セミリアイア「晩年」日記

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2021.10.19
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カテゴリ: 随想


例の会議は、全体の中で本学がいかに赤字が多いか、という説明に終始した。何だかよく分からない説明だったので、いくつか質問をしたが、校長、教頭以下押し黙ったままである。結局、校長は下の者には傍若無人なパワハラまがいの発言を繰り返すが、上にはからっきし弱い。修道会という独特のヒエラルキーの中で、今までもそういう姿は垣間見てきたから、別に驚きもしなかった。こちらは、別に恐いものなど何もないから、生徒が集まらなくなってきた理由、何をどう変えれば少しはマシなのか、という議論をしたし、数字のない説明は、まったく理解できない、一体本校としての資産はどのくらいあり、1年でどれほどの赤字があり、このままいくと何年で資産が尽きるのかを示してくれ、とごく当然のことを要求した。

教育の問題はお金だけではもちろん語れないのだが、お金を無視して語ることは無意味である。それは家庭教育でも、学校教育でも同じだ。特に学校教育なら、好きなことに無尽蔵にお金を使うことは許されない。その辺は、宗教法人立の学校は特に難しい。全世界的な修道会全体の姿は、バブルのころまでは日本で稼いだお金をアフリカの最貧国で学校を建てる資金にしたりなど、いろいろなことがあったろうが、今や、日本はお金を稼ぐことができなくなりつつある状況になっていた。

理事会は銀行の退職OBを事務局長として受け入れ、少なくとも日本の各校が赤字が出ない体質にもっていくことが喫緊の課題となっていた。自分はさらに、本校がいったい何人の入学者を確保すれば、存続していけるのかについても、質問した。「まあ、定員を確保できれば」という極めて曖昧な返事に対して、地域で定員を確保できている私学は一校もないこと、15歳人口は過疎化、少子化で減り続けていることを数字を挙げて説明し、およそ定員確保というのは現実味のない課題である。幼稚園、中学校、寮を含めた学校経営の肥満体質を何とかしないと、到底無理ではないか、という意見を述べた。また、すでに私学助成は定員に対してではなく、入学者実人数に対してであり、私立校の実質的無償化に政策は動き出しており、数年経てば、特待生という授業料免除制度で生徒を集めてくるのは難しくなるだろうという意見も述べた。

その会議は3時間ほどで終了したが、おそらく各校でやったヒアリングで、これだけはっきりとモノを言う人間もいなかったのだろうと思う。修道女は不快だったろうが、一般の理事たちはえらく気に入ったらしく、とにかくあの人を管理職に、という話になったのだろうと思う。歴代の校長へのヒアリングもあったろうが、教科指導の力などについては誰も否定しようがなかっただろうと思う。結論は、自分を副校長にということだった。理事長からその旨電話があり、本部に出向いた。「何をやらせたいんですか。例えば教務進路指導などというバカげた部門を作るような現校長の暴走を止めろということですか」と聞くと、否定はしない。「そういう話なら、定年まであと2年ありますから、最後の仕事と思って引き受けますが、定年後は元の国語教員に戻してください」ということになった。

ところが、就業規則の中に「副校長」の地位規定がなく、7月の理事会までは「教頭」という職分になった。が、教頭の仕事は一切しなかった。すっかりやる気をなくして腐っている校長の代理をほぼ勤め、校長会にも顔を出し、いろいろなことをやった。​





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最終更新日  2021.10.19 06:07:28


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