セミリアイア「晩年」日記

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2020.12.19
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カテゴリ: 仕事


3時間目は2年現代文。西谷修の「いのちのかたち」という文章を読了したので、この文章を読んでの課題小論文「孤独死はなぜ防がなくてはいけないのか、『いのちのかたち』を踏まえ800字以内で論ぜよ」を1時間で書かせる。あらかじめ予告し、時間が足りないと思う人は、下書きを作っておいてかまわないと言ってあるが、1時間目一杯使ってという者が多い。掲載文と小論文課題はテーマが違うのだが、共通の土台部分の思想が読めるかどうか。

4時間目、2年古典。大和物語「姥捨山」。「わがこころ慰めかねつ更級や姥捨山に照る月を見て」という歌が最後にくる歌物語。「姨捨」は各地にある伝承で、大和物語はそのうちの一つを物語に仕立てたものと思われる。現代的主題にも通じるのだが、やや急ぎ足で最後まで読み切ったところで終了。まだ2年なので、とにかく基本古語の原義や文法などの説明が必要な段階。

5時間目、3年現代文。夏目漱石「私の個人主義」。すでに文豪であった漱石が学習院の学生相手にした講演。思想としての「個人主義」を素朴だが、率直に語った名文である。話し言葉で、少し注解が必要だが、わかりやすい日本語の見本のような文章だ。「個人主義」はいまだに「利己主義」と混同され、日本では理解されているとは言いがたい思想だが、漱石はその点を明快に説明している。「権利」「義務」「責任」がキーワードだ。最後まで読了。4時間かかった。

最後に「個人主義」という思想の限界について、生徒たちにも話しておく。自分は紛れもなく「個人主義者」だが、現代の「個人主義」は、自己決定に責任を持つという側面ばかりが強調され、はじめから、選択の幅が極めて少ない者が「自己決定論」に落とし込まれることに手を貸している。

個人主義はもう一度、「個人の尊厳」の土台を取り戻す社会運動として語られなければならないだろう。「自分は右を向く。その時君は左を向いたってかまわない、というのが私の個人主義なのですから、これはもう立派な主義なのだと思うのです」という漱石の言葉は儒教道徳を否定するに十分な力を備えていたが、格差社会で下層に落とし込まれた人たちの救いにはならない。





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最終更新日  2020.12.19 07:38:06
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