行突破するとき、六歳の兄は歩き一歳の妹は背負われ三歳の私は母に引きずられるようにして幾つもの山河を越えました。そのときの、母の手を離したらそれまで、というトラウマが残っているのかも知れません。

 あなたのご主人にもいろいろ深い理由が隠れているのでしょう。ナイフをふりかざしたり、並べた鼻毛を食べ始めたり、他の女性のスカートをつかむまでは我慢することです。

                               質問者 藤 原 美 子



愚生に似ている藤原先生なのでびっくりしました。愚生も手を落ち着かなく動かす癖があります。一番困るのは、流石にズボンのジッパーの上げ下げまではしませんが、いつの間にか片手でズボンの前を覆い隠していることです。思うに、軽薄短小へのコンプレックスが心に染みつき、ついついそこを隠そうという意識が働くのでしょうか。 





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Last updated  2010.10.13 05:06:46
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