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2012.04.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
作家丸山健二氏が日経の文化欄に書いておられた「卑小な人間の偉大なる精神」と題する、最近の文学に対する厳しい一文です。その後半部分をお読み下さい。


 ・・・

 そもそも文学はお祭り騒ぎや芸能界のごとき虚ろな華やかさとはまったく無縁なところに位置しているにもかかわらず、いつしかぼろ儲けが可能な場として位置づけられ、その波に乗ることだけが絶対的な目的と化してしまい、本質や核心は建前だけのものとなった。その間に、良書が悪書にどんどん駆逐され、あげくに売れるものだけが良書ということに定まりそんな陋劣な価値観が当たり前として罷り通るようになり、関係者の文学的な資質など取るにたらないものとなり、ために、目が肥えている成熟した読者は去ったきり戻らなくなった。

 単に読みやすい、わかりやすいという、ただそれだけの理由で、あまりに低レベルな作品に群がっていた読者も、文学の質とは何の関係もないことに起因し、ファッションのようにまったくの気まぐれに発生するブームに釣られてしか小説に手を出さなくなり、出版界における最大にして唯一の狙いであった、はるかに分を超えるほどの高い売り上げも、とうとう幻想のたぐいに成り果てた。

 にもかかわらず、文学が書き言葉を存分に駆使した、最も高度で、最も人間的な芸術であるという原点に立ち返ることができず、復活の道がほかにはないということにさえも気がつかず、ひたすら今を食いつなぐことしか念頭になく、もはや絶対にあり得ない、かつての上辺だけの「文学黄金時代」の夢の名残りを追いつづけることしか思い浮かばない体たらく。

 とはいえ、書き手のひとりとしては、あまりと言えばあまりな現状に押し流され、諦めてしまうわけにもゆかず、これぞ文学と思える作品を世に問いつづけるしかほかに手だてはない。その気になれば宇宙の隅々にまであまねく意識を飛ばせることが可能な、卑小な人間の偉大なる精神は、限界まで研ぎ澄まされた言葉によって初めて息を吹き返し、そのための精進さえ怠らなければ、この世を去る日まで真の感動の鉱脈を彫りつづけられる。


多少被害妄想的なところもなしとはしませんが、仰有られていることには賛成です。ただ、氏の言われる文学は、いつの世にもコマーシャリズムと戦いつつ、その中で残る価値のある本物だけが今に至るまで一筋の清冽な流れのように生き続けるのではないでしょうか。最後の「卑小な人間の偉大なる精神」、これこそ神が人間に与え賜うた最大の贈り物として感動をもって受けとめました。





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Last updated  2012.04.08 05:03:06
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